your palm, my cheek (DIO)
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両腕いっぱいのやさしさで
抱き寄せてくれるなら
それだけで今日をまた生きてゆけるよ
your palm, my cheek
変わらない鼓動を抱きしめる
「目障りだ、片付けておけ。」
「…かしこまりました。」
ドサリ、と部屋の外に生気の抜けた女性の体が転がる…。
この数日でもう何体になるだろう…処理を任されたヴァニラには「DIOの命令」ということが重要なので深くは考えなかったが、
以前より…そう、youという存在がDIOの隣にいる頃に比べると、DIOの食後の片付けの回数が格段に増えたことは確かだと気付いていた。
それだけでなく、以前とは比較にならないほど、その食べ跡が汚い。
手荒く扱われ絶命した女たちの体からは血液のみならず、その他様々な体液が垂れ流れており、
今床に落とされた死体も、本人の意思に関係なく廊下の空気を鉄臭く、また異様な臭いへと変化させていく。
恐らくはここまで引き摺ってきた軌跡で、DIOの部屋も同じ臭いと、汚れで酷い有様だろう…。
「少し部屋を出る。テレンスに中を片付けさせておけ。」
「…かしこまりました。」
ヴァニラに目を向けず、ズンズンと歩いていくDIO。
彼はそのまま、一度も振り向くことなく暗闇の広がる廊下の先へと消えた。
以前の、youがいた時のDIOと
現在の、絶対悪をその身に纏うDIO
正直、彼…ヴァニラにとって、どちらがいいのか分からない。
彼にとって大事なことはただ「DIO」という存在にどこまでも付き従う事なので…。
ただ、同じように屋敷にずっと滞在し、DIOの部下として生活するテレンスに関しては自分とは違い、
以前の……youのいた頃のDIOの方が好ましいと思っていることをヴァニラは知っていた。
恐らくは彼女と関わったことがある者の殆どはそう思っているだろう事も…。
「(それがどうした?決めるのは全てDIO様…そのような事を我々なんぞが考えても意味のないことだ。)」
「ヴァニラ、DIO様は部屋ですか?」
「・・・テレンス。」
ぼんやりと思考しながら、何の気無しに転がる死体を見つめていると、ちょうどいいタイミングでテレンスが遣って来た。
「DIO様は…つい今しがた部屋を出て行かれた。」
「では貴方はそこで……あぁ、片付けですね…。ということは、中も?」
「お前に中の掃除を任せるとDIO様が仰っていた。おれは……コレを。」
「そうですか…。」
指も指さずに視線だけ眼下の死体へと向け、ヴァニラはすぐに己がスタンドを発現させる…。
二本の角を持つ、髑髏に似た頭部に上半身だけが強調されたような人型のヴァニラのスタンド。
口内に広がる『暗黒空間』に全てを葬り去る能力があるソレが大きく口を開けば、これまた大きくガオン!と空を裂くような音が響き、
次の瞬間には足元に転がる女の死体が消え失せていた。この世の、何処にも。
残された赤黒い血溜りを一瞥した後、ヴァニラはテレンスに言った。
「…この掃除も頼む。」
「分かってますよ……貴方の能力、ゴミや液体なんかも吸い取ってくれたら便利なんですケドねェ…。」
「クリーム(私のスタンド)を掃除機代わりに使うな。」
「…分かってますよ。」
テレンスの主婦目線の言葉にムッとした表情で答えるヴァニラ。
そんな彼の雰囲気を察し、テレンスは「すみませんでしたね」と軽く謝りの言葉を入れその場を去ろうとする。
「どこへ行く?DIO様の命を無視する気か?!」
「…道具を取ってくるんですよ……血糊や臭いを消すためのね。」
「・・・そうか…。」
「・・・。」
溜息混じりにそう説明し、黙ったテレンス…。
「取ってくる」と言う割りにその場から動かない彼に、ヴァニラが首を傾げると
そっと、呟くように小さな声でテレンスが問いかけてきた。
「ヴァニラ、貴方はどうお思いですか、今のDIO様を…。」
「・・・どう、とは?」
「正に悪の帝王というに相応しい、今の彼を……。」
「・・・本来あるべき姿だと思う。」
「・・・ええ、そうですね。」
「それ以外、何を思えと?」
「人の……心は不思議なものですね。」
「何を言っている、テレンス?」
「私は正直、彼女がいた頃のDIO様の方が好きでしたよ。」
「おれは……どんなDIO様であっても、DIO様に御仕えするだけだ。周りに誰がいようと関係ない。」
「そうですね。」
「分かっているなら…。」
「迷惑なんですよ。」
「は?」
youがいた時のDIOが良かった…という言葉への賛同を求めているのかと思いきや…。
そんなことは特になく…テレンスは溜まった愚痴をヴァニラにぶつけてきた。
「非常に迷惑です……毎日毎日部屋を廊下を汚して片して…消臭のスプレーなんて何本使い切ったか分かりません!」
「・・・。」
「床はまだいいですが、シーツなんて最悪です!血はお湯で落ちてもニオイは消えないし、ほぼ毎回買い替えですよ!?」
「・・・そうか。」
「そうか。じゃないですよ全く!死体を片付けてくれるのには感謝していますが、貴方それ以外何もしないでしょう!?」
「・・・。」
「貴方もDIO様も、ちょっとはこっちの身になって考えてくださいって感じですよ!!」
どんどんヒートアップしていくテレンスの怒り…。
最終的にそのターゲットは、今は居ない存在へと移り変わっていく。
「ああもう!それもこれもあれもどれも……皆youさんがいないのが悪いんですよ!」
「・・・無茶苦茶言うな…。」
「ここまでDIO様を豹変させる存在になっているとは思いもしませんでした……本当に予想外です。」
「それは………多分DIO様自身がそう思っている。」
「・・・。」
思わず、ヴァニラの口から本音が出た。
本音というよりは、自分なりの考えなのだが……。
自ら誰かの何かに関わろうとする態度が希薄なヴァニラの、この一言はテレンスにとって貴重な一言だった…。
「ええ……ですから…。」
「・・・。」
「目覚めてほしいものです……早く。」
言ってすぐ「貴方もそう思いませんか?」と続けたそうテレンスに、
ふぅ…と大きく溜息を吐いてヴァニラは答える…。
「・・・そうだな。」
と、一言…。
・
・
・
・
「・・・you。」
DIOは、死んだようにベッドで眠る彼女の頬を手の甲でそっと撫でた。
呼ぶつもりの無かった名前が顔を見た途端に口から零れ落ちたのは何故だろうか…それはDIO本人にも分からない不可思議な事象だった。
できることならば、叶うならば、それに呼応するように彼女の唇が動き出し、今すぐに自分の名前を呼んでくれればいいのに、とだけ…ふいに願った。
彼女がスタンドの矢で自分を貫いて…否、「スタンドの矢に射抜かれて」だとDIOは確信している。
ただ、それが確かなことであったとしても、現状は変わらない。変えられないワケで…。
恐らくそれを行ったであろうエンヤ婆を責め立てて真実を吐かせたとしても、
結果的に彼女が…youがスタンドに目覚めない限りは彼にとって正に「無駄」というヤツである。
それでも敢えて誰かを責めるとするならば、今のDIOにとっては非常にらしくないことに「自分を責める」という作業に行き着く。
「わたしが……もう少し早くyouを探していれば…。」
彼女の作った菓子を食べたり、夜の街でデートをしたり…。
少しネジの緩んだ会話に絆されたり。
今のようにひと月の間ずっと眠り続ける事無く、変わらずに過ごし、この最悪な事態は免れただろうか…。
射抜かれた傷は塞がり、もうあと2、3ヶ月も経過すれば縫合の痕も薄れるだろう。
だがしかし、youが目覚める兆しは無かった。
その日も、もうそろそろ就寝しようかという時間になるまでDIOはずっとyouの傍で過ごした。
部屋にあるソファで読書をしたり、日記を記したり、一人でチェスをすることもあった。
此処最近、3日に1回はそんな過ごし方をしている。
今日もまた、空が段々と明るみ始めた頃…。
パタン…と読んでいた本を閉じ、DIOは彼女へ一言告げて部屋を出る。
「このDIOの……ここまでの存在になっておいて……いなくなるなど、許さんぞ。」
「・・・。」
「かくなる上は……この点滴の中身を吸血鬼のエキスと差し替えるまで………どうだ、不死者として甦ることができるのだぞ………とても………受け入れ難いだろう?」
「・・・。」
「だから……目を覚ませ。」
youの両頬に手を添えて、コツンと額を合わせた。
至近距離で息をしているのにも関わらず、息遣いが聞こえるにも関わらず…
いつものようにはにかむ笑みも、恥ずかしそうに頬を染めることもない…。
喋らないそれはまるで人形のよう。
むに、っと彼女の柔らかな頬を摘み、憎らしげに見つめた後、
DIOはもう一度「起きろ」と……言葉にしてみる。
変わらずの反応に眉を寄せるものの、それでも愛おしそうにキスを落としてから部屋を出た。
「DIO様…!」
「…テレンスか…。」
「こちらにいらしていたのですね…。」
「・・・。」
「これからご就寝でしょうか……?」
「そうだ。お前はココで何をしている?」
「私はyouさんの点滴を換えに……。」
「ご苦労だな……頼んだ。」
「かしこまりました。」
ペコリと綺麗に一礼をするテレンスの横をDIOが通り過ぎて行く…。
そのまま部屋に戻り、眠るのだろう。
その背中を少しの間見つめ、聞こえないくらいの息遣いで溜息を落とすテレンス。
すぐに気を取り直し、換えの点滴を手にyouの部屋の扉を開いた…。
日頃から屋敷が暗いと嫌がっていた彼女の部屋は窓のカーテンが纏められており、
廊下や他の者の部屋と比べると大分明るかった。
相変わらずなその部屋に、相変わらず眠り続けるyou。
伏せられた睫に目を落とし、開くようなことがないかと顔を覗き込むテレンス。
特に何の反応も無さそうなので、あまり見つめることはせずにすぐ点滴に手を伸ばした。
のだが…。
「ぅ……。」
「!!」
小さな呻き声が聞こえ、くるりと後ろを振り返ると、うっすらとyouの目が開かれていた。
瞬間的にテレンスの目は大きく見開き、すぐさま部屋を飛び出して主の名を大声で叫んだ。
「DIO様ッツ!!!」
「?」
youの部屋を開け放ったまま、いつもの落ち着き払った執事の顔を捨ててDIOの元へと駆け出したテレンス…。
今まさに階段を上ろうとしていたDIOを呼び止めた。
「DIO様!!youさんが目を…ッ!!」
「何ッ!!?」
DIOもまたテレンスと同じように大きく目を見開く。
すぐに2人して彼女の部屋へと駆け戻った…。
「youッツ!!」
慌てた様子で傍に駆け寄り、DIOは彼女の手をぎゅっと握った。
そっと視線をその顔に向けると、虚ろな表情で自分を見つめ返すyouがいた。
「で、ぉ…さ…。」
「ッ……!!」
「ぁたし………生き…。」
「ああ!ああ、生きている!ちゃんと!見えているか、わたしが!分かるか、手を握っているのが!」
「うん……。」
「ああ……you…っ!!」
DIOは思わずyouを抱き起こし、これでもかというくらい強く抱きしめる…。
(そして、衝撃で倒れそうになった点滴は横にいたテレンスがしっかり留めてくれていた。)
「く…くるしい、でぃおさ…。」
「DIO様!折角目覚めたのにまた意識を手放させる気ですか!まだ点滴も繋がっているんですよ!」
予想外のテレンスの強い叱咤に「WRYY…」と小さく唸り、DIOはゆるゆるとyouの身体を解放する。
普段であれば自分の主たるDIOにそのような態度を取ることは言語道断なのだが、
DIO自身が、ことyouに関しての事柄であれば大らかな態度を取ってくれるのと、
本人こそ気付いていないが、テレンス自身が彼女を心配して、そういう態度になってしまったのだろう。
それからテレンスがyouの現在の体調を問診し、問題なさそうだと判断したようで
DIOにくれぐれも無茶をしないようにとキツく言い聞かせて部屋を出て行った。
「DIOさん……ココは…?」
「お前の部屋だ……ひと月、ずっと眠っていたんだぞ…。」
「ひ、ひと月もですか!?」
「ああ……このまま目覚めないかと思った…。」
「ひょえぇ……め、目覚めてよかったデス…。」
「ああ。」
もしも目覚めないままだったら…と、考えついてyouはゾッと背筋を凍らせる…。
俯いて顔を蒼くさせていると、DIOが心配して顔を覗きこんできた。
「大丈夫か…目覚めたばかりで困惑するのもダメだな……一度寝た方がいい。」
「え…と…。」
「どうした…?」
「……ちゃんと……目覚め……ううん、起きれるかな?」
「……わたしに会いたいなら……起きれるだろう?」
「……そ…ですね…うん、そうだ……DIOさんに会いたい。ちゃんと、起きなきゃ。」
自分に言い聞かせ、youは一人でコクコクと頷く。
そんな彼女に一つ笑みを零し、DIOはその身体をベッドに寝かせようとしたのだが、
you本人に「ちょっと待って!」と慌てたように制止されてしまった。
「何故止める?寝るのだろう?」
「うん、ちゃんと寝ます!でもその前に……。」
「…何だ?」
「えっと……えっと、その…。」
「・・・?」
「あの……だ、だき…だきついても…いいですか?」
「抱擁か?」
「ぅ……はい。」
「そんな事……態々言い淀む必要も無いだろう…。」
「な…何となく…言い辛くて……凄く久しぶりな気もしますし…いや、寝てたんですけど…でもですね、その…何と言います…か…!?//」
ぐだぐだと言葉を濁していると、不意打ちでDIOに抱きすくめられた。
何度もパチパチと瞬きを繰り返して、今の状況を把握するyouだったが、
そんなことよりも、全身に伝わるDIOのひんやりした吸血鬼の体温が妙に懐かしくて、言葉より先に涙が溢れてしまった。
「でぃおさぁん……。」
「・・・何だ?」
「冷たいよう…。」
「…お前は……ちゃんと温かいぞ。」
「DIOさんの温度だぁ…。」
「youの温度だな。」
DIOは少し身体を離して、嬉しそうに泣くyouを一度見た後、
もう一度、強く……その変わらない鼓動を抱きしめた。
いつだって
ここがわたしの
還る場所
DIO
(テレンス、youが寝た。)
テレンス
(分かりました。日が昇っている間は私が看ておきますので。)
DIO
(頼む。)
テレンス
(日が昇っているうちでも、目覚められたらお知らせしますか?)
DIO
(ああ、ではそうしてくれ。)
テレンス
(ああ、でもDIO様……くれぐれもyouさんのお部屋に入る時はお気を付けてくださいね。)
DIO
(何故だ?)
テレンス
(彼女の部屋は日中、窓さえ開いてたりしますんで。)
DIO
(・・・・。)
テレンス
(気持ち逸るあまり、うっかり忘れてそのまま扉を開くなんてことが無いようにお願いしますよ?)
DIO
(う……うむ。)
テレンス
(うっかり忘れないでくださいね。)
DIO
(わ、分かっている!貴様、うっかりうっかり言うなッツ!!)
words from:yu-a
title by:Fortune Fate
*。゜.*。゜.*。゜.*
テレンスが点滴を換えにくる
↓
DIO出て行く
↓
目覚める
↓
テレンスが呼び止める
次のやつ
エンヤ婆と会う
↓
吐き気を催す
↓
スタンド発動
↓
DIOとyouだけ亜空間に
↓
非常に偏った防御重視のスタンドと判明。
3分間は絶対に入っていなければならないので、敵の足止めにあることも判明。
ただし、その3分間肉弾戦で死んでしまえば終わりということも。
キミになら
全部あげてもいい
you
(でぃ、ディオくん!)
ディオ
(何だ…?)
you
(あの……こ、怖いから!)
ディオ
(ああ……まぁ、そう、だよな…。)
you
(手を繋いでて…?)
ディオ
(分かった。)
you
(い…痛いかな?)
ディオ
(えっ?!い、いや……そこはおれに聞かれてもだな…。)
you
(そっか……痛くても、頑張る…。)
ディオ
(・・・。)
you
(ディオくんが好きだから、どんなことでもがんばる…。)
ディオ
(っ……優しく…するっ…(できれば)!//)
words from:yu-a
title by:Fortune Fate様
*。゜.*。゜.*。゜.*