your palm, my cheek (DIO)
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共に過ごす時間さえ
誰かにくれてやるのが惜しい
これはきっと独占欲
your palm, my cheek
独占欲を垣間見せて
「ヴァニラ、youはどこだ?」
「彼女でしたら、先程ホルホースと市街へ行きましたが…。」
「・・・。」
「youがどうかしたのですか?」
「いや、少しyouと話したい事があったのでな…だが、別に…いないのであればそれでも構わん。」
「左様でございますか……というか、このような陽の昇る時間に起きて、よろしいのですかDIO様。」
「ああ、もう寝るつもりだ。」
「そうでしたか…では、おやすみなさいませDIO様。」
今の会話に何も重要な事は無かった…というかのように「ああ」と呟くと、
くるりと、ヴァニラに背を向け自室へと歩き出したDIO。
「(何故!よりにもよって、ホルホースとなのだ!!)」
これがテレンスや、それこそヴァニラであればそこまで気に掛ける事も無かったのだろう。
確かにDIOはyouに好意を抱いてはいるが、自身を絶対唯一の存在と決定付けていることもあり、
彼女の存在を自分の中で特別視してはいけないのだと…。
いや、少し特別ではあれど、最終的に、その時がくればの話だが、
もしも彼女の存在を切り捨てなければならない時がくれば、何の躊躇もなく殺せるくらい、ぞんざいに扱わなければならない。
「最終的には」・・・そう思っていた。
しかしながら、持論とは裏腹にDIOの現在の心境は大変不本意な状況のようだ。
廊下を歩きながら沸々と湧き上がる静かな怒りは、喩えるなら原油。
真っ黒でドロドロと、地の底の底から湧き上がり、小さな灯りでも近づけようものならあっという間に辺り一面を焼き尽くす。
「(くそッ……。)」
自室のベッドに思い切り身を投げ、天井を見る。
広い部屋にある呼吸は今はただ一つ、自分のものだけ…。
いつもなら…と、考え、その先の答えに辿り着く前に思考を掻き消した。
「早く…戻ってこい……you……この、DIOの元に…。」
スッと伸ばした、傷一つ無い美しい手は虚しく空を裂いた…。
・
・
・
・
「あー、楽しかった!また時間があったら一緒にお出掛けしてくれると嬉しいです、ホルホースさん!」
「勿論だとも、こちらからも是非お願いしたいね、you。」
「ふふー、お陰様で目的の場所、全部回れちゃいました!」
「あぁー…DIOに渡すってアレかい…?」
「はい!」
「ま、いいけど……できれば次回のデートの時はオレだけを見てほしいモンだねェ…。」
「あ……えっと…ごめんなさい!ちょっと無神経でした?」
「いいってコト。お嬢ちゃん一人に心配されなくても、このホルホースは引手数多なのでね!」
「はーい、知ってますー!」
「ハハハ!」
夕刻過ぎ、至極楽しそうな声が館のロビーに響き渡る…。
昼過ぎから市街デートを満喫してきたホルホースとyou。
少し語らった後、そこで解散することとなった…。
そして、自室に荷物を置きに戻り、テレンス達と夕飯を摂ったyou…。
歯磨きや入浴を全て済ませ、しかし、寝ることはせずにDIOの部屋へと向かった。
「DIOさん、もう起きてますか…?」
コンコンと軽いノックをして小声で呼び掛けたが、返事は無い。
「寝てるのかな?」
ドアノブに手を掛けてみると、どうやら鍵はかかっていない様子…。
そのままそっとドアを押せば、youの体はすんなり部屋へと迎え入れられた。
広い部屋なのだが、その全貌は夜のためはっきりと分からず…。
いや、夜でなくても日がな一日カーテンを閉め切っているので、
この部屋の細かなレイアウトが分るのは蛍光灯を点け、DIOが気まぐれにこの部屋で読書をする時くらいのものである。
ほぼ中心にある大きなベッドに目を向ければ、無防備にもこちらに背を向けて眠る館の主の姿があった。
ベッドから少し離れたテーブルの上には蝋燭があるようで、
その灯りを頼りにベッドにゆっくり近づき、そっと呼びかけてみる…。
「DIOさん……まだ、寝てるの?」
広いベッドはサイドから呼び掛けるには少し遠い。
youはよいしょ、とベッドに上りDIOの傍へにじり寄った。
「…でぃーおさん?」
そっと、DIOの後ろ肩に手を伸ばした…。
その刹那、ザッと何かが動く音がしたかと思えば、もの凄く強い力で両腕を掴まれる…。
次いで、これが壁や床であれば背中がビリビリと痛むだろう…それくらいの勢いで身体がベッドに沈められた。
すべては天井をバックに、視界に映りこむ吸血鬼の仕業…。
「W…R…YYY…Y…。」
「DIOさ……っ!!?」
暗くてよく分からなかったが、その瞳は無機質で、色が無く思えた。
自分を映していない。DIOではなく吸血鬼。そうyouは感じた。
だから、何の言葉も無く手を振り下ろそうとする動作を目にして、
必然的に「首に指を挿され、食べられてしまう」と理解する。
それがDIOが成ったという吸血鬼の一般的な捕食方法だと聞き及んでいた。
だが、いつもDIOがyouの血を吸う時はその方法ではなく、
まるで溶け合いたいと囁くように首筋に唇を這わせ、キスをするように柔肌に牙を突き立てる。
youは、今のDIOに何が起こっているのか分からない。
このままあっさり殺される事に理解もできないし、納得もできない。
ただ、今のDIOは自分が一緒にいたいと願う、
普段のように血を吸われてもいいと思えるDIOではないという事だけは分かった。
「血は……そうやって吸わないでくださいっ!!」
「!!」
気付けば、youはDIOに向かって手が動かせない代わりに抵抗の蹴りを入れていた。
彼女にしてみれば、今出せる渾身の力を足に込めたのだが、
流石は鍛え上げられ、しかも吸血鬼というチートステータス付きの男…。
よろめくどころか、微動だにせず…ただ、彼はyouを見下ろした。
「・・・you…。」
「DIO…さん…。」
「・・・。」
「そんな方法で…血を吸わないでください。それ…なんだかすごく。嫌です。」
「・・・貴様に…選ぶ権利があると思うのか?」
「・・・主張する権利はあるはずです……お世話になっている事を差し置いても。」
「・・・。」
「わたしは……DIOさんに……殺されるのは…嫌です。」
「まぁ、そうだろう。誰だって死にないだろうからな。」
「だって……わたし、すごくDIOさんのこと好きですから。」
「それなら、好きな男の手に掛かって死ぬのは、幸福ではないか。」
「うーん…わたしは…そういう…ヤンデレみたいなのじゃないです。」
「(やん…??)」
瞳に色が戻り、今のDIOはちゃんと自分を見てくれている…。
それが嬉しくて、youは自分でも気付かないうちに泣いていたようだ。
押さえつけていた手を離し、DIOはその手でそのまま彼女の涙を拭った。
「・・・泣くな。」
「泣きます。」
「おいっ!」
「泣きます、だって…。」
そっと、優しい温度がDIOの両頬を包む…。
「だって、明日も会いたい。」
「・・・!」
「わたし…DIOさんに、会いたい。毎日会いたい。」
「…you……。」
「ずっとあいたい。」
吸血鬼のDIOを目の当たりにした恐怖心も、確かにあった。
しかし、いざ言葉にしてみれば、吸血鬼の彼に殺されることで、
もう二度と自分の好きなDIOに会えなくなってしまうことに気付いた寂しさの方が数倍勝っていた。
「だから殺されるのは嫌だ」と、youはもう一度呟く…。
「お前は……一体何なのだ…。」
「ふ?」
「屠るための売女でなく、仕える賢女でも、母のような聖女でもない。……お前は……お前は一体…このDIOの…何だというのだ…。」
「・・・。」
静寂の広がる部屋に、ぎゅうっと、服の衣擦れの音が響く。
大きな巨体がyouに覆い被さるようにしてしがみ付くと、彼女はそっと目を閉じてその背中に細い両腕を回した。
「さぁー……何でしょう。それはDIOさんが決める事ですから…。」
「・・・。」
「でも…。」
「?」
思いついたような言葉を発したyouの声を聞こうと、DIOは少しだけ身体を動かす。
youはというと、DIOの背に回した腕に力を込めて一層強く抱きついた。
「わたしは、DIOさんにとってあったかい存在になりたい。」
「・・・は。」
「漠然とし過ぎかな?」
「ああ。」
「でも、そういうのがいいな。」
「・・・そうか。」
位置づけることができない、ぼんやりとした…しかし、何より価値のある存在。
ヴァニラが類稀なる忠臣なら
プッチが貴重な友人なら
ジョナサンが唯一の親友なら
「お前は……石ころだ。」
「は?」
「その辺に転がっている、ただのクズ石だ。」
「え、まじひでぇ…。」
よく「上げて落とす」という言葉があるが、上がってもいないこの状況でのこの言葉。
完全にDIOに貶されていると判断したyouは、泣きながらどんな憎まれ口を返してやろうかと模索する。
が、しかし。
急に身体を起こされて、向かい合った時のDIOの瞳があまりに優しくて…。
youは自分の心臓が大きく鳴る音を聞いた。
「ただわたしには……その石が何故か特別な輝石に見えるらしいぞ、you。」
「でぃお…。」
「ホルホースに嫉妬した。」
「へ?」
そっと、身体を抱き寄せ、驚きの台詞を吐くDIO。
勿論、大いに自嘲しながら、だ。
「このDIOがだぞ……天地がひっくり返ってもありえない話だ。」
「うん、うん。」
「だが…正直なところ…「そういうこと」だったらしい。」
「んんん??」
「お前の事だから、ホルホースがどんなに愛や恋を語ろうと、手に落ちる事は無いと分ってはいたんだが…。」
「・・・。」
「わたしのyouと共にいる、という事実自体が存外気に食わなかったようだ。」
「何というか…客観的なんですね…。」
「まぁ……先刻のわたしの心を代弁したようなものだからな…。」
それは暗にDIOの抑制できなかった本心が吸血鬼の本性となってyouを襲ったのだという言い訳にも聞こえたが、
元より彼女は彼を疑うつもりも無いので「そっか」と一言、笑って返した。
「わたしも言い訳すると、ホルホースさんには……わがままに付き合っていただいてたんです。」
「わがまま……?そんな可愛いことを……何故このわたしに頼まぬ。」
「んー…だって、DIOさんには頼めない事だったから。」
「このDIOに頼めないだと…?!」
「はい。」
「何故だ。」
「だってDIOさん、吸血鬼だもん。外出たら灰になっちゃう。」
「WRYYY!!!」
そうでした…と、言わんばかりのリアクションを取るDIOに、youは更に補足を言葉にする。
「テレンスさんは色々忙しいし、ヴァニラさんに頼んだら「DIO様の傍を離れることはできない」って突っぱねられるし、他の皆は出払ってるし…。」
「だからホルホースを…。」
「うん、午前のデート終わりでたまたま戻ってきてたから。」
「人の事言えた義理ではないが、あ奴も大概だな…。」
「で、事情を話したらちょっと不服そうではあったけど、女の子の頼みは無碍にできないからって、付き合ってくれたの。」
「不服?」
ホルホースがあからさまに女の頼みを渋るところを見たことがないDIOは、youの話す内容に疑問符を浮かべた。
「しょうがないですよね、本来なら他の女の人とデートできるのに、わたし…DIOさんのためにホルホースさん連れ出したようなもんですから。」
「わたしのためだと…??」
「えっと……写真をね…沢山、撮ってきたの。」
「写真…?」
「ホルホースさんはカメラマン。わたし、まだ土地勘ないから一人じゃ怖くて…付いてきてもらったんですよ。」
「何故、写真なのだ……それはただの観光だ。」
「DIOさん、行けないから。」
ふいっと、視線を逸らして俯くyou。
DIOを見ないようにしているのか、あからさまに別の場所に視線を向けながら話し出す。
「日に照らされたカイロの街を、見せたかったから。」
「・・・。」
「まだ現像してないけどね、ピラミッドとスフィンクスは絶対外せなかったですし、カイロタワーも地味に楽しくて、ジオラマみたいに上から撮ったり…えっと…あと…。」
「・・・you。」
「そうそう、カイロ博物館も行っちゃいましたよ!中は撮影禁止だったけど…外から建物撮って…後、モスクも…。」
「you。」
「こっちの世界じゃまだデジカメないから、もしかしたら手ブレとか凄いかもなんですけど…でも…!」
「you、分かった。」
「・・・・。」
「…ありがとう。」
「っ……!」
DIOの言葉が耳に届いた瞬間、youの目から涙があふれ出す。
「本当は…っ………ディオさんと行きたいっ!すごく行きたい……っでも…行けないから…一緒には行けないから…っ!」
「…泣くな、you…。」
「っ…ごめんなさい。すぐ、止めます。」
「・・・お前が泣く必要などどこにも無いだろう?」
「無いです、はい…分かってます……ただのワガママだってことも、理解してます。」
「・・・。」
「ちょっとだけ「普通」に憧れただけなんです。」
「無理な話だ。」
「うん。」
「わたしは吸血鬼で。」
「うん…はい。」
「お前は……異邦人なのだから。」
「いほっ…?!」
涙も引っ込むような単語をふいに出され、youはDIOを見る。
それを予想していたのか、DIOはふっと笑いながら「相違ないだろう?」と彼女の涙を拭う。
「自分じゃ平凡な人間と思ってるかもしれんが、お前…なかなか普通じゃないぞ?」
「・・・。」
「このDIOの事を吸血鬼だ何だと区別する前に、おまえ自身よく考えてみろ。」
「・・・。」
異世界トリップ。吸血鬼との邂逅。完全な悪人と馴れ合う環境。そしてそれらに順応。
(何より黄色とハートの外人にハートとスク水の成人男性を「見慣れた」と思ってしまったのが一番の決め手だった)
色々ある事柄のその全てに於いて思い返し、その上でDIOの言葉を否定できないyouだった。
「うん・・・普通じゃなかった。」
「そうだろう。」
「一人で悲しくなって、泣いて、困らせて・・・ごめんなさい、DIOさん。」
「・・・謝るほどの事でも無い。」
「でも、写真を見せたかったのは本心からなんですよ、一緒に行けたらなっていうのは後から付いてきたんです。」
「そうか・・・楽しみにしている。」
「はいっ!」
「さて……わたしは起きる時間だが…お前は今から寝るだろう?」
「ん…そう、ですけど…。」
「・・・ここで寝るといい。」
「でもDIOさん起きるんでしょ?」
「お前が寝るまで傍にいてやる。」
「そ………。」
「そ?」
「そんなこと言うとお、お言葉に甘えますよッツ?!//」
「構わんぞ?」
よしよし、とyouの頭を撫でて、その額にキスをする。
見上げた彼女と目が合えば、引き寄せられるように今度はその唇に口付けを落とした。
・
・
・
・
後日、現像に出していた写真が手元に届き、DIOに全て見せたyou。
楽しそうに「ここはこんな場所だった」「また行きたい」と話す彼女にDIOは言う…。
「一緒に行きたいか?」
「え、どこに?」
「この場所だ。写真に映ってる…。」
「行きたいですよ?行けたら最高です……でも、DIOさんが最高に灰になっちゃいます。」
「言葉に何故か悪意を感じるが、まぁいい…。」
「・・・。」
「誰も日の昇るうちだとは言っていない。」
「あ…!」
「12時過ぎのシンデレラでも構わんなら……このDIOが連れていってやろう。」
「い……きますッツ!!//」
何故気が付かなかったのだろう。
恐らくDIOもだろうが、互いに弱点のことばかり考えて、可能性を見出すことを失念していた。
youは声を震わせ、うるっと涙ぐんだ後、両手を広げて笑みを浮かべるDIOに飛びついた。
もうきっと
嫉妬することもないだろう
キミにはわたしだけなのだから
you
(DIOさん、すごい!光の町!!)
DIO
(ああ。)
you
(きれい…。)
DIO
(ピラミッドにでも登るか?スフィンクスでもいいぞ?)
you
(世界遺産です。登ってはいけません。)
DIO
(WRYY……では、お前の行きたいところに連れていってやる。)
you
(あ!夜カフェとか…!)
DIO
(カフェぇ?バーなら付きあえんこともないが…。)
you
(じゃぁそれでいいです!2人でお店って何かデートっぽいですね。)
DIO
(そういうものか…??)
you
(あぁっ!やっぱりダメ!やめます!)
DIO
(は?)
you
(いや…だって……怖いですし…。)
DIO
(わたしがいるだろう。)
you
(そうじゃなくて……だって…バーとか…やっぱだめです!)
DIO
(理由を言わんか!)
you
(……だって……綺麗なお姉さんとか、沢山いらっしゃいますので、ダメです!)
DIO
(ほう……。)
you
(うりぃ…。)
DIO
(嫉妬か。)
you
(・・・嫉妬デス…//)
DIO
(フフフ……決まりだな…バーに行くぞ!!)
you
(やだぁああ!!//)
DIO
(嫉妬!させずにはいられないッ!)
words from:yu-a
title by:Fortune Fate様
*。゜.*。゜.*。゜.*