■Lei e un fiore. (本編 / 暗殺チーム)
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「遅っせーーぞリゾット!頼むから早くキッチン手伝ってくれ!!」
帰宅直後のリゾットに向かって、嘆くようにホルマジオがそう叫んだ。
Lei e un fiore.
12:Sorbet & Gelato(ソルベとジェラート) 3
「ペッシと料理を担当じゃあなかったのか?」
「ペッシ?!ああ、出来上がったカプレーゼを持って行った時点でプロシュートに捕まったんだよ!あんのヤロー老害もいいとこだ!!」
「分かった分かった、手伝おう。何をすればいい?」
「助かるぜ~、とりあえずオレはポモドーロ(トマトパスタ)作ってっから、何かテキトーに作れるモン作ってくれ!」
「テキトーって……はぁ、分かった。」
ホルマジオの呼びかけに応じたリゾットは、買い出しの荷物を下してキッチンへと入っていく。
一緒に買い出しから戻ったyouも何か手伝うことを申し出たが、ホルマジオとリゾットに申し訳なさそうな顔で断られてしまう…。
「あー、気持ちはスゲーありがてぇんだけどよォ~……オレとリゾットがココにいるので多分キッチンの幅が限界だ……。」
「あー……納得。」
ホルマジオが語る、断られた原因に大いに頷いてしまうyouであった。
買ってきたオードブルや惣菜を提供しなくてはならないということもあり、youはキッチンでの助太刀を諦め、買ってきたものを皿に盛り付けてリビングへと向かった。
「皆さん、遅くなってすみません!追加のお料理です!ホルマジオとリゾットのお料理はもう少し待っててください!」
「おっ、来たかバンビーナ!こっちだこっち!」
リビングは既にどんちゃん騒ぎのお祭り状態で、youはちょっとだけ口角を引き攣らせ、テーブルに料理を置き、既にできあがっている様子のプロシュートの横に恐る恐る着席した。
youが座るや否や、恐るべき速さで肩に手が回され、プロシュートに密着させられる…。
「(お、お酒臭い…。)」
「プロシュートだけズルくない?!オレだってyouの横がいい!」
嫌というワケではないのだが、酒気を帯びた独特の香りに眉を潜めると、向かいに座っていたメローネが口を尖らせてプロシュートに抗議しはじめた。
「まだリゾットとホルマジオが来てねーだろ!まだ歓迎会は開始前なんだ、イチイチ細けーこと言ってんじゃあねーぞこの変態仮面!」
「はぁぁ?!ちょっと、ギアッチョからも何か言ってやってよ!」
「それによォー、コイツらはオレの兄妹分なんだから、兄貴の横に座るってのは別に1っつもオカシイことじゃぁねーだろ…?」
「ペッシはいいけどyouを勝手に妹分にするなよ!そんな事言ったらオレだってyouの彼氏候補なんだからオレの隣に座ってもらうのが筋ってモンだろ?!」
「「いや、それはナイ。」」
「あぁん、全員ハモって全否定とか酷いッツ!!」
その場にいた全員(何故かソルベとジェラートも一緒に)から、提案を却下されたメローネだったが、お酒が入っているためか、そこそこに楽しそうな顔で笑っている。
ソルベとジェラートは未成年なので、飲酒はできないのだが、それでも楽しそうにこの場の雰囲気を受け入れているようで、youはホッと嬉しそうに笑みを浮かべた。
そこに最終的に手料理を完成させたリゾットとホルマジオが加わり、正式にソルベとジェラートの歓迎会がスタートしたのだが、既に度数の強い酒を数本空にした男どもが騒ぐわはしゃぐわの大騒動。
たまに悪乗りしたメローネがリゾット無言で鉄拳制裁を喰らったり、それにソルベとジェラートが怯えたりもしたが、メローネが幸せそうだったので2人とも無言でメローネの性質を納得したり…。
気さくに話しかけてくれるホルマジオは2人もすぐに懐き、特にソルベは彼を「兄貴」と呼び始めたので、それにプロシュートが対抗意識を燃やして「お前の兄貴は誰だペッシ!」と、ペッシの頬を凄い勢いで撫でまわし、ジェラートがそれに爆笑したり…。
清潔感が無いのがあまり好ましくないのか、イルーゾォがyouと一緒にちょくちょく酒瓶や空いた食器を片付けていると、ジェラートがちょこちょことそれを一緒に手伝ってくれ、イルーゾォがそっとジェラートを贔屓にすることを決めたり…。
酒に飽きたギアッチョがリビングにあるゲームをし始めると、ソルベもジェラートも駆け寄ってマルチプレイで対戦をして楽しんだり…。
たった1日にしてここまで打ち解けるとは、彼らを連れてきたリゾットも流石に思っていなかったようで、全員が家にも帰らずリビングで雑魚寝をしている中、片付けに勤しむyouにそんな感想を伝えてきた。
「こんなに早くに全員と打ち解けるとは思っていなかった……矢張り名前の影響もあるのだろうか。」
「んー、意外と皆さんに子煩悩なパパ要素があるのかもですよ?」
「まさか、悪い冗談だな。」
「そんなことないですよ、プロシュートやホルマジオは絶対その素質ありますし、ある意味でメローネも人に何か教えるのは上手ですよ?」
「オレ達のような者が父親なんぞ……子どもの教育に悪影響だろう。」
「手遅れですよ、もう既にソルベとジェラートはこのチームに来ちゃってますから。」
「・・・。」
そう言われれば…と、押し黙るリゾット。
あらかたテーブルの上が片付き、キッチンから持ってきた台拭きでテーブルを拭き上げると、綺麗になったリビングを見てyouが満足そうにフーっと息を吐いた。
「これで何とか明日を迎えられます!」
「すまなかったな……後片付けまでしっかりさせてしまった。」
「ソルベとジェラートがお酒飲めないので、わたしも控えていましたし、多分こうなるだろうという予想の元、飲みませんでした!リゾットこそ、あまりお酒飲まれてないんですか?」
「そうだな……まぁ、ある程度の自制はしたが…。ボトルワイン1本と食後にグラッパをボトル半分程くらいか…?」
「(酒豪……え、ザル…?)」
「何にせよ、ちゃんと意識を保っていられるくらいの量だ。」
「そのようですね……。」
「さて、他の奴らはその辺に転がしておいても問題ないが、ひとまずソルベとジェラートは仮眠室に運ぼう。」
「あっ、はい!」
そう言うと、リゾットはリビングで一同と一緒にカーペットの上で雑魚寝をするソルベとジェラートを軽々と抱き上げて、順番に仮眠室のベッドに寝かせてやった。
youも一緒にそれを見届けて、2人で仮眠室のドアを閉めて出て行く。
リビングが大の男数名に占領されてしまっているため、リゾットとyouの足は自然と其処ではなく、いつも彼らが利用する事務作業の部屋へと向かっていたのだが、その途中でトイレから出てきたイルーゾォと鉢合わせた。
「イルーゾォ、起きてたんですか?」
「ああ、you…と、リーダー……そうか、ソルベとジェラートを仮眠室に運んだんだな?」
「はい、そうです。」
「すまねェ、寝ちまってた。さっき見たが、テーブルとかの片付けは2人がやってくれたんだろ?ありがとうな。」
「いえいえ。」
状況が的確に判断できる様子から言うと、イルーゾォには酒の酔いはあまり残っていないようで、この後は自宅に帰るか、もしくは能力で鏡の中の世界で時間を過ごすだろうと予測できた。
それを察し、youが彼に「どうするのか」と尋ねようとしたところで、先にリゾットの口が開かれた。
「ソルベとジェラートのことで少し話をしたいんだが、イルーゾォも一緒にいいか?」
「ん、ああ、別にいいぜ。」
リゾットが先導して廊下を歩き、youとイルーゾォはその後ろを歩く。
いつもの事務処理部屋の中にはソファなどの寛げるスペースは用意が無いため、3人はデスクとワンセットになっているオフィスチェアーを引き出して空いているスペースで向かい合って座った。
「彼らをうちのチームで引き取ることにはなったが、彼らはまだ未成年だ。あと数年は一人で住まわせることもできないだろう。」
「つまり、パッショーネ側から家の提供は無いって事か?」
「ああ。だが、彼等が成人するまでは、それに見合うだけの金額をチームの必要経費として振り込んでもらえることになってはいる。」
「マジでっ?!じゃぁ、それって実質オレ達のチームの…!」
「懐は潤わないぞ、ちゃんと彼等のために使っているかチェックするためにソルベはソルベ、ジェラートはジェラートで口座が別だ。」
「チッ……。」
小さく舌打ちをしたイルーゾォだったが、それには全く怒りや不満が含まれておらず、今の生活にそこそこ満足していることが窺い知れた。
そういうことで、むくれたように唇を尖らせるイルーゾォが可愛いなと思ってしまうyouだった。
「暫くはオレとyouで口座は管理をするが、時が来たら2人に管理を任せようと思うが、それは後で話す。」
「はい、賛成です。」
「まぁ、数年はギャング見習いという名の雑用だな……主にはyouの手伝いをさせようと思う。」
「わ、教育係か……がんばります!」
「後は1人で生きていける術を身に付けてもらう。料理や掃除や洗濯……まぁ、その辺りはジェラートは得手のようだが。」
「確かに、孤児院でシスター達のお手伝いをしていたようですし。」
「本人らの意思にもよるが、今のパッショーネなら、1、2年程は普通の子どもと同等の扱いでいいと……オレは思っている。」
リゾットの言葉にyouは微笑み、イルーゾォは無表情で小さく息を吐く…。
「次第にオレたちの任務に同行させて慣れていったら、独り立ちをさせる。その時にパッショーネに報告して給与の話を持ち掛けるようにとのことで通達がきている。」
「リゾット、質問です!イタリアの成人って確か18歳ですよね?それまでの間にソルベとジェラートが独り立ちした場合、パッショーネからの生活費の送金は無くなるんでしょうか?」
「確認の必要があるが、他にも引き取っている子どもがいるから、バラけると処理が面倒だし、不公平だろう?恐らく一律で18歳までは送金があると思われる。まぁ、その後はずっとパッショーネに従属しなければならないのだから、奨学金のようなものだな…。」
「・・・。」
生活や将来の道で迷う必要はないが、人生を選択する自由は無い……と、キッパリと言い切るリゾット…。
すぐ傍で一緒に働く彼等は本当に自分と同じように笑ったり、困ったり、悩んだりできる仲間であるが、所属している組織が違うだけで、こんなにも異なる立場なのだと、改めて考えてしまうyou…。
彼女の表情から、そんなことを考えているのだろうとすぐに察したリゾットとイルーゾォ。
フォローを入れるというワケではないが、リゾットは「そんな顔をするな」と苦笑しながら彼女の額をつつき、イルーゾォは「ギャングも結構楽しいぞ、なってみるか?」と肘で脇腹を小突く。
「ですね、皆さんのような方が傍にいるなら、ソルベとジェラートも楽しくお仕事できますよね。」
「じゃぁ、youはおれ達と一緒に仕事するのは楽しいんだな?そりゃあよかった。」
「はいっ、楽しいし幸せですよ!」
「お………………おう…//」
呼び掛けてきたイルーゾォに、ぱぁっと明るい笑顔で返事を返すyou。
からかい半分に出た言葉にこんなにも素直な言葉で反応されるとは思わず、無意識に頬を染めてしまうイルーゾォであった。
部下たちの微笑ましい遣り取りに、ゆったりとした笑みを浮かべたリゾットだったが、もう1つ思い出した議題があった…と、2人に声を掛けた。
「そうだ、もう1つ。」
「?」
「ソルベとジェラートの住まいだが…。」
「この事務所だろ?」
「ああ。今の仮眠室を2人の部屋にしようと思ってはいる。」
「何か問題があんのか…?」
「一応ここはパッショーネの特殊任務依頼チームの「事務所」なんだ。今オレ達がいるこの事務処理の部屋なんかには機密内容のものもあるし、セキュリティ的に問題視してしまうところがあってな…。」
「確かに一理あるな……ジェラートはともかく、ソルベは素性の問題で100%信用するワケにはいかねェな……。」
「疑ってはいないが、ギャングに匿われている子どもは、それだけで利用されてしまう可能性もある。」
「・・・。」
「かと言って、お前たち……当番制にしてアイツ等を自分の家に連れ帰れと言っても絶対嫌がるだろう?」
「はぁ?嫌、絶対嫌だ。ガキを家に上げるとか無理。」
「はぁ…。」
会話を交わしていたイルーゾォが、案の定最後の問い掛けには「NO!」と拒絶。
矢張り事務所のセキュリティ面が確立するまでは数週間だけでも自分の家で面倒を見るしかないか……と、項垂れたリゾットだった。
「狭いですけど、1人くらいなら連れ帰れますので、わたしでよければ協力しますが!」
「「いや、それはダメだ!!」」
youの言葉に間髪入れず、却下の言葉をにハモって放つリゾットとイルーゾォ。
「ガキに見えても男は男なんだぞ!特にソルベ!危機感持て危機感!!」
「イルーゾォの言う通りだ、you!流石のオレでも今の意見には賛同だ。ここは南イタリアなんだぞ!」
お互い、自分達の本質と性質を明らかにしていることに気付いていないようで、南イタリアの男性に気を付けろとしきりに説明してくるイルーゾォとリゾット…。
じゃぁ、こんな南イタリアの男所帯の中で働いている上、泊まり込みの飲み会に参加したり、シエスタの時間に仮眠室でグースカ寝入っても何の手出しもされない自分とは一体……と、己が魅力の皆無さに無言で泣きたくなるyouであった…。
「兎に角、youの家に連れ帰るのは却下だ。」
「じゃ、どーすんだ?」
「当番制で事務所に泊まることにする。それから、今まで付けていなかった部屋にも監視カメラを設置する。」
「ソイツぁ名案!メローネがyouにセクハラしてねェか何気に全員心配してたしな。牽制にもなる。」
「それもそうだな。」
「あ、ソルベとジェラートが仮眠室使うって事は、おれ達が休む場所はリビングのソファってことになるのか……ちと狭いな…。」
「ああ、それなんだが……トイレの横に使っていない物置があるだろう、そこを完全に開けて仮眠室にしようと思う。幅は狭いから二段ベッドになるだろうが。」
「ああ、いいんじゃね?じゃぁ、これであらかた決まったか?」
「そうだな……とりあえず、このくらい決めておけば、それ以外は後から決めていけばいいだろう。」
「っし、じゃあ、オレは今日はもう家に帰るの面倒だし、鏡の中で休むことにする。」
「ああ、色々とありがとう、イルーゾォ。」
「ま、リーダーの頼みなら、ってな。」
イルーゾォが立ち上がるのが合図になったのか、リゾットもyouも話し合いが一区切りしたということで同時に立ち上がる。
全員で椅子を元の場所へ戻し、先にイルーゾォが「おやすみ」と、告げて部屋を出た。
「話しもまとまりましたし、ある程度片付けも完了してるし……わたしはそろそろ家に帰ろうかな。」
「そうか、なら送っていこう。」
「リゾットも家に帰るんですか?」
「いや、オレはここに戻ってくる。」
「えっ、じゃあいいですよ!一人で…」
「もう遅い時間だろう、一人で帰らせることはできない。」
「でも…。」
「そんなに距離もないから、遠慮する必要は無い、行こう。」
「それなら……リゾットの手間を取らせるくらいなら、わたしもココに泊まります!」
「泊まりますって……ベッドもソファも埋まっているし…。」
「カーペットで雑魚寝で構いませんよ、リゾットもそうするつもりですよね?」
「オレはいい、男なんて本当にその辺の道路でも寝れるくらいタフだから……だが、キミは女性だし…。」
「道路は寝たことないですけど、カーペットの上で友達と雑魚寝くらい、女にもありますよ。」
「し、しかし……。」
「もうっ!気遣ってくれるのは嬉しいですけど、わたしだって、いつも遅くまで仕事してるの知ってるので、リゾットの睡眠時間が削られる方が嫌なんですよ!ほら、行きましょう!」
「い、行くって……何処へだ?」
「リビングですよ、皆と一緒に寝るんです!」
「お、おい、you!!」
リゾットの煮え切らない態度に少し不満を持ったのか、youは僅かに頬を膨らませて彼の腕を掴むと、ぐいぐいとリビングまで引っ張っていった。
未だ誰も目覚めていないその場所にはイルーゾォ以外のチームメンバーがソファや床で、まるでその場に行き倒れたかのように、ある者はスヤスヤと、またある者は盛大なイビキを欠きながら眠っている。
youはリビングのテーブル下に常備してあるブランケットを取り出して、床に転がったギアッチョとメローネの近くにコロリと横になると、リゾットに「ここに寝なさい」と自分の横をポンポンと叩いた。
「リゾット、早く。」
「ほ、本気か…?」
「ん。」
「全く……キミというヤツは…。」
ハァっと盛大な溜息を吐きながらも「降参です」と苦笑しながら、リゾットはカーペットの上に横になる。
すぐ横にいるyouと顔を見合わせると、彼女は自分の被っているブランケットを半分リゾットに明け渡した。
「オレは大丈夫、ブランケットはyouが使え。」
「いいんです。折角ですし、起きてる者同士で分けましょう。」
「折角の意味が分からないんだが……。」
「ひゃあ?!」
「?!」
「な、何だ……メローネか……びっくりした…。」
急に驚いた顔で驚いた声を上げたyou。
一体何が起こったのかとリゾットが身体を少し起こして見れば、彼女の腰……というか最早尻に手を伸ばして顔をぴったりくっ付けているメローネの姿が視界に入った。
リゾットはハァ…と溜息混じりに腕を伸ばし、youの身体の上からメローネの顔を彼女の尻から引き離す。
小さく「ありがとうございます」と呟いた彼女に、リゾットは自分に半分掛けてくれていたブランケットを一度バサリと大きく開いたのち、それで彼女の全身をふわりと包んだ。
「あの、リゾット…ブランケットは一緒に…!」
「メローネは寝ていてもお前にセクハラをするようだ……暑くなければ包まって防御しておけ。」
「そんなの……気にしなくていいのに……。」
「ほぅ、言ったな?うちの輩は今のを「セクハラされても構わない」という意味合いで取るぞ?勿論、オレも。」
「り、リゾット?!」
そう言うや否や、ブランケットに包まれてイモムシ状態のyouの身体をリゾットがそっと抱き寄せる。
いつもは身長差でなかなか縮まらない顔と顔との距離が、寝転がっている今はとても近い上、抱き寄せられて腕枕を提供されてしまった。
整った顔(かんばせ)に見つめられ、当然、真っ赤な顔で困った表情を浮かべるyou。
「あうぅ……リゾット、近い……です…//」
「youの髪は花のようないい匂いがするな。これなら床でもぐっすり眠れそうだ。」
「わ、わたしは眠れないですよ!//」
「Buona notte、you…。」
「り、リゾット~!//」
酔ってはいないと言っていたリゾットだったが、ほんの少しは酒で気分が高揚していたのかもしれない。
無意識に彼女に甘えたい願望でもあったのか、それとも上司としての庇護欲なのか…。
兎に角、youをメローネ(のセクハラ)から守るためとはいえガッチリと身体をホールドされてしまい、その日はリゾットの抱き枕として就寝することになってしまうyouなのであった…。
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翌日…。
「わぁ……何これ、youすんげー可哀想。」
「いや、おれとしてはリーダーが安眠してるっつー方がレアだと思うし、youは尊い犠牲だと考えるわ。」
「え、それマジで言ってるのイルーゾォ……youめっちゃうなされてんだけど…。」
「だから尊い犠牲なんだよ…。」
「鬼か。」
未だに床でスヤスヤと無防備に眠っている上司と、それに強く抱きしめられてうんうんうなされているチームの紅一点を見下ろして、メローネとイルーゾォが語り合う。
そんな中、リビングにいたギアッチョとペッシもそれを見に来て話しに加わる。
「オイラ、リーダーが人前で寝てる姿って初めて見たかも……ギアッチョは?」
「リゾットが寝てるのは見たことあるけど、こんな面してんのは初めてだな。」
「ていうかyou、凄い顔してるね……。」
「重量級にプロレス技喰らってるみてーな顔だな…。」
「た、助けてあげないとだよね…?」
「「「・・・・。」」」
「えぇええ!!どうして皆黙るの?!!」
流石にyouが可哀想なので、そろそろ起こすべきではないかと訴えたペッシだったが、
いつも迷惑を掛けてリゾットにアフターフォローをしてもらっている負い目があるのか、彼等はリゾットの安眠を妨げることを無言で拒む。
そんな折り、リビングに身支度を完璧に整えたプロシュートが入ってきて、ツカツカと一同の元に来ると、ピカピカに磨かれたハイブランドの革靴でゴスッ!と強めにリゾットの頭に蹴りを入れた。
「う……。」
「ボンジョルノ。」
「プロ、シュート……?」
「ぼちぼち起きる時間だぜ、ついでにオレのバンビーナをそろそろ解放してくれるか?」
「んぅ……お前のじゃない。」
「テメ、くぉら!!このクソゴリラ!!バンビーナが圧死しちまうだろぉが!!!」
「ん"ーーーー。」
寝起きでしっかり意識が覚醒していない所為か、予想外のリゾットの反抗にプロシュートがキレつつ、リゾットの背中にガスガスと蹴りを入れ始める。
その衝撃から彼女を守ろうとしてなのか、より一層強い力でyouを抱きこんでしまうリゾット。
「う"っ……何か出る!内蔵的なものが何か出そう!!」
「バンビーナ!!しっかりしろ!!」
「はっ!!お、おはようございます……プロシュート、そして苦しいです、助けてください!!」
「待ってろ!今このマウンテンゴリラを引き剥がす!!」
寝苦しいを通り越して息苦しさで目を覚ましたyou。
開口一発、兄貴分のプロシュートに助けを求めた。
流石の一同も、彼女が圧死してはたまらないと、リゾットを揺さぶったりしてyouから離すことに協力し始める。
「リゾット!リーダー!流石に臓器圧迫はマズい!ギアッチョ手伝え!」
「分かってる!オイオイオイ!!オメーこんなに寝起きの性質(タチ)悪かったのかよ!!」
メローネとギアッチョが協力してリゾットの背中を引っ張り、プロシュートがぐったりしたyouを抱え、彼女にしがみ付くリゾットの腕をペッシとイルーゾォが無理矢理引き剥がす。
もしかしてこれは既に覚醒しているのではないかと思うくらいの強い力で一同の行為を拒否するリゾットに、改めて「リゾットはやっぱり強い」という感想が生まれた瞬間だった…。
その場にいる全員でリゾットと奮闘していると、その場にいなかったホルマジオ、ソルベ、ジェラートの3名がリビングに顔を出す。
「ソルベとジェラート起こして来たぞー……って、朝っぱらから何取っ組み合いしてんだお前ら……。」
「ホルマジオ!リーダーの寝起きがヤバくて!!手伝ってくれよ!!」
「あー……しょーがねぇーなぁ~ッ、ちょっと待ってろ。」
メローネの切羽詰まった説明に、ホルマジオが彼等の傍に歩み寄る。
ソルベとジェラートもホルマジオの後ろに付いて一同の元へとやってきた。
youを掴んで離さない様子のリゾットに全員総出で引き剥がしに掛かったことを察したホルマジオ。
勿論、ソルベとジェラートも同じ想像に行き着いたのだが、その対処法まで考えたのは勿論付き合いの長いホルマジオであった。
彼は再び口癖の「しょーがねぇーなぁ~」を口にすると、その場にしゃがみ込んでリゾットの耳元で何かを囁く…。
刹那、今まで虚ろだったリゾットの瞳がカッと見開き、同時にしっかりとyouを掴んでいた手もパッと離した。
「ボンジョルノ、ホルマジオ………と、皆。」
「「「嘘だろ!!!?!」」」
今までの寝起きの悪さがまるで嘘だったかのように、ムクリと起き上がり、きちんとした挨拶を述べるリゾットにホルマジオ以外の面々が驚嘆の顔色でツッコんだ。
「you、すまない……どこの臓器も潰れていないか?」
「だっ、大丈夫です……何とか。」
「悪かった……いつもはこんなに寝起きが悪いことはないんだが…。」
フム……と、何故なのか理由を模索し始めたリゾットに、メローネがニヤニヤした顔つきで彼に問いかける。
「それってぇ、今日の抱き枕が超良かったからじゃあないのか?我がリーダーは意外とムッツリスケベだったのか……そんなギャップもまたディ モールト ベネ!」
「……そんなつもりは無かったんだがな…。」
「でもズルくない?オレなら100叩きの刑に処されるどころか、全員からスタンド一斉解放される可能性あるのに、リゾットはお咎め無しとか~。」
「「「・・・。」」」
日頃の行いだろう…と、youを含め、一同一斉にそう思う。
口を尖らせて不満を言うメローネを他所に、ソルベがホルマジオに尋ねる。
「ホルマジオ兄貴、さっきアンタ……どうやってあの人……リーダー起こしたんだ?」
「ああ、あれか?」
「一瞬で覚醒したぞ。」
「……聞かねー方がいいぞ……悲しくなる。」
「はぁ?」
ホルマジオの謎の発言に首を傾げたソルベだったが、いいからもったいぶらずに教えてほしいとジェラートまでが彼をせっつく。
「おれも知りたい!教えて、ホルマジオ!」
「しょーがねェ~なぁ~……。」
「何なに?何て言ったら起きたの?」
「『新しい任務来てるぞ』って耳元で言った。」
「・・・かわいそう。」
「な、悲しくなるって言ったろ…。」
まさかの答えに幼いながらもリゾットの置かれた環境を思わず憐れむソルベとジェラート…。
立ち上がって、顔を洗いに行こうとしているリゾットの服をジェラートが引き、声を掛ける。
「リゾット……ううん、リーダー、おれ、早くリーダーの役に立てるように頑張るね。」
「ジェラート?」
「色々手伝うから、言ってね…。」
「……グラッツェ。」
リゾットがその好意を有難く受け取り、よしよしと、ジェラートの髪を撫でると、彼はくすぐったそうに目を細めた。
昨日、事務所に連れてきた際には怯えた様子だったが、元々人懐っこい性格だったのだろう…。
昨夜の歓迎会でチームの面々と話して大いに心を開いてくれたようだった。
そんな彼の様子に安堵し、リゾットが微笑むと、ソルベが意外だという表情を向ける…。
「へー意外。表情のバリエーション、仏頂面だけじゃなかったんだな。」
「失礼な奴だな……歓迎会の時は仏頂面ではなかっただろう…。」
「だけど、一歩引いてただろ?あれってリーダーだから気を張ってないとって思ったから?」
「そういうワケではないが…。」
「ふーーん、じゃぁ、子どもとyouの前では感情表現豊かなんだな。」
「どうしてそうなった…。」
「え、だって……皆そう思ったんじゃない?違う?」
ソルベがコテン、と小首を横に傾げた後、周囲の面々を見回せば、皆一様にウンウンと首を縦にして頷いている。
「ほらね?」
「・・・。」
「あ、でもさ、youのこと抱き枕にするのはもう止めとけよな、可哀想だし。」
「お前に言われるまでもなく、もうしない。」
「そっか、良かった。じゃぁ今度はリーダーじゃなくてオレとジェラートと一緒に寝てもらおうっと。」
「おい!!」
「ってことなんだけど、いい?you?」
「ホルマジオ!ソルベを連れて買い出しに行け。ついでに帰り掛けに全員分の昼食も買ってこい。」
「あっ、職権乱用ー!!」
ソルベがyouに添い寝の依頼を完了させる前に、無理矢理会話を中断させたリゾット。
とばっちりを食らったホルマジオは一瞬目を丸くして「オレかよ!」と不満を漏らしたが、
これもリーダーの威厳を守るためってヤツか…と、苦笑しながら「しょーがねぇーなぁ~」と吐き捨て、ソルベの首根っこを掴んでリビングを後にするのだった。
パタンとドアが閉まったあと、ふいにリゾットの眼下から小さな声で質問が投げかけられる。
「リーダー、youのこと好きなの?」
「ん?ああ、そうだな。だが、オレだけでなく皆そうだと思うぞ。それに、オレはyouだけでなく、チーム全員のことが好きだ。ソルベとジェラート……お前たちも含めて、な。」
「!!」
「だから、誰かが特別というワケではなく、皆がオレにとって特別な存在だ。」
「グラッツェ、リーダー!おれも皆のこと好きになれそうだよ!」
「そうか……それはよかった。」
自分の胸より下の身長でぎゅうっと抱き着いてきたジェラートに、少しだけ驚いた顔をしたリゾット。
しかし、すぐに穏やかな笑みを浮かべて少年の背中を大きな手でポンポンと叩く。
まるで仲の良い親子のような様子に、ある者は口元を抑え、ある者は震えながら2人を見守る。
「リーダー……アンタって人は…!」
「リゾット、リゾット、リゾットよぉー……!」
「ヤバい……尊過ぎて死んじゃう……!!」
声に出したのはイルーゾォ、プロシュート、youだったが、その言葉を皮切りにメローネがリゾットとジェラート飛びつき、ギアッチョやペッシがその後に続く。
「お、おい!何だ急に…?!」
「「「うちのリーダーマジ天使!!!!」」」
「????」
わけが分からない…と困惑するリゾットに反して、ジェラートは彼らの真意を悟ったらしい。
リゾットに掴まっていた手を片方外し、その手で残ったyou達を誘う。
勿論その輪に加わりますと、youやイルーゾォ……結局のところ全員がおしくらまんじゅう状態でお互い抱き合い短い午前の時間を過ごしてしまうのであった…。
Sorbet & Gelato
(ソルベとジェラート)
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*