your palm, my cheek (DIO)
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どんな言葉で繕っても
この不安が拭えないのなら…
your palm, my cheek
ぎゅうって、捕まえていて
「ヴァニラ、youはどこだ?」
「彼女でしたら、先程テレンスと市街へ行きましたが…。」
「・・・。」
「youがどうかしたのですか?」
「いや、少しyouと話したい事があったのでな…だが、別に…いないのであればそれでも構わん。」
「左様でございますか……というか、このような陽の昇る時間に起きて、よろしいのですかDIO様。」
「ああ、もう寝るつもりだ。」
「そうでしたか…では、おやすみなさいませDIO様。」
今の会話に何も重要な事は無かった…というかのように「ああ」と呟くと、
くるりと、ヴァニラに背を向け自室へと歩き出したDIO。
前にもこんなやり取りを繰り広げたような気がするが、敢えて気にしないようにするヴァニラであった。
・
・
・
・
一方、こちらは市場へ赴いたyouとテレンス。
「今日はこのくらいでいいでしょう。付いてきてくださってありがとうございます、you。」
「ううん、こちらこそ!市場来たかったし、荷物持ちくらいしかなれないけど。」
「助かります。」
綺麗ににっこりとほほ笑むテレンスに、youも笑みを返す…。
そして…。
「では、そろそろ屋敷に戻りましょうか。」
「あ、じゃぁその前にちょっと聞きたい事があるんですけど…。」
「何でしょう?」
「DIOさんって…血液以外のものって摂取できるんですか…?」
「それは…我々と同じような食事、ということでしょうか?」
「うん。」
「そうですね…以前、私がDIO様の執事に召し抱えられた際にお尋ねした事がありますが…。」
「うんうん。」
「その時は「栄養にはならない」とだけ仰られていました。毎日お作りするか確認すると「いい」と。」
「うーん…。」
複雑な表情で唸り声を上げ、youはテレンスを見上げた。
「あのね、テレンスさん…。」
「はい?」
「じゃ、DIOさんって…普通のものを食べれないってワケじゃない…ですよね??」
「・・・だと思いますが…。」
「その……何…?えっと……甘いもの、とか…//」
「ああ、そういうことでしたか。」
「いや、買い出しに行くならちょうどいいかな!とか、ただの思いつきなんだけどね!!」
「それで共に行くということだったのですね。」
「違いますよ!純粋にテレンスさんのお手伝いがしたかったからですよ!DIOさんはついでです!ついで!!//」
「はいはい。」
「し…信じてないな?」
「そのようなことは…。」
「うー…テレンスさんの似非紳士っ!」
「おや、心外ですね。」
そんなことを言いつつ、ニヤリと笑みを浮かべてyouを見下ろすテレンスの顔は新正のドSが垣間見える。
youはそれに膨れ顔で対抗し、しかしすぐに「まぁ、いいですけど」と些細な抗争を終了させた。
「で!何を作ればいいのかな、と!」
「何でもいいのでは?」
「うーん、焼き菓子とかチョコレートとか…考えてたんだけど、ありきたりかなぁーって…。」
「そうですねぇ…貴女の作ったものであれば毒でも何でも食べそうな気はしますが……おっと、我が主に対して…失言でしたね。」
「いや、それは後々怖いから、DIOさんが死なないって分ってても、絶対しない。」
「ですね。」
2人して、コクコクと頷く。
テクテク歩きながら考え、もうそろそろ市場から出る…というところで、テレンスが「ああ」と声を上げた。
「焼き菓子やチョコレートがありきたりなら、現地のものはどうでしょう?」
「というと……エジプトの?」
「はい。」
「わたし、作り方知らないけど。」
「私が教えますよ。」
「ほんと!?うれしい!!」
「では、材料を買い足して帰りましょう。」
「今日作れる?」
「ええ、とても簡単ですよ。」
今度はきちんと、紳士的な笑みを向けるテレンス。
youは「ありがとう!」と感謝した。
それから必要な材料を市場やスーパーで追加購入し、屋敷に戻った2人。
DIOはまだ就寝中なので、よいタイミングだと…厨房で菓子作りが開始された。
そして・・・
「さー…ん。」
「ん…。」
「でぃ、お、さーん。」
「むぅ…?」
「あっ、起きた!」
「…you、か…?」
むくり、と目を擦りながら起き上るDIO。
横にいるyouに目を向けながら、大きな欠伸を掻いた…。
「KUAaa…。」
「おはようございます、DIOさん。」
「ああ。おはよう、you……今、何時だ…?」
「夜の8時です。寝足りませんでした…?」
「いや…ちょうどいいくらいだ…。」
「よかった。」
「どうした…起こしにくるなんて……珍しいな。」
「えっと……。」
「?」
急に言葉に詰まってもじもじし出したyouの態度に、DIOは何だなんだと不思議そうに頭に疑問符を浮かべる…。
そして、ゆっくりと、困ったような表情を浮かべると、youは上目遣いでDIOを見上げた。
「DIOさん、お腹空いて、る…?」
「・・・。」
「・・・。」
きょとん、と目を丸くしてyouを見つめるDIO…。
失礼ながら、いつものDIOのイメージと違って何だか可愛い…などと、彼女はふいに思ったのだが、
すぐにその表情は嬉々とした…否、爛々とした目で不敵な笑みを浮かべるものとなった。
(つまりいつものDIO)
「成程、そういうことか!何だ、you…いじらしい事を……いいぞ、寝起きではあるが存分に可愛がってや…」
「ちがーーーッツ!!//」
「ぐぬぬ……な、何をする……手を離せ…服を脱がせられんではないか…!」
「脱がせねぇよ!?」
「何だと!?貴様、あんな思わせぶりな台詞を言っておきながら…。」
「いや、違うから!」
「何が違うのだ?!血を吸わせてからの甘い時間を過ごそうとかそういう類の誘いだと!わたしはそう理解したッツ!」
「だからそれは全くの気のせいです!!DIOさんこそ、すぐ事に及ぼうとする思考回路を別配線し直して下さい!DIOさんの脳みそは何?!煩悩の塊なんですか!?」
「ッ……貴ッ様ぁ!言わせておけば失礼な台詞ばかりポンポンと……!」
「キャーー!ぼぼぼ暴力反対イイッツ!!」
「知らんッ!酷くされたくないなら態度で示せばよいッ!!」
「さ、最終的にっ!」
「?」
「あ!ちょっと待って!誰かいる!」
「何…?」
youの言葉に、DIOの動きがぴたりと止んだ…その刹那。
DIOの腕を掴んでいた手を離し、youはベッドからスルリと逃げ出した。
「!!」
「最終的に!逃げ遂せればよかろうなのだーっ!!」
「おのれ!!小賢しい真似をッツ!」
空言にまんまと騙されたDIOは怒り心頭とばかりにyouを振り向く。
が、しかし。
逃げ遂せて距離をとった彼女は、少し余裕ができたのか、至って冷静にDIOに物申し始めた。
「まぁ、そういうのは置いといてですね、DIOさんにお願いがあったから来たのです!だから、ちゃんと話を聞いてほしいんです!!」
「・・・・。」
「・・・・。」
「・・・・。」
「聞いてくれます…か?」
「聞いている。くだらん事だったら容赦せんぞ。」
「え…えっと…じゃぁ…ちょっと怖いけど……。」
どうやらDIOもそこまで頭に血が上っているワケではないようで、
ちゃんとyouの話(DIOにとっては言い訳に聞こえるのだろうが…)を聞いてくれるようだ。
そんな彼の様子を見て、意を決したものの…。
いざ本題提議となると緊張するのか、youから出たのは何とも情けない、蚊の啼くような微かな声だった。
「DIOさん…あ、甘いもの…食べれますか?」
「は…?」
実際、声が聞き取れなかったこともあり、DIOは思いっきり大きな声で質問自体を聞き返す。
その反応に、今度は呟くように…俯いてyouは答える。
「だからその……甘いもの。」
「甘いもの…?」
「お菓子…とか。」
「・・・。」
「た、食べれないならいいんです!仕方ないですから!あの、ちゃんとテレンスさんに教えてもらったから美味しいですし、余っても自分で完食できますから!」
テーブルに置いていたお菓子の皿を両手で持って、DIOに向けて差し出すものの
冷たく「要らん」と言われることが怖くて勝手に自己完結を試みるyou…。
終いにはDIOをそれ以上直視できずにぎゅっと目を瞑って立ち尽くす…。
「だから、その…//」
「これか?」
近くで声が聞こえた気がしてyouが目を開けば、
スタンド能力でも使ったのか…いつの間にかベッドにいたDIOが目の前で皿の上の菓子をまじまじと観察していた。
「う、わ!いつの間に!!」
「・・・見たことない菓子だな…。」
「えと…「オマーリ」って言って、エジプトのメジャーなお菓子らしいです。」
「ほう。」
「ココナッツミルクに浸したパンにレーズンを入れて…オーブンで焼くんです。イメージ的にはフレンチトーストみたいな。味は全然違うけど。」
「説明されるより、食べた方が早い。」
「!」
ぱくり。
一応テーブルにフォークを用意してはいたのだが、そんなものは不要、と。
一瞬のうちにDIOは指で掴んで菓子を口へ運んだ。
浸していたミルクが下へ伝う前に、長い指にペロリと舌を這わせる。
DIOのその仕草の一つ一つが何とも妖艶で、youは一瞬息をすることを忘れた…。
「・・・。」
「お…おいし……美味しくないですか…?」
「いや…。」
「ほ…ん。」
「すごく・・・甘い。」
「う、うん!凄く甘いです!!」
「・・・ありがとう、美味しいよ。」
「・・っ…//」
ふわりと浮かべたDIOの極々自然な笑み。
こうなることを予想していたような、していなかったような…。
結局、youはその場で皿を持ったまま泣きだした。
DIOは、ハァ…と、軽く溜息を吐きながら彼女の手から皿を抜き取り、テーブルへと置くと、
綺麗な指先でyouの頬に伝う涙を拭う…。
「また……お前は…何度泣けばいいのだ…。」
「だって…ぇ。」
「お前はわたしと話すたびに泣いている。」
「そんなこと…ないけどなぁ。」
「…女の泣く姿はいつも癪に障るが……youの泣く姿に嫌悪感を抱いた事は無い…不思議な事にな。」
「うりぃ…DIOさんん…。」
つまりは、彼にとって何の栄養にもならない、食べる価値のないものなのに、
自分の気持ちを汲み取って「美味しい」と微笑(わら)ってくれたことが嬉しくて、youは泣く。
そうして、少しだけウサギの目になった顔をDIOの胸に押しつけた。
「うぅ…せめて肉料理にすればよかった、とか…ぁぅ…。」
「それでは可愛さが欠片も残らんだろう、それはただのテレンスだ。」
「ただのって…ぅ…。」
「「youがわたしのために菓子を作る」ということがよいのだ。おい、鼻水付けるなよ。」
「うっうっ……は、鼻にティッシュ詰めてもいいでつか…?」
「・・・絵的に駄目だ。」
「じゃぁ、離れるぅ…っ…。」
「・・・駄目だ。」
ぎゅうーっと、効果音が出るくらい強くDIOはyouの身体を抱きしめる。
「DIOさ…。」
「ん?」
「すき…。」
「…可愛い事をするなと…いや、しても構わんのだが……うむ…。」
「…泣きたい。」
「もう泣いている。」
「DIOさんに抱きしめられると、何かすごく泣きたくなるんです。」
「そうか、つまり泣きたいくらいこのDIOが好きということだな。」
「あぁ、うん…じゃぁもうそれでいいです。」
「投げやりだなオイ。」
「ふふ…。」
軽く笑いながら、DIOの胸にぐりぐりと頭を押しつけるyou…。
優しい手つきでその髪を撫ぜながら…しかし、思わぬ言葉をDIOは放った。
「わたしは……お前を抱きしめていると不安になる。」
「え…。」
「勿論、それより支配欲や愛欲、幸福感、充実感等……このような時、人が一般的に抱く気持ちが勝(まさ)ってはいるが。」
「うん。」
「ただ、手放す事をしたくないと、心底願うからか……喪失することを恐れる自分がいる。このDIOが…全く理解できん。本当に、滑稽な事だ。」
「・・・。」
「だが、事実…なのだろうな。」
「今も…?」
「・・・ああ、今もだ。」
DIOの言葉に、youがゆっくりと顔を上げた。
そして、腕の中にすっぽりと閉じ込められていた身体を動かしてDIOの背に腕を回す…。
「じゃぁ…。」
「・・・。」
「ぎゅうって、捕まえていて…?」
「・・・。」
「わたし、ずっと貴方の傍にいたい。」
「ああ、わたしもだ。」
「そしたら…何処へもい行かないような気がする。何処へも…行けないような気がする。」
「ああ……そうだな…。」
まるで、パズルのピースを合わせるようにぎゅうっと…2人で隙間無く抱きしめ合う。
飽くまでそうした後、DIOはyouの髪に優しくキスを落とした。
「you、食べてもいいか?」
「うん?だってDIOさんの為に作ったんだから。」
「違う、お前のことだ。」
「それは……DIOさんが…わたしの作ったお菓子、全部食べてくれたら、全部…食べていいよ?」
「うぬ……あの甘さ、一人では辛い…少し手伝え。」
「はぁい。」
DIOはゆるりと腕を離し、早速テーブルの菓子へと手を伸ばす。
youはそんなに急かなくても…と小さく笑いながらも小気味良い返事をして、DIOの横へと並ぶのだった…。
キミのすること
全てが愛おしいよ
DIO
(WRYY…もう、食えんぞ…。)
you
(わたしも、もうお腹いっぱぁい…。)
DIO
(しかし、この1つで完食だ!)
you
(おおっ!)
DIO
(全部・・・食ったぞッツ!!)
you
(全部食べてくれてありがとう、DIOさん!すごく嬉しい!)
DIO
(ああ……。)
you
(さて…。)
DIO
(you…。)
you
(DIOさん…。)
DIO
(これでやっとお前を食べ…)
you
(無理。)
DIO
(うり?)
you
(お腹いっぱいで動けない…。)
DIO
(you…。)
you
(あい?)
DIO
(貴様……後で…酷いからな。)
you
(うりぃいい!!!)
words from:yu-a
title by:Fortune Fate様
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