I wanna eat you up !! (Dio)
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この菓子に、じゃないぞ
キミに、だ。
I wanna eat you up !!
ハマったなんて言えやしない
今日こそは今日こそはと何度も自分に言い聞かせ、
ディエゴはとある家の呼び鈴を鳴らした…。
「youー、いるか?」
「ディエゴ!いらっしゃい!」
パタパタと駆け寄ってくるのは一年半程前から知り合いになった女性。
たまたまディエゴが立ち寄った洋菓子店で働いていた女で、名はyouという。
ディエゴ自身が甘いものが好きで店に入ったわけではなく、
知人への手土産のために寄ったのだが、彼女があまり懇切丁寧に接客をしてくれるので…、
まぁ、要するにその時、ディエゴが彼女を気に入ったのだ。
それからyouのいる時間を狙って何度も店に足を運び、
「ディエゴ」、「you」と呼び合うまでに到達した。
正直、ディエゴは自分のことを「非の打ち所のない男」だと自負している。
経歴はさておき、容姿は端麗。職業はジョッキー。
それだけでなく、その天賦の才は競馬界で最大に生かされ、今では競馬会の貴公子と称されるほど。
性格に多少難はあるが、常識人ではあるし、女性にも困ったことがない。
そんな彼が今、最も手に入れたいのがyou。
そして、手に入れ難いのもまた、彼女なのだ。
「(…鈍感、なんだよなぁ…。)」
「もしかしたらディエゴが来るかもしれないと思って、お菓子作ってたんだー。今日はお休みだったし。」
「そう、それは嬉しいな。」
「お茶淹れるね、ちょっと待ってて。」
「ああ。」
youが鈍感なのも原因のひとつだが、
何よりも彼女は、ディエゴのことを恋愛対象として除外している節がある。
恐らくはディエゴの女性関係が問題だろう。
勿論、youに好意を抱いてからはどんな美人からの誘いも一切受けなくなったし、
それとなくyouを好きだということを伝えたこともある…。
しかし、ダメなのだ。
甘い雰囲気を出せば、彼女はそれを拒絶する。
「ご冗談を」と言って笑って、話題を日常のありふれたものへと変えてしまう。
好きだと言われて『君にだけに恋をしている』と信じるのが怖いのだろう。
ディエゴを信じて、他にも相手がいて、それに傷付くのが怖いのだろう。
そんなこと、ないのに…youだけなのに…と、ディエゴは毎度溜息を吐く。
それが出会って、恋をして、一年半、ずっとだ。
「もうそろそろ、信じてくれてもいいんじゃないか?」
「ん、何が?」
「いや…こっちのハナシ。」
「ふふ…変なディエゴ。」
「・・・はぁ。」
微笑みながら紅茶を淹れるyouを肘を突いて見つめ、
ディエゴはこれでもかという程大きな溜息を吐いた。
「怖いのは…オレも同じか。」
「…ディエゴ?」
「あのさぁ、you。」
「うん?」
「オレがyouのトコにちょくちょく来る理由、分かる?」
「お菓子目当てでしょ?」
「はぁ…やっぱそう思うんだ?」
「違うの?」
「違う。」
「じゃぁ……なんで?」
「あのさ……オレ、凄い怖いんだ。」
「…どうしたの、いきなり…。」
テーブルに付いていた肘をパタン、と横に倒し、その上に自分の頭を置いたディエゴ。
お茶の用意をするyouを、幾分低い位置から見上げる。
コトリ、とティーカップをディエゴの目の前に置き、youもディエゴの向かいに着席した。
「ディエゴらしくないね、何かあったの…?」
「ああ、随分前から、現在進行形で。」
「随分前って…いつくらい?体の調子でも悪いの?」
「んー…一年半前、くらいから。痛くてね。」
だれていたムクッと体を起こし「ココが」と、胸を叩く。
すると、驚いた顔をした後、次第にyouの眉が下がってくる。
「ディエゴ…そんなに前から!?どうして言ってくれなかったの!?今も痛むの?病院へは行ったの?わたしに何かできることは?!」
「おいおい、そんなにいっぺんに質問するなよ…答え辛い。」
「だって…!」
「まぁ、一つずつ消化していくとだな…言わなかった理由は、youに言うのが怖かったから、かな。何度も言おうとはしたんだが。」
「ディエゴ…。」
「今も痛むのか。は、そうだな、今も時々痛む。」
「・・・。」
「えっと、3つめ?病院へは行ってない。これは医者には治せないらしい。」
「・・・そんな!」
「最後か……youにできること、ね。」
「え、ええ!」
「あるよ。」
「ほんとう!?」
youがあまりにも勢いよく立ち上がったので、椅子がガタンと倒れてしまった。
しかし、そんなことより彼女にとってはディエゴが優先なようだ。
寧ろ倒れて動きやすいといった様子で、youはディエゴの元へと駆け寄ってきた。
少し驚いた様子のディエゴの手を掬い取り、彼女は真剣な目で「わたしに何ができる?」と言う…。
「you……。」
「ディエゴ…。」
「一年半を…長い時間だと思うか?」
「思うよ…ディエゴがずっと苦しんでたんだとしたら…すごく長い。」
「そうか…。」
「うん…。」
今にも泣き出しそうなyouに、困ったような…でも、僅かに嬉しそうな笑みを向け、言った。
「オレ、一年半前から好きだったんだ、youのこと。」
「え。」
「言いたかったケド、言おうとしたら逃げるし…その度に信用されてないんだろうなぁーって…。」
「・・・。」
「そう思うと、凄い……辛かったんだぜ?」
「ディエゴ…。」
「だって、君を好きになってからは余所見なんてしてないんだから。」
「え…う…。」
「ウソじゃない。」
キッパリそう言われ、たじろぐyouに追い討ちを掛ける。
ディエゴはyouに握られている手の上に、自分の片方の手を重ね、その瞳を真摯に見つめた。
「医者でも治せない恋の病を抱えて、一年半ずっと苦しんでたオレなんだけど……信じて助けてくれる?」
「ディ、エ、ゴ…。」
「オレ、自分でも驚くべきことに…youしか要らないみたいなんだ。」
「わたし…//」
「オレの恋人になってほしい。」
ディエゴの澄んだ瞳に嘘や偽りは感じられない。
そもそも、もう一年半の付き合いで、彼がどんな風に嘘を吐くのか、
本当のことを言うのか…youは何となく分かってきていた。
すっと一度、息を吸い込み、真っ赤な顔で返事を返す…。
「・・・はい。」
「…ゃ…った!!」
その瞬間にお互い添えていた手を盛大に解き、ディエゴは立ち上がってyouを抱き上げる。
そして、まるで映画のラストシーンのように、くるくると回って、youを下ろした後、その唇にキスを落とした。
「一年半、我慢した甲斐があった!」
「でぃ、ディエゴ…!//」
「いいだろ、キスくらい……本当はもっと色々したいけど、大分抑えてるんだからな!」
「・・・//」
「これから、覚悟しといてくれよ?」
「もうっ!//」
そう、恥ずかしそうに怒るyouを、ディエゴは力いっぱい抱きしめた。
好きってハッキリ言えないくらい
そりゃもう半端なく
君という菓子にハマってたんだ
ディエゴ
(そういえば、聞きたかったんだけど…。)
you
(なぁに?)
ディエゴ
(youは……オレのこと、好きだった…ってことでいいんだよな?)
you
(うん…そうだね。)
ディエゴ
(いつから?)
you
(え…?)
ディエゴ
(いや、え?じゃなくて……いつからなの?)
you
(い……いちねんはん、まえ。から…です//)
ディエゴ
(・・・あー…you…。)
you
(な、なに…//)
ディエゴ
(キス以上、しない?)
you
(しませんッツ!!///)
words from:yu-a
title by:Fortune Fate様
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