Lei e un fiore. (番外編 / リゾット)
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「そういえばリーダーってさ、どんな女が好みなの?」
それは唐突なメローネからの質問。
Lei e un fiore.
Non fraintendermi!(誤解だよ)
「…何だ突然、藪から棒に…。」
「いや、単なる興味というか…私生活謎だよねって思って。」
「そうだろうか?」
「超絶シンプルで規則正しいか、超絶マニアックかどっちかって気がする。」
「それは生活スタイルの話か?それとも性癖か何かか?分かり辛い質問はやめてくれ。」
「うーん……どっちも?」
「・・・。」
事務処理中、唐突に投げかけられたメローネからの質問は、何とも返答に困る表現が用いられ、流石のリゾットも思い悩む。
「部屋は綺麗だったよね、前に行った時。」
「あれからほとんど変わっていない。」
「え、引っ越してすぐで荷物届いてないとか、そんなんじゃなかったの。」
「いや……届いていた。ベッドもソファもあっただろう。」
「いや、あったけど!!!寧ろそれ以外無かったよ?!今も同じなの!?」
「・・・。」
シンプル過ぎる!と、自分で彼は「超絶シンプル」という予測を立てておいて、理不尽にメローネは叫ぶ。
確かにチームのメンバーがいつぞや遊びに来た時から、部屋のレイアウトなどは何も変化していない。
だが、今はyouという恋人ができたという大きな変化があったのに、それすら無いと思われるのも少し心外に思い、少しばかりムッとした顔でリゾットは言葉を付け足した。
「劇的な変化は無いが……少し増えたものもある(youの食器とかyouのパジャマとか。)」
「そう……あれから生活感度が上昇したならいいんだけど…。」
「余計なお世話だ。お前に心配されなくても、ちゃんと自炊もしている。」
「あー、リーダー料理上手いもんねぇ。今日食べに行っていい?」
「別に構わな……くない、ダメだ。」
「え、何で無理矢理拒否ィ?!」
「今日は先約がある……(コイツ目敏いから、隠しても絶対youの私物を見つける!!)」
「はっはーん、さては……女だね?」
「……まぁ、そんなところだ。」
平静を装い、メローネに少しでも疑われないように、当たり障りない言葉を返す。
しかし、自身の肯定があらゆる方面で困ったことを引き起こすことになるとは知る由もなく…。
まず、一つ目の誤算として、その返答に思いのほか、ガッツリとメローネが食らいついてきた。
「そうそう!最初の質問だよ、リーダーの女の好み。」
「まだ続いていたのか…。」
「モチのロン!!今までは皆ホラ、仕事の都合上アバンチュール的なものが多かったじゃん、オレら!」
「そうかもしれんな。」
「新パッショーネになってから、そういうしがらみからちょっとは解放されたトコもあるから、そこんとこどうなのかなーって。」
「どう…とは…。」
「ほらぁ、プロシュートみたいに割と前と同じ感じの多動的恋愛が好ましいとか、ギアッチョやイルーゾォみたいに割と一途な恋愛したいとかぁー!」
「そう言われても……。」
グイグイ身を乗り出して質問をしてくるメローネに、若干たじろぐ…というか引き気味のリゾット。
うーん……と、暫し考えに耽る。
「ぶっちゃけ、リーダーってば昔からモテるだろ?一見怖いけど、話すと落ち着てて紳士だし、男も惚れるいい身体してるし…女の方から寄ってくる事多くなかった?」
「……確かに、任務以外で自分から積極的になった相手はほぼいない…な。」
「でさ、でさ!その数多の女の中ではどんなのが良かった?」
「・・・さぁ、覚えていないな。」
「ケチ―!じゃぁじゃぁ、1個だけ教えてよ。」
「次は何なんだ……いい加減仕事をしないか…。」
「今日お約束してるオンナって、どんな相手なの~?」
「…そうだな、メローネ……強いて言うなら、お前と真反対な相手だ。」
「え…リーダー処女厨だっけ…。」
「…お前のそういうところ、本気で直した方がいいぞ…。」
一人だけ背景に「ざわ…ざわ…」を背負うメローネに、リゾットは冷ややかな視線を送った…。
そこでメローネはリゾットに好みのタイプをしつこく尋ねることを諦めたようだったが、問題はここから…。
リゾットの誤算2つ目に当たるものだ。
そう、この2人の会話を扉の外で聞いていた者がいた…。
「(あれ……わたし、今日リゾットと一緒に過ごす約束してない…よね…。)」
いかにも、頭が真っ白になっていますといった表情をして、床の一点を見つめるyou。
「(リゾットはやっぱり昔からモテてたんだなぁっていうか、あのルックスと身長と筋肉と性格だから納得なんだけど、あれ、ちょっと待って思考が追い付かない。沢山の方と一時を過ごしたことがあって、まぁそれは過去のことだししょうがないんだけど、あああ嫉妬心がモヤモヤとやばい、ちょっと落ち着こう、いやだめ、これから会う人はメローネと正反対で処女の方たたたたたたで、それってつまり浮きあqwせdrftgyふじこlp)」
大分思考が壊れてしまった様子だが、無意識に部屋の中にいる彼等に気配を気取られないようにしようとする意志は働いているようで、
そっと足音を立てずにその場を去ってリビングへ向かったyou。
放心状態でソファへ腰掛け、ボーっと宙を見る。
「そうか、ぁ……(わたしだけじゃなかったのね)。」
そう思ったのと、呟いてしまえば、自然と涙が零れてくる。
誰もいないその場の環境がそれを増長させ、次から次へと涙が止まらなくなる。
「やだ…どうしよう……止まらない!!」
涙腺が決壊してしまったようで、テーブルに置いてあるティッシュで拭えど拭えど涙が溢れてくる。
このままでは誰かがここにやって来てしまった時に問い詰められることは間違いない…。
それだけは避けねばと、youは意を決して顔を洗うために洗面台へと向かうことにしたのだが…。
「あれっ、you…買い物から戻ってたんだね。おかえり……ってどうしたの、泣いてるの?!」
「や!違……違うの、えっと…これは……!」
「なるほど…女の子って本当に大変だよね……大丈夫?泣くほど痛かったらもう帰ってもいいんじゃないかな…。」
廊下でバッタリ、メローネに出会ってしまい、泣いているところを見られてしまったのだが、彼はどうやらその理由を生理痛によるものだと思ったらしい…。
心配そうな表情でyouの頭を優しく撫でると「可哀想に…」と呟いた。
「ああ、できることなら代わってあげたいよ!(その痛みを実際に体験してみたい!!)」
「メローネ、ごめんね……心配してくれてありがとう。」
「泣いて弱ってるyouもベリッシモ……可愛いね……って、そんなこと言ってる場合じゃあないか……引き継ぎは何かある?特になければもうこのまま帰った方が良いよ、顔色悪いし……リーダーにはオレから伝えておくからさ…。」
「うん………そうさせてもらうかな……お言葉に甘えていい、メローネ?」
「勿論!一人で帰れる?」
「うん、大丈夫……ありがとう。引き継ぎも特に無いよ、今日は買い出しが主な予定の日だったし…後は雑務。」
泣き腫らした目で弱々しく笑うyouをメローネはぎゅうっと抱きしめて、その背中をポンポンと叩く。
本当はこのままずっと抱きしめていたいところだが、体調の頗る悪そうな彼女を一刻も早く帰してあげるべきと判断し、メローネはある程度でその体を離した。
「荷物は別の部屋だよね、取ってこようか?」
「ううん、大丈夫……それ取って帰るね……日報は明日書くってリゾットに伝えておいて。」
「ああ、分かったよ……チャオ、気を付けて。」
「チャオ、メローネ…気遣ってくれて本当にありがとう。」
「ん。」
ひらひらとお互いに小さく手を振って軽い別れの挨拶を済ませた。
念のため…と、メローネはそのまま廊下に居残り、youが荷物を取って玄関を出るまで見届けてあげて、
その後でデスクワークの部屋へ戻って事の顛末をリゾットに報告する…。
「…って感じだったから、youは早退させたけど…良かったよね??」
「・・・。」
「リゾット?ね、リーダー、良かった?」
「あ、ああ……問題無い。」
「大変だよね、女の子って……ああ、でも…それは素敵なベイビィを産むための大事な試練なんだね…!!」
自身のスタンドの問題もあってか、恍惚の表情を浮かべて拳を握るメローネ。
恐らくはリゾット以外のチームメンバーであれば間違いなく怪訝な表情で彼を見るのだろうが、今のリゾットの心情はそれどころではなかった。
「(you…そんなに体調が悪かったのか…大丈夫だろうか……。)」
「あっ、ていうかね、あまりの痛みで泣いちゃって弱ったyouがドチャクソ可愛くってさ……あれマジヤバかったよー。」
「(というか、youは先週あたりに生理で苦しんでいたはずだが……今は違うのでは…?)」
「今日はあの顔思い出すだけで一人でイケそう。」
「メタリカ。」
「ギャァアアアアッツ!!!!」
思案に耽っても不愉快な雑音は聞き逃さなかったリゾット。
起こった血の惨劇は自身の発言の所為というところもあり、メローネ本人に掃除させることを指示するのだった…。
それから数時間…。
ようやっと定時になり、リゾットは珍しく早々と帰宅の準備をしていた…。
「あれ、リーダー…もう帰るの?……あ!そっか、今日デートだって言ってたね。早く会いたいんだー?」
「そういうワケではないが……早く帰れそうだったからそうしようと思っただけだ…他意はない。」
「はいはい、オレはもうちょっと事務所にいるよ。ギアッチョとホルマジオと飲みに行くことになったからさ。帰ってくるの待たないと。」
「そうか、じゃぁ悪いが先に失礼する。」
「はいはーい!今度彼女の写真見せてねー。」
「・・・はぁ…。」
「あぁん!リーダーってば養豚場の豚を見るような目で…!!何か目覚めそう…!!」
「アッディオ、目覚めるな、二度と。」
「そんなリーダーが好き!ブォナ・セラータ~!」
チュッチュと投げキスを飛ばしてくるメローネをスルーして事務所を後にしたリゾット…。
向かうは一択、youの家だ。
一度家に帰るか悩んだが、できるだけ早く様子を見に行きたいと思ったため、そのまま向かうことにした。
日が暮れる前には目的地に到着し、アパートの前で彼女の携帯へ電話を掛けた。
「・・・。」
「チャオ……えっと、youか?」
「・・・はい。」
「体調は大丈夫か?メローネから報告は受けたし、同様の内容でキミからのメッセージも見たが…。」
「・・・ごめんなさい、直接伝えずに帰宅してしまって。」
「いや、相当辛そうだったとメローネから聞いている。致し方なかったと分かっているから問題ない。それより……今、キミの家の前にいるんだ。」
「え…。」
「心配だったから、様子を見に来た。」
「っ……!」
「動けないかもしれないと思って、夕飯を作りに来たんだが……上がってもいいだろうか?」
穏やかなリゾットの口調は、youが知る普段通りの彼のもの。
先刻のメローネとの会話で勝手に距離を感じていたyouは、その「普段通り」にひどく動揺してしまう…。
思わず震えた声を出しそうな喉にそっと手を当て、youはゆっくり言葉を発した。
「リゾット……あの…今日、は……仕事…終わって…。」
「ああ、早いだろう?珍しく定時ですぐに上がってきた。」
「…ど、どうして…?」
「どうしてって……youが心配だったからに決まっているが…。」
「でも…でも………でも、何で…。」
「……何で動揺しているか分からないんだが……会って話を聞いてもいいだろうか。」
「…は、い……。」
話ながらもリゾットはアパートの階段を上っており、youが了承の言葉を伝えた直後、家の呼び鈴を鳴らした。
受話器越しに階段を上る音が聞こえていたこともあり、youもすぐリゾットがやってくることは分かっていたようで、
ベルが鳴ってすぐにガチャリと、家のドアを開けてあげた…。
「チャオ、you……だ、大丈夫か?!」
「・・・。」
「本当に辛そうだな……薬は飲んだのか?食事は入りそうか?!」
「だ、大丈夫です……心配しないで。」
「そういうワケにはいかない……朝は問題なさそうだったが…いつからそんなに具合が悪くなったんだ?!」
「も…いいので、本当に……ちょっと本当に…一人にしておいてほしい、です…っ…。」
「you……どうしたんだ、何処か痛いのか?!熱は?!」
青ざめた顔で出迎えたyouに驚き、彼女の具合をずっと確かめていたが、どうにも様子がおかしい。
体温を確認するために伸ばされたリゾットの手を、youがやんわり振り払ったのだが、
その行為が引き金となり、彼女の目からボロボロと涙が零れ落ちる。
「お、おねがい……リゾット…。」
「・・・は…。」
「おねがいですから……わ、わたしに、やさしくしないで…っ…。」
「ッ……承諾できるはずないだろう!」
「リゾット!!」
今にも泣き崩れそうなyouを軽々と抱き上げ、急いで部屋のベッドへ向かう。
バタバタと性急な行動を取ったものの、いざベッドの上に彼女を下す際には、
まるで高価な硝子細工を扱うような動作で、その全てが愛情に溢れていた。
すぐに寝かせるために片腕で布団をめくり、ベッドシーツの上に彼女を下したが、
彼女はリゾットにしがみ付いたまま、ずっと泣き続けて離れない。
「自分に構うな」と言ってきた割には…というこの状況。
もしかすると、体調云々ではなくメンタルの問題の方なのかもしれないと推測したリゾットは、彼女を抱きとめたままでそっと問いかける…。
「・・・you、正直に答えてくれ……今、身体に異常があるか?」
「……ぅ…。」
やはり、彼の推測は当たっていた…。
だが、それに対してしっかりした返事も返せないようで、彼女は首だけを少し左右に動かして「No」とリゾットに伝えた。
「それなら少しだけ安心した………ひとまず、このまま落ち着くまで待つから……そのまま寝てしまっても構わない。その後でもいいから……ちゃんと理由を教えるんだ、いいな?」
「~~っ!!」
リゾットの、いつものように優しすぎる言葉と対応に、より一層泣き出してしまうyou。
どれくらいか分からないが、そこそこにリゾットが長いと感じるくらいの間、youは泣き続け、
やっと落ち着いたと思った頃にはとっぷり日が暮れてしまっていた。
まぁ、落ち着いたと言っても、結局リゾットの予想通り泣き疲れて眠ってしまったのだが…。
「一体何があったんだ…。」
ベッドの主に布団を掛けてやり、彼女の泣き腫らして真っ赤になった瞼を見て、心配そうな表情を浮かべるリゾット。
艶やかな髪を大きな手でそっと撫でてやると、何を夢見ているのだろう…寝ている間にも涙が流れて落ちた。
買い出しの間に何か事件が起こったのだろうか?
(自分が一緒に付いていってやれば良かった。)
そもそも、普段の仕事の事で何か問題があったのだろうか?
(もっと不安や不満が無いか尋ねてやるべきだったのではないか。)
家族や故郷が恋しくなったのだろうか?
(有給は遠慮せずに取っていいのだと、ちゃんと伝えていただろうか…。)
原因となるような物事を考えては、自分が「ああしていれば」「こうしていれば」と、リゾットは人知れず己を責めた。
ただ、そのようなタラレバを並べても、今現在既に辛い状況に陥っている彼女には何の救いにもならないわけで…。
リゾットは散々自己嫌悪に陥った後、大きく深呼吸をする…。
そして、キリの無い後悔を並べることを一時的に止め、立ち上がった。
「とりあえず……飯を作ろう。」
それは当初、ここにやってきた目的でもあったし、
悲しいことがあった時は美味しいものを食べると、少しは気分が晴れるかもしれないと…。
気休めか、はたまた無いよりマシという精神なのかもしれないが、兎に角、彼女のために今できることをしておこうと決めた。
付き合うようになってからはお互いの家に行くことも、そこそこあったため、
youもリゾットもお互いの家のことはある程度把握できるようになっている今日この頃。
勝手知ったる恋人の家、とばかりにキッチンへ向かい、冷蔵庫にあるものを確認して調理を始めた。
それから小一時間程…。
部屋全体に良い匂いが充満してきたこともあってか、youがハッと目を覚ました。
「・・・わたし…。」
「起きたか、you。」
「!!!」
目を覚ますや否や聞こえてきた、恋人の声に大層驚き、慌てて布団に潜り込もうとしたyouだったが、それは呼びかけた恋人…リゾットの手によって阻止される。
バサッと布団を半分程捲り上げられ、逃げ隠れできない状況へ追い込まれた…。
「ああ!」
「体調に異常はない、そうだな?」
「うっ……でも…。」
「・・・心配したぞ…一体何があったんだ…。」
「っふ…。」
「また泣くのか……それは少し狡いんじゃあないか……you。」
先程から数時間経過しているが、この繰り返しでは何も進展が無いと指摘をするリゾット。
そうは言っても、泣いている彼女を責めることも冷たくすることもせず、ただそっと抱きしめる。
「あ、ああ……やっぱり、わたし……リゾットのこと…。」
「ん?」
「すき、だいすき……リゾットがすき…です…っ…。」
「…ああ、それは良かった……オレもだ、you。」
「だから、やっぱり……耐えられそうにない…です…。」
「何にだ?」
「リゾットの中の一番でも、一番じゃなくても……わたしは「わたしだけ」じゃないといやです……だから、むりなの、耐えられない。」
「どういう、ことだ…?」
「わたしは、リゾットが好きなの…‥リゾットが一番で、リゾットだけなんです……。」
「うん…?」
「だから、リゾットにもそうであってほしかった。」
「・・・。」
何やら、雲行きが怪しい…とてつもなくよからぬ誤解をされている気がする…。
彼女の言葉を聞けば聞くほど、リゾットはそう感じていく。
「わたしの気持ちは……負担でしたか?わたしだけじゃ、足りなかった……かな…っ…。」
その言葉をyouが放った刹那、彼女の視界は約90度一気に移動した。
涙で滲んだ視界には険しい顔のリゾットとその背景の天井を映しており、
彼女はそうして、ベッドに押し倒された状態でリゾットに問い詰められることとなった。
「you…キミが言わんとしていることは分かるが、どうしてそういうことになったのか全く理解できない。」
「…っ…そ、うそつきぃ……!」
「嘘?何が嘘なんだ?」
「だって……だって、偶然だけれど、聞いてしまったから…!」
「聞いた…って、一体何を。」
「今日、本当はデート…だったんでしょう?」
「・・・は?」
「でも、わたしの具合が悪いと思ったから、こっちに来ただけで……本当は、別の方と約束、してたんですよね…っ。」
「・・・は?」
「理解できます…だって、リゾットはとっても素敵ですから……カッコいいし、優しいし、筋肉すごいし、強いし、料理も上手だし、筋肉凄いし、声も低くて…手も、大きくて……っ、背中も広いし……安心できるし…ひっく…。」
「(筋肉2回言ったな…。)」
「色んな人に好かれるの、すごく…分かる、ので…。」
「・・・。」
「でも、もう……胸がこんなに苦しいの……心が痛くて、耐えられないです…。」
「you…。」
「気付かないふりをして、それでもいいって、享受できるほど……わたし……器用じゃないみたいです……そんな物分かりのいい女性には…なれないみたい。ごめん……ごめんなさい…。」
顔を両手で覆って、泣き出したyou。
十中八九、自分とメローネの戯れのような「あの」話を買い物帰りに偶々廊下で耳にしてしまったのだろう。
大いなる勘違いをどう正してやるべきか、リゾットは悩み、
また、この状況を作り出してしまったメローネにもう一度メタリカを食らわせたいと、今更ながらに心底思った。
「一体何から話せばいいものか……ひとまず、you。」
「っ…。」
「オレの恋人はお前だけだ。浮気なんてしていないし、今日だって誰とも会う約束なんてしていない。」
「っ、ど…して、嘘つくの…ぉ?」
「嘘は吐いたが、それはyouに対してではない。メローネに対してだ。」
「…っく、め、ろーね…?」
「ああ。メローネにしつこく詰問されるのが煩わしくてな……今日は女と会うのか?と尋ねられて「まぁ、そんなところだ」と答えた。どんな相手なのかって質問もあったが、とりあえずメローネと正反対だとだけ言っておいた。」
「……言ってた…。」
「youは女で、メローネとは違って素直で可愛い。」
「処女じゃない…。」
「ハァ……それはメローネが勝手に言ったことだろう……強いて言うなら、そういうところじゃあなく……メローネと真反対で……youは、とても清い心を持っていると思っているからな。」
「・・・ふ…っ…。」
「誤解は解けただろうか…何か追加の質問があれば受け付けるが。」
「あ、ああ……わたし……。」
事務所で耳にした会話の内容と、リゾットの説明が完全に一致し、ようやっと自分が一人相撲をして心を痛めていたと気付いたyou。
無駄に悲しんで、無駄に苦しんで、無駄にリゾットを困らせたと知り、どういう反応をこれからすればいいのか、混乱をきたす。
だが、恐らくはそれも推測済みなのだろう…。
リゾットはyouの動揺で揺れる瞳をじっと見て、安心させるように優しく微笑んだ。
「それでもまだ不安なら、本当に一緒に暮らしたって良い。毎日youのところに帰ってくるよ。」
「~~!!」
「出張と任務の時はどうしようもないが……そうだな、かくなる上は携帯にサーチ機能でも入れるか…?」
「り…リゾット…!」
「だからもう、泣いてくれるな……オレだってyouを愛していて、youが一番で、youだけなんだ。」
「ごめんなさいぃっ……!!!」
彼女の中の最終的結論として「申し訳ない」これ一択が残った様子…。
大きく謝罪の言葉を告げて、最後の大泣きをかました…。
「誤解が解けたようで本当に良かった……にしても…。」
「ふ…?」
「随分とまぁ……心配を掛けさせてくれたな。」
「うぅ……ご、ごめんなさい…本当にごめんなさい…。」
「…冗談だ、まぁ、心配は本当にしたんだが……ただ、それ以上に嬉しい言葉を沢山聞けたから…全部許すよ。」
「そう…なの…?」
「ああ。要するに、youはオレのことが好きで好きでたまらないって事が分かった。」
「はわぁああ!」
青ざめて謝ったり、真っ赤になって照れたりと忙しいyouの百面相が面白くて、くつくつと笑うリゾット。
ひとしきり表情の変化を楽しんだ後、リゾットは彼女に声を掛ける…。
「ところでyou、キミが寝ている間に夕飯を準備したんだが…腹は減っているか?」
「えっ、そういえばとってもいい匂いが…。」
「そろそろオレも限界でな……食べたいと思っているんだが…。」
「うん……わたしもお腹空きました……うん、うん?あ、あの……リゾットさん?な、何かた、体重が乗っかって…!」
「まずはここで前菜を味わってからでもいいだろうか?」
「ここに前菜はありませんが!!」
「食べさせてくれたら、美味しいメインが待っている。今日はカチャトーラ(煮込み料理)なんだが…。」
「粗末な前菜で良ければどうぞ召し上がってください!!」
「グラッツェ、美味しくいただくことにするよ。」
彼女の身体全体を抱きしめて、首筋に唇を這わす…。
「…あ、待ってリゾット…。」
「ん?」
ふと、思い出したようにyouが声を掛けたので、リゾットは行為を一旦中止して顔を上げた。
「今日は心配掛けてごめんなさい、馬鹿なわたしを許してください……それからホントにありがとう。」
「プレーゴ。」
「わたし、わたし……リゾットを好きになって良かった……。」
「勿論、オレもだ。」
額をぴたりと付き合わせて、そのまま小さくキスをする。
幸せそうに笑うyouには悪いが、今日一日で自分の事を想ってあんなにも心を痛めて涙を流していた姿を思うと、
どうしようもなく嬉しいし、彼女は自分から離れられないのだという事実にとてつもない安堵を覚える。
彼女は「苦しいのが嫌だから身を引く」という選択肢を選ぶのだと分かったが、一方の一方の自分はどうなのだろう…。
今日だって、メローネの下卑た発現が気に食わず、制裁にメタリカを食らわせたくらいだ…。
狂おしいほどの愛情が勝って、本能で相手を殺しかねない。
それは例え自分が彼女に嫌われても、彼女の愛する存在を消す方が大事だと思ってしまうほど。
「(そも、こんなにも必要とする相手が、自分にできるとは思っていなかった…。)」
そうは言えど、もう既にこの愛情にどっぷり頭まで浸かってしまっているワケで…。
逃げようもないし、逃げようとも思わないのだから「必要としなくていい」という選択肢は諦めるほかない。
それなら、彼女にずっと好きでいてもらえるよう尽力しようと、ストイックな彼らしい答えを叩き出し、
まず手始めに自分以外の男では満足できない身体に開発することから始めようと、スカートに邪(よこしま)な手を伸ばすのであった。
Non fraintendermi.
この先も誤解の必要すらない
キミだけなんだ
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*