■Lei e un fiore. (本編 / 暗殺チーム)
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「すまない、遅くなった。」
その日、リゾットがその少年らを事務所に連れてきたのは昼を大きく過ぎてのことであった。
Lei e un fiore.
10:Sorbet & Gelato(ソルベとジェラート) 1
それまでの間にグループメッセージで全員事務所に待機するようにと指示があったため、内勤のyouのみでなく、チームメンバー全員がリビングに集まっていたのだが、
余程の事が無い限り、ここ最近はずっと全員で集まる…ということなど無かったため、一同には大きな疑問と少しの緊張が漂っていた。
そういえば、前回メンバー全員が集められたのはyouがこのチームに来た時だったな、などという話しをしている最中に、リゾットが2人の少年を連れてリビングに入ってきたのだ。
「すまない、遅くなった。」
「リゾット!」
「全員いるな?」
「皆いますよ。リゾット、おかえりなさい。」
「ああ、ただいま、you。」
youが率先してリゾットに声を掛け、軽く挨拶を交わしたことで、周囲の緊張が少しだけ和らぐ…。
そして、そこでも矢張りというか……一番最初に抱いた疑問を口に出したのは敢て空気を読まないことに定評のあるメローネであった。
「あー、あー……とりあえずおかえり、リゾット。それで、その子たちは?」
「ああ、今から説明する。」
「Si.」
メローネが小さく「了解」と返事をすると、リゾットは2人の少年について淡々と説明をし始めた。
「この2人は暫くこのチームで預かる事になった。上からの命令だ。」
「はぁぁ?!何でそんなガキを?!」
「落ち着け、ギアッチョ。」
「ここは特殊任務依頼チームだぞ?!いつから託児所になったんだ?!」
怒りの沸点が一番低いギアッチョが、早々に文句を言い始めたところを、リゾットと同様にホルマジオが「まぁまぁ」と宥める。
ホルマジオ自身も色々思うところはあるが、1から10まで事情を聞かねば、拒否も許容もしては駄目だろうという彼なりの理由あってのことだった。
「煩くしても話しが進みゃしねぇし……とりあえずリーダーの話を最後まで聞こうぜぇ…。」
「おっ、イルーゾォ!珍しく意見が合うじゃぁねーか!」
「やめろ、肩を組むな肩を!」
ホルマジオが正に思っていたことをイルーゾォが代弁してくれたので、喜々として横に座っていた同士で肩を組む。
(イルーゾォは心底嫌そうな顔をしているが…)
「いいか、続きを話しても。」
「「「Si.」」」
結局のところ、リーダーであるリゾットに迷惑の掛かる行為は避けたいというのが満場一致の答えだったようで、ギアッチョでさえもイライラを押し込めて話しを聞く体制を整えた。
それからリゾットが彼ら2人の話しを再開したのだが、要約すると話はこうだ。
少年らは、最近活動が活発になってきている新参のギャング組織により、組織に役立つ傭兵訓練や人身売買のために捉えられた子どもたちであること。
元々イタリアの品格を損なうような活動を繰り返していたその組織自体はパッショーネのボスであるジョルノも解体させることを考えていたため、ブチャラティやミスタ達の迅速な対応でこれを機会に崩壊させるに至ったものの、集められた少年少女の中でも数人は親元に返せない者がおり、2人はそれに該当する子どもであったこと…。
身寄りの無かった子ども達はパッショーネの保護下、組織の人員として迎えられる道しかなく、他にも数名は別のチームで預かることになっており、同様にこのチームにもその任務が与えられたのだと、リゾットは語った。
「当分の間、この事務所がお前たちの家ということになる。」
「「・・・。」」
リゾットが2人にそう指示をしたが、2メートル近くある長身の…しかも筋肉ムキムキの身体に、静かに地の底から響くような低音の声……しかも無表情でそう言われて、一体どんな子どもが懐くだろうか…(反語)
まるで、また別の悪い奴らに捕らわれて「ここから出るな」と言われているように誤解したのか、一人はゴクリと固唾を飲み、もう1人はカタカタ震えて涙目になる。
リーダーである彼には申し訳ないが、これには流石に一同全員「これは可哀想」と思った瞬間だった…。
結局、事情は全員把握ができた上、ボスであるジョルノの命令に逆らえるはずもないという事もあり、彼等を受け入れ、チームメンバーは思い思いの発言を投げ掛け始める。
「オレはホルマジオ。オメーら歳はいくつなんだ?」
「さぁ、知らない。気付いた時からナポリでストリートチルドレンしてたしな…。」
「ヒュー、クールじゃあねーの……見たところ14、5歳って感じだけど、精神年齢はもっと上みてーだな。そっちの金髪のボウズは?」
ホルマジオが尋ねた問いに、黒髪の少年が率先して答える。
自分の年齢は不明という彼に、大方の予想を告げて、次はお前だと……隣にいる少しだけ身長の低い金髪の少年にも同じ質問をした。
「13歳……だよ。」
「ッチ……クソが、頼りねぇ!!………ギャングとしてやっていけんのか?」
「うぅ…。」
「つーか、そんなんでよくストリートチルドレンで生きてこれたな…。」
ホルマジオに向けて答えたはずだったが、すかさず入ったギアッチョからの凄みのある視線と苛立った様子の声色に、ビクリと金髪の少年が肩を震わせる。
「コイツはストリートチルドレンじゃあねぇよ。」
返答できずに口を閉ざしてしまった金髪の少年の代わりに、黒髪の少年が彼の事情を説明する。
それに反応したのはまたもやホルマジオ。
「そうなのか?」
「教会の孤児院にいたんだってよ。偶々一人で買い物に出てたところを攫われたらしい。」
彼曰く、ギャングに捕らわれている際に幾人か仲良くなった子どもたちがいるようで、彼はそのうちの1人だったため、色々と話を聞いたのだという。
そのことを説明したところで「だったら……」と全員が感じたことをホルマジオが代弁してくれた。
「何だ、こっちのボウズはちゃんと帰るところあるんじゃねぇか……どうしてまた…。」
「そうだ、ホルマジオの言う通りだぜリーダー……何だって返せる場所があんのに引き取ったんだ?」
いつもは小競り合いをしているホルマジオとイルーゾォだが、今日は本当に珍しく大体の意見が一致しているようで、すかさず賛同してリゾットに問いかけた。
「それは……。」
「なぁ、ちょっといいか?」
「……どうした?」
「名前、あんたらの……教えてくれよ。」
「?」
「これから世話になるんだろ?内輪だけでずっと話されても、困る。」
イルーゾォの問いかけに答えようしたリゾットの言葉を敢えて遮るように、黒髪の少年がリゾットへの質問を上書きする。
ただ、その問いかけは至極真っ当なもので、確かに部屋に入ってきて今の今までその話題を持ち出していなかったと、リゾットは反省の色を見せた。
「ああ…そうだな、すまなかった。オレはリゾット。リゾット・ネエロだ……一応お前たちの上司であり監視役……という言い方は良くないな、しばらくは保護者とでも思ってくれ。」
「変な名前。イカ墨の粥って。」
「・・・。」
ボソリと呟いた黒髪の青年の言葉に、金髪の少年がクスリと笑う。
彼ら2人以外は、ゴクリと固唾を飲んでリゾットの反応を待つが…。
「そこにいるのがホルマジオ…は、先程挨拶をしていたな。横にいるのがイルーゾォで、赤い眼鏡がギアッチョ。その隣がメローネで、金髪の男がプロシュート、変わった髪型の男がペッシと言う。それから……彼女が事務員のyouだ。」
特に怒りを顕にすることもなく、淡々と全員分の説明と紹介を完了させたリゾット。
黒髪の少年は「ふーん」と音のように短い言葉を放った後、リゾットの顔をじっと見つめて言葉を放った。
「頼みがあるんだけど。」
「・・・何だ?」
事務所に来て早々、突然放たれた少年の依頼にリゾットは少しだけ眉をピクリと動かしてその内容を確認する…。
「名前……付けてくれ。」
「は…?」
「オレとコイツの名前、付けてくれよ。アンタ、リーダーで保護者なんだろ…。」
「・・・。」
生まれたばかりの赤子でもないのに…、もう十数年呼ばれていた名前があったはずなのに、何故か彼…否、彼らはリゾットに「新しい名前を付けてくれ」と言う。
リビングに集まったチームメンバーはyouも含めて全員が「何故?」という表情でその遣り取りを無言で見つめていた。
だが、リゾットだけはじっと黒髪の少年と目を合わせたまま、暫し黙って、そして薄く唇を開いて一度だけ彼らに問うた。
「オレが決めていいのか?」
「・・・ああ。」
「そうか……それじゃぁ…。」
それはもう何の迷いも疑問も無い様子で、リゾットは少年からの依頼を受け入れ、名を付けると言う。
一同全員が変わらずに驚いた表情を浮かべる中、リゾットが考えた名前が彼らに付けられることとなった。
「お前は「ソルベ」・・・それから、お前は「ジェラート」だ。」
「「!!!」」
リゾットの付けた名前に反応したのは、名付けられた本人達ではなかった。
youを除いて、リビングに集ったチームメンバー全員がザワリと動揺を見せる…。
一瞬は変わった名前を付けられてしまったなと思ったyouだったが、リゾットを含め他の皆の名前もコードネームのようなものばかりなので、それもアリかと納得しようとしたのだが、流石に周囲の空気が大きく変化したことには気付いたようで、困ったように「どうしたのか」と不思議そうにリゾットを見つめた。
そんな彼女の視線に気付いたリゾットは穏やかな表情で小さく「後で説明しよう」と呟いた。
そして、実際にその名を与えられた彼らはというと…。
「Si,リーダー、じゃあオレは今日からソルベだ。それからお前はジェラート。ジェラート、これでいいか?」
「うん、……うん!!グラッツェ、ソルベ……グラッツェ、リーダー!!」
ソルベの声掛けに、感極まって泣きそうになりながら、名付けの提案をしてくれたソルベと、名付けてくれたリゾットに感謝の言葉を述べるジェラート。
一般的な考えであれば、氷菓子の名前をペアで付けられるなんて、在り得ない上、その名前は全然カッコ良くも無いワケで…。
何故彼がこんなにも感極まっているのかが全く分からないが、とりあえず本人らが嬉しそうなので、それ以上はなにも言及せずに状況を受け入れることにする一同なのであった。
「ソルベとジェラートには今日から早速ここで生活をしてもらう。色々と準備が必要だが……とりあえず全員への連絡はこれで完了だ。皆、集まってくれて感謝する……もう解散していいぞ。」
「おいおい、水臭い事言うなよ~!」
「は?」
全員への周知が目的だったため、その業務が完了してもう各々の自由にしていいと解散宣言をしたリゾットに、ホルマジオが突如「水臭い」とのたまう。
何のことか分からずに素っ頓狂な声を上げたリゾットに、今度はプロシュートが立ち上がって呼び掛けた。
「おいリゾット、リゾット、オメーはよォ~……っとに…。」
「プロシュートまで……一体何なんだ?」
「折角集まって、しかもソルベとジェラートが戻って……いや、新メンバーが増えたってのによ…。」
「!!」
「つーか、youの時もそうだったろ、新人は歓迎してやらなくちゃぁな!………だろ、リゾット?」
「そう……だな……。」
「っし決まりだオラァ!!ペッシ、オメー何食いたい?!」
youがこのチームに来た時と同様に、歓迎会を開いてやるべきだと言うホルマジオとプロシュートに、リゾットが同意を示した。
最後にプロシュートが放った言葉にすかさずペッシが「オレじゃなくてソルベとジェラートに聞かなきゃダメっすよ兄貴!」と涙目で答える。
メローネはギアッチョと、歓迎会の場所について話し合い始めており、イルーゾォは「そういう事なら時間外勤務も許可しねぇとな」と呟いた。
そして…。
もうすぐ夕方…という時間、歓迎しようと騒ぐチームメンバーの姿が自分が此処へ来た時を思い出させ、youも思わず笑顔になってしまうのであった。
Sorbet & Gelato
(ソルベとジェラート)
words from:yu-a
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