■Lei e un fiore. (本編 / 暗殺チーム)
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「ったぁくよぉ~…何でオレがパシリみてぇなことしなきゃなんねーんだ…あ~クソ!イライラするぜぇ…!!」
車に乗り込んで開口一発…。
今にもハンドルを叩き割りそうな雰囲気のギアッチョにyouは恐怖を覚えた…。
Lei e un fiore.
06:fare le spese.(買い物をする。)
特殊任務依頼チームでの仕事初日。
まだyouのデスクやパソコンが準備できていないということもあり、リゾットが彼女に(というか彼にも)下した命令は、
事務所の各部屋を確認し、不足品をチェックして買い足すこと…。
とどのつまり「買い出し」であった。
日本からやってきたyouにしてみれば、イタリアのアパートを一室一室見て回るのも、
不足品としてチェックする物品も、出掛ける時の左ハンドルの車も、到着したスーパーでさえも目新しい。
「イタリアのスーパーマーケット!!!」
「ただのスーパーだろ…。」
「イタリア初心者には未知の領域なのです!行きましょう、行きましょうギアッチョさん!!」
キラキラと目を輝かせて、何の変哲もないスーパーマーケットへ向かおうとする様子は奇妙というほかないのだが、
彼女自身が言うように、イタリアという文化に触れることが何もかも初めてだからと理由付けると納得はいく。
「(でもただのスーパーだぞ…?)」
はしゃぐyouを大層不思議そうな目で観察していると、彼女は店のドアへ向かって歩いていく。
…が、それはギアッチョの言葉によって静止させられる。
「おい、そっちは出口だぞ。向こうが入口。」
「えっ!これ出口専用なんですか?」
「当たり前だろ…。」
「ワオ。日本では「出入口」でどちらからでも問題ないので……ビックリです。」
「お前んトコ本当に治安いいんだな。イタリアでは万引き防止でこうなってる。」
「なるほど~!」
「オラ、さっさと行くぞ。」
「はいー!」
入口で早速異文化に触れて楽しそうにしているyouと、そんな彼女に付き合うのを面倒そうにして店内を見回り始めるギアッチョ…。
事務所では特に必要もないため、購入はしないものの、彼女が見たいというので日用雑貨だけでなく、生鮮食品も見回っているのだが、
ギアッチョにしてみればごくごく普通の事にひとつひとつ面白いくらいに大きなリアクションを起こすyou。
「わぁあ!凄いお肉の売り方がワイルド…!」
「はぁ…?」
「プロシュートブロック売りって言われると、わたしはプロシュートさんの方を思い出しちゃいますね。」
「っは!そりゃ傑作だな!スライス売りされててもオレはいらねーけど。」
「じゃぁメローネもお付けして生ハムメロンならどうですか?」
「ウケる。絶対要らねェー!」
クスクスと2人で笑いながら、精肉コーナーを通り過ぎる。
他にも野菜のコーナーで見慣れない野菜を見掛けてはギアッチョに味や用途を説明してもらったり、
流石イタリアといったようにぎっしりと陳列された多種多様なパスタやチーズに驚いたり…。
「スーパー楽しいです…!」
「いや、ただのスーパーだろ…。」
「ギアッチョさんがずっと一緒にお話してくれるので、ただのスーパーでも楽しいのです。」
「っバッ……カ…//」
「ギアッチョさんにはご面倒だったかと思いますけど…。」
車に乗り込んだ時の「面倒だ」とイライラを顕にしたギアッチョのインパクトが強大だったらしい…。
今しがたの明るい笑みは何処へやら、急にそれを思い出してしょんぼり俯くyou。
「まぁ、買い出しとかよォ……普段の任務と比べるとクソ簡単っつーか……ガキの使いじゃねェんだぞって思っちまうだろ?」
「うーん…わたしは事務員みたいなものなので、何とも言えませんが……やっぱり皆さんはそんな風に思うんですか?」
「まぁ……人によるかもだけどな……リゾット…リーダーやメローネが買い出しで文句言ってるのは聞いたことねェけど……イルーゾォとかプロシュートはオレと同じ考え方してるな。」
「うーん…それってつまり…。」
「だから買い出しするメンバーはそれこそメローネとか…大体決まってる…あと、ペッシとかな。」
「(あ、やっぱり)」
正確に言うと買い出しに行かされるのはペッシが最多ではあるのだが、
それはギアッチョが説明するまでもなく、十中八九彼女にも伝わっている様子。
「でも、皆さん…その回数もっと減るかもですよね、わたしが買い出しに行けますし!」
「ああ…成程……ん、いや…待てよ…減るか?本当に減るか?」
「減らないかな?」
「減らねェな……車出さねーとだしよォ、重い荷物持たせらんねェだろ…。」
「が、がんばりますよ…!」
「そんな細っせェ腕でかぁああ?」
「えっ、やだ細いだなんて…本当ですか、嬉しい。」
「いや、褒めてねェっつの!!」
「え……じゃぁ鍛えて逞しく成長した方がいいでしょうか…。」
「しない方がいいな…。」
「はい…。」
2人して、リゾットやホルマジオのようなガッチリした二の腕を携えたyouを想像し、思わずドン引きする。
気を取り直し、ギアッチョが買い物の続きを促した。
「とりあえず、スーパー観察は終了すっぞ!必要な物は既にカートに入れてあるし…さっさとレジ並んで終わらせるぜェ…。」
「えー、残念…。」
「また来ればいいだろ…この辺近いなら普段も利用すればいいじゃあねぇか。」
「うーん、そうなんですけど…。」
「何だよ、歯切れ悪ィな…。」
「一人だとちょっと不安。色んな物が日本と違うし…。」
「一人でスーパーにも行けないってか……どこのマンモーナだお前は…。」
「うう…返す言葉もございません…。」
「ったく、しょうがねェヤツだな…昨日連絡先交換したろ、自宅の買い物が必要な時は言えよ。付き合ってやるから…。」
「えっ!!い、いいんですか?!」
「けどよォー、お前、大量に買い込む時は先に言っとけよ!車出さなきゃだからよ…行き当たりばったりで荷物増えたらブチ切れるからな、オレは…。」
「き、肝に銘じます…。」
最後の脅しさえなければ完璧だったのになぁと思いながら苦笑するyou。
だがしかし、短い時間ではあるがギアッチョと行動していて、彼の沸点が低いことは理解できていたため、
前もって「どんなことをすれば自分は怒ってしまうのか」を伝えてくれたのは、一応彼なりの優しさなのだろうと感じた。
それから、2人でレジへ向かう。
平日で、そう込み合う時間でもなかったため、そんなに並ぶことなく彼らの順番となった。
パートタイムの主婦らしき女性の「次、どうぞ」という声掛けに応じ、会計へ進む…。
「あら、アジア人?見掛けない顔ね、アナタ。」
「最近こちらに越してきたんです。近所なのでちょくちょくお邪魔させていただくと思います。」
「そぉ、国際結婚なのねぇ……どおりでイタリア語が上手いと思ったわ!大変だと思うけど頑張ってね。」
にこやかな顔でサラリと投下されたパートの女性からの爆弾発言に、ギアッチョと顔を見合わせて真っ赤になるyou。
その誤解に関して、彼女に対して申し訳ないと思ったらしいギアッチョが、真っ赤な顔で大きく口を開ける。
「っちが…!//」
「真っ赤になっちゃって初々しいわぁ……いいわね、新婚さんは…。」
「っせー…モガ…!!?///」
ギアッチョの口から出てこようとした暴言を慌てて塞ぎ、youは「照れますねー!ところでいくらです?!」と言葉を上書きして、無理矢理会計へと話を持ち込んだ。
youに止められてことで、渋々怒るのを諦めた様子のギアッチョ。
会計が完了してもムスっとした顔で購入した物品を袋詰めしていたが、
車に荷物を乗せる頃にはへの字だった口は元に戻っていいた。
「買い出し楽しかったです……でも、買い忘れないか心配。」
「買い忘れか……1つあったな。」
「えっ!何ですか?一応書いてきたリストのものは全部買ってますが…。」
「リストには載ってねェ……お前は車で待ってろ。危ねェから、絶対鍵掛けとけよ。」
「えっ、あっ、あの!!」
自分も付いていくと言い掛けた時には既にギアッチョは店の入り口へ走り去っていた。
見事に置いて行かれてしまったyouは、何を買い忘れたのだろうかと不思議そうにしつつ、言われた通りに車で待つことにした。
それからものの5分と経たないうちに、スーパーからギアッチョが戻ってきたのだが、その手には買い忘れたという品物が2つ。
「何が好きか分からなかったからよォ…とりあえず無難にバニラだ。」
「え…これ…。」
「詫びのアイス。スーパーので悪ィな。今度はジェラテリアでクソ美味ェジェラート食わせてやるよ。」
「詫びって…な、何のです???」
理由が分からない…と、youが頭に疑問符を浮かべていると、
ギアッチョは頭を掻きながら、ぶっきらぼうにその理由を話し出す…。
「今日は悪かったな…初っ端からイライラぶつけちまってよ…。」
「え…。」
「普段買い出し任されない組だからよ……つい…。」
「わたしの方こそ、巻き込んでしまって申し訳ありませんでした…。」
「でもよォー……何つーか……蓋を開けてみれば…楽しかったよ、意外と。」
「!!」
「また付き添い任された時は…ま、文句言わずにすんなり付いてきてやるよ。」
「ギアッチョさん…ありがとうございます!」
「まぁ、行った先でキレないとは言ってねェけどなぁー!」
「お、お手柔らかにいい!!」
本気で焦るyouに、ギアッチョは思わず吹き出す。
「あとよ、ずーっと言おうと思ってたんだけどよ…そのギアッチョさんって面倒クセェからやめていいぜ。」
「えっ……えっと……。」
「何だよ…メローネやプロシュートは呼べてオレは呼べないってかぁあ?」
「そ、そんなんじゃないですよ!ぎ、ギアッチョ!!」
「…それでいいんだよ。」
「ギアッチョ……。」
「何だよ。」
「アイス……ありがとう。」
「おう…。」
「ギアッチョ。」
「っだぁ!何回も呼ぶなよ!まだ何かあんのかよ!!//」
「えっと、あのね……すぐじゃなくていいけど……スーパーの買い物と、クソ美味いジェラート…楽しみにしてていいですか…?」
「っ…!」
そうきたか…!と、youの言葉に思わず言葉を噤むギアッチョ。
どことなく恥ずかしそうにしているyouに不覚にも素直に可愛いという感想を抱いてしまう。
どう答えたものかと思案したが、メローネやプロシュートのような歯の浮くような台詞は浮かばない…。
「おう……楽しみにしとけ。」
結局飛び出した言葉は普段と同じだったのだが、それで良かったのだと…。
嬉しそうに「良かった!」と笑うyouの姿を見てそう思った。
そして、事務所に帰還後・・・。
「リーダー。」
「どうした、ギアッチョ。」
「とりあえず、ペッシとホルマジオ……それから…その、youならよォ…一緒に買い出しに行ってもキレねェことが判明した。」
「!!」
「一応……報告しとく…。」
「成程……分かった。」
「おぅ…。」
報告という名の「オレも買い出しメンバーに入れろ」という希望を言うだけ言ってその場を去るギアッチョ。
チームリーダーとして長年彼を知るリゾットには今のはそういう意味だと理解できたのだが、
それこそ、昔から究極に沸点の低いこの男が、たった1回の買い出しで何があったらこのような変化をきたすのかと、内心動揺を隠せないリゾットであった…。
fare le spese.
買い物をする。
words from:yu-a
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