you don't get it!(5D's:鬼柳)
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If I were to tell you I want you,
would you come to share my time?
You belong to me.
「you、いるか?」
「はい、どうしましたー?」
とある日の昼下がり。
鬼柳に呼ばれて、彼の執務部屋へ入ると、
彼はA4用紙1cmほどの厚みの紙束をyouへと手渡した。
「この記入用紙なんだが…。」
「ああ、各店舗運営者さんの…。」
「申し訳ないんだが、町の各店舗運営者に記入してもらうよう説明してきてもらってもいいか?」
「分かりました。」
「店舗数も増えてきたし、1日で全部配らなくていいから。あと、回収は後日な。まぁ、3、4日後くらいか。」
「ん、了解です。」
「ああ、あと…夜しか空いてねぇ店は俺が行くから。」
「はい。」
最後の鬼柳の気遣いに微笑み、youは資料を手にして説明へ出掛けた。
本来はyouと共に回ろうと思っていたのだが、
他にこなさなければならない仕事ができてしまい、已む無く彼女に任せることにした。
まぁ、彼女の方が物腰が柔らかで、説明も自分より上手なので、適任だと思った部分もある。
しかしながら、一口に「店」と言っても、健全なものから、クラッシュタウンだった頃の残り香が漂う不健全な店もいくつかあるわけで…。
そのため、トラブルを避けるためにも、そのような店には自分が赴く、と伝えたのだ。
のだが…。
「ふぁあ……やっと終わった…。」
大きな溜息を吐き出し、その疲れから思わずデスクに突っ伏して倒れ込む鬼柳。
もう当分の間デスクに噛り付いての仕事はやりたくない、と思う瞬間だった。
「つか今何時だ…?」
壁に掛けられた時計に目をやると、時刻はもうすぐ7時を迎えようとしており、
窓の外を見ると、日暮れ間近の時間になっている。
それはそうと、昼過ぎに出掛けていったyouはもう戻ってきたのだろうか?
確かに普段なら、もう夕飯の準備でキッチンに立っている頃なのだが、
その前に、出掛けた後に戻ったことを告げに来ないハズがない…その考えが先に立つ。
それはつまり、彼女がまだ戻ってきていないと判断する要素で…。
「おいおい、まさか……。」
ざわり、と…嫌な予感が鬼柳の胸を過る。
懸念していたまさかのトラブルに巻き込まれたのかもしれない…と。
いやいや、ただ最後の案内が長引いていたり、7時で切り上げて戻ろうとしているのかもと、
嫌な考えを振り払うように首をブンブンと横に振る。
ひとまず無理しているにしても、トラブルに巻き込まれているにしても、
迎えに行った方が得策だろうと思い、鬼柳はコートを羽織り、家を飛び出した。
取り急ぎ、そろそろ店を閉めようとクローズ作業を外で行っていた果物屋の店主に声を掛けてみることにした。
「ちょっといいか?」
「お、鬼柳サン!」
「youを見掛けなかったか?」
「youちゃんなら、さっき…っつても2時間くらい前にウチに来たよ。店舗運営の記入用紙の話で。」
「その後、見てないか?」
「いや…見てないけど……まだ帰ってないのかい?」
「ああ……夕方には戻るって予定のハズだったんだが…。」
「そういえば、今日の最後は西側の路地裏の食堂にしようとか何とか言ってたな……もしかしたらまだそこにいるかも。」
「分かった、行ってみる!サンキュー!!」
有力な情報に感謝し、目的の場所を目指す。
町の目抜き通りから外れた西側の路地裏に入り込み、
通り過ぎる小道や家々にも気を配りつつ、こじんまりした食堂のドアを開いた。
「店主、ちょっといいか?」
「お、町長さん、何にします?」
「あ、いや…飯食いに来たんじゃないんだ。youがここに来なかったかと思って…。」
「ああ、さっき記入用紙持ってきたよ。」
「何時くらいに帰った!?」
「んー、6時半前…くらいだったかな。多分。」
「っ……この後、帰るとか言ってたか!?」
「いや、予定より早く終わったから、最後にもう1件行くとか何とか…。」
「そっ、それどこか分かるか?!!」
「ああ、ちょうど6時半オープンだから酒場に行くって…。」
「っんの馬鹿!!」
そう零すや否や、店を飛び出した。
6時半に酒場に赴いたとしても、説明に三十分も要するわけがない。
十中八九youに何かあったのだと、焦りを全て顔に出したまま、鬼柳は走った。
・
・
・
・
「あ…あの……わたし、そろそろ戻らないと…ご飯の用意がありまして…。」
「飯ぐらいオレが奢ってあげるってー。」
「で、でも…家の者も心配すると思いますし…。」
「じゃぁ、今連絡しちゃいなよ、ご飯は外で食べてくるから遅くなっても心配しないでーって。」
「いやでも…。」
「ほら、座って座って~!youちゃんにカクテルのプレゼントするんだからー!」
「お、お酒は結構です!お仕事中なので。」
「真面目だね。そういうとこも可愛いなぁ……じゃぁ、ノンアルコールにしとくね。」
「で、ですから…!」
「だーめ、オレのおもてなし受けてくれなきゃ、この用紙も受け取らないよ~?」
「そっ、それは困ります…!」
6時半。
最後に、オープン直後の酒場へと赴いたyou。
以前、この場所で働いていたということもあり、店主であるマスターとならすぐに話も終わるだろうと思い、向かったのだが、
そこにいたのはマスターではなく、マスター代理のアルバイトのバーテンであった。
彼はyouが辞めてすぐに酒場で働きだした男で、
以前からマスターに、この町では珍しく真面目で働き者だったyouの話を聞いていたらしく、
入れ違いで去っていたyouとずっと会ってみたかったのだという。
そのためか、youに対して並々ならぬ思い入れを勝手に抱いていたらしい。
なので、運悪く(彼にとっては運良くだが)このタイミングで訪れてしまい、
用紙の記入が必要なのだと言う事情を逆手に取られ、彼から足止めを食らっている真っ最中…という状態だ。
「でしょ?マスターが今日はお休みだから、今日の店長はオレだし…ちゃんとマスターの手に渡ってほしかったら……分かるよね?」
「・・・ぅ。」
「あー、超かわいいー!やっぱり女の子はこうじゃないとね。この町はどうも品の無い女が多くてさ。」
「飲めば……マスターに用紙をお渡ししていただけますか?」
「・・・うん、勿論!」
多少の沈黙があったものの、男は素直ににっこり笑ってyouの言葉を肯定してくれた。
また後日マスターを訪ねても、鬼柳に訪問を任せてもよかったのだが、
ここまで時間を費やしたのだから、タダですごすご帰宅するのも悔しかったらしい。
youは諦めたような大きな溜息を吐いて、カウンターに着席した。
「じゃぁ、ちょっと待っててね!腕によりをかけて…ってそれは料理か!兎に角youちゃんのために心を込めて作るから!」
「ありがとうございます。」
自分のために頑張ると言ってくれることは素直に嬉しいと思ったyou。
これほど強引でなければ、好感を抱ける人間なのかもしれない…。
そう思ったのが失敗だった…。
それを確信するまでの時間は刻々と迫っていたのだが、youは知るはずもなく…。
綺麗な色のカクテルを丁寧に差し出され、一気に飲むことを勧められる。
「一気に飲み干しちゃってよ、時間無いんでしょ?そういう風に飲んだ方が美味しい作りにしたから。」
「ではそうさせていただきます。」
「わー、かっこいー!」
ぐい、と、小さなカクテルグラスを傾け、中身を一気に飲み干す。
ぱちぱちと軽い拍手を送る目の前の男を少しだけ不快に思いながら。
時計を見れば時刻はもう7時になっており、
もう三十分も足止めを食らっていたのかと、驚きを通り越してこの男の粘り強さに呆れてしまった。
だが、これで帰れる。
家まで走れば十分も掛からないだろうし、少し遅れてしまったが夕飯作りも問題ないだろう。
ホッと息を吐き、youは目の前の男に用紙を手渡す。
「では、こちらを明日、マスターにお渡し願います。」
「はーい。」
「カクテルありがとうございました。美味しかったです。」
「うん、だってyouちゃん仕様の特別製だからね!」
「え?あ…はい…どうも。では、わたしはこれで…。」
ペコリと綺麗に一礼し、席を立つyou。
それに合わせて、カウンター側にいた男も「見送るから」とフロアに出てきた。
「ねぇ。」
多数あるテーブル席の間を歩く途中で、男が急に問いかける。
「?」
「あの死神と暮らしてるって本当?」
「誰ですか?」
「鬼柳だよ、鬼柳京介。」
「…そうですけど。」
「何で…あの男の何処がいいの?全然分かんないんだけど…。」
「わたしは不満はありませんし…寧ろ現状に満足していますよ。」
「騙されてんじゃない?町の救世主だか何だか知らないけど……死にぞこないの死神野郎だろ?!」
「鬼柳くんに変なあだ名を付けないでください…彼、傷付きます。」
「あんな男何で庇うんだよ…youちゃんみたいな子が!!」
「鬼柳くんはとても優しい人です。町の人たちのことを大事に思って、町のために頑張ってます!なのに、何故彼が悪く言われなければいけないんです?」
「知らないかもしれないが、あの死神の所為で町の人間が何人も炭鉱送りになって死んだんだぜ?それでも悪くないって言うのか?!!」
「全て知っています。でもそれは、鬼柳くんだけが悪いわけではないでしょう?それに、それが間違っていると気付いたからこそ、彼は町の為に立ち上がったんじゃないですか?」
「・・ッ!!」
「人の悪いところというのは良いところより沢山見えてしまうものですよね…でも、鬼柳くんは自分自身の悪いところをしっかり顧みて生きています。過去は変えられませんが、未来を変えようと頑張っています。そんな彼をどうして貶せるのか分かりません。」
鬼柳への悪言を不快に思っているだろうに、youが凛とした態度で諌めることが余計に癪に触ったらしい…。
男は俯き、ククク…と肩を揺らした。
その光景がとても不気味で、出来る限り早くその場を去らなければと…。
youの脳内で警鐘が響く。
「っ…とに、綺麗だよね……youちゃんって……やっぱり……好きだなぁ…。」
「?!」
「ほしいなぁ……オレのものにしたいなぁ。」
「何…っひゃ!?!」
「あんな死神野郎には……勿体ないよ。」
ドン!と、男に正面から両手で付き飛ばされ、youは床に倒れ込んだ。
すぐに上体だけ起き上がり、打ちつけたお尻を「痛てて…」と擦っていると、第二の衝撃がyouを襲う。
「っ…な!?」
「そろそろ……だと思うんだけど…どう?」
「何…が……っつ?!?」
「お?」
「??!?」
起き上がらせた半身に再度衝撃を受け、仰向けに倒れたyou。
思わず目を瞑ってしまい、一瞬何が起こったのか分からなかったが、
目を開けると天井をバックに男の顔があったことで、押し倒されたということに気付いた。
これは非常にマズい状況だと即座に思ったが、
運の悪いことに、オープンしたばかりの酒場には客もおらず、誰にも助けを乞うことができない。
しかし、それよりも、段々と変化していく体調の方を不安に感じている自分がいた。
倒された事で三半規管でもおかしくなったのか、
身体がよく分からない突然の倦怠感に襲われているのだ。
抵抗するために腕を振り上げたり、足をバタつかせることも億劫というか…。
兎に角、思うように動かない。
しかも、意識が次第にぼんやり霞んできて、発熱しているように感じる。
「帰らなきゃ…。」
「帰さないよ?ていうか帰れないでしょ、もう。暴れない様子から察するに。」
「な、に・・・?」
「半信半疑だったけど…本物だったみたいだ。」
「???」
「ん?ああ、さっきのカクテルにちょっと、ね。」
「!!!」
「変な薬じゃないから安心して。ただの媚薬だから。即効性のある、ね。」
十分変な薬じゃないか!と心の中で盛大にツッコミを入れたが、
口に出すまでの意識がちゃんと纏まってくれない。
その無抵抗と無反論を見て、媚薬の効き目が十分に発揮されたと確信した男は無遠慮にyouに跨り、頬に手を伸ばしてきた。
「ぅぁ…//」
「可愛いね……you。」
触れられただけで全身に軽い電流が流されたような感覚が伝う。
鬼柳以外の男に触れられる恐怖心と嫌悪感から、一気に涙が溢れ出した。
しかし、それすらも男にとってはそそる要素にしかならなかったようで、
恍惚とした表情でyouのシャツに手を掛け、口付けようと顔を近付けてくる…。
避けたいが全身に力が入らず、逃げられない。
動かせない身体の代わりに、出来る限りの声を振り絞り、youは叫んだ。
「…きっ……鬼柳く……助けて……っ!!//」
「はは、来るわけないでしょ。」
「い…やっ!!」
これ以上はもう声も出せない、と諦め掛けた刹那。
バン!と店の入り口が開いた。
全力でこの場所へ走ってきたためか、はぁはぁと肩で息をしながらも鬼柳が一歩、店内へと足を踏み入れる…。
そして、視界に入ってきた光景に言葉を失った。
誰も客のいない店内
泣いているyou
そこに馬乗りになっている男
軽いパニックを起こすまでもなく、鬼柳はツカツカと店内を闊歩し、無言で男の身体を引き上げて放り投げた。
ガシャンガシャン!と大きな音を立ててテーブルや椅子が倒れ、
投げ飛ばされた男が「痛ぇえええ!」と叫ぶ…。
倒れた椅子達に寄り掛かって蹲る男に鬼柳が「おい」と呼び掛けるが、男は無言でピクリとも動かない。
否、動けなかったのだろう、あまりにも低く、絶対零度の鬼柳の声色に恐怖して…。
「おい、お前……今、何してた?」
「・・・っ…。」
「youに何してたって聞いてんだよ、あ?」
「それ…は…。」
「3秒以内に答えろ。さもなきゃ決闘するまでもなく再起不能にする。3、2…」
「ひっ!お、オレはyouちゃんが好きで…好き、だったから!!」
「・・・。」
「あ、アンタみたいな死神に渡したくなくて、それで……!!」
「それで無理矢理襲おうとしたって?どんな下種野郎だよ!!俺に文句があるなら、俺に直接言えばいいだろうが!!テメェの勝手な主張にyouを巻き込むんじゃねェ!!」
「すみませ…!!」
「俺にじゃねェだろ!つか、もう会わせねェけど。セキュリティに通報してマーカー付けられたくなきゃ、今すぐこの町を出てけ!!」
「すみませんでしたぁああああ!!!!」
ガタガタガタと音を立て、その場から立ち上がると、男は半分腰が抜けた状態で何とか鬼柳をすり抜け、店を飛び出していった。
その様子から察するにセキュリティやマーカー云々ではなく、
鬼柳を恐れてこの町には恐らく二度と戻らないだろうことが察せられた。
次へ
*。゜.*。゜.*。゜.*
男がいなくなったことで、鬼柳の殺気はようやく離散したが、
その所為か、憑き物が落ちたかのように一瞬ボーっと呆けていた。
そして、改めて我に返った鬼柳はハッとしてyouに駆け寄る。
「you!!!」
「はぁ…き…りゅ…//」
「you、大丈夫か?!しっかりしろ!!」
「んぁっ…!//」
「?!?!//」
仰向けに倒れたままのyouが起き上がってきなかったことを心配し、
腕を回して抱き上げたのだが、その時彼女から発された妙に色香の漂う声に思わず鬼柳の目が見開いた。
「えっと……怪我は?//」
「なぃ…です…//」
「そうか、よかった……ら………乱暴されてないか?」
「はい……その時に…ん、はぁ……きりゅうくんが……きて、くれたから…//」
「間一髪だったんだな……探しにきてよかった…本当に…。」
「はぁ…ありがと……ございます…//」
「えっと……立てる…感じじゃなさそうだな……you、どうしたんだお前…。」
「それ…は…//」
「何かさっきから……ね、熱でもあんのか?//」
「っ・・・//」
「と、とりあえず家に帰るか……このままでいいか?それとも背負うか?」
「ん……鬼柳くんの腕の中が…いい…//」
「わ……わかった…//」
普段なら、思わず可愛くて抱き締めたくなるいつものyouの甘い言葉だが、
今日のそれには何とも蠱惑的な印象が含まれているように感じてしまう。
腕の中で荒く息を繰り返し、熱っぽく潤んだ瞳で自分を見上げてくるyouはやはりいつもと様子がおかしい。
何があったのかよく分からないが、ひとまずyouを早く休ませた方が良いだろうと思ったし、
何より、このまま腕に抱いたままでいるのは自分の理性が持たないと感じたからだった。
家に帰り、youを部屋のベッドに寝かせると、
ひとまず喉が渇いたというyouの頼みを聞き、キッチンから水を持ってくる。
ボトルに入った水をyouに手渡し、鬼柳はベッドの端に腰掛て何があったのかと問うた。
youは弱々しい声で、今までの経緯を話して聞かせた。
酒場のマスターならすぐに話が終わると思い、記入用紙を持って行ったが、マスターは休みで、あの男しかいなかったこと。
youが辞めたのと入れ替わりで入った男で、マスターがyouのことをよく話していたので、会っていないのに想い入れていたこと。
その所為で記入用紙を出汁にされ、足止めされ、媚薬入りのカクテルを飲まされたこと。
「あんの下種野郎…ッツ!!」
「はぁ…いえ、わたし……は……平気、ですから。」
「すまない……俺がお前に任せた所為で…。」
「いえ、わたし…が……ちゃんと……夜の分は鬼柳くんにお任せしておけば…。」
「…正直、肝が冷えた…お前が無事でよかったよ、you。」
「すみません、でした…。」
「じゃぁ、苦しいかもしれねェけど……一晩寝ればきっと治まる。だから、もう寝てろ。」
「ぁん…!//」
「わ……悪ィ…//」
発熱を確認するために額に手を伸ばしたのだが、
それさえも今の彼女には性感帯に触れる行為になってしまったらしい…。
甘い叫び声に胸を跳ねさせ、また申し訳ない気持ちになる鬼柳だった。
少し自己嫌悪して俯く彼に、youは依頼したいことがあり、コートの袖をくい、と弱々しく引いた。
「?」
「鬼柳くん……お…お水を…。」
「ああ、はい。」
「飲ませて……くれませんか……?//」
「・・・はい?」
「・・・///」
「えっと…。」
「や…やっぱりいいです……一人で飲めます。」
「あ、いや……やるよ……つか…いいの?」
コクン、と言葉無く小さく頷くyou。
動揺はしたものの、この有難い申し出を断る理由もなく。
サイドテーブルに置いたボトルの水を少し口に含み、鬼柳はゆっくりと顔を近づける…。
「んっ……。」
「ふ……ぁ……はぁ…んっ…//」
少しずつ口移しで水を飲ませてみる。
そんなに量も無かったため、特に零すこともなく作業自体は完了したのだが、それだけで終われるハズもなく…。
結局鬼柳はyouの熱い口内を蹂躙し、youもまた鬼柳の頭を引き寄せるように腕を回してしがみ付く。
深い口付けを何度も交わし、唇が離れる頃には銀糸が互いを繋がれていた。
荒い呼吸を繰り返し、熱に浮かされた表情で自分を見上げるyouに、
思わず鬼柳は自分の雄が反応するのを感じ、思わず名を呼び、抱きすくめる。
「you……。」
「鬼柳く…ん…//」
「ダメかも、流石に限界かも……//」
「わたしもダメです…限界……も、苦しい、です…//」
「え?」
「身体が……火照って…苦しくて…//」
「おいおい、大丈夫か…?」
「鬼柳くん…助けて…。」
「いやでも……。」
「もっと、キスして…たくさん……鬼柳くんにしてほしい…の//」
「嗚呼…さよなら理性。こんにちは本能…。」
「ダメだよね……こんなの……はぁ……ん、嫌われちゃう…//」
「いや寧ろ愛したいですが。」
「ほ、んと…?」
「ああ。」
「じゃぁ……あいして?」
「っ……じゃぁ、全力で。」
着ていたコートだけを脱ぎ去り、気だるげな動きでyouの上に跨ると、鬼柳は体勢を低くして顔を近づける。
軽く頬に口付けて、顔を見合わせる。
いつもはどんな時でも「愛しい」という感情が先に立つが、
今回ばかりはただただ欲のままに、本能のままに「抱きたい」という感情が全てを支配するようだった。
だがそれはどうやら鬼柳だけではないようで…。
恍惚とした表情でyouは鬼柳に願う。
「鬼柳くん……あれ言ってくださいよ。」
「あれ?」
「うん、いつもの。今聞くと多分…//」
「ああ……you、俺のこと満足させてくれよ?」
「ん……溶けちゃう気がする。」
いやもう色々溶けているんじゃないですか?と、鬼柳は思う。
ただ、普段なら、そんな意地悪なことを言ってしまっていいものかと悩むところを、
今日に限っては抑えられそうにないワケで。
魔法の時間が解けるまでは、彼女を羞恥に追い込む言葉が口を突いて出てくるのは仕方ないだろうと、
諦めたように自分を庇うことにする鬼柳。
「もう溶けてるだろ、色んなとこ。」
そう言って、自分の予想通りに羞恥心で泣きそうな表情を浮かべる恋人に覆いかぶさった。
そう君は僕のモノ
you
(ぅ…ん…。)
鬼柳
(お、気が付いたか?)
you
(きりゅうくん……。)
鬼柳
(身体、大丈夫か…?ほら、あの変な熱とか…。)
you
(いえ…もう残ってないようですが…。)
鬼柳
(そっか、よかった…。)
you
(ですが、全身が痛いのですが…。)
鬼柳
(それは………仕方ないだろ。)
you
(・・・。)
鬼柳
(だってしょうがないだろ!あんな……あんなエロいyouを前にして自重しろって方が酷じゃん!)
you
(えろっ……そ、そんなのわたしじゃないです!!//)
鬼柳
(いやいつものyouも可愛いんだ。だけどな…あの羞恥しながらも欲を隠せない…)
you
(もういいですーー!!//)
鬼柳
(いかん、思い出すとまた……他のことを考えよう…そうだな…あ!)
you
(な、なんですか?)
鬼柳
(昨日はさ、俺のこと名前で呼んでくれたよな!)
you
(えっ、あ……そうでしたか…?)
鬼柳
(覚えてねぇのか……すげー嬉しかったんだけど。)
you
(す、すみません…。)
鬼柳
(最後の時にさ、名前で呼んでくれっつたら、それもまた恥ずかしそうに京介くんって………う。)
you
(う?)
鬼柳
(どっちにしても色々思い出したらヤバいヤツだった…。)
you
(え、ちょ…あの…。)
鬼柳
(you……………マジでごめん。)
you
(うそでしょ…っきゃあああ!!///)
If I were to tell you I want you,
would you come to share my time?
もしも僕が君に「君がほしい」と言えば
君は僕の時を共に過ごしてくれるかい?
*。゜.*。゜.*。゜.*