■Fiori e Vino. (リゾット)
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「これは……。」
手元の資料に一通り目を通して、リゾットは呟いた…。
Fiori e Vino.
突き動かされた加護欲
youと食事をした次の日、リゾットは早速仕事の合間を縫って彼女のパーソナルデーターを収集していた。
驚くべきことに、一般人を体現したような存在だと思っていた彼女は、凡そ一般人から外れに外れたイレギュラーな存在そのものでることを知ったリゾット。
「イタリアを旅行中にギャングに拉致監禁……個人情報は売買のため抹消され、人身売買寸前のところをパッショーネが保護……以降、仮の個人情報を付与され、ナポリにあるパッショーネの一拠点で事務職員として生活中…。」
自分も所属しているが故に理解は容易いが、ギャング団体で言うところの仮の個人情報は最早偽造された個人情報に他ならない。
しかも彼女の場合、ひとたび足が付けば情報偽造のみならず、その根本であるイタリアンギャングの犯罪問題も併せての糾弾で、国際問題に発展する可能性もある…。
そのため、パッショーネの息が掛かった場所でしか生きられない……。
否、生活を保障される代わりにパッショーネの監視下に置かれなければならない身の上になってしまっているのだ。
リゾット自身もパッショーネに所属し、不当な扱いを強いられていたことがあった。
恐らく、その指導者であるボスが現在のジョルノ・ジョバァーナに代交代しなければ、チーム全員でパッショーネに反旗を翻していただろう…。
だが、「あの」温和で理解力のあるyouのことだ、自身を救って居場所をくれたパッショーネに感謝こそすれど、
自分が離れることで起こり得る問題でパッショーネに迷惑は掛けられない…と、全てを享受して此処で生活をしているのだろう。
何とお人好しで、馬鹿で、阿呆で、愚鈍で、実直で、愛おしいのだろう…。
そう思えば、リゾットの中に湧き上がってくるのは庇護欲、加護欲といったもの…。
あまりにも白痴の如き哀れな彼女を自分が守ってやらなければ…と。
故郷に帰れず、寄る辺ない彼女の居場所に自分がなってやらなければ…と。
普段の彼であれば、それはありえない感情であった。
だが、普通の若者達が色恋沙汰にのめり込むような青春時代を、憎悪で黒く塗りつぶすように過ごしてきたリゾットには、今まで普通の「恋」とは何かを知る機会すら無かった。
そのため、今回出会ったyouに抱いた感情が「それ」であると知ったことで、無意識に成就させようとしているのだろう…。
「それなのに、キミはあのように優しく笑うのか…。」
目を通し終わった資料をクリアファイルに入れ、溜息交じりに事務所にある自分のデスクの引き出しに仕舞い込んだ。
目を閉じて、彼女のふわりとした笑みを思い浮かべると、切ないような、温かいような、何とも言えない気持ちになる…。
恐らくは、まだ自分が公に彼女の隣にいられる存在になっておらず、
彼女と喜怒哀楽を分かち合い、守ってやることができないからだとリゾットは思う。
「まずは、傍にいられる理由がほしいものだな…。」
とどのつまり、それは彼女の恋人になりたいということに他ならないのだが、
独り言でも流石に「オレの女にしたい」という事は憚られた様子…。
だがしかし…。
呟いた言葉自体はオブラートに包まれたものだったが、内心はそのように生易しいものではなく、どんな手段を用いても彼女の全てを知り尽くした上で自分を見てもらえるようにするため、知略を巡らせ、密かに計画を練り始めていた。
突き動かされた加護欲
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