you don't get it!(5D's:鬼柳)
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思えば随分と幸せな毎日を過ごしてきたのだと痛感する
もしもこの日常が壊れたら
「これで本来の目的は終了だな。」
「そうですね、もう少し時間が掛かるかと思っていましたが…。」
「まぁ、町の評判も上がってきてるって聞けて良かったよ。」
「そうですね、シティの社員さんが言うなら間違いはないと思いますし…嬉しいですね!」
「ああ!」
シティの役所にサティスファクションタウンの資料や住民のデータを提出し、
今回のシティへの来訪目的が終了した鬼柳とyou。
仕事はもう既に手持無沙汰になってしまった。
「とりあえず、ホテルのチェックインにもまだ時間あるし……早速カードショップでも行こうぜ!」
「もう、鬼柳くんてば……子どもみたいですよ。」
「・・・なっ!//」
「では、ご希望通りカードショップへ行って、ホテルのチェックインをして、その後、鬼柳くんのお友達に会いに行きましょうか。」
「ああ!」
流れ的にそれがちょうどいいだろうと、youの提案に頷く鬼柳。
そうして、シティの賑わう都心部にやって来た2人。
「鬼柳くん、確かこっちです。」
「おー、流石シティ出身・・・。」
「街並みが変わってなくて良かったです。決闘者ではないですが、ショップはいつも賑わっていましたから知ってます。」
「勿論、一か所じゃねぇよな?」
「はい、わたしが知ってるだけでも数か所はありますね。もっとコアな場所は存じませんが…。」
「ふーん…まぁ、それは行った先で情報仕入れようぜ。」
「もう、何件回る気ですかぁ?!」
「あはは、半分冗談だって!」
「半分本気じゃないですか…。」
「フフ…。」
サテライトとも今住んでいるタウンとも違う街並みが興味深く、
頭上のビルをきょろきょろと眺めながら歩いていると、あらぬ方向からyouに呼び止められた。
「鬼柳くん!そっちじゃないですよ!」
「あ?おわっ、you、いつの間に!」
「いつの間に、はこっちの台詞です……やめてくださいよね、シティで迷子なんて…見つけるの大変です。」
「す、すまん…。」
「はい、鬼柳くん確保。」
「!」
「最初からこうすれば良かったですね。」
離れないように…と、youに手を掬い取られた上、にこりと笑顔を向けられる。
シティ行きの前にニコに言われた言葉たちがフラッシュバックし、
youを妙に意識してしまい、思わず顔が赤くなった。
「確か、この角を曲がったら1件目ですよ。」
「お、おう!//」
youの言う通り、曲がり角の先に大型のカードショップがあった。
先程までの照れは何処へやら、一瞬で表情が変化する。
キラキラと目を輝かせて、今まで引かれていたyouの手を逆に鬼柳が引いて歩き出す。
中に入ると、新発売の商品から、過去のシリーズのカードパックが棚に並び、
多種のレアカードがガラスケースにずらりと飾られている。勿論、商品として。
「すっげーーー!!」
「本当、中はこんなになってたのね。」
「you、見ろよ!このカード…超レアなヤツだ!おお、これも…あっちも!!」
「鬼柳くん……本当に子どもみたいです。」
「だっ、だから、決闘者は皆こんなモンだよ!!」
「そうでしょうか…。」
「何だよその目は…。」
「だって、あっちにいる少年たちと同じ反応ですよ?」
「・・・///」
ほら、と…youが指さす先には新品のカードパックを開封して出てきたレアカードに騒ぐ数人の子ども達の姿。
「やったぜ!!」
「すっげーー!遊矢!」
「それ超レアなヤツじゃん!」
見れば確かに同じ反応をしている。
鬼柳は少し羞恥心で顔が赤くなるのを感じた。
「そうそう、今回の目的は俺のじゃなくてyouのだからな!」
「あっ、話をすり替えた。」
「とりあえず気に入ったモンスターカードがあったら片っ端から言ってみな。それをベースに仮想デッキ組んでみようぜ。」
「そう…ですねぇ…。」
「おっ、これはいいカードだぞ!ほら、見ろよこの効果…!俺のデッキには使えねぇけど。」
「鬼柳くん、わたしはこっちの絵柄の方が好きです。それ怖いです。」
「そうかぁ?いいカードなんだけどなぁ…。あ、じゃぁこれはどうだ?」
「カッコイイですね。それはどんな効果があるんですか?」
「これはなー…。」
そんな会話をずっと繰り広げながら、メイン通りのショップをいくつか見て回り、
気に入ったカードを予算内で買い揃えていった。
「良い世の中になったよなぁ…カード拾わなくていいって…。」
「拾って揃えるのは大変だったのではないですか?」
「そりゃ大変だったよ、主力になるカードを手に入れても、それを生かせる他のカードがなかなか揃わなかったりしてさ…。」
「なるほど…。」
「やっと納得のいくデッキが完成した時はすっげー嬉しかったなぁ…。」
「ウェストくんが言っていた『チームサティスファクション』時代のものですか?」
「ああ!押して押してのパワーデッキだったんだけど、今思うと戦略なんてあったんだか無かったんだか…。」
「ふふ……今の鬼柳くんの雰囲気はその時期に凄く近そうですね。」
「うっ……ちょ、ちょっとテンション上がってるだけだ。」
「そんな鬼柳くんも素敵ですよ。カードの話をするとキラキラ輝いてて、羨ましいくらいです。」
「羨ましい、ねぇ。」
「はい、わたしはこれと言って趣味とか特技とかも無いですし。」
「そうか?俺はyouは色々特技持ってると思うけどな。」
「えー?」
「だって、そうじゃなかったら町長秘書なんて務まらないだろ?俺はyouが補佐でその仕事ぶりにすげー満足してるし、いなくなったら困るって思ってる。」
「鬼柳くん…。」
「だから、そんな風に自分をあんま卑下すんな。前も言った気がせんでもないが。」
「言われた気もします。」
「ま、兎に角、そういうことだ。俺にはyouが必要なんだ。お前自身がどんなに無価値だって主張しようが、な。」
「はい!鬼柳くんが必要としてくれるなら、こんなに嬉しいことはないです!わたし、これからも頑張ります、頑張れます!」
「お、おう…//」
鬼柳の言葉を受けて、嬉しそうに「貴方の為に頑張ります」と宣言する姿が予想以上に愛しく思え、
その有り難い反応に自分も労いの言葉を掛けたかったが、動揺のあまり、何も紡ぎ出すことができなかった。
「あ、そろそろチェックインの時間ですね。ホテルへ向かいましょうか。」
「そうだな。」
そして、シティでは名の知れたビジネスホテルに到着した2人。
ビジネスホテルというものの、柔らかな照明のロビーには待合の豪華なソファや広めの受付カウンターが設けられており、
立派な観光ホテルに負けずとも劣らない作りに、思わず感嘆してしまった。
「確か、ニコちゃんが予約を取ってくれたんでしたっけ?」
「ああ、そのうち学舎の友達とシティ観光に行きたいらしくて、後学のために自分に任せてほしいって…。」
「そうだったの。」
「ああ。」
「じゃぁ、きっとこのホテルは間違いなく優良だって伝えられますね。」
「そうだな。」
ニコのホテル選択に感謝し、そのレビューを正しく伝えようとyouは辺りの色んな場所を眺める。
その間に鬼柳はチェックインを済ませてくると伝え、
フロントのチェックインカウンターへと向かった。
丁寧なホテルマンが「いらっしゃいませ」と恭しく一礼し、予約の名前を確認する。
代表者は鬼柳の名前で予約を取っているとニコから聞いていたので、自分の名前をホテルマンに伝えた。
「おまたせ致しました……鬼柳京介様ですね?」
「ああ。」
「本日より一泊で、お部屋は2名様一室のツインルームをお取りしております。」
「え、ちょ、ちょっと待ってくれ……今、一室って言ったか?」
「はい…ご予約は2名様一室で承っております。」
「ニーコーォオオ!!」
「?!」
今は不在の少女に向かって発した腹の底からの怒鳴り声にカウンター越しのホテルマンがビクリと肩を震わせた。
手違いと説明すべきか、いや、それよりもまずは取っている部屋をキャンセルして
新たに二部屋の空きを確認しなければと思いつき、まずはそれを尋ねることにする。
「す、すまない……何かの手違いで予約を間違ってしまったようだ。」
「さ、左様で御座いますか…。」
「ああ。それで…今取ってる部屋を取り消して、新たにシングルを二部屋に変えたいんだが…。」
「少々お待ちください…まずは空きを確認致しますので…。」
「頼む。」
すぐにその場で端末を扱い、ホテルマンが現在の空室を確認してくれたのだが、
結果は「申し訳ありません」からの断りだった。
元々ビジネスホテルのため、シングルの空きは今日も予約と当日依頼でいっぱいになってしまっているらしく、
現在取れているツインルームと同じような数名一室しか空きは無いとの結論だった。
「(ツインルーム並みの料金が二部屋分…となると金額的に厳しいな…。)」
今回の出張費用の一泊分は町の運営ということで経費で賄っているのだが、残りの二泊分は自費。
その上、金額が倍になると…と、鬼柳が唸っていると、
彼の戻りが遅いため、気になったyouがカウンターまでやってきた。
「鬼柳くん、何か問題でもあったんですか?」
「you……問題が起きた。」
「えぇ?!」
「実はかくかくしかじかで…。」
鬼柳がニコに予約を任せた結果、シングルを二部屋ではなく
ツインで一部屋を選択されていたことを説明した。
その話を聞き、てっきり彼女も自分と同じような反応をするかと思っていた鬼柳。
しかし、予想は大いに外れ、youは小首を傾げ「それがどうしました?」と切り返して来た。
「え?いや、だって……一部屋だぞ!?」
「はい。何か問題でも…?」
「いや、も、問題だろ!お、俺とお前が……一緒の部屋だぞ!?」
「はい。何か問題でも…?一緒に住んでいるのに…今更…???」
「い、いや違うだろ、そこは……家じゃ部屋は別だしよ…。」
「でも、二部屋取ってもらうなんて予算大幅オーバーで、それこそ問題です!」
「それは確かにそうなんだが…。」
金のことを言われると反論できなくなる、と鬼柳がグッと言葉を飲み込んだことで、
youがホテルマンに「予約通りでお願いします」と承諾の意を示してしまった。
結局それから、あれよあれよという間に荷物を部屋に運ばれ、
カードキーや部屋の仕様、館内の説明を完了され、鬼柳とyouは部屋に2人残される。
確かに、youの言うように今はニコやウェスト共にyouとも同じ屋根の下で暮らしている。
他人とは言え、家族のように言葉にするなら和気藹々と。
だがしかし、それはニコとウェストあっての団欒だったのだと、鬼柳はここにきて痛感した。
出発前のニコの喝もあって、今はyouをただの同居人だとか家族だとは思うことができないでいる。
勿論、言葉で彼女を戸惑わせたり、
心身共に傷付けたりすることは絶対にしたくないので、性欲だって我慢できる自信はある。
だが、そのどちらも100%という保障は何処にも無い。
「(俺……一応男なんですけど…。)」
荷物を整理し始めるyouをチラリと盗み見、鬼柳は少し頬を染めて大きな溜息を吐いた。
もしも、を考えて恐怖する。
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