■Lei e un fiore. (本編 / 暗殺チーム)
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「うーん、これはなかなか…。」
youはポツリと呟いた。
Lei e un fiore.
08:tabacco(煙草)
特殊任務依頼チームの元へ配属され、数日が経過したが、youには早速困っていることがある。
原因は「職場」そのもの。
事務所はかなり空気が淀んでいるというか…汚れているというか……有体に言うと煙草と酒と男性特有の臭いが凄かったのである。
常に事務所を利用している者たちにとっては、その空気に慣れきっているため全く気にしていなかったが、
非喫煙者で女性であるyouにはなかなかテンションが下がる問題であり、物品購入の際にそっと自腹で芳香剤などを購入すべきかと悩む。
幸い、喫煙しながら書類を書いたり、パソコンを打ち込んだりはできないこともあり、
デスクや資料のある仕事部屋はそこまで被害は大きくないのだが、リビングなどは特に酷く、誰もいない時間があれば、すかさず窓を開けに行くことが彼女の習慣になりつつある。
「皆には言えないけど…ちょっと辛いなぁ…。」
「何が言えないんだ?」
「うわぁ!!いいいいいイルーゾォ…さん…?!ど、どこから?!!」
背後から急に現れたイルーゾォに驚くyou。
確かにシフト上彼は出勤ではあったはずだが、youは朝からずっと事務所にいるが彼を見かけず、また気配も無かったためその驚きはひとしおだった。
「1時間くらい前にはいたぞ。まぁ、挨拶はしてなかったな……ボンジョルノ。」
「ぼ、ボンジョルノ…。」
「で、オレ達に何が言えないって?」
「えっ?!」
挨拶が終わったかと思えば、すぐに先程の呟きに関しての質問がやってきた。
まさか、そこを再び拾い上げてくるとは思わなかったこともあり、youは答えを言い淀む。
「ええと…それはその…。」
「どうせそんなに深刻な問題じゃぁねーんだろ。」
「ひ、ひどい!」
「だったら言ってみろよ、おれ以外の悪口なら大歓迎だぜぇ~?」
「そんなんじゃないですよ!もぉ!事務所の空気が淀んでで困るなって悩んでただけです!!」
「・・・。」
「え?」
youをからかっていたはずのイルーゾォの顔が急に真顔になり、言葉を返すことなく押し黙る。
てっきり「そんなことかよ」と、更に小馬鹿にされるとばかり踏んでいたyouは、
そのイルーゾォの反応に少し驚いて、何かマズいことを言ったのかと戸惑った。
「い、イルーゾォさん?」
「いや……それすげー分かると思って……マジか…ついに同志が現れたか…。」
「え、同志…なんですか?」
「おう。事務所の空気、めっちゃクセェよな。」
真顔で同意を求められ、youは恐々頷く。
「オレは煙草吸わねぇから、この事務所臭くてよぉ……気になってたんだわ。」
「えっ、そうなんですか!」
「全員吸うってワケじゃぁねえが……それに、旧パッショーネの時は本数半端なかったしな。」
「うーん、職場のストレス。」
「特に髪にその匂いが付くのが嫌でよぉ~~。」
「わん、分かりますー!!イルーゾォさん髪とっても綺麗ですもんねぇ。」
「ふっふっ……もっと褒めてもいいぞ!許可する!!」
「わたしも、髪に付くの気になります。」
「そうだよなぁ……お前、女だしなぁ。」
2人して腕を組み、ウンウンと頷く。
それから話題は何らかの対策を打とうという話へと推移する。
「禁煙を促しても聞きゃぁしねーから、別の対処が必要だな。」
「事務所はあまり匂いが酷くないので、そちらには無香タイプの消臭剤で十分だと思うんです。」
「ああ、事務所はそれでいいだろうな。」
「問題はリビングなんですよね…。」
「リビングなんだよなぁ…。」
はぁ~~っと2人して盛大な溜息を吐く。
基本的に煙草の匂いというものは、染み付いてしまうとなかなか脱臭が難しく、壁などに付着したヤニを拭き取らなければいけないという難点もある。
特にリビングは広いスペースなので、労力が掛かることは必須…。
「まぁ、乗りかかった船だ……こうなったら徹底してやってやる。」
「えっ…。」
「一日じゃあ完了できねぇだろうから、何日か掛けてだがな。」
「そうですよね…一朝一夕では…。」
「youを引き合いに出せば喫煙は外でやってくれる奴も増えるかもだしな…。」
「そうでしょうかなぇ…。」
「基本アイツ等、女の前じゃあイイ顔する奴らばっかだからな。」
「・・・。」
メンバーのそういう打算的なところが嫌いなんですぅ…とばかりに眉を顰めるイルーゾォ。
youがその様子に苦笑して「ではどうしましょうか」と問いかけると、至極真面目な面持ちでイルーゾォは腕を組んで答える。
「あとは…そうだな、協力者を探す…か。」
「おお、何かカッコいいですね……ミッションですね!」
「お前な………ガキみてーなこと言ってんなよ…。」
「えっ、そうですか……残念。」
「まぁ、平和でいいか……。」
「?」
元暗殺チームとして依頼を受けてきた相手に「ごっこ遊び」のようなやりとりを持ち掛けるとは…と、イルーゾォは呆れたような表情を向けたが、
それはもう「過去の話」で、今は彼女という存在がここに在る時点で、平和な「ごっこ遊び」でも何でも、推移していけるのだと改めて思えば腹も立たなかった。
ふっと、乾いた笑いだけを吐き出したイルーゾォを不思議そうに見ながら、youはその続きを問う。
「で、どなたに協力していただくんですか?」
「まずはペッシだな。非喫煙者だし、基本的に頼られるとNOと言えねェはずだ。」
「優しそうですもんね。」
「優しいつーか…気が弱ェっつーか…。」
「他にもいらっしゃいますか?」
「あとはギアッチョは煙草吸わねーが……アレに掃除は頼みたくねェ……キレられて物壊されたら
たまったもんじゃあねぇ…。あと、プロシュートとホルマジオは論外だな…アレらがチマチマ拭き掃除なんてするワケがねぇ。」
「うーん……リゾットに相談してみてはどうですか?」
「いや、それはちょっと…………断りゃしねーだろうが…ただでさえ仕事に追われてるのに、掃除とか頼むのは、こっちが心苦しいわ…。」
確かに悪くない人選ではあるが、特殊任務依頼チームのまとめ役であるリゾットは常に仕事に追われているはずだ、とイルーゾォは言う。
そんな彼の言葉を聞き、youは穏やかな表情でイルーゾォを褒める。
「ふふ、リーダー思いなんですね、イルーゾォさん優しい。」
「バッ……そんなんじゃあねぇよ!!//」
普段、周囲の人間からそのように素直に褒められることなど殆ど無いチームメンバー。
特にイルーゾォは誰かを褒めることもほぼ皆無というところもあるため、それこそ、リゾット以外から賞賛の言葉を掛けられることなど無いわけで…。
自分で思う以上にyouの言葉に動揺してしまうのであった。
「馬鹿なこと言ってねェで、他の人選考えるぞ!//」
「うーん、と言われましても、あとはメローネしかいないですけど……協力してくれるでしょうか…。」
「……そ、そうさなぁ……動くには動くが…アイツ見返りを求めてきそうなんだよな。」
「ご飯奢るとか?」
「そんなんで済むならとっくに頼んでる。」
「そ、そうなんですか……じゃぁ、わたしからメローネに頼んでみましょうか。」
「いや、やめとけ!本当、にやめとけ!!」
「でも、3人より4人の方がいいですし、尋ねるだけ尋ねてみますよ。」
ぐっと両手を胸の前で握りしめ、意気込んだyou……の背後から突然現れたメローネ。
「youったら!オレに何をさせる気なのっ?!」
「わぁあ!ビックリした!!」
「ボンジョルノ、you!……と、イルーゾォ。」
「ボンジョルノ、メローネ!」
「で、何なに?オレに何か頼み事?」
「そうなの、ちょっと手伝ってほしいことがあって…。」
「んー、youの頼みなら内容によっては聞いてあげてもいいケド…。」
「本当?あのね、お掃除を手伝ってほしくて。」
「掃除……何処の?」
「リビング。」
敢えて深刻にならず、至って不通にメローネに頼んでみたyou。
同じようにメローネからも普通に「いいよ」と返事があるかと思いきや…。
暫し「フム…」と考えた後、彼は満面の笑みを浮かべて「Si!」と答える。
「いいよ!その代わりyouのパンティーをおくれ!」
「そんなドラゴンボールみたいに!!」
「許可しないいいいい―――ッツ!!!」
それぞれメローネ、you、イルーゾォの言葉…。
冗談ではあるのだろうが、youに向かって、正に「今脱げ」と言わんばかりに手を伸ばすメローネに、食って掛かるイルーゾォ。
当のyou本人はあまり気にしていないというか、ネタだと思っている様子だが、
イルーゾォはメローネの不躾…というより最早変態的な要望に、かなりお怒りモードである。
「冗談だよ、イルーゾォ……鏡用意しないで…ホラァ!you本人の方が冗談だって理解してるじゃん!!ねぇ?」
「いや、完全にドラゴンボールだったですし。」
「ソレはよく分からないけど、それはまぁ半分冗談で…。」
「(え…半分…?)」
「手伝ってもいいけど、youの個人情報を教えてほしいなー。」
「え……通帳の暗証番号は渡しませんよ。」
「誕生日とか血液型とか星座とか色んな好みとか…そういうの。」
「え、そんなんでいいんですか?」
「うん!そういう情報が欲しい。」
「そんなことでよければ全然…。」
「ディ・モールト!!ディ・モールト!!良し!!」
身を乗り出してyouの手を掴んだメローネだったが、それはイルーゾォによって叩き落される。
「ダメだ。」
「何でイルーゾォが答えるの?youはいいって言ってるのに。」
「ダメだったらダメだ!絶対に許可しない!」
「だから何でイルーゾォが言うの!」
「お前、その情報今後何に使うつもりなんだよ…!」
「あぁ、youのこと心配してあげてるんだ?大丈夫ダイジョーブ、youに使うワケないじゃん、ただでさえオレのスタンドはボスに使用禁止されてるってのに…。」
「だったら尚の事オカシイじゃあねーか!スタンドに使わねーのに、何でそんな情報欲しがるんだ!」
個人情報を教えることをイルーゾォに止められ、どうして?と不思議そうな顔を浮かべるyou。
そんな彼女をチラリと横眼で見て、メローネは内緒話をするようにイルーゾォの首に腕を回して至近距離で小声で会話をし始めた。
「あーあー、いいかい、イルーゾォ……オレはね、本当はyouの下着か遺伝子が欲しいんだ。」
「は。」
「だけど、出会って数日でそんな事言えないだろ、オレだってyouに嫌われたくない。」
「だったら何でそんな要望出そうとしてんだよ……お前もう本当キモいよ…。」
「更にランクを下げて、全身を触って3サイズを測らせてほしいってのも考えたが、youはヤマトナデシコな日本人だから恐らくアウトだ…。」
「国籍関係無くアウトだ馬鹿!!」
「だから、個人情報の提供で妥協してるんじゃあないか!youの情報を入手することはオレにとってすごく!ベリッシモ!大事なことなんだ!!ベイビィのためじゃあなくって、だ!」
「だったら猶更何でだよ!」
「youとオレの相性を知るためだよ!アレやコレの情報が必要だからに決まってるじゃあないか!」
「駄目だこいつ…早くなんとかしないと。」
第一希望に絶句したのも束の間、矢継ぎ早に放たれるメローネの要望はどれもこれも凡そ一般的な「要望」からはかけ離れたもので…。
イルーゾォは若干青ざめた表情で己が肩に回されたメローネの腕を解いて後ずさる…。
ちなみに、イルーゾォが動けるという事はメローネも自由になっているという意味なので、
彼はくるりとyouを振り返ると、満面の笑みを浮かべて彼女ににじり寄る…。
「というワケでyou!生年月日と血液型と星座と趣味と好みと嫌いな物とええと、あと何だ……好みの体位とキスの仕方と!!」
「っだぁああああ!!!you耳塞げぇえ!!」
明らかに個人情報ではない何らかの質問が聞こえてくる間際、イルーゾォが馬鹿でかい声で叫んだ。
(ある意味そのお陰でメローネはyouからの好感度を下げなくて済んだのだが…。)
メローネがイルーゾォの大声に驚いて呆けているうちに、同様に目を丸くしているyouの手を取り、走り出すイルーゾォ。
「えっ?!い、イルーゾォさ…?!!」
「いいから来い!!あの変態…マジで手に負えねェ!!!逃げるぞ!」
「に、逃げるって…何処へ?!」
急な展開に更に驚いた顔をしているyouに、メローネの変態行為や発言から逃避するのだとイルーゾォは説明する。
外へ逃げるのだろうかと思ったが、彼が走り出した方向は玄関と反対のリビングだ。
それは逃げるどころか袋小路では?!とyouが呼び掛けたのだが、イルーゾォは追ってくるメローネを引き離し、リビングルームにある幅広の姿見に向かって突進した…。
「何処へ逃げるって……んなモン……鏡の中に決まってんだろぉおおお!!」
「え、か、鏡?!!」
「マン・イン・ザ・ミラーーー!!おれとyouだけ鏡の中の世界に入ることを許可するゥウウ!!」
走りながら、イルーゾォの傍にヴンッ…と顔にゴーグルを着けた人型の奇妙な「何か」が現れ、
youがそれを彼のスタンド能力が具現化したものだということを認識したのと、
追いかけてきたメローネが「あーーっ!!ズルいぞイルーゾォ!!!youを返せーー!!」と叫んだのはほぼ同時。
間違いなく鏡に衝突すると思い、ぎゅっと目を瞑ったものの、特に何の衝撃的がいつまで経っても訪れないので、目を開いて見れば、其処にはリビングルームで大きく安堵の溜息を吐くイルーゾォと、彼のスタンドの姿があるだけであった。
「あれっ?!め、メローネは?!」
「ん、ああ、アイツは「外」だぜ……こっちには来てねェ。」
「そ…「外」って……?」
「こっちは鏡の中の世界だ。無の世界、何もない、死の世界。」
「い、イルーゾォさんの能力……なんですね?」
「う……こ、こういう場面で見せるのは不本意だがな!!」
「鏡の中の世界……すごい…。」
「ま、まぁな……色々可能なことや不可能なこともあるが、自分の能力の詳細をベラベラ喋るワケにもいかねぇ……今はとりあえず「鏡の中の世界に入れる能力」とでも認識しておくんだな。」
「すごい……そんなことができるなんて、イルーゾォさん凄い!!すごい!!」
「?!」
ぱぁあっと目を輝かせて、己が両手でイルーゾォの手を取るyou。
恐らくはスタンド能力というものに直に触れ合う機会など殆ど無かったのだろう…。
彼女のそれは能力といっても、具体的に色んな現象を起こすというものではないため、イルーゾォの特異な能力に羨望の眼差しを向けた。
「イルーゾォさん、これどうやって入ったんですか?わたしさっきは鏡にぶつかると思って目を瞑っていたので見てなかったんですけど…!」
「どうって…普通に鏡の中に入ったっていうか……っていうかお前その「イルーゾォさん」っていちいち敬称付けるのやめろ……何かむず痒いから…。」
「イルーゾォ………?」
「様でもいいけどな。」
「じゃぁ、イルーゾォで。」
「おい。」
「仲良くなれたかな…名前で呼べるのは嬉しいです、許可して下さってありがとうございます。」
「・・・そ、そうかよ…。」
「ついでと言ってはなんですけど……さっき、手を取って逃げてくれましたよね?」
「あ?それがどうした…迷惑だったつー苦情なら…許可し…。」
「ちょっとドキドキしました。」
「…許可しな……いでもない。」
「?」
メローネとの会話を無理矢理遮ったことに変わりはないので、大方そこに文句を言われるのだろうと思っていたイルーゾォ。
予想外のyouの言葉に頭が混乱している。
「男の人にあんな風に手を取られて逃げるなんて……映画みたいだったから…。」
「バッ……馬鹿じゃねぇの……んなモン………い、イタリア男だったら当然だっつーハナシだよ!!//」
「そうなんですか…?」
「女が危ない目に遭ってたら、普通助けんだろ……特に…仲間なら…。」
「イルーゾォ…本当に優しくて仲間思いなんですね!!//」
「(えぇ~~!!!何か凄い目で見てくる!!ヤバイ……何か文句とか嫌味とかコイツに言えねぇ雰囲気が出てきたんですけどぉおお!!)」
全く自分とかけ離れたキャラ付けをされたようで、イルーゾォは若干顔が青ざめている。
それはつまるところ、本来の自分の性分を知られて嫌われるのはイヤだと言っているようなものなのだが、本人はそれを全く自覚していない様子。
ただ、面倒なことになったな…と動揺していることには変わりなく…。
彼女との付き合い方をどうしていくものかと、言葉も出なくなるイルーゾォであった…。
「ところで、メローネは先程何であんなに個人情報を聞きたがったんでしょう…。」
「それは忘れろ。」
「え、でも…。」
「いいか、もう一度言うぞ、忘れろ。」
「あわわ…。」
「今後メローネがリビングの掃除の対価にお前の個人情報を欲しがっても絶対教えるなよ。」
「ど、どうしてですか?」
「その方がお前のためだからだ……リビングの掃除はオレとペッシとお前で何とかする。メローネだけはNGだ。」
「そ、そこまで…!!」
「分かったな?」
「はい……イルーゾォがそこまで言うのなら…。」
何か並々ならぬ事情があるんでしょうし…と、無理矢理納得してくれた様子のyouに、イルーゾォはやっと落ち着きを取り戻す。
「じゃぁ、ぼちぼち戻って掃除に取り掛かるか……すげぇ面倒だが…。」
「えっ!も、もう戻っちゃうんですか……。」
「あ?掃除したくねぇのは分かるが……あと、メローネに断るのはもっと面倒だが…。」
「そうじゃなくて……イルーゾォの鏡の中の世界。」
「ここがどうかしたのか?」
「もうちょっと体験したいなー……って。」
「き……許可する…。」
「わぁい!静かで不思議な雰囲気ですよね……本を読んだり、仕事を集中したい時にとてもよい環境ですね!」
「・・・。」
人間をこの「鏡の中の世界」に引きずり込んで無力化させ、拷問や暗殺に使用していた…などとはとても言えないイルーゾォ。
新生パッショーネになってからはそういった機会も減ってきたものの、自分の能力を発動させ、この無機質な世界に足を踏み入れる時には未だに自分の手が血で汚れていたことを自覚することがある…。
確かに彼女の言うように、本を読んだり、何かに集中したい時にはもってこいの静かな場所だと自負するところもあるが、
自分にとってのこの世界は「死の世界」であり、決して彼女のような柔らかく、温かな存在が似合う場所ではないのだ。
「(それをまぁ……「もうちょっと体験したい」だなんて…。)」
「本当に鏡に映った状態なんですねぇ……面白い。」
「…調子狂うなぁ…お前と話してると。」
「?」
「気にすんな……ま、気が向いたらまた連れてきてやるよ。」
「本当ですか?!嬉しいです!楽しみにしてますね!」
「・・・分かった。」
「じゃぁ、あと5分!ここで色々見て回ってもいいですか?」
「はいはい、好きにしろ。その代わり戻ったらお前に一番仕事押し付けてやっからな。」
「えぇ~~!!どうして!!」
「そりゃあお前、おれ様の能力を体験する貴重な機会を与えてやったんだから…当然だろぉ?」
「い、意地悪!!」
「何とでも言え。」
イルーゾォの背中をポカポカと叩きながら、理不尽な仕事の押しつけに怒りを顕わにするyou。
勿論、仕事量を増やすなど、そんなことするつもりも無いのだが、凡(おおよ)そ自分に訪れることがなかったであろう、
青春のようなこのシーンを楽しんでみるのも悪くない……だってここは「鏡の中の世界」、誰にも見られることなどないのだから。
そんなことを考え、youの頭をガシガシと撫でて「嘘だっつの」と、笑うイルーゾォであった。
tabacco
たばこ。
words from:yu-a
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