■Fiori e Vino. (リゾット)
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「・・・!!」
変な夢を見なかったことに安堵し、次いですぐさま昨日の記憶を呼び起こしたyou。
Fiori e Vino.
覚めない夢と現実と。
「わたし……昨日、リゾットに…。」
昨晩、自分の置かれた状況や蓄積したリゾットへの想いを抑えておくことができずに、涙と一緒に溢れ出す如くにその全てを伝えてしまったyou。
以前から自分も同じ気持ちでいたのだと彼は伝えてくれたはずだが、それは果たして現実だったのか?と…。
もしかしたら、それら全てがこのベッドの中で見ていた夢だったのかもしれないと……さぁっと青ざめて飛び起きる。
身体を起こして布団から出ようとした刹那、ベッドサイドで充電していた携帯から音が鳴り、表示を見れば今まさに彼女の脳内を支配している人物から。
手に取って確認すると、電話ではなくメッセージのようで、恐る恐る開いて中身を確認する…。
『ボンジョルノ、昨日はよく眠れただろうか……怖い夢は見なかったか?オレは今から出勤だ、行ってくる。早出だから今日は恐らく早く上がれるだろう……よかったら会わないか?こんなにすぐに欲をかくのもダメだと分かっているんだが……すぐに会いたくなって困るな……堪え性のない恋人かもしれないが、許してくれると嬉しい。』
文面から読み取れた、昨日の事が夢ではないという確証にホッと安堵の息を吐くyou。
どうやら、夢から覚めてもリゾットの恋人になれたという事実は消えていないようだ。
すぐさま返事を返すのもどうかと、一瞬だけ考えたものの、やはり嬉しいものは嬉しいのだという気持ちが先行し、youはリゾットへメッセージを返した。
『ボンジョルノ、心配してくれてありがとうございます。お陰様で怖い夢は見ませんでしたが……リゾットに好きだと言ってもらったことが夢だったんじゃないかと思って怖かったです。でも、夢じゃないみたいでよかった…。わたしも今日、またリゾットに会いたいです……仕事、早く上がれるようにがんばります!お仕事気を付けて、いってらっしゃい。』
寝起きすぐにはぼんやりしていた意識も、まだベッドの上にいるのにも関わらず今はしっかりしている。
いつもは目覚めても5分10分と布団から出ずにグズグズ時間を無為にしているのに、恋人ができたらすぐにこの有様とは…と、自分でも溜息を吐きそうになるくらい現金なヤツだと、自嘲してしまった。
一方、こちらはyouからのメッセージを受け取ったリゾット。
こんなにすぐに返事が返ってくるとは思わなかったこともあり、携帯のディスプレイを確認し、少し驚きながら事務所への道を歩く。
youからのメッセージを見て思う事は1つだけだった。
「(夢だったなんて思うものか……。)」
抱きしめた華奢な身体、ふわりと鼻孔をくすぐる石鹸の香り、指で拭った真珠の涙、柔らかな唇の感触…。
その全てが頭から離れず、昨晩は眠れぬ夜を過ごしたのだ…。
今日は絶対、何が何でも定時で帰宅してみせる!と鼻息荒くリゾットは事務所の扉を開けるのだった。
・
・
・
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「ボンジョルノ、you。」
「ボンジョルノ、フーゴ先生!」
「全く…いつになったらその「先生」って言うのが取れるんです?」
「だってー!!」
ポコっと、拳で軽く彼女の頭を小突いたのはyouの同僚であるパンナコッタ・フーゴという青年であった。
朝一の挨拶に要らぬオマケが付いた…と口を尖らせるyouに「自業自得です」と彼は言い放つ。
というのも、彼、パンナコッタ・フーゴはyouがパッショーネで身柄を預かることになった際、彼女にイタリアでの習慣や言葉などを教える教育係の役割を担っていたからだ。
勿論、イタリア語は勿論、英語もままならない典型的な日本人だったため、日本語が話せるジョルノの助けも得てのことではあったが、最終的にナポリでの生活のしかたは殆どフーゴに教わったようなもの。
それ故に、彼女はずっと彼のことを「フーゴ先生」と敬称付けで呼んでいたのだが、フーゴ自体はそれが歯痒いらしく、事あるごとに訂正を求めてくるのである。
「まぁ、でも……師として敬っていただけるのは有り難いことですけどね……ナランチャと違って。」
「ナランチャは先生のこと、敬ってなさそうですもんねぇ。」
「敬うどころかナイフを突き付けてきますからね……真正の暴れ猿ですよアイツは…。」
「あぁー、あれは初見の時ビックリしました……ギャング怖い!って。」
「その節はどうもすみませんでした……ハイ。」
お互いもういい大人なのに、女性を怖がらせるような失態をしてしまいました……と、盛大な溜息を吐くフーゴ。
youはその反応にクスクスと笑いフーゴの背後から両肩にポンっと手を掛ける。
「本当は今でも皆が怒ってる姿を見るのは怖いけど、でも、わたし、大分慣れたと思いません?」
「you…。」
「それって、皆の根っこが何となく分かってきたからだと思うんです……。」
「・・・。」
「これからも沢山、皆のこと知っていきたいです……だから先生も、わたしと仲良くしてくださいね!」
「貴女という人は……ブチャラティとはまた違うタイプの人たらしというか……まぁ、それは良いことですね、ええ。」
「?」
「勿論です、you。困ったことがあれば何でも相談してください………ボクは貴女の先生でもあり、仲間なんですから。」
「はいっ、フーゴ先…………ううん、これからもよろしくお願いします、フーゴくん!」
背中越しに嬉しそうな声が届き、フーゴも思わずニコリと口角が優しく上がるのを自分自身で確証した。
それと同時に、「話しは変わるが」と、先程から抱いていた疑問を投げ掛けてみる。
「ところで、1つ質問してもいいでしょうか?」
「ん?何です?」
「you、貴女……何か良いことでもありました?」
「えぇっ?!な、何で…?!」
「いや、朝の挨拶の抑揚が普段より高めでしたし、肩に手を掛けたり……普段そんなことしないでしょう、あなた。」
「ひぇ……フーゴくんの知能指数こわい…IQ150…。」
「正確には152ですね。あと、多分IQ関係無いと思います。誰だって機嫌いいなって思います。」
「えぇ~!………そんなに分かりやすいんでしょうか…。」
「嘘は吐いてもバレるタイプでしょうね、間違いなく。」
「いいことはあったけど、内緒ですよ!でも今日のお仕事がんばれるくらいにはいい事です!」
「それは結構!では早速、この領収書の仕分け……お願いしますね。」
「なにその分厚い束!!」
「主にミスタとナランチャの使途不明の領収書でしょう。先にボクとアバッキオ、それからブチャラティの分を処理することをお勧めします。」
「鬼ーーーーーーーーーッツ!!!」
「おや、先生では?」
そう言ってニコリと爽やかな笑みを浮かべ、まるで札束のような厚みの領収書をyouに手渡すフーゴ。
夕方までに終わらないかも!!と、出勤早々涙目でデスクに向かうyouなのであった…。
覚めない夢と現実と。
words from:yu-a
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