Lei e un fiore. (番外編 / メローネ)
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「…you!目が覚めたんだね?!良かった!」
「っ………ぁ…?」
3日ぶりにベッドから身体を起こしている彼女を見て
ジェラートが少しだけ泣きそうな顔で笑った
Lei e un fiore.
dimenticare(忘れる)
「体調はどう?身体はまだ痛いだろうけど……熱は下がってる?吐き気や頭痛なんかはしない?大丈夫?」
「?????」
「you…?」
「A……No…E、Nanigo…?Kokowa…?」
「え…??」
「Kimiwa eeto……Dochirasama desyo-ka…。」
「え、何…それ、何て言ってるか分からない……それ、もしかして日本語?」
「「Giapponese」……S、So!Nihon!「Japone-ze」!」
「もしかして……you、オレの言葉…分かってない…?」
「?」
「ていうか……もしかして……you……オレのこと、分かんない…?」
「???」
「ッ…!!!」
手に持ってきた汗を拭くためのタオルをその場にボトッと取り落とし、
ジェラートは踵を返して仮眠室を飛び出して行った。
「大変だ皆!!!youが…you…が!!!」
叫びながらリビングに慌てて戻って来たジェラートの様子と言葉に
キッチンでドリンク休憩を取っていたソルベとホルマジオが「何だなんだ」とリビングに戻り、
内勤で事務室で仕事をしていたメローネは光の速さで飛び出して来た。
「ジェラート!youに何かあったのか?彼女は大丈夫なのか!?」
「メローネ、大変なんだ!youが何かおかしいんだよ!」
「何だって?!」
どうオカシイのだ?と問えば、ジェラートは困惑気味であたふたしながら今しがたの彼女とのやり取りを説明する…。
「今、今仮眠室に行ったら、youが起きてて!」
「目が覚めたのか?!ディ・モールト!」
「そうなんだけど、それだけじゃなくて!you、オレの言ってる事分からないみたいで……お、オレもyouの言葉、何言ってるか全然分かんなくて…!!!」
「それって…。」
リビングに集った一同が顔を見合わせ、息を飲む…。
ひとまずジェラートの言っていることが本当なのかどうか確認の必要があるため、一同は揃って仮眠室へと向かった。
「you!」
「!!」
勢い良く仮眠室のドアを開き、いの一番に駆け寄ったのはメローネ。
ベッドの中で身体を起こしていたyouはその大きな声にビクッと肩を跳ねさせ、
突如現れたメローネをそこから見上げる…。
「Kireinahito……Otokonohito…kana…。」
「あ、…起きてる…生きてる……生きて、…ッ…!」
「?」
彼女が起き上がって目を覚ましていることに動揺もしたし、何よりも安堵したメローネ…。
様子がおかしいことも何となく察しはしたが、喜びと後悔でこれ以上彼女を直視できそうにないと…。
最初の勢いは何処へ行ったのか、メローネはヨロヨロと後ずさりをして、
彼女と話すチャンスを他の者に譲り渡した…。
「おい、you、オレのガッティーナ!大丈夫か?!身体は?!」
「?!」
「まだ殴られたトコは痛むか?病院とかに行かなくても平気なのか?!」
「A…E…Eeto……Gomennasai、Watashi…Kotoba…Wakaranakute…。」
「・・・・。」
「・・・。」
「おいおいおい!!!マジかよ!お前、何て言ってっか全然分かんねェーぞ!!!?」
少しの会話の中、一瞬の沈黙ののち、今の状況に衝撃を受けたホルマジオが大き目の声で驚嘆の声を上げれば
youが困って、焦ったように同じ言葉を繰り返す…。
「Sumimasenn!Sumimasen!Nanka Yokuwakaranaikedo!Sumimasen!」
「言葉分かんねェーってことはよ……オレの事も分からないってことか?!」
「Sumimasen!」
「オレ!オレの名前!」
ホルマジオは自分を指さし、必死に「自分の名前を呼んでみろ」とジェスチャーを出すが、
尚も彼女の口から飛び出すのは「すみません」と「ごめんなさい」という謝罪の言葉…。
多少は他国に関しての学のあるメローネとジェラートは日本人が外国人に対してよく使う言葉は
感謝と謝罪の言葉であり「ありがとう」、「ごめんなさい」、「すみません」はその代表的なフレーズであると聞いたことがあったため、
彼女は今、恐らくホルマジオが何と言っているのかが分からない事に対して謝罪をしているのだと察した。
どうやら本格的に言葉や自分たちの事を忘れてしまっているようだと…。
各々が深刻な顔で固唾を飲んだ時…。
「何だ、皆してぞろぞろとyouの部屋に……って、you!お前目が覚めたのか!?」
そう言って新たに仮眠室の中に入って来たのは外勤を終えて事務所に帰宅してきたイルーゾォ。
すぐに彼女に声を掛けようとしたのだが、周囲の空気がおかしいことに気付き、
少し間を置いて、誰にともなく問いかける…。
「おい、何かあったのか?」
「それが……youの目が覚めたんだけど、オレ達の言葉と……多分、オレ達の事が分からないみたいで…。」
「はぁッツ?!!」
理由を答えてくれたジェラートに、当然の反応を見せるイルーゾォ。
しーん…と、騒がしかった部屋に沈黙が漂った…。
「・・・おい、you。」
「?」
沈黙を破ったのはイルーゾォ。
彼はズン、と一歩大きくyouの傍に寄ると、目線を同じにするようにしゃがみ込み、己がスタンドを発現させた。
顔にゴーグルを着けた人型のスタンド、彼の「マン・イン・ザ・ミラー」を傍に発現させると、
視線を合わせていたyouの目がじわじわと見開かれ、すぐに彼女は「あ」と声を上げた。
「ま……ん……「マン・イン・ザ・ミラー」…。」
「!!!」
自分で彼女の能力が健在かを試すためにスタンドを発現させたイルーゾォだったが、
あまりにもハッキリと、しかもすぐに彼女が自分のスタンドの名前を口にしたため、
その表情は彼女以上に驚いたものとなっていた。
「見えるんだな?オレのスタンドが。」
「見えます…見えるし、分かる……分かる、貴方の言葉…分かるよ……イルーゾォ…!!」
「!!」
「イルーゾォ…!」
「ッ……you……!!」
スタンドを見て、その名前と使用者であるイルーゾォのことも思い出したyou…。
お互いに感極まって、その場でぎゅっとハグを交わした。
「いつも、静かな空間を求めてる時、鏡の世界に入れてくれた…イルーゾォだよね…?」
「そうだ…間違ってない……大正解だ、you…。」
ゆるりと身体を離して泣き顔同士で顔を見合わせ、2人して酷い顔だ、と笑い合う。
そして…。
そんな2人の遣り取りを見ていたジェラートがソルベに小声で話し掛ける…。
「ね、ねぇソルベ……今、何が起こったの?イルーゾォはずっとイタリア語で話してるのに、youはまだ日本語で喋ってるよね……何でイルーゾォはyouの言葉が理解できてるの?イルーゾォって日本語堪能なの?」
「わ、分からない……youも、オレ達のイタリア語は分からないのにイルーゾォのイタリア語は分かってるように見える…。」
ジェラート達の会話を聞いて、イルーゾォが日本語堪能なワケが無い…と、ホルマジオとメローネが顔を見合わせる…。
どういう状態なのかさっぱり分からないが、ひとまずイルーゾォのことは思い出し、
彼の言葉も理解できるようになったということは、彼女のスタンド能力は健在ということで、ひとまず安堵する2人…。
スタンド能力が健在だと確認できたイルーゾォはぐいっと荒く腕で涙を拭うと、
「おかえり」と一言伝えて、彼女の頭をポンポンと叩いてその場を離れた。
「身体の傷もまだ全然完治してないし、暫く様子を見ないとアレだが……スタンドが健在なのは何よりだったな。」
「はぁ~?何か納得いかねェんだが?!何でイルーゾォは一瞬で思い出して……いや、スタンドが健在ならどうなんだ?今は、おい、you!オレのことは?!オレの言葉は分かるか?!オレの「リトル・フィート」のことやオレ自身のことは?!!」
「そりゃあお前、日頃の好感度だろ。おれ様は結構youに頼まれてスタンドで鏡の世界に連れてってやってたからな~。」
「何だよそれ!ずりーな!おい、you~!!」
グイ!とイルーゾォを後ろに払い除け、
ホルマジオは今度は自分のスタンドである「リトル・フィート」を発現させ、再びyouの目の前へと乗り出す。
「オレのことは!?」
「E?!Eeto…Sumimasen…。」
「また「Sumimasen」かよ!!ダメかーーーー!!!ちくしょーーー!!」
「・・・。」
「ったく、しょ~がねェ~なぁ……っとに…。」
「!!!」
「ま、いいさ、秒でイルーゾォのヤツを思い出したんだ、近いうちに皆のことも思い出すさ、な、ガッティーナ?」
「ほ………ホルマジオ…?」
「!!?」
「「しょ~がねぇーな」って口癖、覚えてる……ホルマジオの口癖だ…。」
「ガッティーナ…?」
「名前で呼ばれるより多いよね、その愛称…いつも嬉しいけど。」
「ガッティーナ!!」
まるで久しぶりに再会する親友や恋人にするような強い力で、youのことをぎゅうっと抱きしめるホルマジオ。
しかし、すぐさま彼女の怪我のことを思い出して「悪ィ!」と両手を離した。
「オレの事忘れるなんて酷い女じゃねェか全く…!」
「よく分からないの、ごめんなさい……でも、ホルマジオの言葉、分かって嬉しい。」
「ああ、オレもだよ…。」
youの額に軽くチュ、とキスを落とすホルマジオ。
「あー、何だ……まぁ、オレよりお前と話したいヤツがいるしな……オレはリビングに戻るが…何か困ったことがあればすぐオレのこと呼べよ?」
「ありがとう、ホルマジオ。」
「あと、あんまり無理すんなよ?きつかったらすぐ寝ちまっていいからな?」
「うん、大丈夫。」
イルーゾォと同じように、彼女の頭をぽんぽんと撫でてベッドから離れるホルマジオ。
そうして会話が成り立つようになったイルーゾォとホルマジオは2人してメローネの背をバシバシと叩いて部屋を出て行った。
「ディ・モールト痛い…馬鹿力共…。」
「メローネ、話してみたらどう?you、思い出すかも…。」
「・・・。」
「ソルベ、オレ達も一回外出ようか。」
ジェラートの気遣いにソルベも頷き、彼等も仮眠室を出て行き、部屋にはメローネとyouだけとなった…。
「あー……えっと…………座っても?」
「?」
「だよな……分からないよな、じゃあ悪いが座らせてもらおう…。」
そう言ってメローネはyouのベッドサイドにゆっくりと腰を下ろして、彼女の方を向いた。
「何を話せばいいんだ……言葉も通じないのに…。」
「??」
「・・・本当…嫌になるな……この期に及んで期待してる自分がいるのが…。」
「Ano…?」
「「ano」?ケツ穴?クソッタレって言いたいの?オレのこと……ハハ、なワケないよな、アンタに限って…。」
「・・・。」
「オレがアンタを一方的に傷付けて、あまつさえこんな目に遭わせたのに………どんだけ最低なんだオレは……もう取返しがつかないのに……またアンタに名前を呼ばれたくて、笑い掛けてほしいとか、都合良いよな、そんなの……。」
「・・・。」
語り掛けているではなく、ただ一人で独白するような様子は、
言葉は理解できずともyouに伝わったらしく、メローネの言葉が止まるまで、彼女はただ黙して待った…。
「・・・。」
「ああ、悪い……一人で喋って、オレの言葉が理解できないアンタには、ワケが分からなかっただろう?」
「……Gomennasai…。」
「ッ……!!」
「…Anatanokotoba…Wakaranakute、Gomennasai……Watashi…Anatano…」
「頼むからもう謝らないでくれ!!」
「!!」
「悪いのはオレだ。全部オレなんだ!!」
耳に届いた「ごめんなさい」という日本語の謝罪の言葉で、
メローネの脳内にあの日の光景がフラッシュバックする。
罪悪感で押しつぶされそうになった彼の唇は震え、眉根を寄せた悲痛な面持ちで…。
youはその苦しそうな顔を見てハッと目を見張り、恐る恐るメローネに手を伸ばしたのだが、
彼はその手をパッと振り払ってベッドから立ち上がると、逃げるように部屋から出て行ったしまった…。
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それからyouはいつも包帯や傷の手当を続けてくれるジェラートを思い出し、
彼と共にこのチームのメンバーになったソルベの記憶も一緒に呼び起こした。
リゾットに至っては、出勤して事務室の椅子に座った瞬間に
「リゾット!わたしいつから報告書上げてないんですっけ?!」と絶叫して思い出したので、
彼女の日本人的社畜体質に一同がドン引きしたという流れがあり、
その後は各々の口癖や特徴的な行動、持ち物などの、ほんの些細な事をきかっけとして
プロシュートやギアッチョ、ペッシのことなどを次々と思い出した。
そうして、傷が完治する頃には自分の生い立ちや財団に所属して、
パッショーネに派遣されてこのチームに来たことも思い出していたし、
仕事内容も問題なく覚えていたため、ブチャラティやSPW財団への報告は必要ないとリゾットは判断。
仕事にも復帰し、普段通り家にも帰って、今までと同じ生活を送れるようになっていた。
ただ一人、メローネの存在だけ思い出せないという事を除いて。
dimenticare
忘れる
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*