your palm, my cheek (DIO)
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ありふれたポジション
いつの間にやら
一番のお気に入り
your palm, my cheek
少し痛いくらいは我慢して
ひょんなことから、DIOの館で世話になることになった…彼女の名はyou。
彼等の中でゲーム好きなところもあり、ファンタジー脳を所持する屋敷の執事テレンスいわく、
現代世界から自分たちの住む館へ突如遣ってきたこの事象は「トリップ」と称された。
彼女の性格は何ら問題ない、素直で丁寧な常識人(たまにおかしいところもあるが)。
真面目なテレンスは彼女をいたく気に入ったし、館の主であるDIOもまた、面白半分で
「こういうありふれたポジションのキャラがいてもいいだろう」と、軽く笑って屋敷に置くことを許可してくれ、今に至る。
そして今日もまた、ごく平穏な一日が始まる…。
「おはようございます、youさん。」
「テレンスさん、おはようございます。」
「朝食、できていますよ…もう食べられますか?」
「えー、もう、いつもテレンスさん行動早い!手伝いの一つでもさせてもらおうと思ってたのに…。」
「はは、申し訳ありません…あくまで執事ですので、DIO様やお客様をお待たせすることはできないんですよ。」
「わたし、居候なのに……ていうか黒執事。」
「黒?まぁ、私にとっては貴女もお客人なのです。」
「そういうものかなぁ…まぁ、いっか!わたしが作るより、テレンスさんの作ったご飯の方が数十倍美味しいもんね!」
「そのようなことは…でも、ありがとうございます。」
youの言葉に、テレンスは意外にも可愛くはにかむ。
それにまたyouも笑みを返し、2人で客間を出ていった。
テレンスに手を引かれ、薄暗い廊下を抜けた先にあるダイニングルームへと出ると、
そこには屋敷の主が既に着席しているではないか。
youはパッと明るい表情を浮かべ、テレンスは驚きの表情で、それぞれDIOを見つめた。
「DIO様…!?」
「DIOさん!おはようございます!!」
読んでいた厚い本を閉じ、DIOは2人に目を向けた。
「ああ、おはよう。」
「DIO様…今はお休みの時間では?」
「いや…何故か上手く寝付けなくてな…暇だったので、ここへ来た。」
「え、と…お食事は…。」
「腹は空いていない。私のことは気にするな。」
「かしこまりました。」
DIOへ向かって綺麗に一礼し、次いでテレンスはyouへ向き直る。
「では、youさんの分の朝食だけご用意しましょう。」
「あっ、わたし、自分で用意しますよ!」
「いいえ、私が。youさんはどうぞ、準備が終わるまでDIO様とお話をしておかれてください。」
それはつまりDIOが「暇だったので」と言ったことを汲み取ってのこと。
テレンスが有無を言わさない雰囲気で背中を押すので、仕方なくyouはお言葉に甘えることにした。
テレンスに礼を告げ、DIOの方へと歩いてくyou。
広い空間にドンと設置されている長いテーブルはまるでキリスト絵画の最後の晩餐のそれである。
いつも思うが、屋敷の人数に対して幾分多すぎる座席数だ…。
そんなことを考えていると、DIOが自分の横の椅子を引いたので
そこへ座れという彼の指示に従い、youはちょこんと、DIOの隣に着席した。
「今日もいい天気みたいですね!」
「エジプトだからな。」
「あー、生野菜食べたいな。」
「食べればいい。」
「エジプトの生野菜は究極にアブないのです。すぐにお腹が下っちゃいます。」
「フン、やはり人間は貧弱よ。」
「うーん、でも吸血鬼は吸血鬼で燃費悪そうですし……実際どうなんですか?」
「なってみれば分かる……試してみるか?」
「け、結構デス。」
「ククッ…。」
本気か冗談か読めないDIOの誘いに、たじろぎながらも断るyou。
これ以上吸血鬼の何たるかを聞けば、本当に同類にされかねない。
DIOに苦笑を向け、youはもう生野菜談義を終わらせることにした。
その後も、テレンスが食事を用意してくれるまでDIOと他愛無い会話を続け、楽しんだyou。
食事を始めてからもずっと隣にいてくれるので、自分だけ食事をしている事に少し申し訳ない気さえした。
「テレンスさんのご飯本当に美味しい…執事スキル半端ないていうか執事の域を超えている。」
「だと。よかったな、テレンス。」
自分の隣で舌鼓を打つyouを眺めながら、DIOは扉の前で控えるテレンスへ言葉を放つ。
その賛辞を「光栄です」と笑顔で受け止め、テレンスは席を外すことにした。
「では、私はこれで。youさん、何かありましたらすぐお呼びください。」
「はい、テレンスさん。ありがとう!」
「食べ終わった食器はそのまま置かれて結構ですからね。」
「いえいえ!ちゃんと片付けます!」
「まったく…あなたという人は…。」
くすっと一つ笑みを零し、テレンスはダイニングルームを出て行った。
残されたyouとDIO。
youはそういえば…と、ふいに質問をしてみた。
「DIOさん、寝付けないって…何か理由でも?」
「特に無いが…?」
「まだ眠くないんですか?」
「ああ。」
「ふふ、添い寝でもしましょうか、なーんて。」
「ほう…面白い。」
「え。」
「ふむ…ベッドルームは少し散らかっていたが…よし、テレンスに片付けさせよう。」
「え、え、ちょっと…DIOさん?」
本を手に持ち、席を立つと、
DIOはスタスタと部屋お出て行ってしまった。
あの様子だと、間違いなくテレンスに部屋の片付けを依頼するに違いない…。
「・・・とりあえず食器片付けよう。」
この館を訪れた事柄自体がとびきり驚く現実だったため、
それ以上に不可思議な事はない、と…youは細かなことにはあまり悩まない性質になっている…。
今回もまた、DIOのやることが本気でも冗談でも、なるようになるさ、ケ・セラ・セラと鼻歌を歌いながら食事の後片付けを済ませるのだった…。
そして・・・。
「you、部屋が片付いたぞ。」
「DIOさん…。」
どうやら添い寝は冗談ではなかったらしい。
態々キッチンシンクまで直々に呼びに来る程に、本気のようだ。
タイミングがいいのか悪いのか、ちょうど食器を洗って元通りの場所に片付けた頃に遣って来たDIO。
そのまま、あれよあれよという間にyouはDIOの使用するベッドルームまで連れてこられてしまった。
部屋に招かれ、重たい扉をくぐる。
屋敷の外では陽が照り付けているというのに、
この空間は陽光を完全に遮断し、あるのは蝋燭の柔らかな灯りと、ひんやりとした空気だけ。
薄暗く、視覚があまり働かない代わりに、嗅覚がほんの少し研ぎ澄まされる…。
そこは咽返るような薔薇の香りでyouを迎え入れた。
「バラの香り。DIOさん薔薇好きなの?」
「ん、ああ、そうだな・・・好きな香りだ。」
「わたしは甘い薔薇の方が好きなんですけど・・・ワイルドローズもいいですね。DIOさんに合ってる。」
「そうか。」
軽く答え、DIOはyouの手を取りベッドの上へと誘(いざな)った。
「ふかふか」という表現がまさにそれであるキングサイズ(天蓋付き)のベッドは豪華で、
まるでどこか、御伽噺の王様が使っていそうな代物だ。
「凄いベッドですね!でもわたし、DIOさんの寝床は一度見せてもらった、あの棺かと思ってました。吸血鬼なだけに。」
「たまにな。考え事をしたい時に使うぞ。」
「なるほど。」
「それよりyou…。」
「ん?」
「いいシチュエーションだとは思わないか?絢爛豪華なベッドの上、美しい男と愛らしい女が2人…。」
「はぁ。」
どうやら楽しくなってきたらしい。
きょとんと、不思議そうな顔をするyouの顎に指を掛け、上を向かせるDIO。
そのまま口付けが落とされる寸でのところで、youがDIOの両頬をガシッと掴んだ。
「な……何をしている、you。」
「いや……さすが吸血鬼。犬歯が凄いなぁと思いまして。穴とか空いてるんですか?何か吸血鬼のエキスとか出るって言ってましたよね??」
「試してみたいならそう言えと、さっきから言っているではないか。」
「いやいや、だからそれはお断りしますって。」
「いいから!貴様は!黙って!キスされろッツ!!」
「ちょ…!で、ディオさんんんっ!!」
両腕をがっちり押さえられ、無理矢理口付けられる。
説明するまでもなく、勿論舌を入れて。
苦しむyouを見て、DIOは至極愉しそうに目尻に弧を描かせる…。
酸素を取り込もうと少しでも口を大きく開けば、更にDIOの舌が奥へと挿入されるので、
苦しいやら辛いやらで、思わず泣きそうになってしまう…。
下手ながらの鼻の呼吸で何とか息を繋ぎ、やっと唇が離された時には
彼女の半ば意識は飛びかけていた。
「は……っ!//」
「ン…。」
朦朧とする意識で、大きく呼吸をしたyou。
不本意ながらもトロンと、蕩けそうな表情でDIOを見上げれば、
彼はニヤリと口角を上げ、youの身体を抱きすくめ、その肩口に顔を埋めた。
そして…。
「少し痛いくらいは我慢してくれよ、動くとそれこそエキスが入るかもしれんからな。」
「ぃい"…ッツ!!!?」
ブスリ、と音を立てて鋭利な刃物のような何かが、肩から首へ繋がるギリギリのラインに突き刺さる。
そうか、DIOの牙(犬歯)かと気付いた時にはもう既に血を吸い上げられていた。
血が逆流するような、表現し難いが兎に角血液の循環がおかしいという感覚は理解でき、
このまま体内の血液を全て吸い上げられて死んでしまうのかと…目を閉じるyou…。
「は…ぁ……。」
「…これは、なかなか。」
「い…生きてる?」
「これしきの吸血で死ぬか、マヌケが…。」
「き…給食!給食のぎ……牛乳パック(200ml)1本分抜かれた感じがする…。」
「よく分かったな。ちょうどそれくらいだ。」
「ちくしょう。」
「ククッ…わたしにはグラスワインを飲んだくらいの吸血よ……腹の足しにもならん。」
「やっぱり燃費悪い!吸血鬼ダメ、絶対!」
「しかし、you…お前の血はなかなかに芳醇で美味かったぞ?伊達に異世界から来てないというワケか?」
「知りませんよ、もうっ!」
顔を赤くしているのはキスが恥ずかしかったからか、はたまた吸血が痛かったからなのか…(恐らく後者)。
youは傍にあった分厚い枕に顔を埋めた。
「・・・いたい。」
「・・・悪かった。吸血する気は無かったのだがな…。」
「じゃぁ、どうして…こんな……い、痛かったんですよっ!」
「だから許せと……お前が可愛かったのだ。だからつい。」
「つい?!一歩間違ったらわたしも吸血鬼の仲間入りするトコだったんですよ!?」
「そんなヘマはせん。」
「分からないじゃないですか!DIOさん、何かちょっとうっかり屋さんなトコあるし!」
「何だと!?」
「う……こ、怖い顔しても負けませんから…っ。」
「・・・泣くな。」
「泣いてないですっ。」
「・・・泣いている。そんなに怖かったのか……すまなかったな。」
「だって血抜かれて死んじゃうかもとか、生き返って吸血鬼になっちゃうかもとか…。」
「・・・・。」
「ぅ……DIOさんのばかぁ…。」
枕をぎゅっと膝の上で握り締め、緊張の糸が解けたようにわんわんと泣きだしたyou。
まるで子どものようなその反応に驚きながらも、
彼女のその愛らしさに(申し訳ないと思いつつも)DIOは口元が緩んでしまう。
終には、壊れ物を扱うように、そっと両腕を伸ばしてyouの身体を抱き寄せた…。
「・・・これからはいきなり驚かせるようなことはしないようにしよう。」
「っく…ていうか、吸血しないでください。」
「それは無理だ。」
「なんで!」
「・・・美味かったのだ。」
「DIOぉおおさぁあーんん?」
「さて、お陰で寝酒も済んだ事だし……そろそろ寝るか。」
「寝酒だとぅ?!!」
「ククッ……そう怒るな…稀に味わう高級酒だったぞ?」
「嬉しくないですよ!」
「KUAaa……ぬ…眠くなってきた。寝るぞ、you。」
「わぷ!ちょ、DIOさ……んむ…。」
「うりぃ……。」
ボフっと音を立てて、DIOはyouを抱きしめたままベッドに倒れ込む。
どうやらそのまま抱き枕にして眠るつもりのようだ…。
DIOの胸あたりから、youが顔を見上げると、
これでもかというくらい長く、ボリュームのある睫が彼の目元を縁取っていた。
金糸の髪は蝋燭の灯りにもキラキラ輝き、薄く照らされる肌は白く、
鼻筋はスッと通って、厚い唇は艶があり、総合的な感想としては「妖艶」の一言に尽きる。
「本当に綺麗な男(ひと)だなぁ」となど思いながら、
youは聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で名を呼んだ。
「DIOさん。」
「んー…。」
「おやすみなさい。」
「…愛してるよ、you。」
「もぅー……ほんと…ずるい…//」
「ククッ。」
いつの間にか微かに開かれていたDIOの眼。
柘榴石のような深紅の瞳と目が合い、途端にyouの顔全体が熱を持つ…。
それ以上視線を合わせていることに耐え切れず、
youは「おやすみなさいっ!」と小さく叫んで、DIOの広い胸に顔をぐりぐりと埋めるのであった…。
そんな甘い言葉で
騙されませんからね!
(吸血鬼、ダメ、絶対!)
you
(・・・痛い。)
DIO
(む…吸血した跡が痛むのか?)
you
(ん、ちょっとだけ。)
DIO
(どれ、唾でも付けておけば化膿止めにもなる。)
you
(止めてやめて!反対に吸血鬼になっちゃうかもしれなーい!)
DIO
(何だと!)
you
(素直な感想。)
DIO
(唾液と吸血鬼のエキスを一緒にするな!)
you
(どーだかー。)
DIO
(吸血鬼にはならなかっただろう、舌入れてキスしても。ん?)
you
(で……DIOさんの意地悪ッツ!//)
words from:yu-a
title by:Fortune Fate様
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