■Fiori e Vino. (リゾット)
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「おう、you、もうそろそろ終わりか?」
「はい!ぼちぼちお仕事終わりです!」
それは定時が近づいた頃合いの、いつもの職場風景だった。
Fiori e Vino.
無自覚に君を想ふ
ただ、今回は少しだけいつもとは違うことが起こった。
声を掛けてきたのは同僚でもあり、大先輩でもあるレオーネ・アバッキオ。
ジョルノとブチャラティが主体となるチームの一人で年齢はメンバー最年長の男性である。
銀色の長髪が夕焼けに輝いてとても綺麗だな…と、思うと同時に似た髪色の隣人のことを思い出すyou。
そういえば、アバッキオと同じか、それ以上に彼は身長が高い気がする…とか、大人っぽい雰囲気は似ているな…とか、そういうことをぼんやりと、無意識に考えていると、アバッキオに労い以外の言葉が放たれたのだ。
「お前、この後何か用事あるか?」
「え、いや……特に何もないですけど…帰るだけ。」
「んなら、これから飯行かねェか?」
「アバッキオと…?」
「何だ、オレとじゃ不満か?」
「まさかそんな!嬉しいですよ?!アバッキオ大先輩とご一緒できるなんてー!!」
「何だそりゃ…。」
「ええと………お説教じゃあないですよね…?」
「ふはっ!お前、それでそんな心配そうな顔(ツラ)してたのかよ!違ェよ、急に行きつけのタベルナ(※)に行きたくなってな。お前がちょうど終わりそうだったから誘ってみた。」
(※トラットリアより隠れ家的な大衆食堂・居酒屋。メインストリートよりは路地裏に多い。)
「アバッキオ大先輩の行きつけとは!きっと美味しい料理が出るんでしょうねぇ…。」
「おう、酒も美味いぞ。つーかお前、その涎垂れそうな顔やめろ……いくらなんでも早すぎる。」
「ハッ!まだ見ぬ料理に思いを馳せてしまいました…。」
「じゃぁ、終わったら行くか。」
「はい、是非ッツ!!」
珍しいアバッキオからの夕飯の誘いに驚いたものの、美味しい料理が食べられることに心の中で歓喜すうるyou。
それと同時に、そういえば最近はリゾットと夕飯に行くことが多かったので、彼以外と行動するのも逆に新鮮なような気持ちになるのであった。
そういったことで、最後に提出する書類をまとめていると、個人用の携帯にメッセージが入る…。
「(…リゾットからだ。)」
届いたメッセージを確認すると、内容は今しがたのアバッキオと同様のもので「今日は早く帰れそうなので、夕飯を一緒に取らないか?」というものであった。
まさかのタイミングで、一足遅かった彼へのメッセージ画面に思わず「うわぁ……ごめんなさい」と呟いてしまう。
どちらにしても、先に約束を交わしてしまったことや、最近の邂逅の頻度からも考えてアバッキオに天秤が傾くことは致し方ない事であった。
そのため、youは正直にリゾットに断りのメッセージを送信する…。
『ごめんなさい!今日、会社の先輩と一緒にご飯に行くことになって…。別の日でもいいですか?』
youの返信が早かったこともあり、リゾットからもすぐにその返事が戻ってくる。
『分かった。急に誘ってしまってすまない。楽しんできてくれ。』
淡々とした返信は割といつものことなのだが、何となくyouはそれに違和感を感じる。
少し突き放されたような、距離を置かれたような…。
次回は「いつ」という内容へのレスポンスの記載が無かったからかもしれない…。明日にでも自分から夕飯に誘ってみようと思い、youは「グラッツェ、また連絡します」とメッセージを送信して携帯を仕舞い込んだ。
・
・
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一方、こちらはその返信を受け取ったリゾット。
「・・・。」
暫く無言で携帯のディスプレイを見つめ、フッと嘲笑の息を吐いてポケットに携帯を仕舞う。
帰宅の準備をテキパキと終わらせ、事務所で普段デスクワークをしている部屋を出たリゾット。
リビングルームに足を運び、2、3人掛けのソファに足を伸ばして寛いでいる、目的の人物に声を掛けた。
「メローネ。」
「あれ、リゾットもう帰るの?あ、でも最近は割と早く帰る事も増えたよね?ちゃんと家にも帰ってるみたいだし。」
「まぁな。」
「んふふ、何かあったのかな~?」
「何もない、ただ疲れが溜まってきたから休むために一念発起して時間を作っているだけだ。」
「え…休む時間作るのに一念発起しないとダメって……なにそれ悲しい!」
「それで、お前に頼みがあるんだが。」
「おや珍しい……まぁ、我らがリーダーの頼みなら。」
伸ばしていた長い脚を床に下ろし、メローネと呼ばれた青年はその美しい本翡翠のような眼でリゾットを見上げた。
このメローネという男、黙っていればルックスは申し分ない程の美形なのだが、
長短、左右アシンメトリーに切りそろえられた髪型に、夏でも冬でも肌の露出が高めの服、任務に向かう際には片目の開いたマスクを着用しており、とても奇妙な男である。
仲間内では「メローネとは『変態』であり『変態の代名詞』である」と称される程の……つまり変態。
そんな自分とは性格的に真反対のリゾットが何を依頼するのかと、メローネは楽しそうに、期待に満ちた眼差しでその内容を耳にするのを待つ。
だがしかし、その期待を裏切るように、特質して何にも面白くない依頼内容がリゾットから告げられる。
「睡眠導入剤が欲しいんだが、調達できるだろうか?」
「えーと……。」
「できれば合法で一番強力なものがいい。」
「その口ぶりだと…一過性じゃあないよな、じゃぁ処方箋で取り扱いしてる中間か長時間型でいい?」
「朝まで深く眠れるヤツであればいい。」
「おっけー、調達しとく。」
「どのくらい掛かる?」
「んー、明後日か明々後日くらいには渡せると思う。」
「じゃぁ、それで頼む。」
「はいはーい、じゃぁお疲れ様。」
ソファに腰掛け、ニヘっと気の抜けた笑み(本人はニコニコの笑顔のつもりらしい)を浮かべてリゾットを見送るメローネ。
彼に小さく「Ciao」と挨拶をして、リゾットは事務所を後にした。
無自覚に君を想ふ
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