Lei e un fiore. (番外編 / リゾット)
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「Excuse me……?」
youが振り向けば、そこに何となく見覚えのある男性が一人。
Lei e un fiore.
gelosia(嫉妬)
「ああ、やっぱり…!えっと、ボクのこと覚えてるかな…いや、覚えてないか…。」
「えっと、えっと…すいません、お顔は憶えているんですが!」
「本当?それだけでも嬉しいよ、えっと、同じSPW財団の社員で、パッショーネに派遣されたメンバーの一人で……アレンって言うんだけど…覚えてる?」
「ああっ!思い出した!!説明会で話しかけてくれた!!」
「そう!ああ、良かった……覚えててくれたんだ…。」
ホッと安堵の息を吐いた彼…アレンと名乗った男性は、
youと同様SPW財団の社員で、パッショーネに協力するために各国からイタリアに派遣されたメンバーの一人であった。
派遣されてきた人数は少なくないが、その中でイタリアでSPW財団とパッショーネの合同説明会が開かれた際に、隣に着席していたのがカナダ出身の彼だったのだ。
「久しぶりだね、元気にしてた?」
「お陰様で。えっと…アレンくんは?」
「オレはまぁまぁってトコかな……配属先のチームメンバーに英語を話せる奴がいたし…そこまで素行の悪い奴がいないのも幸いだったかな。」
「そうなんだ……やっぱり大変な配属先もあるんだね。」
「そりゃあ……やっぱりギャングだから……殴り合いの喧嘩になって両成敗とか、ヤバい話を上に報告してチームから危うく殺されかけたヤツもいるって話だ。」
「そ…そうなの?!」
「協力関係とは言えど、やっぱり本質はギャングだからね。いくらボスや財団が目を光らせてるからって把握は完全じゃあない……今のところ殺されたって話は聞かないけど、危ない目に遭ったって噂で聞いたりはしてた。既に辞めちまった奴も、別の勤務に移動届を出した奴もいるってさ。そもそも、ボクは第二外国語で勉強してたからまだ何とかいけるけど、イタリア語話せない奴だっていただろうし。」
「ひぇ…そうなんだ…。」
脅しではなく、恐らくは本当の情報が主なのだろう…。
深刻な顔つきでそのように話すアレンに、youの背筋が凍る…。
また、自分の配属が今の特殊任務依頼チームで良かったとも…。
「それで…さ、youは大丈夫?配属先のチームはどう…?危ない人たちだったりしない?」
「うん、それは大丈夫。皆とっても優しいよ。」
「そうか…それは良かった……でも、気を付けてね。少しでも危ないって感じたら上に報告した方が良い。」
「アドバイスありがとう。」
「うん……えっと……それで。」
「うん?」
「いや、実はずっと君の事が気になっていて……だって、女性って凄く少なかったから……心配で。」
「そうだったんだ…アレンくん……ありがとう。」
「ホラ、説明会隣だったし、日本人なのに流暢に英語を話すから、ビックリして凄く印象深かったし。」
「そっかそっか…(スタンド能力のお陰なんですが…)。」
「話してて、いい子だなって思ったから……できればまた会いたいと思ってて…。」
「そうだったんだ…光栄です。」
「そ、その…だから、よかったらこれから一緒に食事でもどうかな!」
「ええと……それは…。」
憶えていてくれたことは正直に嬉しいと思ったし、自分への評価も有難いと思った。
そして、逆に自分が覚えていなかったことに対して、申し訳ないとも…。
ただ、それ以降の話に関しては、すんなり了承はできない立場にいるyou。
その原因が、今正に其処へ遣って来てしまった。
「you、すまない……待たせてしまったな。」
「リゾット!」
「…そちらは?」
「えっと…彼はアレンくん。わたしと同じパッショーネに派遣されてきたSPW財団の社員さんです。」
「ああ、SPW財団の…。」
「最初のイタリアでの合同説明会の時、お隣の席だったのですが……今日、偶然わたしを見掛けて、お声を掛けてくださったんです。」
「そうだったのか…。」
「えっと、アレンくん……この方はわたしの…。」
「初めまして、youのフィダンツァートのリゾットです。」
「!!!?」
ハッキリ言って胡散臭いくらいの爽やかな笑みを浮かべ、アレンに手を差し出すリゾット。
普段の彼も勿論笑うことはあるが、それはどちらかと言うとあたたかで穏やかな笑みが多く、
こんなに作ったような涼やかな笑みは未だかつてyouは見たことが無い…。
有り余る違和感にゾワリと鳥肌が立つのを感じつつ、youは無意識に言葉を噤む。
「えと……フィダンツ…?」
「失礼、英語ではフィアンセと。」
「えっ、は……こん、やく……?」
「ええ、まぁ。」
戸惑うアレン青年に、大人気無く余裕の笑みを向けるリゾット。
「婚約者」というのは本当なのか、違うなら彼女が否定をするはず…と、アレンはyouに視線を向けるが、彼女は困った顔を浮かべはするも、否定の言葉は出さなかった。
「そうなの、you…?」
「えっ、ええと……………うん。」
「そう、なんだ………それはその…じゃぁ、さっきのはゴメン……困らせちゃったよね。」
「いえ、だ、大丈夫……。」
「そういうことなら、ボクはこれで失礼するよ……えっと…bye、you。」
「バイ、アレン…。」
ヒラヒラと手を振って、気まずそうにそそくさとその場を去っていったアレン。
彼の姿が広場から消えてしまうまで見送り、youはリゾットへ向き直った。
「リゾット!どうしてあんな自己紹介を?!会社絡みなんだから……上司か同僚でよかったじゃないですか…!」
「婚約者では不服だと?」
「不服というか……TPOにそぐわないんじゃないですか?」
「今の場合では適している。」
「リゾット…!」
「だが、youも否定をしなかった。」
「そっ、それは…………それは……その…。」
「それは?」
「……嬉しかったから……ですけど…。」
「なら、問題ないと思うんだが。」
「もぉ、ある!//」
「では否定したらよかったんじゃあないか?」
「あああ、無限ループじゃないですかそれ!!」
「仕方ないだろう、こっちも割と必死なんだ……悪い虫が付かないように気を張っていないといかんのだから。」
「リゾットなら付くかもですけど、わたしには付きませんよ……。」
「オレにも付かない。そもそもオレはyou以外には近付かない…。」
「何ですかそのポーズは……。」
「む、すまん……何故か身体が勝手に。」
背景にドドドドを背負って、肘を真上に引き上げた謎のポーズを取るリゾット…。
「うっ…?」
「どうした?」
「いや、何か……黒頭巾に裸コートの下に直のクロスベルト、よく分からないバンクルに縞パン履いてるイロモノコスなのに強者の風格漂うイケメンなリゾットの姿が一瞬…見えて……すいません、何言ってるか分からないですよね。」
「はい、何言ってるか分からないですね。幻です。忘れてください。」
「は…はい…(丁寧語?!)」
youの両肩をガシッと掴み、真顔で彼女の発言を拒否するリゾット…。
それは「真剣」と書いて「マジ」と読むに相応しい眼力であった…。
気を取り直して、youはそのままリゾットに質問を投げ掛ける。
「あのっ…リゾットにお尋ねですっ!」
「ん?」
「今のは…今のは、もしかして…やきもちですか?」
「もしかしても何も……嫉妬からくるもので相違無い。」
改めて確認するまでもないだろうと言うリゾットと、分かってはいたが確証が欲しかったyou。
それでも、矢張り嬉しいものは嬉しいのだ、と……にやけきった顔でyouがリゾットに抱き付こうとした刹那…。
「カルロ!!」
「!!?」
youが抱き着くより先に、彼女の後ろから突如として現れた一人の女性がリゾットの片腕にしがみ付いた。
流石のリゾットも一瞬何が起こったのか分からずに、youと視線を合わせたまま目を見開いて衝撃でよろける…。
「貴方カルロよね!ああ、こんなところで会えるなんて!!」
「え…?」
「私、貴方にまた会いたいってずっと思っていたのよ!!嬉しいっ!」
「えと……貴女は…。」
「リオナよ!お店に来てくれたでしょ?金髪の……フラヴィオだったかしら?あのブランドで固められた美形のお友達と一緒に…。」
「……あ!」
「思い出してくれた?あれから全然お店来てくれないけど、私あれからずっと貴方に会いたかったのよ!」
「それは申し訳ない……あの店には仕事で用事があって行っただけだったから…。」
「えー、じゃあまた来て!またあの時みたいに色々恋愛の話をさせてちょうだい?前は私ばっかり話してたけど、今度は貴方の話を聞きたいし…!皆は貴方のお友達が好きって、こぞって言ってたけど、私は断然貴方だったもの……クールで、名前の通り、男らしくて…!!」
「はぁ…。」
「……ねぇ、カルロ!これから一緒にお茶してくれない?今度はもっと本気で貴方にアプローチしたいの!」
「それは…。」
「大丈夫、その子の道案内が終わるまで待ってるわ!」
「み、道案内…?」
「ええ!」
抱き着いてきた彼女…リオナと名乗った美しい女性は怒涛のトークを繰り広げ、リゾットは圧倒されて殆ど何も言葉を発することができずにいた。
やっと落ち着いたかと思えば、謎の「道案内が終わるまで」という言葉…。
リゾットだけでなく、目の前でその遣り取り聞いていたyouも、
彼女は急に何の話をし始めたのだろうかと思ったのだが、ハッとお互いに目を合わせて状況を理解する。
「(わたし観光客と思われている!!!)」
「(道を聞かれたと思っているのか!!)」
確かに、現地の者からすると、そのように見えるのかもしれない…とも。
仕方のない状況かもしれないが、突如現れた…しかもほんの数時間程しか時間を共有していない女性の言葉に、自分の愛しい者が傷付けられていると思えば多少なりとも腹は立つワケで…。
リゾットは僅かだが、そのことに眉をひそめた。
そして、youはと言うと…。
「(うぅむ……矢張りここでは日本人どころか東洋人が在住しているのは珍しいのね……日本のグローバル化はまだまだということか…無念…!!)」
とまぁ、特に傷付いてはおらず、よく分からない別の意味合いの悔しさに拳を握っていた…。
暫し待てど、特に何も道案内の会話を行わない様子を見て、リオナが不思議そうな表情を浮かべたところで、リゾットがyouではなく、リオナへと声を掛けた。
「リオナ…だったか。」
「え、ええ!」
「申し訳ないが、オレはもうあの店に行くつもりはない。」
「え、どうして…?」
「言ったと思うが…店には仕事の関係で行く必要があったから赴いた。それだけだ。」
「そう…じゃぁ、お店には無理に来なくてもいいから、これから私と仲良くしてくれるかしら?」
「それも、申し訳ないが……できそうにない。」
「なんで!どうして…やっと会えたのに!」
「そうできない理由があるから。」
「どういう、意味…??」
「恋人がいる……正確にはあの後、恋人ができた、かな…。そう思うとある意味君の恋愛の話のお陰もあるのかもしれないな。」
「うそでしょ…!」
「本当だよ……彼女が、そうなんだ。」
「!」
驚くリオナを他所に、リゾットは絡まる彼女の腕をやんわりと解き、youの方へと移動する。
それまで日本人のイタリアでの知名度のことを割かし真剣に考えていたyouは突然の事態にビックリしていたが、
そんなことはお構いなしに、リゾットはyouの肩を抱き寄せ、軽く頭部に口付けた。
「オレの事を覚えていてくれたことはとても光栄な事だが……こういうことなので、すまないが君の期待に応えることはできそうにない。」
「Scherzi!!(冗談でしょう!!)」
観光客だと思っていた東洋人が、意中の相手の恋人ということで、かなりの動揺を見せるリオナ…。
だがしかし、本当に道案内を提供するだけの観光客なら、抱き寄せてキスをすることは勿論、
慈しむような、愛おしそうな表情を浮かべて相手を見つめることなど皆無…。
リゾットの発言に嘘偽りが無いことを悟り、リオナは「Non esiste!(ありえないわ!)」と大きく呆れたようなジェスチャーを見せて、その場を足早に立ち去って行った。
嵐のように現れ、去っていった彼女…。
怒涛の展開にyouは口をポカンと開けたまま惚けてしまう…。
「えっと……わたし、どこからツッコんだらいい?」
「どこでもいい……オレも正直びっくりした…。」
「そ、そう……じゃあ、今の人は一体…。」
リゾットいわく…。
彼女、リオナはギャングやマフィア、政治家等が主に利用するような高級なクラブの女性店員だという。
youがイタリアにやってくる1、2ヶ月程前にとある監視の任務の依頼があり、
対象がその店に来るという情報があったため、プロシュートと共に赴いたのだという。
「偽名を使っていたのは、全くもって忘れていたんだ。だからカルロと呼ばれて本気で分からなくて戸惑った。」
「カルロって男らしいって意味なんですね。リゾットの偽名にピッタリ……プロシュートの使ったフラヴィオって?」
「金髪という意味だ。」
「まんまですね…!!」
「イタリアではどちらも一般的な名だからな……偽名としてはちょうどいいだろうと…。」
「そうなんですか……にしても…。」
「ん?」
「やっぱりリゾットはモテるじゃないですか!何ですかあれ!滅茶苦茶惚れられてるじゃないですか!お店に来てくれなくても個人的に話したいとかクールとか男らしいとか…!」
「と言っても……youに出会う前の仕事での事だから……オレとしても何と言っていいのか…。」
「…た、確かに…それはそうなんですけど…っ。」
プンスカと頬をリスのように膨らませ、リゾットに対して憤りを顕にするyou。
先程までの自分と全く立場が逆になり、少しは自分の気持ちも理解してくれただろうかとリゾットは思ってしまう。
しかしながら、惚れた弱みというやつか…拗ねる可愛い姿が見れただけでも良しとするかと思ってしまう程、恋人に絆されてしまっているようで…。
リゾットはyouの頭をくしゃりと撫でると、優しい声色で言葉を落とした。
「だが、これからは先程言ったように「近付かない」よ、you以外には。」
「むぅ…!」
「youは?」
「近付きません……リゾット以外には……。」
「ベネ。」
「でも心配。リゾットはが近付かなくても、向こうが近付くんじゃ……うーん、悩ましい。」
「もしかして……嫉妬してくれているのか?」
「もしかしなくても、そうです。」
「それは光栄だな……オレの気持ちも理解してくれたようで何よりだ。」
「ねぇ、リゾット……どうしたら嫉妬しなくて良くなるんでしょう。拗ねてリゾットを困らせるのもイヤですし、それで嫌われちゃうんじゃないかなってちょっと不安…。」
「(死ぬほど可愛い…。)」
腕を組んで「どうしたものか」と唸るyouの姿を見て、リゾットは顔にこそ出さないものの脳内で「可愛い」を連呼する。
アドバイスや答えは勿論、自分の悩みに対しての反応も特に無い様子に見えたため、ちゃんと聞いているのかと、youはリゾットを見上げた。
「リゾット?」
「いや……嫌いにはならないし、寧ろ嫉妬は嬉しい。ただ、その要素を抱かせるのはオレの力不足だと思う……youを不安にさせないように努力するよ。」
「どういうこと…?」
「誰より愛されていると分かっていれば、嫉妬なんてしないだろう?つまり、youがそんな心配をするということは、オレの気持ちが十分に伝わっていないということ……即ち、オレの力不足だ。勿論、十割十分それが原因というワケではないがね……。」
「な、なるほど!!」
「そこまで意外ではないと思うが…。」
「うん、確かに…ちょっと目から鱗です…。」
とても分かりやすい、そして恐らく正確な答えを出したリゾット。
彼のその言葉に賛同し、同時にyouは何故か脈絡なく謝罪の言葉を口にしてきた。
「でも…ごめんなさい、リゾット…。」
「どうして謝る?」
何故、と問いかければ、彼女は少しだけ俯いて言葉を噤む。
次いで、心から訴えかけるように両手を胸の前でぎゅっと握って、申し訳なさそうな顔でリゾットを見上げた…。
「リゾットもそうだったから、嫉妬したんでしょう……どうしたら、伝わるかな…リゾットが一番大事だって……。難しいですね、心を伝えるって……こんなに好きなのに…。」
「大丈夫、ちゃんと伝わっているよ。」
「そうかな…。」
「ああ。少なくとも、世界が何巡してもオレを好きになってくれるんじゃあないかと思うくらいには…伝わっている。」
「何度生まれ変わっても…じゃなくて?」
「ん、そうだな……確かに、変な言い回しだったな……すまない。」
「でも………うん、きっとそんな感じです。合ってる。」
「では、オレも同じだと思ってくれ。」
「本当…?」
「ああ……何度生まれ変わってもキミを見つけるし、キミだけを愛するよ。それくらいの気持ちで一緒にいるから、これからも、オレを信じてほしい……伝わるだろうか?」
「っ……はいっ!」
美しいまでの言葉で以て、お互いの心がどのようなものかを形容してくれたリゾット。
今まで抱えた嫉妬がどれほどちっぽけなものだったかを知り、youは涙目で大きく頷いた。
「さて……なかなかどうして長い時間を費やしてしまったが……そろそろデートを再開させようか。」
「そうですね……でも、すっごく大事な時間になりました。」
「…そうだな。」
「リゾット…お願いがあるんですけど…。」
「ん…どうした?」
「今日一日、手を繋いでいてほしいです…。」
「ああ、勿論だ。」
「…ありがとうございます。」
「…今日一日と言わず、この先もずっと離さないつもりだが……問題ないか?」
「っ……うん、全然、問題ないです。」
手を繋ぎたいという要望は恐らく拒否はされないだろうとは思っていたが、
まさか、嬉しいを超えた言葉を添えて返されるとは夢にも思わず…。
youは自由な方の手で、幸せ過ぎて流れた涙をそっと拭った。
gelosia
嫉妬を知り、愛を知る
words from:yu-a
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