■Fiori e Vino. (リゾット)
name setting
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「今日は楽しかった。次、何か食べたいものはあるだろうか?」
ニコリと玄関前で優しく笑い掛けてくる友人を見て、思わず涙が零れた。
もう、限界だった。
Fiori e Vino.
決壊と言う名の告白
普段と同じようにリゾットと夕飯へ行ったyou。
いつものように仕事終わりに待ち合わせて夕飯をとり、楽しく会話をして、家路に着き、あとは挨拶をしてお互いの家の中に入るだけ…というシーンなのだが、次回の約束をしようと声を掛けられたところで、youが突然泣き出したのだ。
勿論、あまりに突然のことで、食事中や帰宅時の会話や雰囲気でも気落ちしたりする様子は微塵も無かったため、流石のリゾットも驚いて目を見開いている。
「ど、どうしたyou!?」
「っ……っく……う…。」
喉元は何とか言葉を紡ごうと努めているようだが、脳内で文章を組み立てることすら困難になっているようで、ただ悲しそうに、辛そうにじっとリゾットを見つめながら、唇を噛み締めて大粒の涙をひたすら零すyou。
前に会った日から約1週間ほどだが、その間に仕事で何か深刻に悩むようなことがあったのかもしれないと…。
今日は本当はそれを聞いてほしかったのかもしれないと考え、リゾットは出来る限り優しい声色でyouに呼び掛けた。
「何があった…?オレでよければ………話してくれないか?」
「~~っ……!!」
尚も言葉無く泣き続けるyouに大きな手を添えて撫でると、リゾットはyouの手を掬い取って、自分の家への入室を促した。
「廊下ではアレだろうから、入ってくれ。オレの部屋で話しを聞こう。」
確かに、他の住民も別の号室にいるため、そこでずっと話し込むということは難しい。
男性の家に女一人で上がり込むのも、通常であれば邪推を起こすところだが、彼等の過ごした時間と、築いた信頼を考えれば許容できるものであった。
更に言うと、状況が状況であり、下心を押し出したような掛け合いもお互い微塵も無かったため、リゾットはそうすることが当然だと思ったし、またyouに於いては、そもそもがリゾットに聞いてほしいと思ったために涙が言葉より先に訴えたワケで……断る理由も見つからず、コクリと頷きリゾットの後ろに続いた。
パチン、とエントランスにある電気のスイッチを入れて廊下を進む。
視界が涙で滲むので、最初のうちは家の全容が分からなかったが、自分と同じ間取りのリビングに着いた時には流石にyouもその目をパチパチと瞬かせた。
そう、自分の間取りと全く同じにも関わらず、自分の部屋とは全く異なるリゾットの家のリビング。
「殺風景だろう?物にあまり執着心が無いのか、欲しいと思う家具やインテリアが無くてな……基本的に物をあまり置いてない。」
「・・・。」
「ソファに掛けて待っててくれ、今何か飲み物を用意する。ああ、鼻をかむならティッシュも勝手に使っていいぞ。ゴミ箱はそこにある。」
「ふぐぅ……グラッツェ…。」
お気遣いの紳士に、物凄い鼻声で感謝の言葉を伝えるyou。
ソファに掛けた後、お言葉に甘えて存分にティッシュを活用させてもらった。
数分後、コーヒー豆の良い匂いを漂わせて、リゾットがリビングへ戻ってくる…。
彼はyouの隣に着席し、前にあるお洒落なガラステーブルの上に2つ分のカップを置いた。
「グラッツェ…。」
「プレーゴ。」
「・・・。」
「落ち着くまで待とうか?」
「いえ……そしたら多分夜が明けても多分居座ることになっちゃいます。」
「ハハ、youが夜明けまでここにいてくれるなら、オレはもう何も聞かない方がいいかもしれないな。」
「ありがとう……リゾット…。」
「それで、何があった…?職場で苛めにでもあったか?」
「ううん……職場の人間関係は至って良好。」
「そうか……それは良かった。」
そこでもし、職場が問題とでも言われようものなら、ブチャラティ達を闇討ちするくらいの心積もりだったのはリゾットのみぞ知る。
職場の人間関係や仕事ではないのであれば、他は私生活ということになるが、自分が確認している限りでは、相変わらず彼女に悪い虫は付いていないはずである。
それ以外でとなると……と、脳内で答えをいくつかに絞っていると、不意にyouの身体が小さく震え始めた。
「わたし……もうどうしたらいいのか…分から、なくて…っ。」
「you…?」
「家に帰りたくないんです……っ!」
「は?」
「怖くて……嫌なんです、嫌な夢見るの……わたし、もう……。」
「家が……怖いのか?」
まさかの物件事情での悩み事ということで、流石にリゾットも驚嘆の顔を浮かべてその全容を問いただす。
「何者かの気配がするとか……その、ゴースト的な感じの悩み……なのか?」
「幽霊…とは違うんですけど………でも、引っ越せば悩まなくなるのかな……リゾットと離れれば……でも…。」
「!!」
確かに、いわくつきの物件であれば引っ越しを一番に視野に入れて対策を練るだろう…。
だが、リゾットとしては折角のこの距離感が崩壊してしまうことに危機感を覚え、顔つきが真剣なものへと変化する。
「具体的にどんな事が起こるのか教えてくれ、何かオレにできることがあるかもしれない。」
「リゾット……っ……ふ、っ……ごめ、なさ…。」
「you………泣いていては分からない、教えてくれ、キミの力になりたいんだ。」
「う、あ……っ、リゾット……リゾットぉお……っ!」
「!」
リゾットの言葉に心揺さぶられたらしく、youはワッと泣きながら隣に座るリゾットの胸に飛び込んだ。
youをいつでも抱きしめたくてたまらない気持ちで日々を過ごしていたリゾットには、それは圧倒的僥倖に外ならず、勿論しっかりとその細い体を抱き留め、頭部と背中に腕を回した。
「you……怖くない、大丈夫だ。何があってもオレがお前を守るから……。」
「っふ……ごめ、なさ……。」
「謝る必要などない………話してくれるか?」
「ごめんなさい、もう、何から話していいか……分からなく、て……っ。」
「そうか……ではどうするかな………そうだ、youが一番重要だと思う事を聞こう。そうしたら、取っ散らかっている内容もそこに収束できるかもしれん。」
「それは……。」
「うん?」
「一番言い辛いことと同意義……です。」
「そう、なのか………だが、そこが分かった方が明瞭になると思うんだが、違うか?」
「そうなんですけど……そうなんですけど!そう…なんです、けど…。」
「ああ…。」
「そう、ですよね……ああ、うん……もう、どちらにしてももう、限界ですし……仕方ないですよね。」
「ああ。どんな話であっても、オレはちゃんと真剣に向き合って相談に乗るつもりだ。」
「わたし、リゾットのことが好きです。」
「そうか、それが一番重要な………え?…………え?」
ポンポンと後頭部を撫で、泣いている子どもをあやす様にyouからの言葉を聞いていたリゾットが、一瞬で固まった。
「ちょっと何言ってるか分からないですね」くらいの勢いでリゾットの脳内で動揺した意見が飛び交う。
すぐには紡げなかった返答だったが、思考回路を整理して辿り着いた答えは「要再確認」だった。
抱きしめていた腕の力を緩めて、お互い見つめ合えるほどの距離まで身体を離す…。
「you……今、何て……。」
「わたし、リゾットのことが好きです。」
「ッツ……?!」
矢張り、聞き間違いではなかったことが再確認で証明された。
決壊と言う名の告白
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*