CYBernetic ORGanism 0(ジェノス)
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CYBernetic ORGanism 0
So much in love
それからジェノスはクセーノ博士に何度も感謝の意を伝え、サイタマのいるZ市に戻ってきた。
「ただいま戻りました、先生。」
「おー、お帰りー。長かったな、今回。」
「はい、内面外面、全身をくまなくチェックしたので普段より時間が掛かりました。」
「…の割には前とあんまし変わってなさそうだけど…??」
「パーツなどの変化はありません…そこに異常や故障は見られなかったので。」
「ふーん。」
「でも、以前の俺とは確かに違いますよ。」
「そうなの?」
「はい!」
「(あれ、何か…。)」
そこまで長い間とはいえないものの、ジェノスと共に過ごしてきたサイタマには、
どことなく今までのジェノスと違うと気付くところがあったらしい。
それは纏う雰囲気だったり、表情や声色の細かな変化だったりするのだが、
それを伝えると、それはもうしつこく詰問が始まることを知っているサイタマは以降の言葉を意図的に噤んだ。
「それで、前と変わったってことはもっと強くなったのか?」
「いえ、それが実は……もしかすると弱くなってしまったかもしれません。」
「え、何それマジで??」
「はい…。」
「何で?どうした?」
「先生…俺は……どうやら人を好きになってしまったようなんです。」
「・・・。」
「・・・。」
「おー、そりゃよかったな。人が好きだから助けるとか、ヒーローっぽいじゃん。あれ?じゃぁ、何でそれで弱くなるワケ?」
「いえ、そうではなくて……。」
恐らくは、長すぎるとサイタマに指摘されると理解しているからだろう。
実はかくかくじかじかで…と、ジェノスにしては短めに博士の下で話した内容をとりまとめてサイタマに話した。
「……それで、俺は、youさんに恋していると気付いたんです。」
「なるほどなー。」
「やはり、サイボーグなどに好かれても、迷惑でしょうか…。」
「さぁ、それは相手次第だろ。少なくとも俺はジェノスのこと嫌いじゃないし、メカかっけーとは思うけど、気味悪いとか思ったことねーし。」
「先生…!!」
サイタマの何気なく発したジェノスへの感想に、じーーんと、感極まった様子のジェノス…。
「実を言うと彼女の隣が心地好過ぎて、世界が平和になって、ずっとこの時間が続けばいいと思ってしまう自分がいて…。」
「ほぉ。」
「それはまるで…ぬるま湯に浸かっているようで、自分が強さを求めなくなってしまう気がして怖い…そう思ってしまったんです。」
「あ、そぉ。でもさ、それなら、youを守る為に強くなるって、思えばいいじゃん。」
「!!」
「男ってそういう単純な考え方で生きていいと思うけどな。」
「先生…。」
「そんで、世界が平和だか復讐だか知らんけど、お前が納得できる時になったら、ずっとそのぬるま湯に浸かればいい。と思う。」
「はいっ!!ありがとうございます、先生っ!!」
感謝の意を示して抱き付いていいですか!と叫ぶジェノスに
気持ち悪いからヤメロと即答したサイタマとのやり取りはさておき…。
ひとまずは、サイタマの感想を聞いたことで
一層自分の気持ちに素直になるべきとジェノスは考えたようだ。
「先生、youさんのところへ行ってきます!」
「え、今から行くの?」
「はい!一刻も早くこの気持ちを伝えたいので!」
「ふーん、じゃぁ、まだZ市にいると思うぞー。」
「・・・はい?」
「いや、さっき来たからさ。」
「誰がです?」
「you。」
「え、何故?」
「いや、さっきココに来てたから。」
「は?」
「顔見に来たって、ちょっと茶飲みながら話してた。あ、あと、お前に詫びってことで菓子折り置いてったぞ。開けてもいい?」
「開けて構いません!すぐ追いかけます!」
「おー。」
「あと先生!!」
「ん?」
「次回からはそういう情報は事前に教えていただけると嬉しいですッツ!!」
「そうだな、スマンスマン。」
お詫びのお菓子というくだりから既に立ち上がっていたジェノス。
玄関を出る直前にサイタマに対して遠まわしに「空気を読んでくれ」と叫んで出て行ったのだが…。
「だって、弟子のくせ師匠より先にリア充になるとかズルいだろ。」
それは敢えて空気を読まなかったのだよ、と彼の師はニヤリと笑うのだった。
・
・
・
・
「先生を除き、およそ半径500m内に生体反応なし……もうZ市を出てしまったのか…youさん…!」
サーチ機能を使って周囲1km程を探してみたが、人の気配は無いようで、
ジェノスは建物と建物の間を跳躍しながら駅方面へと向かっていく…。
刹那、自分の視界に『生体反応あり』と通知が表示された。
ジェノスはギクリと身体を強張らせ、猛スピードでその場所へと走る。
「youさん…っ!!」
何故、身体が強張ったのか…。
その理由としては生体反応が「2」と表示されたからだ。
・
・
・
・
「まだこの辺りに生きた人間がいたんだな。」
「っ…!!」
「残念無念だったねぇ…もうちょっとで駅だったのに…。」
「(猛ダッシュしたら逃げられ……ないよねぇ…。)」
「人間は殺せ、怪人の本能がそう言ってくるんだ……アンタに恨みは無いが……本能に従わせてもらう!ヒャハハ!!」
「!!」
振り上げられた大きな怪人の拳を食らって、死ぬしかない…。
そう感じ、youは諦めてぎゅっと目を瞑った。
ドゴォオン!!と大きな音が響き、怪人の拳がコンクリートの道路を砕いたと分かった。
…のだが、何故砕いたと分かったのか…。
はた、とそのことに気付くと同時に、音が聞こえても自分が生きていることに気が付いた。
「怪我はありませんか、youさん!!」
「っじぇ……じぇのすくん…??」
「はい!」
「なん…で…。」
「色々あってyouさんを探していました!」
しっかりと目を見開くと、そこは空中で…。
いつぞや、出会った時のようにジェノスに抱き上げられていた。
彼はそのまま、小高い建物の屋上に着地して、
ゆっくりとその場にyouを下ろした。
色々と尋ねたいことがあるyouは、
ジェノスを見つめて口を開こうとするが、ジェノスはそれを遮る…。
「ひとまずあの怪人を退治してきますので、ここで待っていてくれますか?」
「は…はい…!」
そう言ってあっという間にその場から離れていったジェノス。
『どうしてここにいるの?』
『何でわたしを探していたの?』
『もう会いたくないんじゃなかったの?』
取り留めの無い疑問ばかりが頭に浮かんでは消えていった。
そんなことをぐるぐる考えていると、地上から轟音が響き、少し離れた場所で大きな炎が上がる。
ジェノスが焼却砲を使っているのだと思いつけば、
そういえば彼は戦闘中だったのだとハッと我に返り、youは屋上の柵へと駆け寄った。
「ジェノスくん…っ!」
震える声で名を呟けば、何かが視界を過ぎ去り、背後に着地する音が聞こえた。
youが恐る恐る後ろを振り向けば、
そこには無傷のジェノスがその場に立っていた。
「お待たせしました。」
「ジェノスくん!!」
「改めてお伺いしますが、怪我はありませんか、youさん?先程の怪人から何かされてはいませんか?」
「は、はい、大丈夫です!ジェノスくんが助けてくれたので無事です!」
「よかった……本当に、間に合ってよかった。」
「うん……ありがとうございます。」
深々と、命の恩に対して一礼するyou。
「「あの…!!」」
2人同時に言葉を発し、お互いにどうぞどうぞと譲り合う…。
埒が明かないと判断し、youの提案でじゃんけんをすれば、
言いだしっぺの法則というものだろうか、彼女がじゃんけんに勝利した。
「勝っちゃった…えっと…じゃあちょっと、質問なんだけど…いいですか?」
「はい、構いません。」
「ひとまず、どうしてジェノスくんがここに…?」
「はい、実はあれからyouさんと別れて、自分の身体の異常が一層酷くなったため、クセーノ博士の下へ行って全身くまなくメンテナンスを行ってもらったのですが、原因となるような破損や故障は一切見られなかったため、博士が精神的なものが原因ではないかと仰られ、どういう時にコアに異常を感じたかなどをありのまま全てお話したんです。俺がyouさんと共にいる時にだけ異常が起こる旨をお伝えしたところ、博士はそれが俺がyouさんに恋をしていることが原因だろうと判断されました。俺は今まで恋というものをしたことがなかったため、その感情が分からず、戸惑い、youさんから離れることで異常が無くなると思い込んでいたようなんです。しかし、実際にはそう、前述した通り、会えないということでより辛い気持ちになってしまいました。が、クセーノ博士のお陰でそれが恋の所為だと判明したこともあり、自分の気持ちを理解し、youさんにその想いを伝えるべくZ市に戻ってきたんです。先程、サイタマ先生の家に戻り、youさんへの想いとそのことへの不安を打ち明けたところ…あ、不安というのは、youさんに恋愛感情を抱くことで自分が強さを追求せず、ずっとyouさんと平和な毎日を過ごしたいと思ってしまうという不安感のことなんですが、それに関しては追々youさんにお伝えするとして、すみません、話が逸れたので戻しますが、その相談をすると、先生は「だったらyouを守れるように強くなればいい」と言い放たれました。本当に素晴らしい喝でした。俺の不安感を全て拭い去り、新たな目的を見出させてくれた…やはりサイタマ先生は素晴らしい!という感嘆を抱いたところで、先程までyouさんが家に来ていたと教えられ、急いで追いかけてきたところ、youさんが怪人に襲われていて、間一髪で助けることができた…ということで今ここにいます。」
「ごめんなさい、どこからツッコめばいいか分からない…。」
「そうですか…全ての疑問ができるだけ解決に導けるように話したつもりなんですが…もう少し詳しくお話した方が良いですか?」
「いいいいえ!!ちょっと待って!寧ろ待ってほしいです!」
「はい。」
「えっと……1つずつシンプルに答えてもらってもいいかな…?」
「分かりました。20字以内ですね?」
「そこまで制限はしないけど……まぁ、そのくらいでお願いします。」
「頑張ります、どうぞ。」
ジェノスの受け入れ体制万全な様子に、
彼を見つめて、こくりと一度頷けば、ジェノスもまたyouを見返して静かに頷いた。
「じゃぁ…ここにいる理由から…。」
「サイタマ先生から、先程までyouさんが来ていたと聞いたからです。」
「何でわたしを追って来られたんですか?」
「youさんに伝えたいことがあったからです。」
「……それってさっき言ってた……でも、ジェノスくんは…わたしに…会いたくないんじゃなかったんです、か?」
「・・・・。」
ジェノスの説明と同じように、少し前に遡るが…と、
youは数日前にジェノスと出掛けた別れ際の事を引き合いに出した。
尋ねたことによって、彼女はその時の心情を思い出してしまったのか、
思わずじわりと目頭が熱くなり、ジェノスを見上げる瞳が揺れた。
泣きそうになっているyouの様子を見て、
ジェノスはぽつりと「すみません」と呟くと、そっと彼女の両手を掬い取った。
「実は…会いたくないというより、会わない方が良いと思っていました。」
「っ…。」
「でも、それは間違いでした。」
「まち、がい…?」
「はい……貴女と会うと俺は嬉しくて、あたたかくて、とても幸せな気持ちになれたんです。」
「それは…ジェノスくんにとって悪いこと…なんですか?」
「俺の身体には良くないと思いました。会うたびに不具合が生じて、調べても原因は不明…。会っている時はその時でずっとこの平和な時間が続けばいいと、強くなりたいという向上心さえも揺らいでいました。」
「そんなに…。」
「正直なところ、youさんの所為と勝手に決め付けて出会わなければよかったとさえ考えました。だからあの時、突き放すようなことを言って貴女を泣かせてしまった…。」
「・・・。」
「でも…今は違います。クセーノ博士のアドバイスで足りなかったパズルのピースが埋まったんです。サイタマ先生が俺に強くなる新たな目的を示してくれたんです!」
それは、いつも堅苦しく論文を口述するようなジェノスが使ったとても理解しやすい比喩。
そのアドバイスは前述したから分かるはず、と…。
ジェノスは一度ゆっくりと瞬きをして、
youをしっかりと見据えて想いを伝えた。
「俺は、youさんが好きです。」
「じぇ…ジェノスくん……!」
「好きです!」
「あ、いや…あの!」
「俺に貴女を守らせてください!」
「だ…だって…他にも素敵な人は沢山いるのに…。」
「他の女性ではなく、youさんを守りたいんです!youさんが好きなんです!」
「はわわわ!だって、だってジェノスくんはヒーローで…しかもS級で…凄い人で…でも、わたしはただの一般人で…!!」
「地位や身分や肩書きで人を好きになるなら、youさんに恋なんかしません。」
「デスヨネ…。」
「貴女の優しいところが好きなんです。傍にいるとあたたかくて、幸せになれる。だからその源である貴女を守りたいんです。理解していただけますか?」
「り…理解は…はい……。」
「では、結論として……youさんの答えを聞かせてください。」
「こ…答え、ですか。」
「はい!youさんは俺のことをどう思っていますか?」
じっと、先程から変わらず2つの金色が見つめてくる…。
しかも、ずっと両手を包み込まれるようにして握られているため、逃げることは不可能な状況。
楽しい時間を過ごした直後に、理由も分からず急に突き放されたため「自分の所為かも」と自己嫌悪に陥った。
謝罪のためサイタマ宅を訪れたが当事者のジェノスは不在で、
帰宅しようと駅に向かえば怪人に遭遇。
助けられたかと思えば、怒涛のように解説ののち、どストレートな言葉でもって告白され、正直youの頭はパニックに陥っていた。
瞬きなくガン見してくるジェノスの視線に耐え切れず、
顔を真っ赤にして目を下に下ろせば、握られた両手が視界に入り、youはまた顔が熱くなる。
「…っ…!//」
「youさん……答えてください。」
「わたしは……その…。」
「はい!」
「ジェノスくんのことは好きです…けど、でも…。」
「けど…でも…?」
「それが恋愛としての好きという気持ちなのかと問われると……とても悩んでしまいます。」
「…つまり、友としての好きだと?」
「はい。でも……一緒にいるととてもドキドキすることもあるんです。」
「本当ですか?youさんも体温が上昇したり、コアが痛んだりするんですか?!」
「こ、コアというか…胸?うん、心は…そうですね……ジェノスくんから「もう会わない」って言われた時は本当に辛くて苦しかったです。」
「…その節はすみませんでした。」
「ううん!いいの…今はもう、理由が分かったし…。」
「ではその…体温が上昇したりは?」
「それは……今、げ……現在進行形で熱いというか…//」
「恋ですか!?」
「しっ、知りません!分かりません!!//」
「では、分かるまでyouさんの傍にいてもいいですか?」
「そ……傍って…いいますと?」
「これからもyouさんと2人きりで会う時間をいただきたいです!」
「そ、そんなんでいいんですか?」
「はい!そしてその都度お尋ねします!」
「何を??」
「youさんが俺に恋してくれたのかどうかをです!!」
「ブッハッツ!!」
思わず、盛大に吹き出した。
ケホッと僅かに咳き込んだのち、恐る恐るyouはジェノスの顔色を伺うようにして問いかける…。
「ま…毎回ですか?」
「毎回です!」
「そ、そんなに聞かなくても…。」
「いえ、お尋ねします。なぜなら、youさんの方から俺を好きなった、恋をしていると言ってくださる確立はそうですね……あくまで俺の推測ですが32%以下かと思われます。」
「うっ……妙に現実的で的確な数値…。」
「これでは80回近く会合を行ってやっと言ってくださるかどうか……俺は80回以上会合を重ねるのは全く苦ではないですし、寧ろ嬉しい限りですが、これでは習慣になってしまい、関係性が発展せず「友達」で定着してしまう可能性の方が高いです。そんなのは俺にとって全く不本意以外の何物でもない、避けるべき結果……よって、俺の方からyouさんに尋ねる必要があるワケです。」
「でも…ほんと…毎回じゃなくても…。」
「毎 回 で す 。」
「は……い…。」
これ以上ウダウダ文句を言えば、握られた手がジェノスの焼却砲が火を噴くかもしれない…。
そう感じたyouには最早受け入れる以外の選択肢は無かった…。
「俺は…貴女に……youさんに恋愛対象として好きと言ってもらえるよう、精一杯努力します!」
「では…そう、ですね……えっと、わたしはジェノスくんの…//」
「俺の?」
「気持ちに応えられるように、精一杯努力します…っ//」
「!!」
明確な答えというものではなかったが、それは友達以上という存在に昇格したことを告げる言葉で…。
彼にしては大変珍しく、自然で綺麗な笑顔を浮かべると、未だに包み込んでいた両手をそっと解いた。
「ありがとうございます、youさん。」
「こちらこそ……好きだと言ってくれてありがとうございます…です。」
「……では、早速次の会合の予定を立てたいのですが…。」
「は、早っ!!」
思い立ったが即吉日という体質なのか…。
ジェノスはいつも持ち歩いている手帳(サイタマ観察帳ともいう)を取り出し、youの予定を教えろと迫るのだった…。
「…つ、次は…ら、来週の……えっと、わ、分かったら電話します!」
「そうですか、了解しました。次に会うときまでに色々と考えておきますね!」
「い、色々…???」
「はい!色々です!」
その後、恋愛のマニュアルだの漫画だのエッセイだのを読み漁って、変な知識を付けたジェノスに追い詰められていくのだが、それはまた別の話…。
*。゜.*。゜.*。゜.*
サイボーグですが
恋をしています
*。゜.*。゜.*。゜.*