you don't get it!(5D's:鬼柳)
name setting
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
好きだとか
そうでないとか
そんなことより
どうか見捨てないで
先延ばしにしてきた報い
シティ滞在2日目の朝、鬼柳がyouをホテルまで迎えに来た。
「おはようございます、鬼柳くん…。」
「ああ…。」
「あの、昨日は……。」
「昨日は、よく眠れたか?」
「え?えっと……実はあんまり……ちょっと、考えごとをしてて…。」
「…大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ……鬼柳くんこそ、友達トークに花が咲いて夜更かし、してないですか?」
「俺は…いや、まぁ…ちょっとだけ、な。」
頬をぽりぽりと掻いて、明後日の方向を向く鬼柳。
軽く笑みを浮かべた後、youは一度深く息を吸い、鬼柳に呼びかけた。
「鬼柳くん。」
「ん?」
「…わたし、鬼柳くんにお伝えしたいことが…。」
「何だ?」
「でも、その前に……鬼柳くんに、聞きたいことがあるんです。」
「何だよ改まって…。」
「はい、改まって…です。」
「・・・。」
御互い、何処と無くトーンの低い状態で会話をしていたのだが、
やはりそれは間違いではなかったと、youの目を見て鬼柳は確信した。
逸らさず、表情を変えず、顔を見合わせ、
鬼柳は一度小さくハァ…と溜息を吐いて、その後にコクリと頷く。
「…分かった。で、何なんだ…俺に聞きたいことっていうのは…。」
「はい……それは……鬼柳くんの昔の話、です…。」
「!!!」
鬼柳の…今までの精神の静寂が嘘のように乱れる。
大きく一度ドクンと心臓が跳ねた後、
バクバクと不整脈が起こる感覚に捕らわれる。
実際にそうなのかも分からない状態で、声を振り絞った…。
「なんっ……で、そんなこと…。」
「決して…興味本位でお尋ねしているわけではないんです。」
「そうだろうな……お前はそんなヤツじゃない。」
「でも、どうしても……聞きたいんです。」
「・・・。」
「聞かせて…いただけませんか?」
「・・・。」
「鬼柳くん…。」
「・・・少し…考えさせてくれ…。」
「…はい、わかりました。」
「今日も…出掛けないといけないんだ。遊星達のところに連れて行くから、戻ってきて……答えを聞かせる。」
「・・・待ってます。」
それから、遊星達の元へ送り届けられたyou。
もやもやと色んなことを考え、本当は憂鬱で全てのことが上の空になるところだったが、
そんな状態で遊星達と過ごすのはとても失礼だと思っていたし、
何より、そんなことを思い出させないくらいに彼等との時間が楽しいものであったため、
鬼柳が戻るまでの間、兎に角鬼柳に関しての事柄には無心で過ごすことができた。
そして・・・。
昨日と同じくらいの時間に鬼柳が遊星達のガレージに戻ってくると、すぐにyouを外へと連れ出した。
日がちょうど沈み、外灯に照らされた噴水広場のベンチに腰掛けて、暫しの間沈黙が流れた。
「・・・。」
「・・・。」
「you。」
「…はい。」
「今日…一日考えたんだけどよ…。」
「・・・。」
「俺の昔の話って言ったよな、あれ。全部……お前には伝えなきゃダメだって…思った。」
「鬼柳くん…!」
「でもな……ダメなんだ。」
「!!」
「俺の口から話すことは、できない。」
「どう…して!?」
鬼柳の矛盾した答えに考えを馳せつつも、拒否された単語だけが先立って動揺するyou。
そんな彼女を宥めるように、安堵させるように無言で笑みを向けた。
「っ・・・?!」
「あのな、俺の過去の話は…多分…いや、絶対に俺がしちゃいけないんだ。」
「どういう…意味ですか?」
「間違いなく、youには失望される。嫌われる。最悪、俺の元から去ると思う。それくらい……酷い話なんだわ。」
「そんなこと!」
「シッ、とりあえず俺の話を聞け?」
「う…はい。」
「で、その話を俺がしてしまうと……俺は絶対、知らないうちに俺自身を庇っちまうと思う。」
「そんなの……人間なら仕方ないですよ…誰だって自分が可愛いですから。」
「うん、けど……それじゃあ俺の中でyouに全て伝えたことにはならないんだ。」
「鬼柳くん…。」
「だから、俺の話は遊星とクロウと……それからジャックに聞いてほしいんだ。」
「そんな…わたしは鬼柳くんの口から聞きたいです!」
「いやだめだ。遊星達から聞いてくれ。あいつらが俺を導いてくれた、だから俺はこうしてyouに出会えた。遊星達は正しい道を歩む正しい人間だ。」
「・・・。」
「俺はyouのこともそうだと思ってる。正しくて…綺麗な人間だって。」
「そんなこと…。」
「だから、な?人として正しい、そう…youの視点から、俺を…『鬼柳京介』を知ってほしい。」
「……わかり……ました。鬼柳くんがそこまで仰るのなら……そうします…。」
「ありがとな…。別にお前に嫌われたいワケじゃねェし、自分を追い込んでるワケでもねェ……でも、昨日遊星達と話して思った。お前に…youに、ちゃんと……向き合いたいから、そうしてほしいんだ。」
そう、苦く笑って、二、三度youの頭を撫でる鬼柳。
そろそろ遊星達のところに戻ろうかと声を掛けるが、
youはゆるゆると首を横に振る。
「you?」
「もう少し……鬼柳くんと一緒にいたいです…。」
「あー……うん、分かった。好きなだけ、いてやるよ。」
「…ありがとうございます。」
たとえ、今の混沌とした現状が彼女と出会ってから自分の過去を隠して、
それを伝える事を先延ばしにしてきた報いだとしても…。
その結果、自分の過去を全て知られてしまったとしても…。
それでも彼女は、きっと逃げずに向き合ってくれるという確信があった。
ただそれが拒絶されるか受け入れられるかは別として…。
「明日、遊星達に話を聞いておいてくれ。その後、2人で出掛けようぜ。」
「はい…。」
「youが俺に伝えたいことがあるように…俺もyouに伝えたいことがあるんだ。」
「何でしょう……少し怖いです。」
「おう、何っつても1つじゃねェからなー!」
「えぇ?!な、なんでしょう?!」
「だーかーら、それは明日になってからー。」
「ううう!!」
「ははは!」
そうやって少しだけ愉快そうに笑う鬼柳をyouは愛おしそうに見つめる。
どんな話なにかは全く見当もつかない鬼柳の過去…。
ただ、どんな話であっても、逃げずに受け止める事だけは心に決めて…。
「いつか」はもう待たない。
*。゜.*。゜.*。゜.*