Lei e un fiore. (番外編 / リゾット)
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「こんな時間が過ごせるなんて、夢みたいです…!」
宝石箱をひっくり返したような煌びやかな夜景を前に、彼女はそう言った。
Lei e un fiore.
Viaggiare(出張)
「うわわわ、凄いー!リゾット見て、凄い、夜景が凄いです!」
「ああ、本当だな。」
「向こうに見えるのはタイムズスクエアでは?!タイムズスクエアのお店は遅くまで開いているらしいので、後で行きましょう!ホテルからも近いですし!」
youが指さした先にある、一際光彩を放つ賑やかな一区画はアメリカ、ニューヨーク州のタイムズスクエア。
そして、彼等が今いるその場所はそこからほど近い観光名所であるトップオブザロックの展望台。夜8時の夜景を楽しんでいる真っ最中だ。
何故、どうして、このような状況なのかというと「出張」この一言に尽きる。
今回、パッショーネと協力関係にあるSPW財団のニューヨーク支部への出張を、ボスであるジョルノから任されたリゾット。
リゾット自身は英語も話せないわけではないので、単身での出張でも問題はなかったのだが、
2人の関係性を知らないジョルノから、財団の日本支部しか知らないyouのために、ニューヨーク支部の見学を兼ねて一緒に連れていってはどうかと打診があったのだ。
SPW財団の本部はアメリカのテキサス州ダラスだが、情報の坩堝としてはニューヨーク支部も重要な拠点ということだろう。
滞在期間はそう長くはないが、仕事さえ終われば恋人との海外旅行に他ならない。
そんな有難い申し出を断るワケもなく、リゾットは二つ返事で「そうします」と答えた。
現地に到着してからはホテルにチェックインして、早々に財団の支部へ向かい、ジョルノから任された任務を済ませたのだが、
対応をしてくれた財団の幹部がとてもコミュニケーションを取りたがる性格だっため、
リゾットの本来の任が完了した後も、youの事情を聞いて、それならば!と、丁寧に財団の支部を案内し、更には折角なので昼食も一緒に摂ろう!といった感じで、半日ほどずっと行動を共にしていたのだ。
旧パッショーネの時代から今に至るまで、多様な顔を持っていないと任務がスムーズに遂行できないということもあり、リゾットは基本的にどのような相手にも柔軟に対応することに慣れており、ニューヨーク支部の幹部を相手にしても動じることなくスムーズに会話をこなしていた。
ただ、youはやはり一般人…。
しかも、日本支部の平社員という肩書きを背負ってやって来ているというところもあり、
海外支部の幹部相手に引け越し具合MAXで、当たり障りない会話を回していくので精一杯だった。
これで自分のスタンドが無かったらと思うと本当にゾッとしてしまう程…。
最終的に夕飯もどうかと誘われたが、それはリゾットが丁重にお断りをしてくれたので、youは先程、やっと心からの笑顔で夕飯を摂ることができた。
それから、ホテルからも近いということでニューヨークの顔と言っても過言ではないロックフェラーセンターを訪れ、日が暮れてから隣接されているこのトップオブザロックの展望台へやって来たのである。
「……先程までとは打って変わって……まるで水を得た魚のようだな。」
「うっ…だって……さっきは緊張してたから…。」
しょぼん…と、俯いたyouに「まぁ、気持ちが分からなくもない」と、フォローの言葉を投げ掛けてやるリゾット。
「まぁ、あんなに話をしたがる人間だとは思わなかったから…オレも驚いた。」
「気さくな方で良かったという点はありますけど……社内も沢山案内してくれましたし…。でも、もっと早く自由時間になれたらよかったのになぁ……とか…。」
「どちらかというと、そっちに重点を置いていたというか…日本支部のyouを持成したかった様子だったな。オレとしても、早めに切り上げてyouと観光を満喫したかったよ。」
「うん……明日の夕方には帰国なので、本当に弾丸ツアーですけど……でもでも、短い時間でもリゾットと2人きりで過ごせて幸せです!」
「ああ、オレもだ。」
横並びで夜景を見ながら、youはリゾットの腕にコテン、と頭を傾ける。
その行為が可愛くて、リゾットは後ろから抱きしめるために場所を少し移動した。
高い高い展望台では強い風が吹いていたが、リゾットの腕の中にすっぽり収まったyouはその瞬間から、風の影響を殆ど受けなくなるのだった。
それから暫く2人でニューヨークの夜景を鑑賞し、その後、youのリクエスト通りタイムズスクエアへ。
ラスベガスや東京はよく「眠らない街」と称されることがあるが、タイムズスクエアもまた遅い時間帯まで多くの人々が賑わう都市の一角で、
真夜中までの時間、沢山のショップで色々なものを見て回り、youはチームメンバーのためのお土産をしっかり確保した。
「M&M'sのストア可愛かったですね……チョコレートばっかり買いすぎちゃった…。」
「大丈夫、ペッシが食べる。ギアッチョも結構チョコレート好きだぞ。」
「本当ですか、よかった!!ああ、でもスタバのN.Y.限定のドリンクボトル欲しかったなぁ……売り切れとか残念……欲しかったのに。」
「タンブラーじゃあダメなのか。」
「タイムズスクエアでしか販売してないドリンクボトルが可愛いかったんですよ……ドリンクボトルが…。」
「そういうものか…。」
「そういうものなんです…。」
「マグカップはどうだろうか、場所限定というものがあるのか?」
「マグカップはN.Y.全土同一デザインらしいですよ。」
「では、どのスターバックスでも問題ないな……ホテルへの帰りに買っていってもいいだろうか?」
「ええ、勿論……でも、どうしてさっき買わなかったんです?」
「今思いついたからな……記念にオレの分とyouのと……2つ買っておこうと思って。」
「え、何それ可愛い……(リゾットが)。」
「ん?そうだな、デザインが可愛かったしな。」
その発想が可愛いと、youがリゾットを見上げると、彼はそれをマグカップのデザインを示唆していると思ったらしい…。
ふわりと優しい笑みを落とし、図らずもyouの心拍数を上昇させる…。
youが歩きながら未だに脳内で「リゾットが可愛い!」と悶絶していると、渦中の相手が目的のコーヒーショップを見つけたようで、マグを買いに店内に入ることを告げてきた。
「you、店があった。マグを買うから寄ってもいいだろうか?」
「も、もちろんです!」
「グラッツェ。」
そうして目的のものを手に入れ、ようやっとホテルに帰り着いた時には既に夜中の12時を回っていた。
ただ、お互いの感覚としてはもう少し時間が経過していると思っていたため「意外と早くに帰ってきたな」などと思いながら、翌日の準備や荷物の整理に取り掛かる。
パッショーネの手配で部屋は勿論2部屋取られているが、2人の関係性を考えると、喧嘩でもしない限り別の部屋に泊まる選択肢は無いため、
チェックイン後すぐにリゾットはyouの部屋に自分の荷物を運びこんでいた。
「リゾット、明日の服はソファのところに置いておきますね。」
「グラッツェ、you。」
「よーし、荷物詰めようっと。」
「you、ちょっといいだろうか。」
「はいはい、何でしょう?」
荷物整理の手を止め、youはベッドの上に座るリゾットに手招かれるまま、彼の横に腰を下ろした。
「明日は10時半までにチェックアウトを済ませて、荷物はホテルに預けて少し観光、それから荷物を回収して空港へ向かう予定だ。」
「ああ、明日の予定ですね?了解です!」
「それで……朝食のことなんだが…。」
「朝食?何か問題でも?」
「朝食が昼食になっても構わないだろうか?」
「朝食が昼食になる??って、どういうことですか??」
「要するに……ホテルの朝食は食い損ねるだろうという意味だ。」
「うっ……わ、わたしが寝坊するって言いたいんですかぁ?」
「少し違うな…。」
リゾットの言葉に「ん?」と首を傾げると、彼は頭に疑問符を浮かべているyouに、至って真剣な顔つきでこう言い放った。
「寝かさない、という意味なんだ。」
「あ、イヤな予感……わたし、お風呂に入っ……!」
「オレも入ろうと思っていた。」
「ギャー!腕掴まれたーー!!じ、じゃぁ……リゾットお先にどうぞ…。」
「いや、一人ずつ入らなくていいように、バスタブに湯を張っている。帰ってきてすぐ入れたから、もうすぐ溜まる頃だと思うぞ。」
「嘘でしょ……いつの間に!」
「行こう、you。」
「いや、あの!!リゾット!!!」
ベッドから立ち上がり、youの腕を掴んで歩き出そうとするリゾット。
しかし、youも気持ちが追い付いていかずに「NO!」と着席したまま拒否をする…。
「急に言われても……急に言われても……!!」
「……you…ダメか?」
「その顔卑怯です…っ……!!//」
切な気に、許しを請う目の所為で、リゾットの麗質が三割増し上がって見える。
顔を真っ赤にして困ったように俯いたyouの頬に、リゾットの手が添えられた。
「ニューヨークに行った時、youと何処に行ったか、何をしたか、どんなものを買ったか……どんな夜を過ごしたか…沢山、思い出したいんだ…。」
「リゾット……意外と欲張りなんですね。」
「そうなんだ……youとの事になると、自分でも驚くほど欲深くなるみたいでな…。」
「うう、分かりました…リゾットの希望を叶えます……が!その代わり、わたしも3つお願いがあります!」
「随分具体的そうだな……一体何だろうか?」
「1つ目は明日、5番街に行きたいです!」
「ティファニーでアクセサリでも買うのか?」
「ううん、わたしのじゃなくて、プロシュートのお土産です。ブランド街に行けたら買って来てって頼まれものがあったので。セント・パトリック大聖堂も見たかったですし…。」
「ああ、分かった……では、2つ目は?」
「2つ目はですね……どうしても一緒にお風呂入るんですか?」
「どうしてもだ。」
「うう……じゃぁ、浴室の電気消して……部屋から入ってくる電気だけで我慢してください……じゃなきゃ入らないです…っ!」
「・・・・・。」
「入らないですっ!//」
「わかった……それで、最後は?」
「3つ目!!重要ですよ……これはとっても重要です!」
「そうか……じゃぁ、その重要なお願いを聞かせてくれ。」
ベッドに座るyouと視線を合わせるように、リゾットは床に片足を付いて話を聞く。
その同じ高さの目線で、youはリゾットの手をぎゅーっと握ると「あのですね!」と口を開いた。
「リゾットと何処に行ったか、何をしたか、どんなものを買ったか…と、どんな夜を過ごしたか…わたしも沢山思い出したいです……だから……一緒にいっぱい楽しんでください。買うものだって色々一緒に悩んでくださいね!それとあとは……ええと…うん…//」
「っ……勿論、忘れられないくらい愛させてもらうよ。」
「ええと……は、はい…//」
「というか……2つ目と3つ目は……オレに理性を捨てろと言っているようなものだぞ……無自覚なんだろうが…ああ、もう……。」
「えぇ?!何で2つ目も?!」
「だって……暗いと、その……触るだろう?割と、遠慮なく……。」
「・・・。」
「・・・。」
「リゾット……やっぱり2つ目のお願いは取り下げ…」
「youの願いだからな、全て叶えるよ。そういうことだから、行こう。そろそろ本当にバスタブの湯が溢れてしまう。」
「まっ、まって!!」
「無理だ。もう待てない。」
「ああああああ!!!」
知らないうちに地雷を踏み抜いていたyou。
そんな有難いシチュエーションを逃すわけもなく…。
リゾットは未だベッドに居座ろうとするyouをそこから引き剥がし、軽々と抱き上げて浴室へ向かうのだった。
Viaggiare
出張と旅行は紙一重!
words from:yu-a
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