■Lei e un fiore. (本編 / 暗殺チーム)
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「では、明日から一緒にお仕事させていただきますので…よろしくお願いします。」
歓迎会の後、店の前でyouは深々と一礼した、
Lei e un fiore.
03:Buona notte.(おやすみ)
「you、家ドコ?夜道は危ないから送ってくよ。」
「えっと…SPW財団が借りてくださったアパートで、事務所から大体駅1つ分無いくらいの距離です。携帯のマップ頼りに歩いて帰ります!道も知りたいし…。」
「マップ見せて…ああ、オレの家からも近いね。今度遊びに行っていい?」
「はい、是非!」
「えっ、マジ…。」
「はい?」
メローネの反応に、何かマズい返事だったのか?と、自分の返答に首を傾げていると、
メローネを押し退け、ズズイっとリゾットが目の前に現れた。
「you、家への地図を。今日は私が君を送ろう。」
「えっ、あ、でも……ご面倒では…。」
「夜道は危険だ。君に何かあってはボスにも財団にも申し訳が立たなくなる。」
「そうですか…。」
「何より、これだけ男がいながら、女性を一人で歩かせるわけにはいけない。イタリア男の沽券に関わる。」
リゾットの最後の言葉に一同ウンウンと頷く。
「メローネに任せようとも思ったが……できれば君を危険な目に遭わせたくない(色んな意味で)。」
「え?」
「だから、ひとまず今日のところはオレに送り届けさせてくれないか?」
「は、はい……リゾットさんが送ってくださるのであれば!」
「そうか、良かった。」
「でも、何でメローネは危ないんです?」
「そ、それは……!」
「?」
「まぁ、そのうち分かるだろう……今は気にしないでくれ。」
「はぁ……。」
何故か言葉に詰まった様子のリゾットを不思議そうに見たが、
気のせいか、メローネに任せられないと言った時にも一同は頷いていた気がするので、
メローネに対して何かしらメンバーは思うところがあるのだろう…くらいに思いとどめておくようにしたyouであった。
「じゃあ、気を付けて帰るんだぞ、you。リゾット、オレのバンビーナをよろしく頼むぜ。」
「分かっている。」
リゾットの返しを耳にしないうちから、プロシュートはyouに「ciao!」と言い放って歩き出す。
その後ろを慌てた様子でペッシが追いかけ、振り向きざまに彼もyouに向かって「A domani!(また明日!)」と手をヒラヒラ振って去っていった。
youは彼らの背に向かって「Buona notteー!(おやすみなさーい!)」と呼び掛ける。
「じゃぁ、オレも帰るとすっかね……またな、you。あと、明日からよろしくな。」
「今日は話せて楽しかった。また明日な。」
ホルマジオとイルーゾォもyouに2、3言葉を掛けて家路に着く。
残ったギアッチョも「オレも帰るぜェ」と歩き出したのだが、メローネに絡まれている。
「ギアッチョー!リーダーにyouを取られちゃったー…寂しいから2件目付き合ってェー!」
「何でだよ!!!」
「じゃぁね、you!また明日!さぁ、行こうギアッチョ!!」
「テメ、メローネ!!押すな!!!殺すぞ!!」
ズイズイと背中を押して2件目のバルへ誘うメローネにキレ気味で、だがしかし何だかんだ言いつつ一緒に歩き出すギアッチョ。
youはホルマジオたちと同様に「おやすみなさい」と声を掛けたものの、
ギアッチョの形相に恐れをなし、そのボリュームはかなりの小ささとなった。
「…喧嘩するほど仲が良いって言いますもんね。」
「いや、ギアッチョのあれはいつもの…。」
「え?」
「いや、これも何でもない……気にするな。」
「はぁ…?」
「さぁ、オレ達も帰ろう。」
「はい!」
その場に残された2人も、通りをゆっくりと歩き出す…。
バールから少し離れた辺りで、思い出したようにyouはリゾットに尋ねた。
「そういえば、リゾットさんのお家はどちらなんですか……わたしの家から遠いのであれば、送っていただくのは申し訳ないなって…。」
「アジ……事務所の近くだ。だからそこまで遠くもない、気にするな。」
「えぇ~!事務所の近くってことはこの近くってことですよね……すみません、すぐに帰れるはずのところをワザワザ…。」
「では、今日はオレの家に泊まるか?」
「?!!//」
「クッ……冗談だ……ああ本当に、面白いくらい反応するんだな。メローネやプロシュートが構い倒すのも頷ける。」
「ひ、ひどい!イタリア初心者を皆してからかって…!//」
「フフ、すまない……オレも珍しく酔っているのかもしれないな。」
「むぅ…だからって、リゾットさんまで…。」
バールで盛り上がっている時も適度に周囲の面々が、からかってくるのを窘めてくれていたリゾット。
しかし、制御役を担わなくて済む立場になった事と、適度に酔いが回ったこともあるのか、自身も彼女をからかってみたくなったようだ。
自分の眼下で口を尖らせて拗ねる姿は履歴書で確認した実年齢よりはるかに幼く見え、
リゾットはクスリと小さく笑みを零し、その頭上に言葉を落とした。
「そういえば、先ほどから言おうと思っていたんだが…そんなにかしこまらないでほしい。「リゾット」でいい。オレに対して敬称は不要だ。」
「本当ですか?皆のようにリーダーと呼んだ方がいいのでは?」
「皆、以前のチームのクセが抜けていないんだ。うちのチームはメンバーも解散せずそのままだから…。」
「だから皆さん仲が良いんですね!なるほど、納得。」
「君もその仲間入りだ。だから遠慮は無用と受け取ってくれ。」
「じゃぁ…お言葉に甘えますね、リゾット。」
「ああ、その方が良いな。」
「!!//」
敬称なしで名を呼ぶ際、youはリゾットを見上げた。
陽は随分前に沈んでおり、代わりに昇った目映い月が夜道を照らす。
暖色系の街灯も2人分の影を作るほどには明るいが、銀の月はそれ以上に力強く輝いていた。
その色を背景にした彼、リゾットの髪が透けるようで、youはその美しさに思わず言葉を喪失するのだった。
「どうした?」
「いっ、いえ…!あの…とても綺麗だったもので思わず見惚れてしまって!!//」
「…ああ、月か…今日は一際明るいな……確かに、とても綺麗だ。」
「いえあの……はい、とっても綺麗でした!いや眼福眼福…//」
「にしても、月が明るすぎるようだな……今日は星が全く見えないようだ。」
「星…。」
「オレの前には君の瞳という星が見えるから、無くてもそう寂しくはないが…。」
「ひぇぇ……Hano uku youna serifuwo nagareru youni!! itaria kowai! itaria kowai yooo!!」
(歯の浮くようなセリフを流れるように!!イタリア怖いイタリア怖いよぉお!!)
「何だ、今の言葉は聞き取れなかったが…もしかして日本語か?どうしてスタンドを解いたんだ??」
「い、いえ……ちょっと酔ったリーダーのお言葉に大変動揺しまして……。」
「む。すまない、普段任務のこともあって、あまりこの国民性を出さないよう気を付けているんだが……思った以上に酔ったのかもしれないな。」
「うん、そんな気がします……ところで、星!いつもは星、沢山見えるんですか?」
「ああ、とても沢山見える。」
「わぁ…それはとっても楽しみです!」
「すぐ近くに海があって…浜辺に出るともっと凄い。キミが望むならそのうち連れて行こう。」
「本当ですか?!行きたい!行きたいです!!沢山の星、見たい!」
「(東洋人は外見だけでなく中身も幼いのだろうか…。)」
「約束ですよ、絶対連れて行ってくださいよ、リゾット!!」
「ああ、分かった。」
リゾットの言葉に「やったー!」と嬉々とした表情で軽やかに路地を進むyou。
長身のリゾットはyouの頭部辺りしか見えないのだが、身に纏う明朗なオーラで彼女の表情は見ずとも理解できた。
そんな様子で、終始他愛もない話を繰り返しながら歩けば、あっという間に自分のアパートへと辿り着く…。
「あっ、ここです!よかったー、ちゃんと途中から何となく覚えてて。」
「本当に、ほんの数日前にこちらに来たんだな。荷物は届いているのか?」
「はい、生活必需品は全部。家具家電は財団が準備してくれていましたし……これで寮扱いで家賃不要なんで、トップ企業マジ凄い的な。」
「そうなのか…(羨ましい)。」
「そうでした!明日は何時に事務所へ出勤すればいいですか?」
「出勤……出勤か……そうだな…ええと……ああ、そうだ、これを渡しておこう。」
そう言ってリゾットが取り出したのは鍵だった。
「事務所の鍵だ。全部で3本ある。オレが1本と君が1本。残りは事務所待機の者がローテーションで持つ。」
「わたしが常に持っていてもいいんですか?」
「基本的には事務所勤務だろう?」
「…確かに。」
「こちらが君の能力が必要な場合は任務に同行してもらうことはあるかもしれないが。」
「分かりました、じゃあ、お預かりしておきますね。」
「それから明日は…そうだな、オレは8時頃には事務所に行くだろうから、youは8時半あたりに来ると良い。」
「え?え?リゾットが8時に来るのに、わたしは半でいいんですか?財団からは一応1日7~8時間、週5日勤務を逸脱しなければ、他は勤務先の決定に従うように。残業、有給休暇は所属長検印付きで申告する…ってことだったんですが…。」
「じゃあ、それで。」
「(じゃぁって!!?)」
「8時から、休憩を挟んで17時まででいいんじゃないか?」
「えっと…じゃぁ…それで…。」」
「ああ。」
「8時からか…ちょっと早いけど、頑張ります!」
「9時からでもいいが…。」
「いいえ!リゾットに合わせます!」
「そうか……では、明日からよろしくな。」
「はい!よろしくお願いします!」
ペコリと軽くお辞儀をして、youはリゾットを見上げる。
そのままアパートに入るのだろうと思い、彼女がその場を去るのを待っていたリゾットだったが、youは何故かその場から動かない。
不思議に思ったリゾットが「どうした?まだ何かあるのか?」と尋ねるも「いえ、何もないですよ」と返される。
だが、彼女は動かない。
「…家に入らないのか?」
「リゾットを見送ったら入ります!」
「(ああ、成程…それで…。)」
家の中にすんなり入らなかったのか、と。
人を気遣う気持ちが深いのは日本人だからなのか、それとも彼女だからなのか…。
心遣いは有り難いが、これからは彼女自身に「用心」してもらう必要があるワケで…。
初日から「お前は狙われる可能性があるから」と、怖がらせるのは何だか気が引けて、
リゾットは少し困ったように笑って、youの頭をくしゃりと撫でた。
「言ったはずだ、遠慮は無用だと。送る必要性があったから君を送り届けた。だが、面倒とも思わないし……寧ろ楽しかった。だから、申し訳なく思って見送る必要は無い。」
「リゾット…ありがとうございます。うん、でも…申し訳なく思うからせめて見送りでも…って思っているワケじゃないですよ。」
「違うのか?」
「わたしも、リゾットと沢山お話できて楽しかったです。だから、どちらかと言うと感謝の気持ちがあるから見送りたい…かな?」
「そうか…気持ちは有り難いが、見送る間に何かあってはオレも困る。」
「そ、そんなに物騒なんですかね、夜のイタリア…。」
「用心するに越したことは無い。わかったら、家に入ってくれ。部屋の灯りが点いたらオレも安心して帰ろう。」
「……わかりました…。」
「良い子だ。ではまた明日な。」
「はい、また明日。今日は本当にありがとうございました…。」
と、礼は述べつつも、しゅーんと…少し不服そうな…寂し気な表情で渋々と頷き、youはアパートの中へと入っていった。
それから5分と経たないうちに、2階の手前側の窓にパッと灯りが灯り、家主の帰宅が確認され、リゾットは人知れず「ベネ」と頷く。
さて、自分も家に帰るかとアパートに背を向けた時、頭上からガラガラと窓の開く音が耳に届いた。
「リゾット!」
「!」
「あの……言い忘れてました…わざわざ送ってくださってありがとうございます!」
「ああ、問題ない。気にするな。」
「ここからなら、見送ってもいいですか?」
「ああ、勿論。ありがとう。」
「Meno male……Buona notte, Risotto!(良かった……おやすみなさい、リゾット!)」
「Oh...Buona notte, sogni d'oro.(ああ…おやすみ、よい夢を。)」
窓からヒラヒラと穏やかな表情で自分に向かって手を振るyou。先程の憂いは解消された様子で、リゾットはホッと安堵する。
「ciao.」と微かに口を動かし、同様に手を振ってyouに背を向けると、自身も自宅へ向かって歩き出すのだった…。
Buona notte.
おやすみ。
words from:yu-a
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