you don't get it!(5D's:鬼柳)
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あなたは わたしを
どう思っていますか?
これが最後の選択肢
「き、鬼柳くん?何処へ行くんですか??」
「いいから、とりあえず付いてきてくれ。」
と、ホテルの部屋にやって来るや否や、鬼柳に手を引かれてホテルの外へ連れ出されたyou。
どこかの店にでも行くのかと思っていた彼女の考えはあらゆる方面から否定される事となる。
というのも、鬼柳が立ち止まった場所、youに手渡してきた物が凡そ「歩く」という単語とは無縁だったからだ。
「これ…は…ヘルメット…でしょうか?」
「ああ。」
「ど、どうするんですか?!ていうか、え??」
「どうするって…被るんだよ、頭に。」
「そういう意味ではなくてっ……て、鬼柳くん?!」
youが渡されたヘルメットを見ながらわたわたしている間に、
目の前にいたはずの鬼柳は目の前の大きなDホイールに跨っていた。
それは誰のDホイールなのか、とか、ライセンスは持っているのか、など…。
聞きたいことばかり浮かんできたが、有無を言わさず鬼柳に「いいから乗れ」と押し切られてしまった。
恐る恐る鬼柳の後ろに着席すると、鬼柳が身を捩りながら振り返り「しっかりつかまってろよ!」と、忠告をする。
決闘とは無縁の生活を送ってきたyouにとって、Dホイールに乗る機会など皆無だったため、
その恐怖心もあり、思い切り鬼柳の細い腰にしがみ付いた。
すぐにエンジンが掛かり、大きな音を立ててDホイールが走り出す…。
「~~~!!!」
「おーい、大丈夫かー、youーーー?」
「速いです!は、速過ぎですーーーっ!!」
「でもこれ制限速度内ーーー!!」
「ーーーー!!!」
「聞こえねーー!」
公道を疾走しながら大きな声で会話をする2人。
あまりキャッチボールになっていないのは致し方ないのだろう。
それから十数分程Dホイールを走らせ、着いた先は海であった。
人気の無い海岸沿いにDホイールを停車させ、浜辺に出る鬼柳とyou。
「あー、やっぱ気持ちいいわー…けど、ライディングデュエルしたくなるな…。」
「あ、あの…き…鬼柳くん……色々とし、質問が溜まってきたのですが…ここらで解消していってもよろしいですか…っ?!」
「ああ、そうだな。まず、何だ……Dホイールか?」
「そうですよ!あのDホイールはどうしたんですか?!ていうか鬼柳くんライセンス持ってたんですくぁ?!」
「おいおい落ち着け…!とりあえず、あのDホイールは俺のだ…正確には「俺のものになった」ものだ。」
「鬼柳くんの…なんです、か?」
「ああ……で、ライスンスは持ってる。ていうか今日、手に入れた。」
「はぁ?!」
youの怒気を含んだ疑問に、鬼柳は苦笑しながら謝罪する…。
「す、すまない…何から話せばいいか……ほら、ちょっと前に言っただろ「確定じゃないから伝え辛いけど、全部終わったら話す」って。」
「確かに言っていましたけど…。」
「それはライセンス取得の事だったんだ。」
「え?!」
「実技、卒業試験デュエルは全然余裕だけど……筆記がな、どうも自信なかったから落ちたら虚しいし、言い辛くて。」
「は、ぁ…。」
「あっ、でも町にいる時から通信講座でやってたから、見事クリアできたぜ!で、目出度くライセンス取得できました!ってこと。」
「じゃぁ…シティ滞在中はライセンスを取るために出掛けてたんです、か…。」
「ああ……一人にして悪かった。」
「い、いえ…それは……そんな大事なことなら言ってくれればよかったのに…。」
「だから言ったろ、照れ臭かったんだよ…。」
ぽりぽりと頬を掻き「ま、結果オーライだけど」と呟く鬼柳。
では、一体このDホイールはどこから入手してきたのか、とyouが次の問いを投げ掛ける。
「あのDホイールは遊星たちが作ってくれてた。特に遊星とブルーノが頑張ってくれたらしい。」
「えええ?!」
「だいぶ前だけど、ライセンスを取りにシティに行くってことを伝えてたんだが、その時から着工してたらしい…。」
「す…すごい…。」
「ああ、すげーよな。町の復興に役立ててほしいし、気軽に遊星達のところを訪ねられるように、だってよ。」
「確かに…Dホイールがあればシティへの出張がかなり楽になりますね……遊星さんたちにもすぐ会いに行けますし…でも…。」
「ん…?」
「Dホイールって高価…じゃないですか…。」
「それは俺も何度も言った。対価を払うし、何かさせてくれって。タダでもらうわけにはいかないからな…。」
「それで…遊星さんたちは何と?」
「・・・・。」
youの質問に対し、鬼柳は暫し沈黙した。
その理由がまったく分からないyouは待っている間に首を斜めに傾げたが、
それを見ず、溜息のような軽い息を吐き、鬼柳が明後日の方向…いや、路肩に停めたDホイールを見ながら呟いた。
「その前にちょっと。」
「?」
「you…お前、遊星達に俺の話、全部聞いたか?」
「・・・はい。」
「そっか……じゃぁ、俺がダークシグナーだった時の話も聞いたよな?」
「・・・は、い。」
「・・・。」
それはまるで、自分で自分を皮肉るような乾いた笑いだった。
ハッ、と零して、鬼柳は細い目でyouを見た。
「あのDホイールな、すっげー似せて作ってあんだよ……。」
「似せて…作ってある?」
「遊星と…ダークシグナーとして戦った時のDホイールに。」
「!!」
「ギガントLっつーんだけど……って、名前はいいか。兎に角、似てる。」
「どうして…。」
「おー、俺もマジでビビったよ……絶句した。何でこんな嫌がらせすんだろうって。」
「・・・。」
「そしたら、本当に嫌がらせだった。」
「?!」
「ってのは冗談で…・・・過去の戒めと、未来で同じ轍を踏まないために…だってよ。」
「遊星さん…。」
「軽く言ってくれるよな……こっちは大分大きなトラウマなのに。」
「・・・。」
「まぁ、それも仕方なくて、全部自分の所為だって理解してるけどな。」
「鬼柳くん…。」
「命を奪い取った分だけ、命を育むために使えば、色んなことが変わるはずだからって、さ。」
「っ…!!」
「それもそうだなって……思った。」
それはとても遊星らしい、厳しくも暖かい理由だと思った。
知り合って数日のyouがそう思うのだ…。
そう言われた時の鬼柳の反応が手に取るように分かった。
そこでyouは、ふと思うことがある。
確かに、遊星たちに聞いた話だと敵対していたダークシグナー達の統率者を倒したことによって、
鬼柳が奪ってしまった魂も、鬼柳自身の魂も解放されて蘇ったと言っていた。
だが、例え自分の罪が帳消しになったとしても、
心の傷と自身への行為への嫌悪や罪悪感が拭いとれてはいないはず…。
だからこそ、彼は時折辛そうな顔を見せるので…。
では、本当に遊星が指摘したことだけで全てを受け入れることにしたのだろうか…?
そんな、youの中にふわりと浮かんだ疑問はすぐに鬼柳が解消してくれた。
「どうしても乗るのが辛いなら、すぐに廃棄するって言われて…。」
「そんな…!」
「でも同時に言われた。youが傍にいるなら逃げずに過去に向き合って、このDホイールにも乗れるはずだろう?って。」
「わたし…が?」
「それも、納得した。」
「えっと…。」
「もしも俺が逃げたり、間違えそうになったら…youは叱ってくれるだろ?」
「も…もちろんです!!」
つまり、罪に向き合おうと思えたのも、希望に変えていける気がしたのも…。
全ては「君在りき」なんだ、と鬼柳は笑った。
「…それで、受け取らせてもらうって言って、対価は「ちょくちょく顔を見せに来る事ていい」って言われた。」
「ふふ、愛されていますね、鬼柳くん。」
「まぁなー…何て言っても俺、アイツらのリーダーだったから。」
「そうですねぇ。」
鬼柳のわざとらしく、でも可愛らしい冗談めいた笑いに、youが微笑み返すと、
一時の沈黙ののち、彼は静かに口を開いた。
「でも。」
「ん?」
「俺はyouに愛されたい。」
「!?」
何の気なしに夜の海を眺めていたyouが驚いて振り返ると、
真っ直ぐに自分を見つめてくる金色の瞳と視線がかち合う。
瞬間、動けなくなってしまったyou。
一歩、また一歩と距離を縮め、腕を伸ばせば抱き寄せられる程の距離にきたところで鬼柳が言葉を足していく。
「確かに、俺は救いようのないくらい馬鹿なことをして…償いきれないくらいの罪を犯した。」
「・・・。」
「多分…俺一人じゃ抱えきれないと思う……けど、町の皆やニコやウェスト……そして、you…。」
「・・・。」
「お前がいてくれるなら、遊星の言うように、過去の過ちを逃げずに受け止めて、希望に変えていけるんじゃないかって思った。」
「鬼柳くん…。」
「それが、少しずつ許されていく糸口になる気がするんだ。」
「きっと、そうです。」
「まぁ…まずは俺の手の届く範囲で…だけどな。」
「十分ですよ!」
鬼柳の前向きな言葉に共感し、鼻息荒く胸の前で両手をグッと握るyou。
すると、鬼柳はその手に自分の両手を重ねて掬い取った。
「…だとしたら…俺は…この手で一番最初にyouを、幸せにしたい。」
その言葉に目を丸くし、youは何度も何度も瞬きを繰り返す。
「家族…なんだと思ってた。」
「・・・。」
「でも、違ってたみたいだ。自分だけじゃ気付けなかった……遊星達と話して、ようやく気付いた。」
「(ああ、なんだ……いっしょ、だったんだ。)」
「ずっと傍にいたいと思うのは、家族以上にyouを……好きだからだ。」
「(うん…。)」
「全部、遊星達に聞いたと思う。俺がどんな人間なのか…。」
「はい…。」
「…俺は、罪人で、死人で、甦っても死神とか呼ばれて…そんな奴が…って感じなんだけどよ。」
「そう…サティスファクションのリーダーで、町の救世主で、町長さんが…ですね。」
「・・・えっと…。」
鬼柳の自嘲気味のネガティブな発言に、少し被せ気味に…
しかも僅かに怒気を含んだ声色でyouはポジティブな表現を飛ばしてきた。
「いやなこととか、辛かったり、悲しい部分だけでも、良かったり、綺麗な部分だけより抜きしても意味ないですよ。」
「・・・。」
「全部が自分じゃないですか。」
「!」
「わたしが好きになったのは今の鬼柳くんですから。」
「ぇ…。」
「でも、遊星さん達に『鬼柳京介』という人間の良いところも悪いところも教えてもらった今、より一層鬼柳くんが愛しいです。」
「you…。」
「鬼柳くん。」
「ん?」
「わたし、鬼柳くんにお願いしたいことがあります。」
「何だ?」
「誰より傍で、一番に鬼柳くんと笑い合える存在になりたい。鬼柳くんを心配する存在になりたいです。泣いたり喜んだりしたい、喧嘩…はあまりしたくありませんが…。」
「you…!」
「好きです、鬼柳くん……わたしでよければ、お付き合いしてください。」
「お付き合いっておま……っ……かわぃ……ッ//」
「な、何か変なこと言いましたか?」
「いや……ああ、もう……早速幸せ過ぎる。」
「わっ!」
腕を伸ばしてyouの身体を引き寄せる。
夜の海風がなかなかに冷たかったのだと、鬼柳に抱き締められてyouは思う。
いや、というよりも、ただこの腕の中が暖かいだけなのかもしれない。
2人、ここ数日の泣きたくなるくらい悩んだ時間が嘘のように融解していくようだった。
「改めて……家族だけど、恋人としても…よろしくな、you。」
「はい、こちらこそ。」
抱き締めていた身体を離し、鬼柳がyouに手を差し出すと、youはそれを笑顔で握り返す。
そのまま、手を繋いで浜辺を暫く歩いて、夜の散歩を楽しんだ。
そして・・・。
「ホテルってDホイール駐車するトコあるのか?」
「地下に駐車場があるそうですよ……って、鬼柳くん、ホテルに泊まるのですか?」
「………じゃぁ、遊星んトコ泊まろーっと。」
「!!」
くるりと踵を返してDホイールを駐車した公道へと続く階段を上がって行こうとする鬼柳。
そんな彼のコートの袖をくい、と摘み、youは真っ赤な顔で小さな抗議の声を上げる…。
「い…いかないでください…//」
「っ……!//」
「・・・//」
「行かねぇよ…ばか……つか、行けるか。」
「え?」
「一人にさせる理由がねぇ。」
「鬼柳く…。」
「お前に傍にいてほしいしな。」
「はい!」
初日の夜、遊星達に3日間泊めてくれと頼み込んだが、
今日は泊まらないと電話は入れた方がいいだろうか?
などと歩きながら一瞬、考えた鬼柳だったが、
言わずとも察してくれるだろうと一人脳内で自己完結する。
「仲間、だしな。」
「え?」
「ん、何でもねぇ。」
くしゃりと、youの髪を撫でてから、ホテルに帰るべくヘルメットを手渡した。
君が好き。その一択だった。
*。゜.*。゜.*。゜.*