Lei e un fiore. (番外編 / プロシュート)
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「うっ……眩しい…!!」
それがその日、youの抱いた第一感想だった。
Lei e un fiore.
profumo(香水)
「バンビーナ、明日はお前…休みだったよな?」
「え、あ、はい!」
「何か予定入れてんのか?」
「いえ、特に何も…。」
「じゃ、買い物付き合え。10時に家まで迎えに行くから準備しとけ。」
「えっ、えっ!!?」
「Arrivederci(じゃ、お先)!」そう言い放って颯爽と事務所を(定時で)出て行ったプロシュート。
その場に残されたのはyouとペッシなのだが、ペッシは「あー…」と、何とも微妙な表情でyouを見た。
「そっかぁ、ついにオレはお役御免かぁ……よかったぁ…じゃなくて、残念だなぁ!!」
「いやちょっと待って今聞き捨てならん台詞が聞こえたんですけどペッシ君どういうことかね!!」
「ワンブレスで!!」
「ペッシ、プロシュートと出掛けると何か問題があるの?!」
「問題ってワケじゃあないんだけど……ちょぉーっとね……うん。」
意味深なペッシの台詞に耳を傾けると、彼はポツポツとその真意を語り始めた。
「ホラ、プロシュートの兄貴ってさぁ……自他共に認めるくらい、カッコ良いだろ?…中身もだけれど、この場合は見た目の話で…。」
「うん、それは激しく同意。初めて会った時ギャングじゃなくてモデルさんがいると思った。控え目に言ってもミケランジェロの彫刻くらい美しいって感じ。」
「そこまで言う…。」
「言います。」
「うん、だからさぁ…オレ、兄貴に色んなところ連れていってもらうことがあるけど、服や靴を買いに行くでも、お洒落なリストランテにしても、気後れするっていうか、オレには場違いっていうか…。」
「あぁー…。」
「近所のバールやオステリアとか、パニノテッカなら別にいいんだけどね…。」
「(わかりみ…。)」
「兄貴は「気にするな!胸張って堂々としとけば問題ねェ!」とか言うけど……正直「え、無理」って思っちまうんだよなぁ…。」
「え…凄い親近感…。わたしもペッシと同じように庶民派だから凄くわかりみ…。」
「え~、本当?賛同してくれる相手はyouだけだよぉ~!嬉しいなぁ…!」
「で、そんな役目を今回はわたしが…?」
「オレにも妹分ができたみたいで嬉しいよ、これからは兄貴の相手、頑張ってね、you!!」
「ちょちょちょ!」
「じゃぁ、今日は楽しみにしてたジャポネーゼMANGAの発売日だから、オレもそろそろ帰るよ!今度話聞かせてね、チャオ―!」
「ぺぺぺペッシーーー!!!」
最後に言いたいことを全て放り投げ、ペッシは光の速さで事務所を出て行った。
特に何のアドバイスももらえないまま、プロシュートとの外出に難アリという事実だけが残り、
彼には申し訳ないが、明日の買い物に陰鬱な気分になるyouであった…。
そして、翌日…。
押し付ける勢いで約束を取り付けたこともあり、きっと10時きっかりにやってくるだろうと思っていたプロシュートが来たのはそれから30分も過ぎてのことだった。
10時半過ぎに携帯に「着いた」と連絡が入り、外へ出るyou。
まぁ、早々起きて準備しておくのは悪い事ではないので良しとするのであった…。
アパートの下に降りると、そこにはエンジンを掛けたままの車に寄りかかっているプロシュートの姿があった。
「うっ……眩しい…!!」
それがその日、youの抱いた第一感想だった。
朝日を浴びてキラキラ輝くハニーブロンドの髪にベネチアングラスのように美しい青い瞳。
スタイルのよく見えるスーツはグッチ、インナーのシャツは変わった柄だがD&Gだろうか…。
いつものように胸元をだけさせて惜しげもなく整った筋肉を顕にしている。
邂逅して早々にペッシの言う「気後れする」が発動してしまうほど、プロシュートは輝いて見えた…。
「ぷ、プロシュート、おはようございます…。」
「ああ、ボンジョルノ、you。」
「今日も色々と……とっても素敵ですね。」
「グラッツェ。バンビーナも可愛いぜ。」
「あ、ありがとうございます…。」
「んじゃぁ、早速出掛けるか。」
「はい!」
まずはyouを車の助手席にエスコートし、ドアも閉めてくれるプロシュート。
それからすぐに自分もシートに着席し、車を発進させた。
「今日は何処に行かれるんですか?」
「今日は大量買いをするぞ…!」
「えぇっ?!!何を…?」
「何って、服に決まってんだろ……給料出たし。」
「はぁ…。」
それから仕事の話やプライベートの話、日本の話やイタリアの話などを沢山しつつ、割と長い間車を走らせる…。
そこそこ長い時間が経ったが、あとどのくらいで目的地に着くのかをyouがプロシュートに尋ねようとした時、ちょうどのタイミングで彼に「そろそろ着くぞ」と声を掛けられた。
到着した場所はナポリ郊外のアウトレットショッピングモールだった。
外観は日本のそれとあまり変わりなく、初めて訪れる土地なのに既視感すら覚える。
「わぁ、広い!イタリアのアウトレットモールだー!」
「日本のと似てるのか?」
「ちょっと違いますけど、でも屋外型はこんな感じだと思います。」
「じゃぁ、早速行くか!」
「はい!」
「個人的にグッチとアルマーニは外せねェ。普段使い用にディーゼルも見たいってトコだな。」
「(全部ハイブランドなんですね…。)」
「何だその妙な顔。」
「いえ、何でもないです…。」
予想通りというか、想定の範囲内というか…プロシュートの求める服や装飾品は全て一流のもの。
海外勤務で以前の職と比べて給料が大変良くなったものの、まだまだ実感の湧かない庶民派のyouには、彼との間に見えない壁が見えてしまうのであった…。
「んでも、プロシュートもアウトレットモールで買い物するんですね…。」
「そりゃそうだろ……旧クソボスの所為で前の給料とかマジ悲惨だったからな……こちとらココは常連だ…。」
「(辛酸を嘗めた表情に!!そして頭に旧を付けると新もクソボスになってしまうんですけど!!)」
「まぁ、真っ当な給料になってからはヴィットリア、マルティーリ辺りのちゃんとした店でも買うようになったけどな。」
「あぁー、素敵ですよね。でも、その辺は敷居が高くて…。」
「やっぱそうかのか…。」
「え?」
「いや、ペッシのヤツがよォ…昨日電話してきやがってな…。」
プロシュートいわく、昨日の夜にペッシから連絡があり、翌日のyouとのデートプランについて尋ねられたとのこと。
その際、youは自分と似たような感覚の持ち主だから、
買い物が目的であれば、プロシュートの行くようなブランドの本店や支店は尻込みする可能性があるだろうと伝えてくれたらしい。
アウトレットモールならブランドショップであってもそこまで固くならなくて済むし、
何より沢山の店があるので、彼女の好みが知れるのではないか…というところまで含めてアドバイスがあったとのこと。
「ペッシ…ありがとうペッシ…。」
「まさかマンモーニのペッシがそんな方面でポテンシャルを発揮するとは…って感じだがな。」
「ふふ、きっとプロシュートをよく見て学んでいるってことですよ。」
「フッフッフ……ペッシのヤツめ…。」
「(凄い嬉しそう…。)」
教育係である自分の教えが良いからだと褒めるyouに、心底嬉しそうな反応を見せるプロシュート。
そんなに嬉しいのであれば、ペッシに何かお土産を買っていってはどうかと提案をすると、即答で受諾。
ただ、よくよく考えると、アドバイスで助かった立場なのは自分自身であったため、youも人知れずペッシにお土産を買おうと決心するのであった…。
「おっ、早速目的地だ。ちょっと見ていくがいいか?」
「わぉ…いきなりグッチ。」
「気に入った新作は市街で買うけど、そうでなければこっちで十分。行くぜ、70%OFF狙いだ…。」
「最後に急な親近感ワード……でもちょっと緊張するなぁ。」
「何でだよ、気にすんな。胸張って堂々としとけば問題ねェ。」
「え、無理…。」
「何ペッシみてぇな事言ってやがる……バンビーナ改めマンモーナの方が嬉しいのか、オメーは!」
「い、イヤです!!い、行きます行きます!あ、でも…。」
「んだよ往生際が悪ィな!」
youのオドオドした反応に、段々とペッシを叱るようなモードになっていくプロシュート。
だが、そこでも男女の差は大きかった…。
youはおずおずとプロシュートを見上げ、文字通り八の字の眉に困り顔で、彼のスーツの裾をちょんと掴んだ。
「ちょっと緊張するの……だからプロシュート……手を握っちゃだめですか…?」
「クソ可愛いなオメー、流石オレのバンビーナだ!!行くぞ!!」
「はいっ!!」
普段の彼であれば、女性の可愛い仕草1つに何の気無しに甘い言葉を投げ掛けるのだろうが、
youの奥ゆかしい行動は今まで出会った数多くの女性の中にもいなかったタイプで、プロシュートのツボに見事にハマったらしい。
先程の多少の憤りもあり、動揺しつつも、とにかく褒める気質だけを押し出してしまい、入店への気合を促すようなものになってしまった…。
勿論、youもそれは流石に誉め言葉と受け取っておらず、今にも「押忍!!」と掛け声を出さんばかりに気合を入れて2人で手をつないで入店する…。
店内はなかなかの人の入りで、youが懸念していた程の緊張はしなかった。
これなら手を離しても大丈夫かもしれないと思ったが、プロシュートがしっかりと握ってくれているので、有り難く繋いでおくことにする。
ただ、それも暫く店内を見回ったところで、試着や現物確認で自然と離されることになった。
「こっちのシャツとこっちなら、オメーはどっちがいい?」
「うーん…わたしはこっち。」
「お、意外だな……youは反対の方が好みかと思ったんだが…。」
「そうそう、わたしはそっちのが好きですけど、実際合せた感じだとプロシュートにはこっちの方が似合ってる気がするので。」
「やっぱそうか?」
「はい、どっちもよく似合ってましたけどね…。」
「…んなこと言われると両方欲しくなるだろ。」
「他のところも見回って、やっぱり欲しければ買うというのは?」
「じゃ、そうするか。」
そんなこんなで、グッチだけでなく、アルマーニのスーツやディーゼルのトップスなどのハイブランドな店舗を見て回る。
プロシュートという良すぎる程の素材は試着するだけでも、まるでファッションショーを見ているようで、youはその都度テンションが上がっていく。
基本的に今回はプロシュートの買い物がメイン…。
そうは言えど、見て回る最中にyouの小さな「あれが可愛い」などの呟きを拾い上げて、沢山の店内を見て回り、
例え自分の好みの店でなくてもつまらなそうな顔を一切することなく「こっちの色の方が似合う」、「そのデザインは良い」などの意見をくれたりと、モールに来てから現時点まで、ずっと楽しい時間を過ごせている。
「しばらくお洋服には困らないな…しかも安かったですし…。」
「良かったな。」
「はい、来れて良かった!プロシュートに感謝です!」
「おう……あ、でも私服が増えたからって事務所で着てるヤツ止めんなよ?あれ、スゲー気に入ってんだから。」
「事務服ですか…?」
「ああ、それそれ。」
「そんなに珍しいかなぁ……一般的なのに。」
「珍しいのもあるけどよ……脚がエ………似合ってるしな、うん。」
「えー、事務服が似合うのは悲しいですよぉ……。」
思わず「脚がエロいから、あの服を着ていてくれ」と言葉が飛び出しそうになるのを堪えたプロシュート。
そんなことを言おうものなら、真っ赤な顔で「明日からもう着ません」と返答が来るのは明白で、
もしもそうなってしまったら、チームメンバー全員から責められること待ったナシだ。
すーっと大きく深呼吸をして、話題を変えることにした。
→ next!
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「ところで、youのプロフーモは何処のヤツだ?あんまり強くねェようだが…。」
「香水…は、すいません、付けてなくて…!ちょっとお洒落する時とか、そういう時でいいかなって…そっか、イタリアでは香水も身だしなみの一つですよね……うう、以後気を付けます…。」
「(ちょっと待て……てことは、何も付けてねェのに微かにいい匂いがするって事か…コイツ…。)」
こういう場合、よくプロシュートに「そういうところから直して行け!」と叱咤されるとペッシに聞き及んでいたyou。
いつその罵声が飛んでくるのかとビクビクしていたが、一向に叱られる気配がない…。
恐る恐るプロシュートを見上げてみると、彼は何かを思案しているような表情でじっとyouを見つめていた。
「あの…?」
「ああ、いや、すまん……別に不快な匂いがするってワケじゃぁねぇから、いいんだけどよ…。」
「そ、そうですか?あ、でも以後、気にするようにします!」
「ああ…いや…。」
「…プロシュート?」
何となく動揺したような反応をしてくるプロシュートを不思議に思い、ずっと彼を見上げていたyou。
視線が前を向いていなかった所為で前方から来る一般客に気付かず、すれ違いざまにぶつかってしまう。
「っきゃ…!」
「you!!」
ぶつかった彼は「スクーサ!(おっと、ごめんよ)」と軽い謝罪を述べて過ぎ去っていくが、
すれ違ったのが大柄な男性だったため、youの身体が後方にぐらりと揺れる…。
一見して女性的な美しさが際立つプロシュートだが、それはあくまで顔面の話…。
身長もリゾットほどではないが、それなりに高く、着ているもののせいで細身に見えるが、実際にはしっかりと無駄のない筋肉を携えているわけで…。
多少驚いた表情をしたものの、すぐに腕を伸ばしてyouの身体をしっかりと支えたプロシュート。
「大丈夫か、you…。」
「は…はい……!//」
「(この匂い……。)」
身体が近付いたことで、少しばかりyouから届く香りが強くなった。
そして、その香りの正体に気付いたプロシュート。
「成程、髪の香りだったのか…!」
「え、何?」
「いや、さっきお前何もプロフーモ付けてねぇって言ってたのに、いつもお前から微かに花とか石鹸みてーないい匂いがしてたからよ…何だと思ってたんだ……成程、なるほど…髪、ね。」
名探偵ばりに「謎は全て解けた」という様子で一人頷き、一旦身体は離したものの、
それからプロシュートはyouの髪に顔を近付けてその香りをくんくんと嗅ぐ。
そういえば、よく事務所で任務帰りのペッシを飴と鞭で指導している様子を見るが、
飴の(褒める)時のスキンシップでよく顔や頭を触っていたな…とyouはその光景を思い返す…。
プロシュートの美しい顔(かんばせ)が至近距離にあり、さぞや眩しくて辛い思いをしていただろう…。
今、ペッシと心が通じ合った感覚があったyouであった…。
「ぷ、プロシュート……あの、もういいかな…?」
「ん、ああ、すまん……オレとしたことが、女性に対して不躾だったな。」
「いえ、大丈夫です……//」
「ところでyou、オメーさっき、これからはプロフーモ付けるっつったよな?何か持ってんのか?」
「えっ、あるにはありますが、そんなに沢山には……持ってませんね。」
「そうか……分かった。とりあえず先に荷物車に置いて飯食うぞ。」
「あっ、はい!!」
2人して買い込んだ服や装飾品の数々はなかなかの量。
お互いに両手いっぱいに紙袋を持った状態だったので、プロシュートの提案は納得のものだった。
大方気になる店を回ってきたこともあり、そこからすぐに踵を返して車へ戻り、荷物を積んだ。
「おお…流石にあんだけ持ってた紙袋が1つも無くなると軽くなった実感があるな。」
「そうですね、わたしもあんなに紙袋を手に持ったの初めてだったかも。」
「悪かったな、お前の分まで持ってやれなくてよ。」
「いいえ、全然!寧ろ今回は充実感を握ってた感じがして荷物持つのも楽しかったです!」
「それならいいんだがよ…。」
「それより、お腹空いちゃいました!プロシュートは?」
「ああ、オレもだ。飯食いに行くか!」
「はーい!」
そう言って2人は併設されているリストランテ街で遅めの昼食を取った。
お腹も満たされたところで、ショッピング再開となり、2人でペッシへのお土産としてスポーツ店でリストバンドを購入。
いつも使っているからいくつあってもいいだろうというプロシュートの案だった。
だが、前半戦でほとんど見回ってしまったため、以降「何か見たい物は?」とプロシュートに尋ねられたものの、youにはこれと言って欲しいものが思いつかなくなってしまった…。
「欲しいものや必要なものを殆ど買ってしまったので、特に何ももう思いつかないんです…。」
「よし…じゃぁ本日最後の買い物といくか。ぼちぼち夕方だしな。」
「最後に何を買われるんですか?」
「プロフーモ(香水)だ。」
「そういえば今日、購入されてませんでしたね。」
「まぁ、オレのはまだあるからな。」
「はて…?」
「女モンだよ。」
「ああ、彼女さんへのプレゼントですね!素敵です……流石プロシュート。」
「…そう思うか?」
「はい!」
にっこりと笑みを向けるyouに対し、プロシュートは無表情で沈黙する。
ペッシに関連した褒め言葉の時はあんなにも笑みを浮かべていたのに、今回は何とも言えない表情である…。
どうかしたのかと、今度は不思議そうな顔をすると、彼は「何でもない、行くか」と店へ向かって歩き出した。
プロシュートが選んで入った店内には服やアクセサリ、鞄や靴などと並び、そこそこの種類の香水が置いてあった。
いくつかテスターの香りを用いて、最終的に2つに絞った様子。
「オレは個人的にこのプロフーモが好きなんだが…you、オメーはどう思う?」
「わぁ…とても良い香りです…。」
「ただ、今はこっちも捨てがたくてよ……ちょっと甘い香りなんだが…。」
「ふわぁ……こっちも良いにおい…!」
「どっちが良いと思う?」
「うーん……個人的には後の方が好きですけど……。」
「けど?」
「プロシュートの好きな人から、どっちの匂いがした方が嬉しいかで決めるといいんじゃないですかね…。」
「…成程な、確かに…そりゃあいい案だ。よし、採用!」
ビシッと人差し指でyouを指差し、妙案だと受け入れる。
結果的にプロシュートはyouが好きだと言った方の香水を手に取り、ギフト包装をしてもらった。
「喜んでくれるといいですねぇ…!」
「オレから渡されるモノだぜ、喜ばなねぇオンナがいると思うか?」
「い、いませんね…はい。」
「喜ぶっつーのも大事だけどな……驚いた顔は楽しみだよな……すげー楽しみだ。」
「どんな反応だったか、今度教えてくださいね。」
「…ああ、ちゃんと教えてやるよ…。」
不敵な笑みを浮かべて、店を後にするプロシュート。youはその後ろに続いた。
本日最後の買い物が終わり、外に出ると綺麗な夕焼け空になっていた。
車に乗り込み、アウトレットモールを後にした2人はホームグラウンドに戻って夕飯を摂ることに…。
プロシュートお勧めのお洒落なリストランテで美味しいパスタ料理に舌鼓を打ってから、ようやく家路に着くこととなった。
朝、迎えに来てくれた時と同じ場所に車を停車させ、別れの挨拶をする2人。
「プロシュート、今日は本当にありがとうございました。凄く楽しかったです!」
「おう、次は新作目当てで正規店行くからな。」
「えぇー……緊張する…。」
「オレが付いてんだから大丈夫だろ。」
「…Yada,Ikemen…(やだ、イケメン…)」
「あ?何だ今の、日本語か?」
「う、ううん、何でもないです!」
「っと、忘れるトコだったぜ……ほら、you…これはお前にだ。」
「え、これ…。」
身体を大きく動かし、後部座席に手を伸ばして掴んだのは先程、最後に購入したブランドものの香水だった。
目を丸くして「何故?」と困惑しているyouを見て、目論見通りと笑いがこみ上げる。
「これ、プロシュートの彼女さんへのプレゼントですよね?」
「オレは「そうだ」とは一言も言ってねェ。」
「・・・たしかに。」
「まぁ、買い物に付き合ってもらった礼みたいなモンだ。」
買った香水はてっきり、プロシュートの恋人への贈り物だとばかり思っていたyou。
そもそも、今日の外出はペッシと話して「プロシュートの付き添い」を後輩として引き継いだものとばかり思っていたため、
恋人未満というワケでも、友人としてというわけでもなく、プロシュートの後輩としての立場で行動を共にしていたので、三割増し衝撃が大きかった。
「い、いや!こんな高価なものいただけませんよ!誕生日でもないのに…!」
「アウトレットのプロフーモで高価なんて言うんじゃぁねぇよ……しかも誕生日みたいだぁ?オレを見くびんな。誕生日はもっとスゲェに決まってんだろぉが!!」
「ひぃ!!」
「いいから、もらっとけ。つーか、使えって言ってんだよ。」
「あう……そ、そうですね…身だしなみのアイテムとしてですね…。」
「いや…そうじゃあねぇ…。」
「え…?」
日本ではあまり馴染みがないが、郷に入っては郷に従えということで、
イタリアでは身だしなみの一環として香水を付けておくべきと、プロシュートに指摘されたと思っていたyou。
だが、そうではなく、別の真意があると…彼は言う。
「youはオレのバンビーナだからな、仕事の時はオレが選んだプロフーモを付けていい。」
「あ、ありがとうございます?」
「けどな……今日みたいにオレと2人で会う時は付けなくていい。」
「え?な、ど、どうしてですか???」
渡された香水のショッパーバッグの取っ手をぎゅっと握り「Why?」と理由を問う。
だが、それを尋ねたことを後悔したのは、プロシュートという存在があまりに美しくて危険な存在だと気付いたから。
彼はyouの顔を両手でがっちり掴み、その美しい顔の額を彼女の額にくっつける。
「youの本当の匂いを知ってるのはオレだけでいいからだ。」
「っ…!!//」
「じゃぁな、バンビーナ……ちゃあんと、オレの夢を見るんだぞ?」
「~~~!!!///」
よく、耳元で囁かれたり、上手なキスの後に「腰が砕けそうになる」ということがあるというが、
美しい顔を至近距離で見たからそうなったという現象は聞いたことがない…。
だがしかし、そのくらいの勢いでyouの顔は真っ赤に染まり、暫く助手席から動けなくなるのだった。
そして後日…。
「you、こないだプロシュートの兄貴からリストバンド貰ったよ、youと兄貴からだって。ちょうど新しいの欲しかったんだ、ありがとうね。」
「あ、早速付けてくれてる…喜んでいただけたなら、良かったです!」
「でも、兄貴との買い物大変じゃなかった?」
「ちょっとだけ。でも、凄く楽しかったよ!わたしもいっぱい洋服買っちゃいました。」
「へぇー、それなら良かったよ…youはオレより早く順応できるかもだね。」
「でも、ペッシがプロシュートに言っててくれたからだよ…いきなり支店や本店はハードル高いって。」
「あ、兄貴そのこと話したんだね。」
「うん。ありがとうね、ペッシ…。」
「どういたしまして。これからは兄貴のオトモはyouになるだろうけど、オレの知ってることであればアドバイスやサポートをするよ!youはオレの妹分だからね!」
「ちょ、ちょっとペッシ…!」
ニコニコと、後継者を支援すると伝えてくるペッシの発言に驚嘆していると、任務を終えたプロシュートが事務所へ戻ってきた。
「戻ったぜバンビーナ……って何だ、ペッシもいたのか。」
「プロシュート、お帰りなさい。」
「よしよし、ちゃんとオレのバンビーナの匂いだな。」
「ぷ、プロシュート…!//」
つかつかと2人の元へ歩いてきて、仕事の疲れを癒すようにyouをぎゅうっと抱きしめる。
先日贈った香水の香りがちゃんと漂っていることを確認し、ゆるりと腕を離した。
「おう、そうだペッシ!オメー明日休みだったよな、何か用事あんのか?」
「特に無いから、釣りでも行こうかなって思ってましたぜぃ……あれ…?」
「じゃぁ、ちょっと買い物付き合えや。」
「えっ!?な、何で!!?」
「何で?何でだとペッシ……テメェ、オレと出掛けるのが嫌だっつーのか、あぁ?!」
「そそそ、そうじゃないけど!!」
「だったら決まりじゃあねぇか。10時に家まで迎えに行くから準備しとけ。」
「あ、兄貴ィ……ちなみに明日は何処へ行くんですかぃ…?」
「アウトレットには入ってなかった店だ。とりあえずフェラガモとブルガリ辺りだ。」
「・・・。」
「じゃぁ、報告書書いて帰るぜ、疲れたからな…。」
嵐のようにやってきて、ペッシの明日の予定を根こそぎ奪い取って颯爽とリビングを去っていくプロシュート…。
「わ、わたし…プロシュートにエスプレッソ淹れないと…。」
絶句しているペッシをチラリと見遣り、youはそそくさとその場を退散する…。
結局、ペッシも次回買い物に付き合わされることになり、
まだまだ後輩へお役を完全移行とはいかないのだと思い知るのであった…。
profumo
キミの香りを堪能する
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*