Lei e un fiore. (番外編 / リゾット)
name setting
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ということで、youさんをお借りしますね。」
それが今回の事件の発端だった。
Lei e un fiore.
Festa serale(夜会)
「流石はSPW財団主催のパーティーです……各界の著名人ばかり。」
「そ、そうなの?わたしには誰が誰だか分からないけど、そんなこと言われると緊張しちゃう…。」
「ああ、すみませんyou……そもそも、本来であれば貴女を巻き込みたくはなかったんですが…。」
そう言って軽く溜息を吐いたのはジョルノ。
現在2人はローマで開かれたSPW財団主催のパーティーに参加している。
数日前、特殊任務依頼チームの事務所にパッショーネのボスであるジョルノが直々にやってきて、
youに、このパーティに自分と共に参加してほしいと依頼があったのだ。
本来であればパッショーネの女性幹部や秘書が付き添うものなのだろうが、
ジョルノの秘書的立場はブチャラティやミスタやフーゴがそれにあたり、現在殆ど男性だ。
また、パッショーネの女性幹部の中には安易に公共の場に連れ出すのに問題がある者が多い。
それは素行良し悪しもあるが、その多くは権力を持つ者と接触を避けるべきという懸念からくるものだった。
その点、youは元々SPW財団からの派遣なので、パッショーネと財団が協力関係にあるというアピールにも利用できる。
何より、一番の利点は野心も皆無だという点だ。
そんなこんなで、白羽の矢が立ち、彼女はこの場に駆り出されている…。
「失礼…もしかして、貴方が最近イタリアへの貢献が素晴らしいと噂のパッショーネの…?」
「ええ、ジョルノ・ジョバァーナです。」
「やはり、年若いと聞いていたからもしやと。と言いましても、実は横にいらっしゃる和装のベッラに惹かれて足が向かってしまったんだがね。」
「彼女は我々パッショーネに協力してくださっているSPW財団から、こちらに派遣された女性なんです。」
「協力関係にあると聞いてはいましたが、そうですか…イタリア全土が浄化されていく気になりますね。」
「そうできるよう陰ながら努めていきます。ところで、私も貴方の事は存じ上げています、シチリアで輸入業をされていますね。」
といったように、挨拶はほとんどジョルノが受け応えてくれるため、
youはほとんど話すことはなかったのだが、慣れない場ではなかなかに心労も溜まるといもの…。
おまけに、声を掛けられやすいようにとジョルノが着物と、その着付けスタッフを用意したこともあり、慣れていないyouには多少物理的にも息苦しい。
「(早く終わらないかな…とか思ったらダメだよね……ハルノくんも頑張ってるんだから…。)」
慣れない場所に思わず俯いてしまいそうになるのを「楽しくないのは自分だけではない」と、ジョルノの立場を考えて気を取り直す。
ただ、先程から地味に困っているのはモチベーションでも着物の帯の苦しさでもなく、お酒の問題…。
ジョルノの目論見通り、男も女も関わりなく、来賓客の多くがこの目立つ着物に引き寄せられ、挨拶に来る。
そして、その都度グラスを傾けることになり、先程からyouはトイレに行く回数が増え続けているのだ。
「リゾット、リゾットに会いたいです…。」
化粧直しと称して酒気を体内から排出しに来て数回目。
鏡の前で恋人の名前を呟けば、あっという間に寂しさと不安が限界に達して涙がポロリと零れ落ちた。
慌ててハンカチで抑えてメイクを直したが、このまま一人でいると涙腺が決壊してしまう気がして、慌ててジョルノの元へと戻った。
それから小一時間程パーティは続き、最後に主催者が挨拶を終えて解散となったのだが、
そこに至るまで、ひたすら軽い挨拶と飲酒を繰り返すことになったため、youは起きて自立こそしているが、意識はギリギリ、完全に酔っぱらってしまった。
「すみません、you……ボクに合わせて飲んでくださったんですよね…。」
「き、気にしないでハルノくん……それより、明日明後日まで休みくれて感謝です……明日多分死んでる。」
「ですね……ボクはこれからすぐにフィレンツェへ向かわなくてはならないのですが、youは出張扱いですので今日はローマで一泊してください。」
「うぅ……ありがとう…あと、お仕事大変だろうけど、無理しないでがんばってね……ハルノくん…。」
「グラッツェ、you。」
「タクシー…呼ばなきゃ…。」
「今は必要無いですよ。フーゴとリゾットがこちらへ来ていますから。」
「え・・・?」
「仕事で貴女を一人にはできませんから、リゾットと2人で出張扱いにしています。」
「そう、だったの…。」
「youは気付いていなかったでしょうが、2人ともずっとフロアを見張っていてくれてました。」
「(そっか、わたし着付けがあったからジョルノがパッショーネの誰を連れてここに来たのか知らなかったんだ…。)」
成程、状況を把握した…と、youは無言で頷く。
確かに、SPW財団主催でセキュリティ対策は申し分ない状況。
協力関係にある立場からするとパッショーネ側もそこまで警備に人員を割かなくて良かったのだろう。
更に付け加えるなら、リゾットが選抜された理由は恐らく、同チームの保護者のような存在であり、彼の能力が人目を忍んで行動するのに適しているから…といったところ。
youが崖っぷちの意識で考え付いたのはそのくらいのもので、
会場のエントランスでジョルノに支えられながら話している途中で、迎えを依頼されたリゾットが遣ってきた。
「Buona sera, Boss.」
「SP役ご苦労でした、リゾット…あと、迎えも。」
「いえ…。」
「リゾット、youは多分そろそろ記憶が持たない感じなので、貴方に伝えますが、貴方は明日まで、youは明後日までの出張です…ホテルは一泊だけですが。部屋は2つ取っていて、料金は組織に請求されますが、豪遊はしないでくださいね。持参した荷物ももう預けてあります。それから、ナポリには列車で帰ってくださいね、交通費は後日請求を。」
「はい。」
「着物…彼女が着ているドレスですが、高額になるので、クリーニングには出さずに本部に郵送するよう言っておいてください。」
「伝えておきます。」
「挨拶が思った以上に多くて、お酒を無理して飲んでいます。できれば明日何か薬を買っていただけますか?」
「分かりました。」
ジョルノからの依頼は全て任務に差置かれることもあり、淡々と了承の言葉だけを告げるリゾット。
「あと……ありがとうと、無理をさせてすまなかったと伝えてください。それでは、フーゴを待たせていますので、ボクはこれで。ホテルまで送る時間もなかったので、貴方も呼んでおいて正解でした。youのこと、よろしくお願いします。」
「Si,Boss.」
最後にそう言って、youをリゾットに引き渡すと、ジョルノは携帯を取り出して歩き出す。
恐らくはフーゴと電話をしているのだろう、暫くして彼の姿は駐車場の方向へと消えて行った。
そして、改めて自分の状況を確認する。
「you、大丈夫か?」
「…大丈夫なように見えますか…。」
「見えないな……すぐにその場で座り込んで眠りそうだ。」
「ほぼほぼ正解です……超絶眠い…。」
くったりと、リゾットの体に全身を預けているyouは、今にも涎を垂らして眠りそうなほど。
せめてドレスであろうと洋服を着用していれば、抱き上げて移動もできるというものだが、
彼女の着物はそうもいかず、気に毒に思いながらも待たせているタクシーのところまで自力で歩かせることとなった。
それからすぐにタクシーに乗り込み、指定されたホテルを運転手に伝えて車は走り出したのだが、
それと同時に、ドサリとリゾットの膝の上に何かが落ちてきた。
「you…。」
「・・・。」
後部座席でリゾットの膝を枕にして寝落ちてしまったyou。
そこまでホテルまで時間は掛からないはずなので、本音は起きていてほしかったが、
短い時間ではあるが休ませてあげたい気持ちが上回り、そのままにしておいてやるリゾットだった。
それから10分~15分くらい車を走らせた頃、目的のホテルへタクシーが到着した。
その時間というものがちょうど良い仮眠時間となったようで、
リゾットが懸念したほど彼女を起こすことに苦労は無く、揺り起こすと多少眠そうにしたものの、ちゃんと自分でタクシーを降りてホテルのフロントまで歩いてくれた。
チェックインを済ませ、部屋に入ると既に荷物が置いてあり、
寝ぼけ眼ではあるものの、youはちゃんと意識して「明日の着替えは大丈夫」と理解する。
リゾットも同様、自分に用意された部屋で自分の荷物を確認すると、その荷物を持ってyouの部屋へと向かった。
「あ、リゾット…荷物持ってきたんですね。」
「ああ、勿論。ボスには申し訳ないが、折角なのでyouと寝させてもらう。」
「でもダメですよ、今日はもうきっと今から爆睡です…。」
「分かってる。明日は二日酔いだろうという予想もな。」
「うわー、やだよぅ…。」
しょんぼりと俯き、やがて来るであろう吐き気と頭痛への恐怖で委縮するyou。
宿泊費諸々は経費で落ちるとジョルノが言ってくれたこともあり、
リゾットは遠慮なく部屋に備わった冷蔵庫から冷えた水を取り出してyouへ手渡した。
「ありがとうございます。」
「他に何か必要なものはあるか?」
「ううん、大丈夫。」
「そうか。」
「あ、リゾット、わたしお風呂入ってきます。あと、歯磨きしたい…。」
「大丈夫か?フラフラだが……風呂場でそのまま寝たりしないだろうな…?」
「・・・大丈夫。」
「一緒に入るか?」
「・・・大丈夫、一人で入れる。」
「残念。何かあれば呼んでくれ。」
「はぁい。」
「そうだ、ちょっと待ってくれ、you。」
「ん?」
ふいに、バスルームに向かおうとするyouを呼び止めたリゾット。
どうしたのか、と不思議そうに首を傾げると、彼はyouの両肩に手を掛け、身を屈ませてキスを落とした。
「・・・。」
「ど、どうしたんですか急に……あ、あとすいません、お酒臭くて…。」
「いや……その…ずっと言いそびれていたんだが……キミのその和装、キモノ…だったか?」
「ああ、これ…。」
「とてもよく似合っている。イタリアではまず見る機会が無いし……何というか…美しいよ。」
「ですよね、とっても美しい着物だと思います!帯もまた本当に素敵で…。」
「ああ、キモノの柄もだが……それを着たyouが、とても綺麗だ。」
「リゾット…。」
「沢山の来賓が声を掛けてきたのも頷ける。」
「そうかなぁ……馬子にも衣裳ってやつですね。」
「そんなことはない。欲目無しで改めて惚れ直すくらいには美しいと思った。」
「そんなに?」
「そんなにも、だ。」
「うう……っ…。」
「なっ?!な、何で泣くんだ!?」
着物姿を正直に、かなり紳士的に褒めたつもりだったが、急に目の前で泣き出されて心の底から動揺するリゾット。
今の会話で何か悪い点があったのだろうかと思い返しても、特に問題になるような事が見当たらない。
どうしたものかと困っていると、ガバッとyouに抱き疲れた。
「リゾット、リゾットぉ……!」
「な、何だ、どうしたんだ?!」
「わたし、リゾットに会いたかった…!」
「は…え…??」
「あんな凄い人達ばかりのトコで、わたしだけで、慣れてなくて…一人で、いや、ハルノくんはいたんだけど…!」
「ああ…。」
「不安だったから…途中で何度も寂しくなって……ずっとリゾットに会いたかった…。」
リゾットの体温を感じて気が緩んだのと、アルコールの影響もあってか、堰を切ったように溢れ出した涙。
起きていても未だ酒気は抜けきっておらず、伝えたい言葉も普段の彼女より幾分か語彙力が低い。
そもそも、普段の彼女であれば会食などに参加したりすることも仕事と割り切るのだろうが、
緊張する場であったことと、それが今は解いてもいい状況であること、自制があまり効いていないのだろう。
それがまたリゾットには加護欲を掻き立てられるようで、嬉しくて思わず口元が緩んでしまう…。
「もう大丈夫だ、オレはここにいる。」
「うん…うん…あと、ごめんなさい。」
「どうして謝るんだ?」
「こんなへべれけ状態じゃなくて、ちゃんとした状態でリゾットに着物姿見せたかったな…。」
「なるほど、それが泣いた一番の原因だな…?だが、酔った状態もそれはそれで可愛いから、許すよ。」
「…わたし、リゾットにとても甘やかされている…。」
猫のようにすりすりとリゾットの旨に顔を埋めるyou。
リゾットは後ろに回した手で彼女の背中を労わるように擦ってやりながらも、ポツリと反意語を落とす。
「…今はな。」
「え、今だけ?!」
「ああ、そんなの当然だ。今日はyouが疲れているのを知っているし、明日酷い有様になると分かっているから、こんな状況でも手を出さずに我慢するんだ。」
「・・・。」
「そうでなければこんな…美しい姿のyouを抱かずにいれるワケがないだろう?」
「い、いっぱい飲んでて良かった…。」
「そうか?でも結局明日の夜はたっぷり付き合ってもらうつもりでいるぞ。」
「な、何で?!明日は二日酔いで死んでるって…。」
「夜までには治るだろう?」
「それに明後日、わたしは休みだけど、リゾットは仕事ですよ?」
「足腰が立たなくなるのはyouだけだ。でもお前はその次まで休みだろう?何も問題が無い。」
「も、問題だらけですーっ!!」
「なら、前倒しして分割するか?何なら今から風呂も2人で入ろうか。」
「しませんっ!一人で入る!!」
ぷくっと頬を膨らませて憤るyou。
全然甘やかされていなかった!と憤慨しながらバスルームに向かって行ったのだが…。
何故か数分と経たずにその場に戻ってきてリゾットに疑問符を浮かばせた。
「どうした?」
「……着物脱ぐの手伝ってほしいんです…。」
「……やっぱり誘っているだろう、you…。」
と、流石にツッコミを入れてしまうリゾットであった…。
Festa serale
夜会の後に
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*