you don't get it!(5D's:鬼柳)
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答えなど
既に出ていた
淡い絆が消えゆく前に
「すごい、あっという間に着いちゃいました!!」
「流石遊星号、走りもスムーズだし…本当にいいDホイールだよね!」
「え?あ、遊星号って言うんですね…こちら。」
「うん!」
「凄いスピードだったのに、あまり怖いと感じませんでした。」
「うんうん、揺れも無いよね!」
「でもそれは…。」
「ん?」
「きっとブルーノくんの運転だったからですよ。」
「え、そ、そうかな?!」
「はい!何かとっても安心して乗っていられました。運転お上手なんですね。」
「まぁ……Dホイールを愛してるからね!」
「ふふ…。」
ポッポタイムのガレージからホテルまでyouを送り届ける役を買って出たブルーノ。
鬼柳とかつての仲間達の…否、正しくは鬼柳とyouとのよく分からない蟠(わだかま)りを感じ、
その場を解散させるべく、youをホテルまで運んできたのだが、
波長の合う彼女との会話は妙に楽しく思え、損な役回りだ、などとは微塵も思わなかった。
送り届けた今もなお、Dホイールの話などが弾みに弾んで別れられないでいた。
「へぇ、じゃぁ今住んでるトコにはDホイールが無いんだ?」
「持っていらっしゃる方は何名かいますが…鬼柳くんは持っていないようです。」
「そっかぁ…。」
「これから町が発展していく中で、どうしても頻繁にシティに足を運ばないといけなくなる時期が来ると思うので、交通手段を確保したいのは山々なんですけど…。」
「遊星に聞いたけど、結構な荒地なんだってね。」
「はい、だからこそのあのウェスタン調が成り立っているのですが!何だか時代錯誤でとってもいいんですよ、ノスタルジックというか…!是非ぜひ、ブルーノくんも遊びにきてください!」
「あはは、それは是非行きたいな!youちゃんがシティからSFTに引っ越した理由が何となく分かった。」
「す、すみません…何かアツくなってしまいました!」
「Dホイールの話する時は僕もそんな感じ。」
「好きなものの話はどうしても饒舌になりますね。」
「うんうん。」
「あー、何か楽しくなってきちゃった。」
「わたしも。」
「まだ9時か…ね、youちゃん、よかったらこれからお茶でも行かない?」
「いいですね!シティにいた頃はよく夜カフェ巡りしてたんです!おすすめのお店があるので一緒に行きましょう!」
と、そんなこんなで御互いの好きな話をすべく
ブルーノとyouは夜の市街地へと向かう事となった。
一方その頃…。
「で、鬼柳……どうして彼女を一人帰らせるなんてことしたんだ?」
「遊星…い、言っただろ、ホテルが一室しか取れてなくて……二部屋取れないか確認もしたけど、空いて無いって言われたんだよ。」
「鬼柳。」
「…youは……一緒の部屋で構わないって言ったけど…オレ…一応男だし…流石に一緒にはいられなくて…。」
すとん、とその場に座り込んでしまった鬼柳。
かつて、チームを組んでいた時より髪は伸び、背も高くなり、声も低くなったし、不本意ながらマーカーも入った。
見かけは大人だが、どうやら竹馬の友の前ではその時代の鬼柳京介に戻ってしまっているようだ。
しゅん、と顔を落として項垂れてしまった。
「アレは…youは、鬼柳の女なのだろう?本人が共に過ごして構わないと言っているのなら、抱けばいいだけのことだろう??」
何を躊躇うことがある?と、さも当たり前のように腕を組んでジャックが問う。
そんな彼の言葉にカッと顔を赤くし、鬼柳がジャックを睨んだ。
「でっ、できるワケないだろう!?ていうか違う!youはオレの女じゃねェし、そういうウェットな関係でもねェ!//」
「なら、どういう関係なのだ。」
「えー…あー……か、家族…?」
「チッ…。」
「し、舌打?!!」
「なら、家族として共に過ごせばいい。家族と思えるならな。」
「思ってるけど、思えねェから困ってんじゃん…。」
「どっちなんだ!苛々する!好きなのか、好きじゃないのか!!」
「好きだよ!大事だよ!家族同然なんだから、当たり前だろ!!」
「だめだ話にならんぞ遊星!俺はもう寝る!!」
「んなっ!!?」
鬼柳の的を得ないのらりくらりと交わすような返答に嫌気が差したのか、
ジャックは呆れと怒りで憤慨しながら自室へと去っていった。
そんな様子を見ながら、溜息混じりに「どうすっかねぇ」と零すクロウ。
遊星はというと、おもむろに立ち上がりキッチンで飲み物を用意し始めた。
その場に暫しの沈黙が漂い、数分後3人分のコーヒーを淹れた遊星が
それをテーブルに置き、鬼柳とクロウに声を掛ける…。
「とりあえず、コーヒーでも飲んで落ち着こう。鬼柳、こっちへ。」
「・・・。」
クロウが先にカップを手に取り、適当な椅子に腰掛ける。
よろよろと立ち上がった鬼柳は、遊星が座っているソファに腰掛けた。
「鬼柳は…彼女をどう思っているんだ?」
「you?すげーいい奴だよ。優しいし、可愛いだろ?ウェストとニコだけじゃなくて町の奴らほとんどから好かれてる。」
「自慢の家族か?」
「ん、ああ……そうだな、自慢の家族…だな。」
「鬼柳は、彼女に惹かれているのか?」
「遊星……すげーストレートに聞くな。」
「そもそもそれを聞く時間のはずだが?」
「まぁ……確かに惹かれてる。」
「どういうトコロに?」
「んー…そうだな、言われてみると結構具体的ではあるんだよ。」
そう言って鬼柳は彼女を好きになっている理由を分かることから一つずつ挙げていった。
始めて住民申請が送られてきて、律儀で丁寧で会ってもいないのに好感が持てたこと。
仲良くなって、酒場で怪我をして震える姿を見て加護欲が掻きたてられたこと。
ウェストにからかわれた後、真っ赤になって自分を見上げる顔が可愛かったこと。
DM(デュエルモンスターズ)のカードの話で盛り上がった後、転寝た時に聞こえた寝言に胸が高鳴ったこと。
その他、惚気と言っても過言ではないくらい日常の甘いエピソードを次々に言葉に出した。
遊星は真面目に聞いて、何度も「そうか」と頷いていたが、
クロウからは「お前、普段から2人でそんなリア充生活してんのかよ、それが普通とかマジ死ね」と怒りのお言葉が事ある毎に放たれた。
「まぁ……そんな感じ、かな。」
「そこまで具体的なら、ジャックに聞かれた時に即答できただろうに…。」
「けどさぁ……やっぱ、色々あるんだよ……オレが今他の女を知らないからなんじゃないか…とか。」
「・・・。」
「youに思ってることを言って、そう切り返されたら多分、何も言えない。」
「言えるさ。」
「だってよォ!」
ぷくっと膨れっ面をして言葉を詰まらせる鬼柳に、遊星ではなく、クロウが問う。
「じゃぁよ、鬼柳。今まで会った女の中で誰が一番美人でエロい?」
「んー……やっぱミスティだろ。」
「あー、いいよな。じゃぁ、一番お前の心を動かした女は?」
「ニコだな……ウェストと親父さんの相乗効果もかなり大きいが。」
「なるほどな、ちゃんと考えてんだなお前…。」
「クロウのくせに生意気な。」
「んじゃ、これからずっと一緒にいてほしい一番の女は?」
「…やっぱ、youだ。」
「ほらな。他の女が、なんて、どう言い訳したって意味ねぇよ。もうお前の中ではyouが一番なんだよ。」
「くっ、クロウのくせに生意気だぞ!//」
「へっ、何とでも言え言え。」
「~~~!!」
「でもさ、正直そうだと思うぜ?別に知らなくていいじゃん、他の女なんて。」
「・・・・。」
「自己都合は抜いて、相手のことだけ考える事、今の鬼柳ならできると思うぜ。」
「自己都合、を、抜く??」
「お前が他の女どうの、じゃなくて……youに他の男って考えることだよ。」
「ぬっ!?」
「youに同じこと言われたら、どうするって話だ。」
「えーっと…。」
「『わたしは鬼柳くん以外の男性をよく知らないので、鬼柳くんを好きと言ってしまっていいのか分からないです。』って。」
クロウの声真似はミジンコ程も似ておらず、寧ろ彼女を侮辱されたようで正直腹立たしかったが、この際それは置いて置こう。
ただ、自分のことばがそのままyouに置き換えられただけで、びくっと背筋が伸びた。
「絶対言うだろ、俺と同じ事。」
「っ…。」
「『別に知らなくていいだろう、他の男なんて』って。」
「言う…。100%言う…。」
「そういうことだよ。」
「クロウのくせに…クロウのクセにーーー!!//」
「わーっ!あんま騒ぐなって!近所迷惑だろ!!つか隣のババァが怒る!!」
「知るか!//」
ソファにあったクッションをブン!とクロウに向かって投げつける。
見事顔面にクリーンヒットし、クロウは「コノヤロー!」と憤るも、
よっぽど近所を気にしてか、ぐぐぐ、と我慢し、それ以上のいい争いを避けた。
「でもよ、だとしても……もし、断られたら?一緒に住んでるのに、家族なのに。俺は嫌だ、youと関係がこじれて、出ていかれるのも、追い出すのも。」
「それは…鬼柳がただ、怖がっているだけだ。彼女を失うことを。」
「遊星……分かってるよ…そんなこと…。離れるなんてしたくないし、させたくない。」
「離れないし、失いもしないさ。例え恋人という関係性になれなかったとしても、絆はちゃんとある。それは「家族」という絆だと言っても、きっと間違いないはずだ。消えはしない。だって、彼女はそういう子なんだろう?だから好きになったんだろう?」
「遊星…。」
「鬼柳、お前はもう一人じゃない。支えてくれる人間がいる。それはウェストだったり、ニコだったり、町の皆だったり…俺達だって支える。そして…youも。」
ふっと、綺麗な笑みを向ける遊星。
鬼柳はそれを受け、何度か瞬きをし、軽く息を吐く。
まるで全ての憂いがその溜息で身体から離れていくようだった。
「遊星、クロウ…。」
「「ん?」」
「ありがとう。」
いつ、どんなタイミングで、上手く伝えられるか分からないが、
ただ、自分の中での考えは纏まった。と、鬼柳は苦笑した。
相談しなければ、残るべき絆さえ消えていたかもしれないのだから
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