Lei e un fiore. (番外編 / リゾット)
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「早く帰って来ないかな…。」
切ない溜息を吐き出しながら、そう呟いた。
Lei e un fiore.
Bentornato!(おかえりなさい!)
「危ない任務じゃないとは言ってたけど……心配させないようにそう言ったんじゃ…。」
眉を八の字に下げて…。
「……怪我とか…してないか心配…。」
急に不安が押し寄せる。
「5日……同じイタリアだけど、ベネツィアはやっぱり遠いよね…。」
盛大な溜息を吐く…。
「たった5日でもう寂しい……早く会いたい……リゾット…。」
と、まぁ…そんな様子で、北イタリアのベネツィアに出張中であるリゾットの帰りを待っているyou。
帰りの時間が分からないからと、迎えもやんわり断られたため、youは自室にてこうしてしょんぼりと、お留守番を強いられた子犬のように寂しがっている真っ最中であった。
「はっ!もしかして……ベネツィアで出会った女性と何やかんやあったとか無いとか!」
唐突に思いつき…。
「いやいやいや、リゾットに限ってそれはない……そんなことされたらわたし今の仕事辞めて日本に帰るし。絶対帰るし。そもそもリゾットは浮気しないもん……絶対しない!信じてるし!うん!」
一人で問答を行う。
「何時に帰ってくるんだろう……いや、何時に帰ってきてもいいように今日明日で連休取らせてもらったし…大丈夫!真夜中でも起きて、ちゃんとリゾットに「おかえりなさい」って言う!!」
両手をぐっと握りしめて。
「それから……ぎゅうっと抱きしめてもらいたいなぁ…。」
傍にあったぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめる。
「お願いしたらキスしたり髪を撫でたり、してくれるかな……多分、してくれると思うけど……疲れてたら次の日にしよう、ね…。」
抱きしめたぬいぐるみに話しかける。
「リゾット……リゾット、早く帰ってきて……ウサギは寂しいと死んじゃうんですよ…。」
そう呟いて自分を兎に譬えてみる。
だが、そうしたことで、自分は今一人で寂しい生き物なのだと自覚することとなり、意図せず涙が零れ落ちた。
その雫が床に一滴パタリと跳ねた刹那、youの身体はぎゅうっと、正面から誰かに抱きしめられた圧迫感に包まれる。
「な、何っ?!!!」
「you、オレだ……。」
「り・・・リゾットッツ?!!?」
たった今まで何もそこには存在しなかった空間に、突如としてリゾットの姿が現れた。
動揺を隠せないyouに、リゾットはひとまず落ち着くようにという意味を込めて言葉を落とす…。
「ただいま、you。帰りが遅くなってすまなかった……。」
「あ…お、おかえりなさい……おかえり、なさい……??!」
未だ少し動揺しているyouは、語尾に疑問符を付けながらリゾットに出迎えの言葉を掛ける。
玄関の開く音も、部屋に入ってくる気配も無かっただけあって、驚くのも無理はない…。
そう思って、リゾットは彼女の困惑に軽い解説を施してあげることにした。
「メタリカの能力で鉄分を操って姿をくらませて入ってきたんだ。キミを驚かせたくて。」
「す、凄く驚きました!あと、仕組みは全く理解できませんが、メタリカの能力でそんなこともできるのかという驚きが今正につけ加えられました…。」
「はは、そうだな……驚くよな。」
「んでも……リゾットがちゃんと無事で帰ってきてくれて良かったです…。」
「心配を掛けてすまなかった……待っていてくれてありがとう。」
「寝ずに待っておく予定でしたから…。」
「身体に悪いぞ。」
「でも、リゾットに「おかえりなさい」を言いたかったから…。」
「you…。」
「おかえりなさい、リゾット…!」
「ああ、ただいま…you。」
抱き付いたまま、その顔を見上げているyouにリゾットはキスを落とす。
本当は顔をがっちり掴んで深く口付けて口内を荒らし回りたい気分でいっぱいだったが、
事を急くより、今は彼女と沢山言葉を交わしたくて、すぐに唇を離した。
「あっ、リゾット、ご飯は食べてますか…?」
「ああ、戻るのが夕刻を過ぎそうだと分かったから、割と早い時点で終わらせてきたよ。」
「そうですか……荷物は?」
「いったん家に寄ってスーツケースごと置いてきた。洗濯やら何やらあるからな。」
「なんだ、それごと持ってきてよかったのに。」
「(本当はスーツケースごと持ってきたらカートの音でステルスがバレると思ったからだがな…。)」
どうあってもyouをメタリカの能力で驚かせたかったらしいこの男…。
そんな彼の考えを知る由もないyouは「じゃぁ、あとはお風呂に入って歯磨きして寝るだけですね」と、言いながらリゾットのために飲み物を用意しにいってくれている。
「リゾット、何飲みますか?」
「グリーンティーがいい。youが淹れてくれたものはとても落ち着く。」
「えっ、うれしい…。」
「最初は本当に味が無いと思っていたが……慣れると香りや味に気付くようになった。リョクチャ(緑茶)は美味しいよ。」
「うわわ、ありがとうございます…!」
「ユノミ(湯呑)で飲むのも気に入っている。」
「うん、それ思ってました……リゾット湯呑み持ってる姿似合うって……はい、どうぞ。」
「グラッツェ。」
ゴリゴリの欧州人感を漂わせながら、丁寧に日本製の湯呑みを持って緑茶を啜る姿は、元来言葉にすると大変奇異なものなのだが、
その光景としては何故か板にいているというか…有体に説明するとよく似合っている。
リゾットの持つ物静かで強者の風格が古(いにしえ)の戦国武将のように思えるからではないか…などと、ぼんやり考えるyouであった。
それから少しの間、夜のティータイムとなり、出張先の話や留守中の話などをして時間を過ごし、
疲れが溜まらないうちに、とyouに促されてシャワーまで終わらせられたリゾット。
ガシガシと濡れた髪をタオルで拭きながら、リビングに戻ってきた。
「シャワー使わせてもらった、ありがとう。」
「プレーゴ、歯磨きは?」
「済ませた。」
「明日の予定は?」
「普段通りだ。事務所で出張の報告書を上げる。」
「じゃぁ、もう寝ないと……家に戻られますか…?」
「まさか……事務所から多少遠くてもyouの家に泊まりたい。」
「ベッドは狭いですよ。」
「構わない、youといれるなら。」
「じゃぁ、風邪引かないように髪を乾かしましょう。」
「ん。」
「(かわいい…。)」
少し疲れが出てきているのか、はたまたやっと安心できる場所に戻って来て気が緩んだのか…。
リゾットは微かに眠そうな目をしてコクリと頷き、ソファにストンと腰を下ろした。
すぐに洗面台からドライヤーを持ってきて、リゾットの髪をyouが乾かす…。
銀色とも白金ととれる、その短い銀細工のような髪はすぐに水分が捌けて、10分と経たずにサラサラの状態に変化した。
「はい、終わりました。」
「グラッツェ……。」
「大丈夫ですか?でも、もう寝るだけですからね……ゆっくり休んでください。」
「・・・。」
ドライヤーを片付けた後、youはソファでボーっと目を瞬かせているリゾットの腕をぐい、と引っ張る。
「移動の疲れとかが一気に来たみたいだね、リゾット、ベッド行きましょう…。」
「そうだな……うん。」
うたた寝ていたワケではないので、しっかり意識もあったリゾットはyouの呼びかけにもちゃんと呼応し、立ち上がって寝室へと向かってくれた。
youも既にリゾットが帰ってくる前に食事も入浴も済ませていたため、電気を消して寝る準備万端で一緒にベッドに入る。
「出張おつかれさま、リゾット。」
「ああ……寂しかったか?」
「うん、割と……すごく。」
「・・・オレもだ。」
「そうなの……ふふ、うれしい言葉。」
「you、抱きしめていいか?」
「そうしてほしかった……うん、もちろん。」
ベッドの中でぎゅうっと抱きしめ合う…。
5日ぶりの体温と匂いに絶大な安心感を覚えるyou……たった5日でこんなにも寂しかったのだと、改めて感じて思わず泣きそうになってしまった。
そして、一方のリゾットはというと…。
「(あ、いかん……光の速さで眠気が飛んだ。)」
彼女と同様に「たった5日で」と感じたのは勿論なのだが、抱きしめてその存在を近くに感じたことで、寂しいより圧倒的に愛しいが勝った結果、今までの怠さや眠気が瞬時に吹き飛び、ムズムズと愛したいという欲望に意識が支配されていく…。
さて、もう既におやすみモードに入ってしまったこの状況をどう覆せばよいものかと、考えを巡らせるリゾット…。
ひとつ、彼女の発した、それらしい呟きを拾い上げた。
「ところで、you……ウサギというのは寂しいと死んでしまうんだな……知らなかったよ。」
「あ、あれは日本のドラマの台詞です……実際にはそんなことは無いですよ…。」
「何だ、そうだったのか。」
「ええ、でも……可愛いたとえに使われることが多いので、思わず使っちゃいました。」
「ウサギのyouが寂しくて死んでしまう前に帰ってこれてよかったよ。」
「たとえだって言ってるのに……。」
「知っているか?ウサギは「再生の春」のシンボルなんだ……オレはyouと一緒にいるといつも陽だまりにいる気がする。だからウサギにたとえられても割と納得してしまった。」
「そうなんですか?……でも、リゾットにとっての春になれていれば、それはとっても光栄です!」
「ありがとう、you。」
僅かな下心や些細な嘘は真実の中に潜ませるとそれらしく聞こえると上手くカモフラージュできるという…。
これはまさにその体現で、リゾットが彼女を春のようだと例えたことは本当に、嘘偽りない真実。そう伝えたかったのもまた真実。
だがしかし、それに隠れるようにして忍ばせた、本来の目的は別のもの…。
「それからもう1つ。」
「んー?」
「年中発情しているウサギは「性的誘惑」のシンボルでもある。」
「・・・。」
「だがそれはyouのイメージではないな。」
「そ、そうですね!!そうですよね!」
リゾットの追加情報に怪しい気配を感じたが、彼自身がそれを否定したため、youは全力でそれに乗っかろうと試みる。
だがしかし、そんな返答はあっても無くても構わないもので、発言の主導権は未だリゾットのものなのだ。
「それはどちらかと言うとオレのイメージだな。」
「そうですよね!!…………え?」
「youの言葉や仕草、行為も全て……意識して見ていると常に愛おしさが溢れるよ。」
「リゾット…。」
「そしてその時は常に情欲に駆られる。」
「うわちょっと待ってイヤな予感しかしない。」
「5日耐えたんだが、矢張りもう無理そうだ……明日まで休みを取っていると言っていたな、you。」
「あああ明日はわたし、かかか買い物に行くつもりで…!!それにリゾットは出勤でしょう?!」
「オレのことは心配するな、大丈夫だ。買い物はオレが仕事帰りにしてくる。」
「た、助け…!!」
「もう限界だ……最低でも3回は愛させてくれ!!」
「あああああ!!!!」
youの悲痛な叫びは何のその…。
発情した兎……というよりは最早それを食らう肉食獣のような姿でyouに覆い被さり、
youの唇を貪りながら性急に着衣を脱がしに掛かるリゾット…。
何がきっかけでこうなったのか全く理解が追い付かず、唐突に覚醒したリゾットの性欲に困惑するyouだったが、
顔も合わせない時間をそれはそれは長く感じていたということも相まって、割と短い時間で諦め…
…基、リゾットの愛欲を享受するのであった。
Bentornato!
ちなみにキミの独り言は
最初から全部聞いてました
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*