■Lei e un fiore. (本編 / 暗殺チーム)
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「皆さん、今日からこちらのチームで総務の仕事をこなすことになる方を連れてきました。」
新生「パッショーネ」のボスであるジョルノ・ジョヴァーナが言った。
Lei e un fiore.
01:Piacere!(はじめまして!)
「パッショーネ」はイタリア語で『情熱』『受難』の意味である。
かつてネアポリスの街の主要企業を支配し、賭博や麻薬の収益、
各地のショバ代が主な資金源だったそれは、1ギャングの組織名であった。
収益の一環であった麻薬は子供にまで蔓延し、街に暗い影を投げかけており、
そこに住まう一人の青年、ジョルノ・ジョバァーナはその現状を憂い、
自らギャング・スターとなって街を浄化すべく、パッショーネに入団し、のし上がる道を選んだ。
死闘の末にパッショーネのボスであったディアボロを倒し、
ボスがジョルノに変わったことにより組織は大幅に健全化したという歴史を持つ…。
現在はスピードワゴン財団(SPW財団)とも手を結んで組織をさらに拡大し、
ジョルノはイタリアの表社会ですらたやすく動かせるほどの力を手にしているとも言われているが、その根本はあくまでもイタリアン「ギャング」なのである。
「そう…僕らはあくまでも「ギャング」なんです…。」
「まぁ……そうだよね。てか、何ですかい…藪から棒に…。」
「五月蠅いです、そこの変態。別にギャングだからダメってことでも嫌ってことでもないんです。ギャングスターは僕の夢でしたし。」
「え……ツッコミ入れただけなのに棘のある切り返し……ボス鬼怖ェ。」
元暗殺チームの一員であったメローネは何とも言えない表情で同僚たちへ己が気持ちを訴える…。
「そこで、新体制の一環として一部のチームを解散させたり、各チームの任務を見直し、生産性のある内容へ改定を行ったりしてきました。ええ。」
「「・・・。」」
「ただ、新体制に変わり、SPW財団の協力を得ることになった今、我々「パッショーネ」も彼等に恥じないような……いえ、違いますね…。彼等に"学の無いゴロツキ集団"だと蔑(なみ)されたギャングの印象を払拭する必要があるんです。」
「「・・・・。」」
「そこで、本題です。そこにいるあなた方のまとめ役であるリゾット・ネエロ氏には事前にお伝えしておきましたが、この度SPW財団より、パッショーネの各業務内容の確認や全社コミュニケーションのパイプ役として、総務係を各チームへ派遣してくださることになりました。……とどのつまり、我々パッショーネとSPW財団の人身御……有効の証のような立ち位置ですね。」
「「(今、人身御供って言った!!!)」」
ヒソヒソと、チームメンバーの数人が「人質…」、「監視役」などと呟く声が聞こえてくる…。
「あー…まぁ、各チームでSPW財団の派遣スタッフが庶務的なことを担ってくれるってのは分かったよ。でも、何でまたボス直々に?各チームに回ってるんスか?態々ご苦労なこって…。」
剃り込みの入った坊主という、いかにもギャングらしい容姿とは裏腹に、
眠たそうな、何とも気だるげな表情でソファからボスであるジョルノを見上げ、言葉を投げかけるホルマジオ。
その言葉にきちんと耳を傾け、パッショーネのボスは返答する。
「いえ、僕が出向いたのはここだけです。なにせあなた方は少し…特殊でしょう、全員がスタンド能力持ちのチーム…色々考えて解散させるのは止めましたが…。前の仕事に引き続いて大変な任務を任せている部分もありますし…。」
「・・・。」
「何より、あなた方のところへ派遣するスタッフは数少ない女性人員です。いいですか、女性人員です。」
「いや、別に2度言わんでも…。」
「この意味、分かりますか?」
「いや、分かんねェよ!!」
「傷物にしようものなら、SPW財団との提携が無くなり、資金繰りはかなり厳しくなる。何せ今のパッショーネは大変クリーンなギャング組織ですから、収入源に麻薬や密売からの資金源はありません。勿論、僕が指揮を執っている限り、組の経営は向上を約束しますが、財団がバックにいるのといないのでは雲泥の差。分かりますよね?はい、それはあなた方への給料を大きく左右することになるでしょう。」
「大変よく分かりました、ボス。」
「ベネ。彼女の事、どうか気遣ってあげてくださいね。」
「Si, Signore!!(Yes, Sir!!)」
問答を行っていたホルマジオが額に汗を掻き、威勢の良い返事をしながらだらけていた姿勢を正した。
体勢こそ変えないものの、その場にいたメンバー全員が冷や汗を掻いているのは確かで、
ジョルノはそれを察してか、満面の笑みを浮かべているようだった…。
そこからややあって、ジョルノはその場を離れながら口を開いた。
「さて、女性をあまりお待たせしてはいけませんし、そろそろ紹介に入らせていただきますね……お待たせしました。どうぞ、入ってください。」
「あ、はい!」
事務所(アジト)の玄関からジョルノが一人の女性の手を引いて戻ってくる。
チームメンバーの前で立ち止まり、彼女は深々と一礼をして顔を上げた。
「Piacere!(はじめまして!)、SPW財団からこちらの総務を任されました、youと申します!どうぞ、よろしくお願いいたします。」
「言い忘れていましたが、youさんはとても企業として重宝するスタンド能力者です。」
「え?!ただ便利なだけですよ、重宝するなんて勿体無いお言葉です、初流……ボス。」
「いいえ、今のパッショーネには貴女のような能力者が必要です。平和を象徴する意味でも。できればSPW財団からヘッドハントを狙っています、僕。」
「そ、そうなの?」
「ええ。」
先程のチームメンバーに向けられた底の知れない笑みではなく、花のように柔らかな笑みを浮かべ、ジョルノはyouに頷く。
それから、くるりと振り返って長身のチームリーダーへ向かって声を掛けた。
「後のことはリゾット・ネエロ…貴方に任せますので、何かあればブチャラティを通して相談を。」
「…承知した。」
「どうか、失われることのないよう、努々注意を。あなた方に彼女をお任せする真の意味、分かりますね?」
「・・・。」
それはつまり、彼女の有益なスタンドを狙うものがもしいれば、それらから守るという意味でもあり、
元暗殺チーム、現在は特殊任務依頼チームである自分たちの存在の所為で危険に晒されることの無いように対処せよという意味。
そしてそれは…
「(適切に守り抜けば、俺たちの評価にも繋がる…か。)」
すぐにも合点がいったようなリゾットの表情を察し、ジョルノは「ええ」と笑う。
「上げたいですよね、給料。」
「当然。」
「では、お願いします。」
「心得た。」
深く頷いたリゾットに「ベネ」と返し、ジョルノはyouへ呼び掛ける。
「それでは、you…これから頑張って。でも、無理はせずに。仕事で何かあればチームリーダーのリゾットに。チームそのものに関して何かあるようであればブチャラティに相談を。」
「はい。」
「それから……個人的に悩み事があるようであれば僕に相談を。連絡先は先程お伝えしたから、分かるでしょう?」
「えっ、あ、うん!」
「貴女の声が聞きたい時は、僕からも時折連絡させてくださいね。」
「え?!え、ええ……?!は…はい……//」
「Ci sentiamo!(じゃぁ、また連絡しますね!)」
ヒラヒラと綺麗な手を振って、ジョルノはチームの事務所を出て行った。
真っ赤な顔でハァァ…と溜息を零し、youは一同に困り顔で笑い掛ける。
「す、凄いですね……イタリアの方って本当に女性へのリップサービスがお上手なんですね!恥ずかしながらまだ心臓ばくばくしてます、あはは…//」
「「(いや、あれガチなヤツじゃね!!?)」」
未だ顔を真っ赤にして手で熱くなった頬をパタパタと仰ぐyouと、
ゴクリと固唾を飲んでジョルノが出て行った玄関を見つめて固まる特殊任務依頼チームの一同…。
謎の沈黙が漂ったのち、それを壊してくれたのはリゾットの咳払いだった。
「コホン……えー…Sig.na you…挨拶が遅れてすまない、私はこの特殊任務依頼チームの責任者リゾット・ネェロだ。」
「はい、貴方のお話は少しだけジョルノに聞きました。不束者ですがこれからご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。」
「!!(ま、まともな人間だ!!今まで出会った奴らって何だったんだというくらい、彼女は凄く、とても、まともだ!)」
「あの…り…リゾットさん…?」
「あ、いや、すまない…こちらこそ、よろしく頼む。」
「はい!」
所属長からの挨拶に対し、嬉しそうに微笑んでyouは握手のために手を差し出した。
その手を軽く握り返すことで、リゾットはその手の小ささに改めて彼女が女性なのだと認識する。
「皆さんも、どうぞこれからよろしくお願いします。」
改めて一礼をしたところで、自己紹介のラッシュが始まった。
「Ciao, ciao bella!! Piacere!!(やぁっ!はじめまして、美しい人!)オレの名前はメローネ、よろしくね。ところで…君にいくつか質問をしたいんだけど…。」
「おい、やめとけメローネ!お前、いつもみたいにやってっとボスに消されっぞマジで!!!あ、youだったよな、オレの名前はホルマジオ、よろしく頼む。あと、こいつの質問には答えなくていいから!」
「ホルマジオの言う通り、質問には絶対答えるな。ああ、オレはプロシュート。こっちはペッシだ。」
「ペッシです。よろしくね、Sig.na you。」
「イルーゾォだ。」
「…ギアッチョ。」
怒涛の自己紹介にわたわたと情報を整理し、youは何とか全員の顔と名前をインプットする。
リーダーであるリゾットを含め、それぞれの名前はあまりに特徴的。
覚えやすいのは幸いだが、きっと本名ではなく、コードネームか何かなのだろうと察した。
「ええと…はい(チーズリゾットに生ハムメロンに鏡と氷と魚…の料理……えっと…うん、うん)よろしくお願いします!わたしのことはお気軽にyouと呼んでください。」
「ところでyou、お前は仕事に関してどのように話を聞いて…。」
リゾットが仕事に関しての話をしようとした矢先、メローネがそれを遮る。
「リーダーぁ、仕事の話は明日からでいいじゃない、まずはそう、彼女の歓迎会をしなくっちゃぁ!」
「それもそうだなぁ…どうせ今日はこの為に全員事務所(アジト)に集められたんで任務は誰も何も持ってねェしな。」
「そうそう、ホルマジオの言う通り!もうそろそろ夕刻でしょ、アペリティーボ(食前会)とチェーナ(夕食)兼ねちゃおうよ、少し広めのバールでいいよね?リストランテじゃちょっと、騒がしくなると思うし。」
「表通り抜けたトコあたりのでいいんじゃぁね?」
「ああ、いいね!早速行こう!!さぁさぁ!」
ニコニコにしがらメローネがyouの背中に両手を添えてぐいぐいと玄関に向かって押していく。
youはオロオロと困惑した表情でリゾットを振り向いたが、彼はやれやれといった様子で溜息をひとつ吐くと、メローネの後ろを付いて歩き出す。
長であるリゾットが歓迎会開催を許可したことで、今までソファで座りっぱなしだった面々も立ち上がるのだった。
Piacere!
はじめまして!
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