your palm, my cheek (DIO)
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あなたの前で 泣いたり
笑ったり 怒ったり
これまで色々ありましたけれども
your palm, my cheek
わたしのわがまま、全部あなたに叶えられること
「ごめんなさい、DIOさん…。」
「な、何だ突然…。」
寝覚め一発、ベッドサイドで立ち尽くし、気落ちした表情で謝罪するyouにギョッとするDIO。
その様子だけ見れば、安っぽいB級ホラー映画のそれのようだ。
これが朝でも困るが、彼の目覚める夜の時間にこの暗い表情もなかなか堪えるワケで…。
「何か問題でも起きたのか…わたしを怒らせるような…。」
という、誰しもが「謝罪」で思いつくような考えをぶつけてみるも、彼女はNO、と首を横に振った。
「では、どうしたのだ。」
「DIOさんをはじめ屋敷の皆さんに対して…自分のこれまでを省みて、猛省したんです。」
「youが何か我々にした…と?」
コクリ、と…今度は首を縦に振った。
そんなyouに対し、DIOは首を斜めに傾けて疑問を示す。
「具体的に何をしたというのだ……ああ、物を壊したり、金を使わせたりというようなヤツは言っても無駄だぞ。」
「それも…ですけど…。」
「ではそれ以外を。」
「正確に言うと「何かした」ではなく「何もしてない」です。」
「・・というと?」
「わたし……皆さんの役に立ててない!」
「あぁ……(そういう類の…)」
ふむ…と、頭の中で彼女の言わんとしていることを理解したDIO。
どうやってフォローすべきかとアイディアを考えている間に、更なる悩みを投げかけられた。
「居候ですし…。」
「止むを得ない状況だろう?」
「何かにつけDIOさんにわがままなお願いしますし…。」
「作った菓子を食ってほしいとか、外でデートしたいとかか…?あんなもの、我儘のうちにも入らんが…。」
「ほら…わたし…何の能力も無いし…スタンドですっけ?見ることもできない。いや、幽霊見えたら怖いから、これはこれでいいんですけど…。」
「スタンドは幽霊ではないが…。」
「無職ですし…。」
「わたしも働いていないが…。」
ぽつりと呟いたDIOの言葉を聞いているのかいないのか…。
youはワナワナと震えだす。
「そう……無職なんですよ…。」
「うりぃ…。」
話の流れからして「それってつまりわたしの事か…」と、DIO本人が思わざるを得ない会話である。
何となく直視できず、DIOが思わずふいっとyouから視線を外せば、
彼女は拳をぎゅっと握って悲痛な叫びを上げた…。
「つまり!!ニーーート!ニートなんですよ!!自宅…いや、DIO宅警備員!!」
「…貧弱なお前なんぞ、警備にもならんが…。」
「ギャーー!!ただのニートになったーー!!」
「ああ、では…ほら、テレンスの手伝いをしているだろう?」
「ううっ…じゃぁ、その称号もらう!ニートyouは家事手伝いの称号を手に入れた…。」
「えっと…では、そうだな……ああ!ほら、このDIOの恋人という大変名誉な称号があるではないか!」
「うっうッ……ニートyouはDIOの恋人???号を手に入れた…ッツ!」
「WRYYYYY!!泣くなァアッツ!」
「う…うっうっ……わぁあああん!!」
「待てyouッツ!今のはわたしが悪かったッツ!!しかしホラ、アレだ!ナンバーワンよりオンリーワンだ!わたしもyouと他の女はちゃんと区別して…。」
「世界で一つだけの何やねん!愛人かッツ!吐き気を催す邪悪な台詞!ゲロ以下の匂いがプンプンするわ!最低!もうわたし心が折れそう!DIOさんのド馬鹿ーーーッツ!!」
「待てェエエイッツ!!!ていうかわたしの心の方が凄い勢いでへし折れた気がするんだがッツ!!?」
部屋を飛び出す最後に「DIOさんなんてベッドシーツ足に絡まって床にビッターンて倒れこめばいいっ!」と言い残して去ったyou。
普段なら、誰がそんな阿呆で無様な姿を晒すか…などと嘲笑するDIOなのだが、今この時、余程焦っていたようだ…。
寝起きで脳がしっかり覚醒できておらず、大泣きして去っていくyouを急いで引き留めようと気が急いていたこともあり、
まるで予言のようにyouの吐き捨てた言葉通り、DIOの巨体は床にビッターーーン!と音を立てて倒れ込んだ。
DIOの部屋から勢い良く飛び出したyou…。
恐らくDIOの警護をしていたのだろう…部屋の近くにいたヴァニラに腕を掴まれた。
「……何かあったのか?泣いているのか??」
「ばに…ヴァニラさ…んっ…。」
「DIO様は…?何か今もの凄い音が響いたが……まさか、you…貴様DIO様に何かしたのか?!」
「いやいやいや……できませんでしょ。」
「・・・それもそうだな。」
「DIOさんが…DIOさんが…ッツ!」
「DIO様がどうしたのだ!?」
「酷いの!DIOさんが酷いの!ゲロ以下のニオイがプンプンするの!台詞が!」
「・・・・。」
言っている事が支離滅裂で、伝えたい事はきっと別にあるのだろう…。
そうは分っていたが、誰に対しても率直に言われた事に律儀に返事を返す性質のヴァニラには、女性の思考は荷が重かったようだ。
「ではDIO様に湯あみを…。」
「天然かッ!どうせヴァニラさんは「どんなニオイのDIO様でも私は付いていきます!」とか何とか考えてるんでしょ!そういうことじゃないからね!」
「・・・何故分った!」
「分からいでかっ!…って、はっ!もたもたしてたらDIOさんが来る!じゃぁね、ヴァニラさん!」
「・・・何なのだ、一体…。」
バタバタと走り去って行ったyouを見届け、唖然としていると
今度は館の主がバタバタと自分のいる方向へと駆けて来た。
いつもの主人らしからぬ慌てふためいた様子に思わず目を丸くするヴァニラ。
「youーーーッツ!!」
「で、DIO様?!」
「おお、ヴァニラか!youがココを通ったろう!?何処へ行った!?」
「つい、今しがた下へ…。」
「む!」
指差した方向を見やり、再び駆け出そうとするDIOをヴァニラが呼び止める。
「DIO様!」
「何だヴァニラ・アイス……わたしは今急いで…。」
「湯あみはよろしいので?!」
「・・・は?」
素っ頓狂な声を上げ、首を傾げながらDIOは問いかける…。
「一体何の話だ…。」
「いえ…その……youが…その…。」
「youが?」
「いや…えっと……DIO様のニオイ…いや、か、香りがどうのと言っておりましたので…。」
「WRYYYYY!!!!」
「ディ、DIO様!…youは少し頭に血が上っていたようですし、少し考える時間を与えてはいかがでしょう!!?」
「ぐ…ぬ…!」
「その間にDIO様もお目覚めの後の湯あみを済ませて迎えにいけば、互いに…落ち着いて話ができるのではないかと…思い…。」
「・・・。」
「・・・。」
それは、バニラなりの精一杯のフォローだった…。
DIOもそれを分かっているのか、暫し沈黙した後軽い息を吐く。
「…分かった。そのようにしよう。」
「はっ!」
「部屋に戻る。」
「DIO様ッ!」
「ん?」
「お背中お流しいたしましょうか…。」
「だが断る!!・・・ではなく……えっと、何だ……大丈夫だ、問題ない。」
「ハッ!かしこまりました。」
気付けば思わずマジで拒否をしていた。
忠誠心は有難いが、ここまでくると「敬愛」という単語では収まりきれていない気がする…。
人知れずDIOはそう思うが、それもまたヴァニラという忠義の男の在り方なのだと無理矢理自分を納得させるのであった…。
「ヴァニラの格好をしたyouになら全力で頼むところなんだがな…。」
自室への戻り道でぽつりと零した。
一方のyouは…。
「テレンスさぁああ!!!」
「you…さん?」
イノシシのように突進してきたyouをその場からよろめく事無くスマートに受け止めるテレンス。
「どうしたのです?」
「DIOさんが!」
「DIO様が?」
「DIOさんが、かくかくしかじかで…ゲロ以下のニオイなんです!」
「凄まじく台詞が簡略化させて我が主が大変な事になっていますが?!」
「ん……少し落ち着きます…。」
そう言ってスーハー、と大きく深呼吸をするyou。
それから呼吸が落ち着いたあたりで「実は…」と、今しがたのDIOとの遣り取りをテレンスに説明する。
その間にもテレンスはテキパキと持成しの準備を行い、
youが全て語り終える頃には2人してテーブルに腰掛け、優雅に紅茶を啜っていた。
「…ということなんです。」
「成程。つまりyouさんは…。」
「そう、DIOさんの言葉にゲロ以下のニオイを感じてですね…。」
「少しゲロ以下から離れなさい。」
分別のある女性がそんなことを言ってはいけない、と軽く諭すと
ふぅ…と軽く息を吐いて、テレンスがyouの頭をポンポンと撫でた。
思わぬテレンスの行動に彼女は驚きで目を丸くする。
「え…?」
「貴女は…我々と違いますが…とても似ている・・・とても。」
「テレンスさん…たちと?」
「ええ。我々はDIO様のお力になりたくて、彼の元にいるのです。まぁ、全員が全員彼を敬愛して、本心から従っているとは言いませんが。」
「うん…。」
「今まで私は…貴女はそうではなく、ただDIO様と共にいたいから…傍にいるのだと思っていました。」
「うん、間違ってないよ??」
「ええ、きっとそれは今までもこれからもそうなのでしょう。」
「うん!」
「ただ、今はそれに…何か漠然とDIO様の「役に立ちたい」という思いが足されたのでは?」
「そ…そう…かも。」
「その感情は彼の部下である我々のソレととても似通っている。」
「・・・。」
「そういうことであれば、貴女の気持ちも少しは理解できます。」
「テレンスさん…。」
微かに瞳に輝きを宿し、youはテレンスを見つめる…。
気持ちを理解してくれる…というよりは、自分の今後の行くべき道を教えてくれるのではないかという期待…。
しかし、彼から放たれた言葉は彼女が望むものとは全く別のものであった。
テレンスは薄く、困ったような笑みを一つ浮かべた後にそっと口を開く…。
「でも…貴女はまだ…これでいいんですよ。」
「なっ!」
「辛辣に聞こえるかもしれないが、聞いてほしい。」
「は…はい。」
「…君は普通の人間だ。そんなちっぽけな存在がDIO様の傍で役に立ちたいなんて、正直、おこがましいにも程がある。」
「グサッ…。」
「こちらの常識的に考えれば、君程度のレベルの人間がDIO様の役に立ちたいのであれば、それこそ食料や彼の欲を満たすくらいのディスポーザブル(使い捨て)な存在だよ。」
「返す言葉もございません…。」
「スタンド使いであれば、そのポジションは劇的に変化するでしょうが。」
「スタンド…使い。」
「ここにはスタンド使いと接触する機会も多いですし、そのうち目覚める可能性ももしかしたらあるかもしれませんね。」
「スタンドに……目覚める。」
「しかし、この可能性は今はほぼ皆無です。」
「ぁぃ…。」
ズゥウウン…と、沈んだ顔で俯くyou。
少しストレートに言い過ぎたとは思うものの、
テレンスにとってまだこれは彼女に伝えたい言葉の半分なのだ。
返す言葉も見つけられない様子の彼女に「大丈夫ですよ」と一言加えてから、
テレンスは自分の意見の核となる部分を告げた。
「…それでも、あなたはDIO様に必要とされている。」
「!」
「仮にどうしても……彼の目的の為にどんなことをしても構わないと言うのであれば…それこそ、人を殺してでも彼の役に立ちたいと願うのであれば、スタンドについて考えてみるのもいいでしょう。」
「そ、そんな!」
「我々が世間一般で言うところの、どのポジションに位置するかはもう…聡しい貴女なら何となくお気づきでしょう?決して良くない…人種だと。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・わたし…。」
「だから・・・そのときがくるまでは、君はまだ、このぬるま湯でいいんですよ。」
何よりも誰よりも…
DIO様がそう望んでいらっしゃるのですから。
最後にそう言い、テレンスは出した茶を片付けてからその場を去って行った。
残されたyouはその場で少し考えを整理しようと試みたのだが、
様々な思いや考えが交錯し、結局まとまらないまま自室のベッドへと潜り込むのだった…。
そして・・・
数時間後、ふいに人の気配を感じて目を覚ます…。
「ん…DIOさ…ん?」
「you……。」
youの布団の中に強引に侵入し、髪を撫でながら首筋に顔を埋めるDIO。
くすぐったくて次第に意識が覚醒してくると同時に、
鼻腔をくすぐる甘いような、柔らかなシャボンの香り。
「ん……なに…すごくいいニオイ……する。」
「風呂に入ってきたからな。」
「せっけんのニオイだぁ……。」
くんくん、と小動物のような仕草でyouはDIOの胸に顔を埋める。
それが大変可愛かったので、入浴を促したヴァニラにそっと感謝するDIOであった。
両腕を伸ばしてその小さな身体を閉じ込めると、DIOは唐突に謝罪をしてきた。
「あー……you…先刻は…すまなかった。」
「んぅ?」
「色々と…その…傷付けた。」
「ううん、勝手に傷ついただけ……DIOさんは悪くない。」
「・・・急に役に立ててないだの我儘ばかり言っているだの言い出したから……少し困った。」
「・・・ごめんなさい。」
「だが、そう思ったのだろう?」
DIOの言葉にコクリと頷く。
素直な反応にハァ…と、軽く溜息を吐き、DIOはyouの両頬をそっと掴んだ。
「youがいつものようにそこにいれば……それがわたしにとって「有益」になる。」
「DIOさん…。」
「それでも何か具体的「有益」な存在になってほしい時はちゃんとそう伝えるさ。それでいいか?」
「……はい。」
「まぁ……何だ、例えば品の無い方向でも、お前の身体が欲しい時もちゃんとお前は応えてくれるしな。」
「それは……大方DIOさんが有無を言わさないじゃないですか…//」
「だから、例えの一つだ。」
赤い顔をして恥ずかしがるyouに対し、
あっけらかんと応え、更にもう一発!とばかりに思っていたことをどんどんぶつけてくるDIO。
「我儘だってそうだ……お前の言うことの何が我儘なのか、わたしには分からん。」
「えー。」
「口悪く言えば「取るに足らない願い」だな。」
「ひ、酷いなぁ…わたしいつもDIOさん困らせてるんじゃないかって不安なのに…。」
「ハッ……それくらいで…わたしを困らせたいなら、いっそ「世界が欲しい」くらい言ってみろ。」
「だ、だって困らせたいワケじゃないもの…。」
「だったら……これからお前がどのような我儘を言おうと……全て叶えてやるさ。」
「DIOさん…。」
「このDIOに叶えられん願いなどない。」
確かに、DIOという存在の類稀なるカリスマ性やビジュアル、吸血鬼という特殊なステイタスをもってすれば
出来ないことなど何もないのではないだろうか…と、改めて考えさせられる…。
仕組みは良いか悪いか分からないが、彼に頼めば不老不死の不死者になることもできるだろう。
だからこそ、自分という存在の非力さに悔しさが湧き上がるのだが…。
今は有難いことに、DIOやテレンスの心からのフォローで抑制できた。
ただ「いつかは…」とも思ってしまうワケで…。
「…いつか具体的に役に立てるといいな。」
「・・・いや、わたしは今のままでいい。」
「もう…。」
「いいんだ。」
「…ん。」
ポツリと零した言葉でさえ、DIOに見事掬い取られてしまった。
もうお手上げ…というより、無力で非力な自分でいいのだと、強制的に納得せしめられる。
だが、やっぱり悔しかったらしい。
youはDIOの腕をトントンと叩いて、横になったままで問いかけた。
「ねぇ、DIOさん。」
「ん、何だ?」
「いつもと同じくらいの量、わたしの血をあげるから、お願い1つ聞いてくれる?」
「何だ、必死だな……今度はギブアンドテイクというヤツか?」
「うん。」
「構わんが……何を望む?」
「えっとね……DIOさんに「好き」っていってほしいです。」
「それは……どうするかな……何度言おうか、100回か?200回か?」
「あはは、甘ーい!甘いよDIOさん!」
「甘い?」
「ちょっと古かったな。いや、ココだと新しい?」
「??」
youの示唆する言葉が理解できず首を傾げるDIO。
ひとしきりクスクスと笑った後、彼女は嬉しそうにDIOに抱きついた。
「1回でいいです、1回で。」
「そうか?」
「うん、その1回に全部込めてくれたら……それでいい。」
「・・・you。」
「ん。」
「不思議な存在の君がココにいるだけでいい、今はそれだけで十分だ。」
「DIOさん。」
「好きだ。」
言葉が静寂に溶けた後、
DIOは目を細めて、泣き出しそうなyouの髪をそっと撫でた。
たった一つの言葉で
願いだって叶えられる
you
(ねぇ、DIOさん…。)
DIO
(ん、何だ?また眠るのか?)
you
(ううん、あのね、DIOさんって…何か仕事してるの?)
DIO
(・・・今それを聞くのか。)
you
(気になった。)
DIO
(え、と……吸血鬼をしている。)
you
(それ、職業じゃない、種族。)
DIO
(・・・。)
you
(何もしてないの?)
DIO
(や、やめろ!そんな目で見るな!そんな……め、目を輝かせて…!!)
you
(わたしと同じ(NEET)なんですね!!)
DIO
(やめろぉおおおッツ!!)
you
(そっかー、ニートかぁ…//)
DIO
(頭痛がする は…吐き気もだ…くっ…ぐう…な…なんてことだ…このDIOが ……気分が悪いだと?)
you
(大丈夫ですか?)
DIO
(顔が笑っているぞォオオ!!youッツ!!)
words from:yu-a
title by:Fortune Fate様
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