■Fiori e Vino. (リゾット)
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「まず、言わせてほしいことがある。」
少し時間を置いた後、リゾットが言った…。
Fiori e Vino.
拒絶する理由を全て飲み干す
悩み事がある様子だったyouの話を聞くために彼女を家に招き、色々と話を聞いていたリゾット。
その最たる理由が自分に恋心を抱いているからだということを知り、自分も同じ気持ちだと打ち明けたのだが、彼女は外見と内面を好きになっていることに間違いは無いが、その根本…もしくは延長で性的な部分でリゾットを見ていることがあり、それがいけないことだと彼に涙ながらに告げた。
それに対して大いに物申したいことがあると、リゾットは言う…。
「you、キミの気持ちはどこも汚れてなどいない……その気持ちは汚くなどないんだ。」
「っ……!」
「誰かを好きになる時に、相手の身も心も欲しくなるのは当然の事だろう……違うか?」
「あ……っ…。」
「そう、とどのつまりそういう事だ………「当たり前の事」。だから、オレはそんな気持ちを向けられて不快になるどころか、寧ろ嬉しいと思ったし……何よりオレだってyouにそういった想いを持っている。」
「そう………なの……?」
「当然だろう……もうずっと前からキミを好きだったと言ったハズだ。オレだってただの人間で一人の男だ。いつでも聖人君子でいられるワケじゃあない……。」
「そう……なんですね…。」
「今だって………結構ギリギリなんだぞ…。」
「え、い、今ですか…?」
「ああ……色々と……もう言葉にすると理性が決壊するだろうから何も言わんが…。」
「す、すみません…。」
「いや、いい………だが、理解してくれただろうか、キミの気持ちはごくごく一般的なもので、1ミリも穢れたり汚れたりしていないと。」
「・・・・はい、理解しました。」
思い返すと、本当にリゾットの言う通りだったと思うと同時に、それどころか、そんな思春期の学生でも分かる感情を真剣に悩み、きっちり全部言葉に出して泣きながら訴えていたのだと思うと、顔から火が出そうなくらい恥ずかしい心境だった。
というか寧ろ、今もう既に彼女の顔は真っ赤に染まってリゾットを直視できない状態になっているのだが…。
「それで……you、キミの気持ちに問題がないようであれば……オレの恋人になってほしいんだが…。」
「それは……それは………でも……あ…………わたし、ダメ、です……。」
「え…?」
「やっぱり、ダメでした……気持ちじゃあなくて………わたしの存在が、ダメです。」
「今度は一体何なんだ…。」
気持ちの次は何が問題なのかと…。
もうここまできたら何が何でも、今日中に彼女の思い悩む要因を全て排除して自分の女にしてみせると、覚悟を決めるリゾット。
燃えるような瞳でyouに視線を向けたものの、つい先程まで真っ赤だった顔が、今は何故か顔面蒼白…何かを恐れるような瞳に変わっており、過剰なほどに視線が泳いでいる…。
今の一瞬で一体何が起こったのかと、思わず驚いた目で問いかけた。
「you、どうしたんだ……急に顔色が…。」
「わ……わたし……ごめ、なさ………ずっと、ずっとリゾットのこと騙して……ました。」
「何だと…?」
「ずっと、ずっと楽しくて、嬉しくて……リゾットのことが好きで……失念してました……わたし、普通じゃないってこと…。」
「普通じゃあ、ない…だと?」
「許してください……許してください、ああ……ごめんなさい……嫌いになってください、わたしのこと……!!」
もう何度目か分からない、youの涙…。
今までの様子が、自分の押し留めていた恋心が溢れ出し、困惑していたとすれば、今のそれは完全なる恐怖の表情であった。
脈絡のない拒絶と、異常なまでの恐怖を顕にするyouに、リゾットは何を以てそういった態度になったのかを引き出そうと試みる…。
「嫌いになるかどうかは、返答次第だ………一体何に怯えている。」
「リゾットに嫌われることです…。」
「だが、嫌いになれとキミは言う……これは何という矛盾だ?オレを騙していたとはどういうことだ?」
「っ………。」
「you!!」
「ひっ……!」
強めの声色で名前を呼ばれ、ビクリと肩を震わせるyou。
このまま黙ることは許さないというリゾットの態度に、逃避は許されないと確信したのか、ボロボロと泣きながら彼女はその理由を話し出した…。
「わたしっ……ひっく……戸籍が無いんです…っ…!」
「!!」
「日本に……帰れないんです…っ……っ!」
「あ……。」
「かっ、観光で……イタリアに来てっ、ガイドさんと離れた時に……らっ、拉致されて…!助けて、もらえたけど……捕まってる間にわたしの情報……ひっく、全部、ぜんぶ売られて、無くなっちゃって…!だから……わたし、普通じゃないんです!それにわたし……っ、今……パッショーネっに……。」
「ああ……you……!」
「ぎ……ギャングの組織の方にお……お世話になっていて…皆優しい方なんですよ!?それは本当です!!でも、でも……だから……!だからわたしに関わるとリゾットがもしかしたら危なくなるかもしれなくて……!!!わたしは何の力も無いただの事務所要因なんですけど、でも……!!!」
「もういい!」
そう一言言い放ち、リゾットは思い切りyouの腕を引き、胸の中に閉じ込めた。
お互い、相手が好きすぎて、一緒にいることが幸せ過ぎて失念していた「ギャング組織に与している」という事実…。
youは勿論のこと、リゾットでさえもそのことを考えずに話を推し進めていたため、彼女の置かれた環境の経緯を全て把握しているリゾットはその話を聞いて、彼女の取り乱す様子にようやく合点がいった。
「もういい、すまない……そうか……そのことだったのか…。」
「ひっく……う…。」
「だとしたら、オレもキミに謝らなくてはならない……。」
「ふ…っ…。」
「全部………知っていた。」
「…ぇ…?」
「キミのことを………オレは全部知っていた……その上で知らないふりをしたんだ…。」
「どう、いう……??」
「そのままの意味だ…。」
そう言ってリゾットは、出会ってから何度か食事をしたり出掛けた際に気付いた違和感で、youのことを調べようと思ったことを話した…。
「出会った時もそうだったように、何度か会う中で、故郷の話になるといつも涙することに違和感を感じたのが最初だ…。その上で、イタリアにいる理由や目的などの話題になると口を噤んでいたからな…。」
「・・・そんなに前から…。」
「……仕事柄、人の嘘や矛盾、感じた違和感には敏感になる性質でな…。」
「仕事って……。」
「キミと同じだ……ギャング。オレもパッショーネに所属している。」
「!!」
「だから、キミの情報を入手するのは容易かった………だが、全てを知っても自分のことを話そうとも、キミのことを聞き出そうとも思わなかった…。」
「な、ぜ……ですか?」
「オレが生粋のギャングだからだ………伝えれば怖がられると、距離を置かれると思った。キミは………ギャング組織に身を置くことを強いられているが、その在り方は一般人のそれだろう?流石に「同じ組織に在籍してるから受け入れてもらえるだろう」なんてお気楽な考えにはなれるはずもない。」
確かに、自分がリゾットと同じ立場で、彼が同じパッショーネに所属していることを知っていたとしても、同様の考えを抱くだろう…。
youはそう思い、リゾットが気持ちを打ち明けるのを控えた理由に納得する。
「そうだったんですね………リゾットは全部…知っていたんですね…。」
「・・・ああ。今の今まで完全に失念していた……キミと過ごす時間が楽しすぎたんだ…。」
「何だか…複雑ですけど、リゾットが危ない目に遭う事が無いことが分かってホッとしています…。」
「オレのことはいい……例えパッショーネに所属していなかったとしても、youを諦めることはできないさ。」
「そ、そうなんですか…?」
「ああ。それほど好きだ。」
「リゾット…。」
「それで………まだ他にも付き合えない理由があるか?この際全て吐き出してくれ、全部論破して見せる。」
「いいえ、もう何も………もう何もありません。」
「本当か?」
「本当です。」
「これで最後だろうな?」
「はい。」
今しがた連続で拒否されたこともあり、まだ少し疑心暗鬼になっている様子のリゾット…。
何度もyouに確認して、ようやく納得したところで、抱きしめていた身体を少し離し、目を合せてから彼女に尋ねる。
「では、改めて聞くが………オレは恋人として、傍にいてお前を守りたい……どうか、オレのテゾーロになってくれ。」
「わ……わたし、で…………いいんですか?」
「youがいいんだ。オレはyouしか欲しくない。」
「っ………りぞ、っと……。」
「答えをくれないか?」
「っ………はい、わたしも………リゾットのことが、好きです……大好きなんです。」
「ああ………(やっと)。」
「手に入れた」……と、心の中で感極まって打ち震えるリゾット…。
ただ、今に於いては、彼女には知られずとも非道なことも含めて色々と画策した結果が実った…という達成感というよりは、
とにかく彼女への想いが成就したことが嬉しくてたまらず……という感情が全てであった。
それは彼女も同様のようで、リゾットの腕をきゅっと掴み、ぽろぽろと……今度は綺麗な涙を流す。
「わたし……わたし、これからもリゾットのことを想っても……お、想いを諦めなくていいんですね…?」
「勿論だ……オレの方こそ……ずっとキミのことを傍で守りたいと思っていた……それが叶って本当に嬉しい。」
「リゾット……。」
「キミがどんな存在であっても、これから何が起こったとしても……オレが必ず守り抜く。だからもう、傷付かなくていいんだ、もう、何も心配しなくていい。」
安心させるようにポンポンと頭を撫でて、気にするなと、リゾットは言う。
「リゾット………本当に、ありがとう…。」
「you………オレのテゾーロ……で、間違いなければキスをしてもいいだろうか。」
「…はい、間違いないです。」
「グラッツェ……グラッツェ モールト、you。」
リゾットは、本気で嬉しいと分かるような表情と声でyouに感謝を告げた後、大きな両手を彼女の頬に添える。
一度コツン…と額を合せると、まるで儚い壊れ物に触れるようにそっと口付けた。
拒絶する理由を全て飲み干す
words from:yu-a
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