your palm, my cheek (DIO)
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ほんのここ数日で
ここにいる目的が変わり始めた
your palm, my cheek
もっとずっと強く感じさせて
(あなたがいるシアワセ、とか)
「スタンド使い、かぁ…。」
星空の見える夜、中庭で一人呟く。
否、一人ではなかった。
youの横には怪鳥ともいえる程賢い頭脳を持つ鳥、ペットショップ。
彼(かどうかは不明だが)に「スタンドってどんなの?」と問いかけると、
ご丁寧に夜空から小さな雪の結晶を降らせてくれた。
「い、痛い!痛いよ!これ何?雹?霰?どっちにしてもちょっと痛い!地味に痛い!」
「クククゥ…。」
「わ…笑ったな?!もう!」
人間並みの知能を持っているのだろう、ペットショップはyouを嘲笑するように喉を鳴らし、所謂ドヤ顔という表情でこちらを見てきた。
憤慨するのも負けた気がするので、軽く深呼吸して自らを落ち着けるyou。
「はいはい、まぁ…つまり、これがキミの「スタンド」なのね?」
「・・・。」
「空気中の水分を凍らせることができる、ってことかしら?門番に任命されるくらいなのだし、本当はもっともっと強いんでしょうけど…。」
「クゥ。」
「・・・みんな…スタンドでDIOさんの役に立っているんだね…。」
「・・・。」
ぽつりと零した言葉にペットショップが反応を返してくれるワケもなく…。
すぐに口を突いて出た溜息が星空に溶けた…。
「スタンド使いになりたいか?」
「っ?!!」
それは、闇の底から響くような声だった。
驚いて振り向けば、そこには一人の老婆。
何度か会ったことがあるものの、あまり沢山は会話をしていない。
彼女は館の者にエンヤ婆と呼ばれている、DIOをスタンド使いに導いたその人であった。
「え…エンヤさん…。」
「・・・・。」
youの呼び名に一瞬、言葉を紡ぐ事を止めたエンヤ婆。
その後すぐに取って付けたような満面の笑みを浮かべて、声を掛けてきた。
「いやだねぇ、エンヤ「さん」なんて…余所余所しい!遠い所にいる自分のお婆ちゃんだと思って気軽に呼んでおくれ「お婆ちゃん」でも「エンヤ婆」でも何でもいいんだよ。」
「え…っと……はい…じゃぁ、お言葉に甘えて……エンヤお婆ちゃん…。」
「うんうん、息子も勿論可愛いけれど、女の子も可愛いねぇ…。」
ニコニコと笑みを浮かべて話すエンヤ婆に少し違和感を覚えながらも、
仲良くできるに越したことはないので、youも笑顔で返す…。
そして、本題!とばかりにエンヤ婆の目がギラリと光った。
「お前さん、悩んでおるようだったが…スタンド使いになりたくて悩んでおったのかい?」
「えっ…うーん……なりたい…ような、なりたくない…ような…?」
「スタンド使いとしてDIO様のお役に立ちたいと、そう考えておったんじゃないのかい?」
「それは……否定できないデス…。」
「しかし、スタンドに目覚めるのはそう容易いことではないぞ。」
「…分かってます、だから未だに皆さんのスタンドを目視することもできていませんし。」
「じゃがのぅ……「目覚めさせる」ことができないワケではないんじゃよ…。」
「え…。」
それはまるで、白雪姫に毒林檎を食べさせるように惑わす老婆のようだった。
「知りたければわしに付いておいで、you。」
「エンヤお婆ちゃんに?」
「スタンドに目覚めるための道具を見せてあげよう。」
「え、スタンドって道具で目覚めるものなの?」
「色々あるんじゃよ、よしよし、この婆がお前さんにスタンドについて詳しく話してやろう。」
「うん……凄く気になる!!教えてください。」
勢い良くその場から立ち上がったyou。
スタンドの何たるかという事を知りたいと熱望していたこともあり、
その瞳は興味津々というように好奇心に満ち満ちていた。
そんな彼女の様子を見てニッコリと笑顔を向けたエンヤ婆。
しかし…「こっちだよ」と踵を返して歩き出した時にはもう既に笑みは消え失せていた。
「じゃぁ、わたし行ってくるね。お話し聞いてくれてありがとう、ペットショップ。」
「・・・。」
youは、隣でずっと話を聞いてくれていたペットショップに軽く礼を告げ、その頬を指で撫でる。
そしてすぐにエンヤ婆の後を小走りで追っていった…。
・
・
・
・
それはどうしようもなく黴臭い部屋のような、倉庫のような場所だった。
全体的に日の光の通らないDIOの広い館の中でも、一際異彩を放つ空間…。
所狭しと色々な物が置かれているが、如何せん暗くてハッキリとは見えない。
申し訳程度に開いたスペースに一つ、小さなテーブルと椅子が2脚置かれており、
エンヤ婆に座るよう促されたyouはそこで会話を始めた…。
「スタンド使いはいくつかパターンがあっての…。」
「うん。」
「生まれついてスタンドに目覚めておる者、人生の途中で目覚めるもの…そして、道具によってスタンドに目覚める者。」
「DIOさんは…?」
「DIO様こそ、わしがスタンドの存在と能力…そしてその発現方法を指し示し、見事スタンドを得た御方…。」
「そうなんだ!それは…その、道具…で?」
「さぁ…どうじゃろうなぁ……その「道具」…気になるかい?」
「う…うん…。」
「じゃぁ……見てみるかい…?」
「お…おねがいします…。」
薄暗い空間はエンヤ婆の部屋なのだろうか…それは一切不明で、
またその話題に触れようとも思わなかったため、youはただ黙って待っていることにした。
数分経たないうちに、壁に沿って設置された大きな宝箱のようなボックスから何かを手にして持ってきたエンヤ婆…。
「これが…そうじゃよ。」
「これは……弓矢?」
「そう…重要なのは鏃(やじり)の部分で、他は普通の弓矢と何ら変わらん。」
「ハッキリ見えないけど…凄く綺麗な装飾ですね。」
まじまじと鏃を見つめながらそう言ったyou…。
そのすぐ背後に立ち、エンヤは囁く様に問いかけた。
「スタンド使いになりたいかい?」
「っ…と……え?」
「なりたければ、その鏃でちょいと指を怪我すればいいだけの話さ。」
「え、そんな事でスタンドに目覚めるんですか?」
「そうじゃよ。」
「・・・えらい簡単ですね。」
「そうじゃろう?お手軽なんじゃ……なってみたくはないかい?」
「うー……-ん。」
「・・・。」
唸って押し黙ってしまったyouの様子に、段々と苛立ちを抑えられなくなってきたエンヤ婆…。
口元をヒクつかせながら「どうなんだい?」「なりたいのかい?」と横で囁き続けたのだが、
youの耳にはどうやら届いていないようだ。
それもそのはず…彼女はずっとスタンドの矢を見つめ、自分の気持ちを整理していた。
そして、ついに結論を出す…。
「やっぱり、いいです。」
「何じゃと?」
「スタンド使いに、ならなくていい。」
「!!」
「DIOさんの役には立ちたいですけど……もっと「今」わたしにできることを考えたい。」
「・・・。」
「それで、どうしてもスタンド必須!ってことになったら…DIOさんに相談してみます!もし、自力でなれるものなら、そっちで頑張りたいです!だからわたし…今スタンド使いには…」
「なりません」と続けるつもりでエンヤ婆を振り向いたyouの…その後の言葉が止まった。
「え……エンヤお婆ちゃん…?」
「大人しく矢で傷付ければよかったのに……つくづく間の悪い娘だね!!」
エンヤ婆の小さな体の何処にそのようなパワーが潜んでいたのだろう…。
youが振り向けば、そこには別の矢で弓を構える老婆の姿があった。
思わず後ずさるyouに大声で叫ぶエンヤ婆…。
「動くんじゃないよ…当たり所が悪ければスタンドに目覚める前に死んじまうじゃないか…。」
「な…なんで?」
「まぁ…こっちとしては死んでもらっても一向に構わんのじゃが…。」
「!!」
エンヤ婆の言葉に目を見開くyou。
何故、どうして…と頭に疑問符を浮かべて焦っていると、
それを察したのであろう…その理由をちゃんと言葉にして投げつけてきた。
「フン…お気に入りだか何だか知らないが、アンタみたいな女がDIO様の覇道を妨げることは許されんぞ!」
「妨げるって…。」
「DIO様の歩む道には砂利小石も落ちていてはいかんのだ!」
「わたし、そんなつもりは…。」
「お前が無くてもDIO様がその小石に目を落とすかもしれなんだ!いや、もう既に拾い上げているのかもしれん…躓く以上に性質(たち)が悪いッツ!!」
「だから……殺すの…?」
ゴクリと…固唾を飲んで尋ねるyouに、エンヤ婆はニコリと可愛らしい笑みを浮かべる。
今の状況に大変似つかわしくないその笑顔にyouの背筋はゾクリと冷えた。
「殺すつもりは無いぞ?ちゃぁんと…逃げ道を用意しておるじゃろう…?「スタンド使いになる」という逃げ道を!!」
「・・・っ!!」
「スタンド使いとなってDIO様のお役に立つなら生かす価値もある……が、ただの女にDIO様の傍にいる価値など無いよ!さぁ、覚悟をお決め!!」
「…で…DIOさ…!」
扉へ向かって逃げようと踵を返すより先に、エンヤ婆の放った矢の方が早くyouの胸を射抜いた。
「っあ…!!」
「さぁて……ここからが見物だね…。」
見物も何も、始めにエンヤ婆が言った通り、このままではスタンドに目覚める前に死んでしまう…。
それくらいの痛みが胸から全身に回っていく感覚…。
自分はこのままDIOに会えないまま死んでいくのだろうか…。
そう考えると、身体的な痛みとは別の痛みで涙が溢れた。
その刹那。
「you!いるのか!?」
「エンヤ婆、そこにyouさんはいらっしゃいますか!?」
部屋の外から聞こえたDIOとテレンスの声…。
エンヤ婆はその声にチッと舌打ちをすると、すぐにサッと表情を変えて大声を上げた。
「おおおお!!何ということを!!DIO様!!大変ですじゃ!!!」
エンヤ婆の声が部屋の外まで響いた後、間髪入れずにそのドアが開きDIOとテレンスが入ってきた。
そして、部屋の中に広がった光景に2人して目を見開く。
「エンヤ婆!これは一体どういうことですか!?」
テレンスが状況を尋ね、DIOは床に倒れ血を流すyouに駆け寄る。
「youッツ!!!」
「ぁ…で…ぉさ…。」
「何故……こんな…?!」
「・・・っ…。」
「いや!いい、喋るな!!」
youの言葉を遮り、DIOはyouの身体をゆっくり抱き起こしてその手を握る。
そんなDIOの後ろにやって来たエンヤ婆が何とも悲痛な表情と声で事情を話し出す。
「わしがいけなかったのですじゃ……矢を使えばスタンドに目覚めることができると言ったばかりに…!!」
「・・・・。」
「危険だからと言ったのに、どうしても…どうしてもスタンド使いになってDIO様の役に立ちたいと……自ら矢で胸を貫いて…!!」
「・・・you…。」
「しかしDIO様、この者はずっと我々のスタンドと関わってきました……故にスタンドに目覚める可能性は非常に高いでしょう…ご安心なされ。」
「黙れ………テレンス!怪我の治癒ができる者を早く呼べ!!」
エンヤ婆の言葉を一蹴し、DIOはテレンスに命を下す。
テレンスはというと、流石DIOの側近ということもあり
「外に控えていたヴァニラに既に手配を頼んでおります!」と、何とも優秀な返事を返した。
「you……お前は絶対に死ぬな!」
「・・・。」
「分かっているだろう……生を諦めた瞬間にお前の末路は不死者。そうはなりたくないのだろう?!」
「・・・っ。」
「ああ……ペットショップがお前を探せと騒ぐから……だが…何故、こんな…。」
「DI……O、さ…。」
「you……!」
消え入りそうなyouの声に、必死に耳を傾けるDIO…。
ぎゅっと手を握ると、youはふわりと嬉しそうな笑みを浮かべた。
【もしこれが最後の言葉になるなら…】
そっと、youは唇を開いた。
「……DIOさん…大好き…!」
「!!」
恐らくは痛みの所為だろう…辛そうに、でも今現在可能な限りの笑顔をDIOに見せた後、youはその意識を手放した…。
貴方の傍がわたしの
シアワセでした。
It was my great fortune to find you.
(among the billions of stars.)
(何億もの星の中から)
あなたと出会えて良かった。
words from:yu-a
title by:Fortune Fate様
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