you don't get it!(5D's:鬼柳)
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指先と言わず
両手を握ってしまったけれども
指先一本のふれあい
「ただいま戻りました。」
「ああ、おかえり。」
とある平日の昼過ぎ。
サティスファクションにある学舎のボランティアを終えて戻ってきたyouを鬼柳が出迎えた。
「ウェストたちはどうだった?うるさくて大変だったんじゃないか?」
「ニコちゃん達上級生が何人かいるから、全然大変じゃないですよ。」
「そうなのか、ならよかった。」
「あとは小さい子に本を読んであげたり、一緒に遊んだり。」
「へぇ、そりゃご苦労様。」
その言葉を発しながら、鬼柳はマグカップをyouに手渡す。
「ありがとうございます。」
「ちょうど俺もブレイクタイムに入ろうと思ってたんだ。」
「では、わたしもご一緒していいですか?」
「ああ、勿論。」
にこりと小さく笑みを浮かべ、鬼柳はダイニングテーブルに腰掛ける。
youもまた、同様にその向かい側に着席し、カップに口付けた。
「ふー…おいし。鬼柳くんも、お疲れ様。」
「んー…ほんとそれな。最近デスクワークばっかりで肩と腰が…。」
「ふふ…。」
「あぁー……外で思いっきりデュエルしてぇー…。」
「禁断症状ですね。」
「否定はしない。」
「そうですねぇ、わたしがデュエルできればいいんですが……如何せん無知なもので。」
「youがねェ……。」
「・・・。」
「そうだよ!!!そうすればよかったんだ!!youがデュエルできるようになればいいんだよ!!」
「あ、嫌な予感。」
軽い掛け合いのつもりで放った言葉が、思いがけず彼の心にヒットしたらしい。
それまで濁っていた…とまでは言わないものの、どこか気力の無かった瞳が
それはそれは眩いばかりの輝きに満ち溢れ始める…。
youがどう逃れようかと思案し始めたところで、
そうは問屋が卸さないとばかりに、鬼柳が身を乗り出して誘いかけてきた。
「デュエルしようぜyou!!やり方は俺が教えるから!!」
「い、いえ…!でも……デッキの組み方も分かりませんし、そもそもカードなんて持っていませんし!」
「よし、拾いに行こう。」
「か、買うのではなくて?!」
「・・・あ、そうか……シティでは買うのか……俺サテライト出身だからな…全部拾って揃えたわ。」
「凄いですね…!!」
「まぁ…その時のデッキは………。」
「デッキは?」
「・・・何でもねェ、失くしちまった。」
「・・・鬼柳くん…?」
突然に苦い顔で言葉を濁した鬼柳に対し、youが首を傾げると、
話題を摩り替えるようにぱっと表情を変化させた。
「まぁ、そのことは置いておいて……youにデュエル教えるっつーのは割とマジだぜ。」
「えぇ~!!」
「ちょっと待ってろ、余ってるカード全部持ってくるから!!」
「き、鬼柳くん……。」
嬉々とした表情でその場を離れる鬼柳。
十中八九、自室にカードを取りに行ったに違いない…。
少しだけ逃げたい…。
人知れずyouはそう思うのだった…。
・
・
・
・
「す、凄い枚数です…。」
「俺なんか少ない方だぜ、絶対……金無いし。デュエルやる奴は皆もっと持ってる。多分。」
「色んな色や絵柄があるんですねー…あ、これ綺麗。」
「色!!色ってお前……まずそこからかよ……先は長いな…。」
「え、す、すみません…。」
「TVで見た事はありますが…。自分がやらないもので…どうにも頭に入っていかず…。」
「スポーツ苦手でも野球とサッカー知ってるくらい、有名だと思うけどな…デュエルって。」
「うう……反論できない…。」
「ま、いいや、カードの話できるってだけでも俺は嬉しいし。」
ニッと歯を見せて笑う鬼柳の笑みが予想外に爽やかで、
思わず驚きで目を何度も瞬かせるyou。
今までyouにとって丁寧で、かつどこか距離感を感じていた鬼柳という人物像が良い意味で崩れた瞬間だった。
そんなことを思っているとは夢にも思わない鬼柳はそのまま継続した笑顔でyouに問い掛ける。
「youはどんなモンスターカードが好きだ?」
「えー…やっぱり可愛いのがいいですね、これとか。」
「そりゃ魔法カードだ。モンスターじゃねぇ。モンスターはここの色が茶系なんだ。黄土と土色の…。」
「あ、本当、これは緑ですね。」
「ではこれとか。」
「あー…youらしいチョイスだな。」
「鬼柳くんはどのようなカードがお好きですか?」
「んー…やっぱ効果重視かなぁ…いや、でもやっぱ攻撃力も大事だしなー…。」
「いえ、あの……イラストのことを言ったのです。」
「ああ、そっちか。」
「はい。」
「やっぱ「セイヴァー・スター・ドラゴン」かな。」
「ほうほう。それは鬼柳くんの主力モンスターのですか?」
「いや……。」
てっきり決闘者というものは自分のカードに愛着があるのだとばかり思っていたyou。
鬼柳の「違う」という答えに驚いている。
表情を見て、そう考えているのだと理解した鬼柳はその理由を軽く口にしてやることにした。
「俺のじゃないんだ……仲間の……いや、オレを救ってくれたモンスターなんだ。」
「鬼柳くんを……?」
「その姿は忘れようにも…って、まぁ、俺のことはいいんだよ。」
「・・・。」
先程の最初に持っていたデッキのことといい、
張り詰めた表情で無理矢理会話の内容を逸らそうとする、その反応は少しyouにとって不服なものであったが、
鬼柳自身が話したくなさそうにしているので、無理に聞くことはせず、話の流れに沿おうと決めた。
そう、いつか鬼柳自身が話してくれるまで、と。
「youのデッキはそうだな…やっぱ光属性とか天使族とかかなぁ~、そしたら好みの絵柄も多いだろうしな。」
「属性やタイプも分かれるんですね!」
「ああ、相性も考えて組まないといけない時もあるし、結構頭使うんだぜ?」
「む…頭ですか…。」
「大丈夫だよ、youなら。たぶん飲み込み早いと思うぜ?」
「だといいのですが……わたしでなんかで満足していただけるか不安です…。」
「あ…ああ…(え…今の台詞がとってもアレな感じに聞こえたのは俺だけか?俺が変態だからなのか?!)//」
「鬼柳くん?」
「なっ、だ?!」
「顔、赤いです。大丈夫ですか?」
「き、気にするな……ちょっとデュエルの話で熱くなっただけだ。」
「そうですか…?」
「ああ。」
「風邪とかでないのであればいいのですが…。」
「大丈夫だって。それより、デッキ…つーかカードのことだよ……どうしたらyouにDM(デュエルモンスターズ)を始めてもらえるかなー…。」
「うう…諦めてないんですね…。」
「当然だろ。俺の満足のためだがな……って、あ、そうだ。いいこと思いついたぞ。」
「いいこと?」
「ああ!この間まとめたデータだよ!住民データ!」
「それがどうかしたんですか?」
今のデュエルと何の関係が?と首を傾げるyou。
何やら余程良いことを考え付いたのだろう…。
鬼柳は向かい座っていたyouの両手を掴み、自分の両手で包み込むと、
驚いて自分の方を向いた彼女と視線を合わせてそのアイディアをぶつけた。
「you、データはシティに直接持って行った方がいいって言ってただろ?」
「え、ええ。できることなら。」
「それだよ!!」
「???」
「一緒にシティにデータを提出しに行こうぜ!その時にカードを揃えるんだ!」
「!」
「ウェストのことが少し心配ではあるが、ま、ニコがいるから大丈夫だろうし!」
「き、鬼柳く…!」
「会わせたい奴らもいるしな!」
「うっ……眩しい…。」
ぱぁぁっと明るい顔でシティ行きを促す鬼柳…。
あまりに嬉しそうなその姿にNOと言えるはずもなく…youは「分かりました」と頷く。
「っしゃー!いつ行こう、いつ行ける?先の予定どうなってる?」
「わ、ち、ちょっと待ってください…!」
「あー、楽しみになってきた!!」
ウキウキと楽しそうな鬼柳とは裏腹に、youは自室や鬼柳の仕事部屋をバタバタと走り回る…。
最終的には手帳を手にして戻り、先の予定でシティに行けそうな日程を割り出した。
「はぁ…はぁ……さ、再来週までは予定が埋まっています…。再来週に入れば今はまだ暫く何も予定は入っていないようなので…。」
「再来週な…よし、分かった!」
「鬼柳くん…本当に即実行なんですね。」
「まぁ、性格だからしょうがない。」
「そろそろ慣れてきましたけどね。」
「どういう意味だー?」
「えっと……あ、鬼柳くん、このカードって…。」
「お?どうした?ああ、このカードはな…。」
とまぁ、このような感じでさっと逃げ出すyou。
そしてその後もカードの種類からルールまで鬼柳京介のデュエル講座は続き、
遂にはニコとウェストが帰ってくるくらいの時間…即ち夕刻までずっと続いた。
「…じゃぁ、さっきの続きな、デッキを組んでいくんだ。1つのデッキの枚数も決まりがあってな…。」
「ふふ…。」
「な、何笑ってんだよ…。」
「ううん。鬼柳くんが楽しそうだから、何だかわたしも楽しくなってきちゃった。」
「・・・わ、悪いかよ…だって楽しいんだよ、デュエルの話は!//」
「うんうん、でもそろそろご飯の用意しなくちゃ。」
「えっ!マジで?!もうそんな時間だったのか……そりゃ悪かったな…つい…。」
「いいのいいの。わたし、今の鬼柳くんすごく好きです。」
「なっ?!//」
「本当にデュエルが好きなんですね。」
「・・・まぁな。」
「いいな、鬼柳くんの好きなもの…わたしも好きになりたい。」
「・・・you…//」
「また後で続き、教えてくれますか鬼柳先生!」
「お、おう!!」
youの嬉しい言葉に、思わず満面の笑みを浮かべて頷く鬼柳。
有言実行とは正にこのことで、結局その日、
ニコたちと夕飯を共に摂り、風呂から上がった後もyouは鬼柳に捕まってしまった。
リビングテーブルでの説明では腰が痛くなると、
仕舞には部屋に連れられ、ベッドの上で散りばめられたカードたちを使い、未だ説明の手を緩めない。
「で、俺のデッキはこのインフェルニティの特殊効果のある奴らがテーマになっててだな。」
「うん…ん…。」
「巷では「ハンドレスコンボ」なんて呼ばれて……you…?」
「うん、はぃ……。」
「・・・寝てるし。」
「はぃ、はぃ…。」
「おーい、you……。」
「・・・。」
「き…りゅ……。」
「・・・なぁ、you……ありがとな、デュエルの話沢山させてくれて。」
「・・・。」
「俺、絶対デュエルのこと好きにしてみせるから……覚悟しとけよ。」
「んん……きりゅ…ュェ……のこと、すき……なり、そう……で、す。」
「あぁぇ?!」
最後の最後にとんでもない呟きが飛び出し、
思わず動揺で奇妙な声が口を吐いて出てきてしまった。
「・・・意識…しちまうだろ…っ!//」
結果。
ボッと顔を赤くして、自分の肩にもたれて来たyouを盗み見る鬼柳だった…。
明日かいつか…伝えよう
貴方があんまり楽しそうに話すから
『デュエルのこと、好きになりそうです』
*。゜.*。゜.*。゜.*