ちっちゃいプーさんとわたしのはなし
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ちっちゃいプーさんと
わたしのはなし5
「you、遅いなぁー…。」
リビングのソファで寛いでいたデッドプール。
相変わらず、留守番の時間は退屈で堪らないが、それでも家にあるゲームをしたり
ネットサーフィンをしたり、youが休みの日は外に連れて行ってくれたり…。
何より帰宅後のyouのメイド姿で、暴れたくなる衝動は軽減されていた。
(尤も、金が理由で傭兵をしていたという理由も此処では必要無いのだから、暴れたくなるというのにも語弊があるのだが。)
つまり、デッドプールはそれはもう、怠惰なニート生活をしているわけだ。
そんな中、心配になってくることもある。
ただ、それは自分の事ではなく、彼女のこと。
「やっぱ日本人って、働きすぎじゃないか?」
ベガス以外の町なんて、夕刻にはスーパーさえ閉まってる地域もあるというのに…。
ぼんやりとそんなことを考えていると、ガチャリと玄関の鍵の開く音が響いた。
パッと顔を上げてソファーを飛び降りるデッドプール。
家主を迎えるべく玄関へと急いだ。
「お帰りマイハイー!今日も退屈で仕方なかったよ!!HAHA!」
「ただいま…デップーさん。」
「おう!」
「お留守番…ありがとうございました。」
「おう!」
「すぐ…ご飯に……しますね。」
「おう……?」
靴を脱いで中に入るでもなく、ただ玄関先でへらりと覇気の無い笑みを浮かべるyou。
いつもなら慌てて中に入り、冷蔵庫を開けながら「すぐご飯にしますね!」と言い放ち、
食事を用意し、風呂を沸かしたりと忙しなく動き回るのに…。
それゆえ、今の様子に違和感を感じてデッドプールは小首を傾げる…。
「you?」
「はい。」
「何かあったか?何か顔が赤い…。」
「いえ…何も……ただ、そうですね…ちょっと身体が熱いような気がします。」
「What?(え?)それって……もしかして、俺ちゃんに欲じょ…。」
「してません。」
「だよね。」
そんなにハッキリ言わなくても…とブツクサ零すデッドプール。
youはゆっくり靴を脱ぎ、家の中へと入る。
「you、大丈夫か?何かマジでフラフラしてるけど…。」
「はひ…多分大丈夫デス。」
「いや…けどさ…飯とかいいから、もう寝たほうがいいって!」
「ダメですよ…デップーさん…ずっと待っててくれたんですし……温かいごはんくらいは…用意、したいから。」
「俺のことはいいから!」
「でも…わたし…っ!」
「youッツ!!」
ふらりと、youの身体が揺れた。
咄嗟に手を伸ばしたが、今の自分の姿を思って愕然とする…。
彼女の二分の一もない身長で、どうやって彼女を受け止めろというのかと。
「Jesus!(くそっ!)」
それでも構わない。
最悪下敷きでもいいと思った。
そして、結果は…。
「?!?!」
「・・・。」
「you!」
苦しそうに肩で息を繰り返すyouを抱き留め、兎に角戸惑うデッドプール。
それは、一瞬のことで…何が起こったのか、本人も全く理解の及ばない事だった。
「戻ってる…。」
その姿は本来あるべき自分の姿。
手や足の感覚に違和感は無く、今までのぬいぐるみサイズが幻だったかのよう。
両手離しで喜びに浸りたい気分になったものの、
自分の腕の中で荒い呼吸を繰り返す家主を見て、改めて今の状況を飲み込む…。
「ひとまずyouを寝かさないと。」
まずは早速、元の自分の身体が活用されることとなった。
軽々とyouを抱え上げ、いつものベッドへと運ぶ…。
「・・・脱がせるべきか…いや、やめとこう…多分口きいてくれなくなる。」
一人で悶と悩み、そして結論をたたき出す。
そっとベッドに寝かせて布団を掛けた後、デッドプールは台所へと向かう…。
「Fridge!…cool her head with ice!(冷蔵庫ッ!頭を冷やさないと!)」
氷をビニールにでも入れようかと思ったが、冷凍庫を開けてすぐに冷凍された保冷剤を発見。
それを引っつかんでデッドプールはバタバタとyouの元へと駆ける…。
「youッ!」
「・・・で…っぷー、さ…。」
「気が付いたか?!」
「熱い…。」
「ああ!だから…冷たいの持ってきた!何か包むものない?タオルとか…。」
「そこ…引き出しの中に…。」
「分かった!」
指差された引き出しを開けて、薄めのタオルを引っ張り出す。
保冷剤を包んでyou#の額に当てれば「冷たくて気持ちいい」と、言葉が返ってきた…。
その言葉に微かにホッと安堵の息を吐くと、今度は謝罪の言葉が贈られて…。
「デップーさ……。」
「ん?」
「ごめ…なさ…。」
「何が?!何で謝るの?」
「迷惑…掛けてる……ご飯も…作れない…風邪も、移るかも…。」
「飯なんて3日くらい何とかなる。風邪は移らないし、迷惑なんて思ってないから。」
「うん…でも、ごめんね…今はわたしが…デップーさんの……飼い主なのに…。」
「ちょ、おま…そんな風に思ってたのッツ?!!」
確かに今までのサイズを考えると、同居人というよりはペット要素の方が強いだろう。
それを改めて認識させられるのは些か怒りが湧くものだが、相手はyou。
他の相手ならまだしも、世話になっている面もあり、可愛くも思っているyou。
「No way…!(そりゃないぜ…!)」
今はただただ、トホホ…と、気落ちするデッドプールであった…。
「デップーさん…。」
「ん~…今度は何だ?」
「もう…大丈夫、だから。」
「Sorry?(は?)」
「風邪…移るから……ここに、いない方がいいよ。」
「俺ちゃんは大丈夫。風邪なんて引かないから。」
「ダメだよ…。」
「いいから、youは寝るんだ、いい子だから。」
「ふふ……何か、いつもと逆だ。」
「・・・そうだなぁ。」
軽く微笑んだyouに、マスク越しだが笑顔を送る。
ゆっくり頭を撫でてやると、今更だが彼女はデッドプールの姿について語りだした。
「ねぇ、デップーさん…。」
「あー?」
「何か……大きくないですか?」
「あー、うん……何か、色々大きくなったな。」
「よかったですね。」
「幻じゃないみたいだしな。」
「うん…?」
「でも、日本の家って狭い。俺ちゃん、さっき頭ぶつけちゃったよ。廊下も、肩幅とか…結構ギリギリだし…?ここでは小さい方がいいのかも~…とか…。」
「あはは…。」
「・・・冗談さ、絶対大きいほうがいい。」
「そっか。」
「身長もナニも。」
「おやすみなさい。」
「ワーオ、完璧なまでのスルースキルをお持ちだね。」
当たり前のように下ネタを発したデッドプールを一蹴するyou。
もっと盛り上げてくれればいいのにと思う反面、「そういうこと」に関してあまり乗ってこないところもまた、
日本の清楚さを感じるということで彼女を気に入っている1つの理由なのだ。
…そう思うことにした。
暫くすると、呼吸は荒いもののスーッと微かな寝息が聞こえてきた。
今まで見ていた苦しそうな顔ではない表情を見ると、
このまま回復して元気になってくれるようにと、切に願う。
と、同時に「自分が代わってやれれば」とも。
自分の特殊な身体(ヒーリング・ファクター)を以ってすれば、体力低下からくる風邪なんかたちどころに治るのに…。
そんなことを考えてデッドプールは人知れず目を細める…。
「That's not like me…but…(らしくないな…でも…)」
そっと、マスクを捲って素肌を晒した。
末期の肺癌に侵され、治療の為に志願した極秘計画…。
そこで超再生能力(ヒーリング・ファクター)と引き換えに手に入れたのは人目に晒せぬほどの爛れた身体だった。
あのまま、病に倒れた方が良かったのかと言われれば…きっと答えはNOだろうが…。
「Nevertheless…I don't know why…(それでも…何故だろう…)」
今更になって、改めて自分の姿に嫌悪してしまう。
いつも優しく接してくれる人。
いつも自分に柔らかく微笑んでくれる人。
大事に想ってしまう、人。
怖がるだろうか。
恐れるだろうか。
「I hope that you haven't fear…(恐れないで、なんてこと…願ってしまうんだ。)」
そっと、頬に手を添えてみた。
グローブ越しにも少し熱いくらいの温度を感じる。
「You'll pass me a cold…(移せばいいよ…)」
少し、泣きそうな顔をしてみた。
熱が伝道することを願うように、ただ、触れるだけのキスを落とす。
「Only for now, I wanna touch just the way I am…(今だけ、等身大の俺で触れさせてくれよ)」
きっと明日には、君が「可愛い」と微笑い掛けてくれる姿に戻るから。
醜い顔は決して晒さないと誓うから。
ちっちゃいプーさんと
わたしのはなし。
words from:yu-a
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