run! rabbit run! (承太郎)
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それは全くときめかない
壁ドンでした
挙動不審なところはありませんか?
「you、アンタ最近超挙動不審なんだけど…。」
「うっ…。」
友人の一言がグサリと刺さった。
いや、いつか言われる予感はあったのだ。
なぜならばその自覚が大いにあるから。
「実は…あの……。」
「うん。」
友人に相談を持ちかけようとした矢先…。
「名字!!」
「(ギャーー!!)」
今しがた授業のあった建物から出てきたばかりであろう、エントランスの正面に現れたのは空条承太郎。
視力が良いこともさることながら、非常に目敏いようだ。
現在、youがいる建物まではかなりの距離があり、しかもその間には大勢の学生が行き交っているのだ。
にも拘(かかわ)らず、彼はyouを見つけるのだ。こうやって、毎回。
何かのセンサーでも搭載されているのではなかろうかと、本気で思うほどだ。
「you、今誰かに呼ばれなかった?」
「きき気のせい!全く以て空耳アワー!ごめん、わたし急にお腹が痛くなった!次の授業無いから優雅にトイレタイムしてくる!後で連絡入れるから!!」
「あ、うん!いつもの超挙動不審発動ね、いってらっしゃい。」
「アディオスゥウーーー!!」
猛ダッシュでその場から逃げ去るyou。
そしてその直後、友人の前に巨人……基、承太郎が現れた。御互実に俊足である。
「おい。アンタ名字…さんの友達か?」
「え?あ、わたし?!ってく、(空条承太郎~!!?)」
「そうだ、今、名字…さんと話してただろ?どこ行った?」
「えぇえっと…その……お、おなかが痛いからトイレに籠ってくる~…って……多分、あの校舎の…。」
「クソ!また逃げやがって……あの女(アマ)…!」
「!!!!」
友人は心の底から「逃げてyou、全力で逃げて!」とyouを心配した…。
じゃないと確実に命(タマ)取られる、と。
・
・
・
・
「も……もう大丈夫かしら…?」
きょろきょろと女子トイレの入り口から辺りを見回し、危険人物が近くにいないかどうかを確認するyou。
ここは古い校舎で、授業もあまり開催されていない…上階に教授たちの部屋があるだけの建物となっていた。
ゼミの集まりか教授を訪ねる目的でくらいしか学生が訪れない校舎…。
「(わたしはここの空き教室でたまにお昼するけどね…。)」
などと、一人校舎の解説をしながらも安全確認をしてトイレの外へ出たyou。
そして、誰もいない廊下を一人で歩き出した…。
その刹那。
「?!!!」
ぐい、と強い力で腕を引かれ、youは教室に引きずり込まれた。
何が起こっているのか理解が追い付かないが、転ばないことを最優先にし、
足元に目を向けて足並みを揃えようと尽力するが…。
「わ、わ!!」
「随分長いクソだったなぁ、おい。」
「!!!」
この声は…よもや…と、恐る恐る顔を上げると同時にドォン!と勢い良く壁が悲鳴を上げた。
「かっ…か…(壁ドォンって言った、ドォンて…)!!」
「やぁっと捕まえたぜ……手間掛けやがって…。」
「く…じょ…く…。」
「おい、名字…さん。」
「あ…あわ…。」
「何で逃げるんだ。」
「いや…あの……それはその…。」
「確かに…この間は……突然分けわからねェこと言って、アンタを困らせた。それは悪かったと思ってる。」
「は…はい…。」
「何で逃げる?俺が怖いのか?」
「そん……いや、すいません……こわいです。」
「はぁ……まぁ、しょうがないな、それは…。」
「・・・。」
「だがな……それも含めて、アンタに謝りたいっつー俺の気持ちはどうなんだよ、毎度毎回顔見るだけで逃げやがって…。」
「あ…ごめ…。」
「挙句の果てに花京院ともあまり話さなくなったって言うじゃねェか…。」
「う…。」
「そんなに俺が怖くて、避けたいか…?」
「いや、そんな…避けたいというか…。」
「まぁ、俺のことはもういい。それより花京院だ。」
「え?」
「俺が怖いんならこれからは逃げても無視でもいい…。けど、花京院は違うだろ…俺と会うのが怖くて花京院を避けてるんなら、それ、今すぐやめろ。」
「っ…!」
「俺の所為で花京院との友情は壊すな。」
「空条くん…。」
空条承太郎、彼を避けていることに対してこうも怒りを顕にしているかと思いきや、
実は花京院と自分の関係を心配してのことだったと、youは驚きに目を見開く。
そして、自らを省みるに至った。
「そうだよね、ごめんなさい……わたし、色々間違ってた…ごめんなさい。」
「名字…。」
「典明くんとはちゃんと仲良くするよ、一応…会わなくてもメールとか…連絡はしてるし…。」
「そうか…(羨ましいぜ…花京院)。」
「くっ…空条くんとも…!」
「!」
「あの…この間のことは……ごめんなさい、本当に意味がよく分からないんだけど……。」
「あぁー……ああ、まぁ…そうだな…。」
今度は承太郎が自らを省みる番となった。
自分自身に無理矢理結論を押し付けた結果、相手を困らせることになってしまった事実は、彼としても大変不本意なわけで。
何となくバツが悪くなり、そっと壁に押し付けていた手を戻した。
「困らせて悪かった…悪かったと思ってる。俺自身でも何も理解できちゃいなかったってのに…。」
「えっと……つまり、仲良くしたいっていうこと…なの、よね…?」
「・・・・・・・・ああ、そうだぜ。」
「うん、そうだよね!(なんだろう今凄い間があったけど…)」
ここで、やっと承太郎は花京院のアドバイス…基、攻略法を思い出した。
『親密度を上げて上げて上げまくってそして…』
「(親密度を上げる…好感度を上げる…イベントを?フラグを立てる?何かそんなこと言ってたな……そうしろってことだよな…。)」
「じゃぁ、もう逃げない。わたし、空条くんと友達になりたい。」
「トモ、ダチ…。」
「うん!(何でカタコト…)」
「…わかった。」
「う、うん!」
「よろしくね。」
差し出された小さな手を握り返す。
自分のごつごつした大きな手に、すっぽりと収まる綺麗な白い手をじっと見つめる承太郎。
「(小せェ…。)」
「空条くんの手、やっぱり大きいね。」
「…そうか?」
「おっきいよ。」
「そうかい。じゃぁ、もう捕まえる時は余裕だな。」
「も、もう逃げないよ……!//」
「どうだか。」
「いや、だって…それは空条くんが鬼の形相で追いかけるから…。」
「脱兎の如く逃げやがって…。」
「しょうがないでしょ、その……追われると逃げてしまう習性というか…。」
「ぶはっ!何だそれ……小動物かよ…。」
「なっ…!//」
くしゃくしゃと、大きな手がyouの髪を乱す。
「もう!」と顔を上げれば、凡そ不良の形(なり)からは想像できない程優しい目で自分を見下ろす男がいた。
「可愛いな、名字。」
「は・・・っ…!?//」
ぼん!と、爆発が起こったように…顔から湯気が出そうな勢いでyouの体温が上昇する。
思った事を素直にポンポン言葉にしているのだろうが、
それが余計に、(本人は無自覚だろうが)いい男に拍車を掛けている。
たった今まで「怖い」と恐れていた人物が、
あっという間にイケメンに見えるというマジック…。
youは自分に一体何が起こったのか理解できない状態である。
それと共に、自分は大変現金な人間なのだと少し自己嫌悪に陥るのだった。
「ああ、そういえばスマン、勝手に呼び捨ててた。」
「う、ううん、いいよ…好きに呼んでくれて…。」
「じゃぁ、俺も花京院と同じでyouって呼ばせてもらう。」
「うん!」
「俺も好きに呼んでくれて構わない。」
「うん、ありがとう空条くん。」
「・・・。」
「空条くん?」
「承太郎。」
「え?」
「承太郎。」
「じっ……承太郎…くん…(やっぱりこわい…)。」
「よし。」
イケメンでも不良は不良である。
怖いものはやはり怖い、と再認識するyouであった。
何でもいいって言ったのに…。
words from:yu-a
title by:Fortune Fate様
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