Lei e un fiore. (番外編 / リゾット)
name setting
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「はい!すぐ外に出ます!」
ちょうど出掛ける準備が整った頃、リゾットから到着したという電話が掛かった。
Lei e un fiore.
avvicinarsi(近付く)
「お、おはようございます!すいません、お迎え来てもらって…えっと、ありがとうございます。。」
「おはよう。全然構わない…元々オレの方から案内を買って出たのだから…。」
「それはそうですけど…。」
「それよりも…だ。」
「?」
今日はyouとリゾットが共に休みの日。
前日のサシ飲みの際、リゾットがyouの希望するようなおすすめの場所の案内をする…という約束をしていた。
朝の挨拶と同時に、迎えにきてもらったことに対して感謝の意を述べるyou。
そんなことは気にするなと返答したリゾットだったが、別の事が気になっているようだ。
どうかしたのかと、youが小首を傾げてリゾットを見上げると、少しだけ考えて沈黙した後、薄く唇を開く。
「今まであまり意識して見たことがなかったが……そういった服が好みなのだな、youは…。」
「えっ…?えっと……似合いませんかね…?」
「いや、とてもよく似合っている。」
「ああ、ありがとうございます……よくよく考えればわたし事務所ではいつも制服ですしね。リゾットの私服はいつも見てますけど…でも、いつも何でも似合っていて素敵です。」
「そうだろうか…。」
「はい!でも…そういえば皆さんお仕事着を昔は着用してたってメローネに聞いたことが……今は着ないんですか?わたし、そっちを見てみたいです。」
「ありません。着ません。被りません。」
「(目がマジだ…ていうか被るって何…?!)」
これ以上仕事着に関して深く聞くことは危険だと…本能で察したyouであった…。
もしかすると旧パッショーネだった頃の支給品で、本人らの希望するものを着用していたのではないのかもしれないと思うことにした。
「じゃぁ、気を取り直して…今日はよろしくお願いします、リゾット!」
「そうだな…では行こう。」
そう言って2人がやってきたのは、歩いて辿り着ける範囲にある、少し広めの公園だった。
日本の公園とは全く異なり、流石はイタリアといったところか、
遺跡のような建造物と自然の木々が同じくらい主張しており、まるでファンタジー漫画やRPGゲームの世界のよう。
公園に入る前に近くの店でジェラートを買い、食べながら散策をする。
「わぁ…何かもう本当に…素敵空間…。」
「広場は多々あってもこういった木々がある公園は街から離れないと見掛けないからな。確かに街中では珍しいかもしれん。」
「いいですね、本読んだり、おひさまに当たりに来たりにもってこいかも。」
「そうだな。」
「まだ観光気分が抜けないけど、慣れるかなぁ…。」
「無理して慣れる必要は無いだろう…youのペースでいい。」
「リゾット…ありがとうございます。」
「ん、ああ、you…ジェラートが溶けるぞ。」
「ん?うわ!本当だ!」
リゾットとの会話と、公園を見て回ることに集中した結果「ジェラートを食べながら」という作業が疎かになっていたらしい。
手に持ったコーンの上から溶け出したジェラートが滴り落ちる。
溶けかけた部分を急いで食べ、少しだけ手に付いてしまった分もペロリと舐め取った。
「んぅ!溶けても美味しい…。」
「幸せそうだな…。」
「とっても!でも、こんな素敵空間でリゾットにご一緒してもらってるので、追加で更にしあわせですよー。」
「・・・。」
「…あっ……あっ…しまった…!!」
「成程。」
「あ……。」
自分の発言を撤回したいとyouが思ったのには理由がある…。
昨日、リゾットと一緒に仕事帰りに飲みに行った際に「自分の発言に責任を持つように」と忠告されたからである。
良かれと思って伝えた言葉が、相手にとっては好意と見なされ、お互いに距離を近付けてしまうことになる…と。
それは勿論、悪い事ではないのだが、彼女にはまだ「避ける方がいいこと」と無理に認識している様子。
「オレも幸せだ、そんな事を言ってもらえて。」
「う、うん……よ、よかったー。」
二重の意味で。
そうyouは思った。
何か甘い言葉が飛び出してくるのではないかと、懸念していたが、当たり障りない言葉で綺麗に返してくれたと、安堵するyou。
「ん?リゾットはもうジェラート食べ終わったの?早いですね!!」
「ああ、まぁ…。」
「ピスタチオ……少しもらいたかったぁ…。」
「そうだったのか?それはすまなかったな…。」
「いえいえ、大丈夫ですよ!今度またココに来た時に頼んでみます!」
「では、その時はまた誘ってくれ。オレも別のフレーバーを頼みたい。」
「えっ、ほんとう?また一緒に出掛けてくれるんですか…?」
「勿論。」
「・・・うれしい。」
「・・・。」
「はっ……地雷……!!」
「ああ、踏んだな……。」
「リゾット…嬉しかった、です…?」
「嬉しかったよ。」
「あぁ~…。」
「さっきのは我慢できたが…。」
「ああっ、リゾット…そのまま我慢ですよ!」
「いいや、限界だ…言うね!!」
「(うわなにこの台詞すごい聞いたことある!!)」
冷や汗交じりに眉を八の字に顰めているyouを見て、
リゾットは軽く諦めの如く、はぁ…と小さな溜息を吐いた。
「どうしてそうポンポンと……嬉しいことを…。」
「うう…だって…。」
「まったく…地雷が怖いならいっそ口で塞いでやるぞ…。」
「り、リゾット!//」
そっとyouの顔に手を伸ばし、リゾットはその頬を軽く指先だけでなぞった。
先程からの困り顔に加え、真っ赤になった頬…。
出会ってからしばらく経つが、相変わらずyouは言葉ひとつで動揺し、そんな表情を見せる。
最初の頃はそれが現地の者ではなく、慣れていないからだろうとチームの皆と同様、リゾットもそう思っていたが、
2人だけで事務所で仕事をしたり、何度か休日に出掛けたりしているうちに、それは土地柄、お国柄といったものではなく、彼女自身の心の性質からくるものだと分かった。
それが理解できる今、目の前で自分の言葉に動揺する彼女がどうにも愛らしくて仕方がない…とも。
ただ、これ以上困らせるのも少し可哀想に思えて、リゾットは話題を変えてやることにした。
「ジェラートもいいが……バールでエスプレッソもいい気がするな。」
「うぇい?!……そ、そうですね…。」
「youはエスプレッソは苦手か?ペッシなんかは苦手のようだが。」
「えと……本場イタリアのはわたしにはちょっと苦すぎる気がします……できればあんまり砂糖大量に入れたくないから、わたしは避けるかも…。日本のエスプレッソとは全然違いますもんね。」
「日本のエスプレッソはココとは違うのか…いつか飲んでみたいものだな。」
「絶対「これエスプレッソじゃない」って言いますよ、皆……それより他のドリンク飲んでほしいかも。」
「ジャパニーズグリーンティーとか?」
「緑茶ね、こちらに来る時に密輸してるのかってくらい大量に持ってきましたから、いつでもお出しできますよ!!」
「っハハ!密輸か……飛行機で止められなかったか?」
「大丈夫でした!」
動揺は落ち着いたようで、明るくリゾットの言葉に返答をくれるようになったyou。
食べることを失念して、また溶けそうになっていたジェラートも何とかちゃんと完食できた様子。
「そうか…では、youの家に行く楽しみが1つ増えたな。」
「でも日本茶って、味がないって言われそう、ちょっと心配。」
「そう感じると聞いたことがあるが……それもまた気になるし、何より、youが持成してくれる一杯なら、それだけで嬉しい。」
「リゾット…。」
「向こうにベンチがある。そっちで座って話そう。」
「うん。」
落ち着いて話をしたいこともあり、リゾットは着席を促す。
youもそれに同意し、2人はすぐそばにあったベンチに腰掛けた。
「そういえば、こちらに来て暫く経つが、何か生活で困ったことはないか?」
「うーん…日本と色々勝手が違ってて困ることは結構ありますが……そこはもう、慣れるしかないので。」
「何か力になれることがあったら遠慮なく言ってくれ。」
「お気遣いありがとうございます、リゾット。」
「仕事の方も問題ないか?」
「そっちも今のところ。」
「メローネの対応に困ったりしていないか?ギアッチョに暴言を浴びせられたり、イルーゾォに嫌味を言われたりも無いか?」
「い、今のところ問題ないかと……ていうか今さりげなく皆のことディスりませんでした?」
「真実だから…。」
「で、でも本当に皆さんわたしのこと気遣ってくれますよ、大丈夫。」
「本当か?」
それは八割方本心からで、一癖も二癖もあるチームの面々が彼女を困らせるようなことをしていないかを問うたのだが、
意外過ぎるほどにyouの口からは「そんなことは微塵もない」と、にこやかに返答をされてしまう。
それどころか、寧ろ…と、彼女は嬉しそうにその実態を説明し始めた。
「はい、だってメローネやホルマジオはよく買い出しの時にバールに寄ってお話してくれる時間を作ってくれますし、ギアッチョも任務の帰りにドルチェを差し入れでくれたりしますよ。イルーゾォなんかはご自分の能力を使って本を読んだり、集中して仕事するために静かな場所を提供してくれることもありますし…。」
「(あいつら…。)」
「プロシュートはペッシとわたし、1セットで可愛がってくれてる気がします。何度か3人で飲みに行きましたよ。」
「そう、だったのか……まぁ、そういうことなら安心したが…。」
「(…が?)」
「少し、妬けるな……2人で出掛けたりするのはオレだけじゃなかったというのは…。」
「えっと……でも……。」
「・・・?」
気のせいか少しまた頬を赤らめた様子のyou。
リゾットの顔は見ず、照れ隠しのように自分の足元やその少し先の芝生に視線を動かし、小さく口を開く。
「ナポリの綺麗な景色や星空を見せてくれたり、わたしのことを心から気遣ってくれる言葉をくれるのは…いつも、リゾットです。」
「!!」
「それはすごく……嬉しくて、ありがたくて、あったかくて。」
「・・・。」
「……だから、沢山話がしたくて、もっとずっと一緒にいたくなっちゃいます。」
「you…。」
「今日も、一緒にいてくれてありがとうございます。」
「それ以上はもう……止めておいた方がいいぞ、you。」
「えっと……。」
「君の紡ぐ言葉はどれもとても柔らかで優しい。それはとても良いことで、美しいとオレは思う。」
「あ、ありがとうございます…。」
「それをどういう風に受け取るかは人によるかもしれないが……オレ個人はyouの言葉がとても好きだ。」
「こ、言葉ですよね…。」
「ああ。」
一瞬、ホッとしたのもつかの間。
やはり、話はそこで終わらず、いよいよ確信めいたものへと発展していく。
「もう、手遅れかもしれないから伝えておくが……そんな言葉を伝えられる君という存在を、オレはとても好ましく思っている。」
「っ…!//」
「それの器はもうそろそろ……きっと溢れてしまうだろう。」
「あ…ああ…あ…。」
「君はとても困ると思うが……それはこちらの勝手な想いだから、君は気にしたいと思った時にオレを気に掛けてくれたらいい。」
「り、リゾットは……それでいいんですか?!」
「ああ、構わない。」
「ど、どうして…そんなに優しいんですか…?」
「優しい…?」
コクコクと頷くyouに、リゾットは「ふむ…」と暫し考えを馳せる。
思考を逡巡させても、明確な答えは得られなかったようだが、その理由を辿るようにリゾットは一つずつ言葉を零していく。
「どうして?どうしてだろうな……強いていうなら、そういう気持ちに、君がそうさせたんだと思う。」
「わ、わたし?」
「今までの自分なら、こんな恋愛はしなかっただろうから。」
「・・・。」
「君に出会えて良かった、you。」
「リゾット…。」
「凡(おおよ)そ、人間らしい生き方はできないまま生きていくのだろうと思っていた……。誰かを気遣う見返りが、あたたかな言葉や嬉しそうな姿で充分だと思えたのは…きっと相手が君だからだ。」
「・・・。」
「グラッツェ、you。」
旧パッショーネの時代の生き方の事を言っているのだと察したyou。
今のリゾットからは想像できないが、以前のチームの仕事内容は凡そ公に伝えることができないようなものだったと、配属前から既にボスであるジョルノから聞き及んでいた。
涙目でブンブンと首を横に振ると、youはぎゅっと両手を膝の上で握り、リゾットを見上げる…。
「わたしの…言葉の選び方は間違っていたのかもしれませんが……それがリゾットにとって悪い変化になっていないのなら…いいんですけど…。」
「悪い変化だと思うなら、礼なんて言わないさ。」
「でも、だったら…!」
「?」
「だったら、それはわたしじゃないです…!」
「you…?」
「わたしは……ずっと普通のことを伝えてきたつもりです。だから、もしリゾットの心に響いたものがあったなら、それはきっと…リゾットの心がとても豊かだからだと思うのです。」
「・・・!」
「わたしじゃなくて、リゾットの考え方が素敵だからです。」
「ありがとう……だが、そうじゃあないんだ。もっと自信を持って、素直に受け取ってほしい。」
「でも…!」
「でないと、オレがこの先、君を好きだと言った時、それさえ信じてくれないだろう?」
「ひぇ…。」
「本当に、感謝しているんだ。だから、それに対して反論や否定はできれば…聞きたくない。」
それに関してはリゾットの言う通り…とyouも賛同する。
相手を立てることは大事だが、自分に謙遜して相手からの好感を否定することは褒められたものではない。
「恋」という感情に動揺して、冷静さを見失っていたが、
落ち着いて考えてみると、リゾットに失礼なことをしてしまったと感じたyou…。
「その通りでした」と、しょんぼりした表情でリゾットへの謝罪を行う。
「すみませんでした……。」
「・・・。」
「そんな風に感謝されるなんて思ってなくて、驚いてしまって…。」
「そうか…。」
「わたしなんかの言葉を…そんなに綺麗に受け取ってくださってありがとうございます。とても…嬉しいです。」
「ああ。」
「でも、やっぱりリゾットの考え方が素敵だと思うのは…間違っていないと思うんです。」
「you…。」
「だからわたしも……そんな受け取り方をしてくれるリゾットのこと……好ましく思います!それは……悪い事じゃないですよね…?」
リゾットの言葉を否定するでも反論するでもなく、同じように「貴方の言葉が素敵です」と…彼女は伝える。
そういうことなら、また同様に「ありがとう」と、素直に受け入れることができるというもの…。
リゾットは恐る恐る不安気に自分を見つめているyouに、優しく笑みを向けた。
「ああ、勿論だ。」
「わ、わたしは…自分の気持ちがまだよく分からなくて困惑してますけど、でも…。」
「?」
「リゾットの顔(かんばせ)も、お声も、銀色の髪も、優しいところも…全部にドキドキしますよ。」
「そうなのか?それは……嬉しいな。」
「あと腹筋とか。」
「(強く言い切った!?)」
「腹筋とか…。」
「(え、2回…?)」
以前もどこかで聞いたことがあったような気がするが、youは割かし筋肉質な異性を好むのかもしれないと、リゾットは解釈する。
チームのメンバーは皆一様に体を鍛えてはいるので、別段自分だけがその対象ではないのかもしれないが、
少なくとも外見も内面も彼女の好みの範疇ではあるようで、人知れず安心するのであった。
それと共に湧き上がってきたのは、意中の相手なら誘惑したいという感情。
物静かで紳士的な態度が基本的に彼の常ではあるが、それはあくまで距離感を保ちたい相手に対するもの。
ひとたび、狩るべき獲物が定まったのなら、最早容赦をすることは皆無。
それは仕事に於いての話だろうと、リゾット自身、心の中で自問自答するも、
一度走り出した車や電車が急には止まれないのと同じように、彼の心もまた動き出し、止まれなくなってしまったようだ…。
膝の上に置かれたyouの手首をリゾットの大きな手がしっかりと掴み、
急にどうしたのかと、youが小首を傾げる。
「そこまで好きなら…遠慮せず触ってしまえばいいものを。」
「え…な、何をです?」
「顔でも、髪でも、腹筋でも…どこでも。」
「っ…?!//」
「youに触られるなら光栄だ。」
「りぞ…っ!//」
掴まれた手はそのまま上に持ち上げられ、その手の甲がリゾットの唇に触れる。
それをゆっくりと離し、耳まで真っ赤に染まったyouに彼は満足そうな笑みを向けるのだった。
「リゾット…わたしもうダメです!今日はもう帰ります!!//」
「お、おい、you……って早ッツ!!」
ベンチから立ち上がって、そう叫んだかと思えば、凡(おおよ)そ彼の予測を上回る超スピードでその場から走り去っていったyou。
流石のリゾットもまさかのフルダッシュで逃避されるとは思っておらず、引き留めることもできずに一人ベンチに置き去りにされる…。
「まぁ……今日はこれで良かったのかもしれん。」
このまま彼女の家で食事に呼ばれようものなら、感情どころか理性もメーターを振り切ってしまうだろう…。
リゾットは一度フゥ…と大きく溜息のような呼吸をし、次回の逢瀬には何を手土産に彼女の家を訪ねようかと、
木漏れ日の差す公園のベンチで考えを巡らせるのであった…。
avvicinarsi
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*