run! rabbit run! (承太郎)
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元から身を守る術などなかったのだ
もう、降参です。
前回までのハイライト
承太郎「youが好きだ。」
you「?!!」
ハイライト終了。
ハイライトにもならなかった今尚なこの現状。
両肩をがっちり掴まれて、視線の先には2つのエメラルド。
考えを脳内で上手くまとめられず、「ああ、綺麗な目だな」なんて思っていると、
ついに承太郎が次の言葉を放った。
「youは俺のことをどう思ってる?」
『すごく…大きいです(外見的な意味で)』と、相手がもし花京院ならば冗談を返せただろう。
そしてナチュラルに、無言で、ピシガシグッグッと拳を合わせることになっただろう。
だが相手は花京院典明ではない…「あの」空条承太郎なのだ。
※「あの」……高校時代はケンカの相手を必要以上にブチのめし、長期入院送りにしたり、威張るだけで能なしと見なした教師に気合を入れてやったところ2度と学校に来なかったエピソードがあったり、料金以下のマズイ飯を食わせるレストランには代金を払わなかったりしたこともあった等、典型的な不良だったことを指す(花京院情報)
冗談でも冗談は返せない。
石のように固まってしまったyou。
変な汗が噴き出すその間際、承太郎の瞳が揺らいだ。
「…っ、だよな…。」
「え・・・?」
「まぁ、当たり前だよな……怖ェよな、お前は、俺のこと…。」
「!!」
するりと腕が下され、自由になったyouの身体。
離された肩と、承太郎の太い腕に視線を落としたのち、戸惑い気味に顔を上げると、
これでまでないくらい…否、誰からも向けられたことのないくらいに優しく笑みを浮かべる一人の男がいた。
彼はその大きな手でyouの頭をぽんぽんと軽く撫でて、ゆっくりと言った。
「悪かったな、怖がらせて。もう大分慣れたかと思ってたんだが……そうじゃあなかったんだな。」
「じょ…///」
「一人で先走って悪かった。でも、お前のことを好きってのは……。」
「く……じょ…承太郎くんって……。」
「あ…?」
「わ…笑うんだね。」
「まぁ、人間だからな……一応…。」
話の腰を折られ、しかも予想外に傷付いた気がした承太郎だったが、
当事者であるyouの様子を見ると、どうやら傷付くにはいささか早とちりな気がする。
というのも、彼女の表情を見る限り、驚いて目を大きくしているわけでもなく、
ただ、頬を赤くして承太郎から目を逸らして…否、目があちこち泳いでいるようだったからだ。
「ご、ごめんね……失礼なこと言って。」
「いや…実際あまり笑わないからな…。」
「うん……でも……すごく……//」
「ん?」
「すごく優しかった。わたし……承太郎くんの笑った顔、好き…//」
「っ……!!//」
「いつもビクビクしてごめんね……やっぱりすぐには慣れないみたい…でも……やっぱり一緒にいたいって思うよ。ゲームだって一緒にしたいし、お茶だってしたい。」
「you…!!」
「その……好きだって想いに応えられるかどうかは…分からないけど…//」
「いや、それは困る。」
「え。」
別段、彼女の反応に勝機を見出したワケでもなければ、
ゴリ押しで言い包められると判断したワケでもなかった。
ただ、思い出しただけだった。
『youの笑った顔が見たい』という目的を。
もちろん、知り合ってから何度か笑っている顔を見ることはできた。
その姿も愛しいし、可愛いと思ったことは確かだったが、いつも「何かが違う」と思ってもいた。
そして、今、気付いたのだ。
自分(承太郎)が『彼女だけを想って笑う顔』を見せていたことに。
そして、それを自分に置き換えてみたときに、同じように彼女に『自分(承太郎)だけを想って笑う顔』が見たいということに。
「俺は、youが好きだ。」
「いや、あの…。」
「理由はうまく言葉にできん。」
「ちょ…ま…!」
「兎に角好きだ。」
「ど、どうして…そんな…。」
「無理に俺を好きになれとは言わねェよ……ただ…。」
「・・ただ?」
「俺か、花京院以外の男にはyouを渡したくない。」
「の…典明くんはいいんだ…?」
「花京院は…いい奴だからな。お前を傷付けたりしないし、守ってやれると分かってるから、いい。」
「…じょうたろうくん…。」
「これは、好きってことだよな。(今度は)間違っていない(ハズ)。」
「そう…だ、ね。うん。」
「答えは……今じゃなくていい。ただ…。」
「え…。」
「YESしか認めねェ。」
「横暴だ!!」
穏やかなのは雰囲気だけで、放たれた言葉は容赦など皆無なものだった。
流石のyouも黙ってはおれず反論の意を示す。
「それってもう逃げられないって意味じゃないですか!」
「ああ、そうだな。」
「そんなの…!」
「だから、言ってるだろ……。」
「逃がさないって。」
「っ…!//」
ほんの一瞬だけyouの頬を承太郎の長い指が撫でる…。
ボッ!とベタな効果音が自分で聞こえそうな程、youが赤面を果たすと同時に、
承太郎がその手を自分のポケットに仕舞い込んだ。
「どれだけ時間が掛かってもいい。お前が俺といて怖くねェって思えるようになって…俺のことを好きだって思えるようになるまで、待ってる。」
「待つって…待つって言っても…。」
「普段は気が短けェが……youのことなら話は別だ。待つ。とことん待つ。どんだけでも待つ。」
「承太郎くん…。」
「待つんだからその間に俺に惚れるんだぞ、いいな?」
「そ、そんな無茶苦茶な…。」
「俺にしてみりゃとんでもない譲歩なんだぜ、これでも…。」
「何様俺様承太郎様って感じだね。」
「何だそりゃ、そこまで天上天下唯我独尊じゃねェだろ。」
「いやぁ~近いよ?ていうか今の告白…とか正にそうじゃ…?」
「いや違うって……ああ、あれだ……獅子は兎を狩るにも全力を尽くすってヤツ…。」
「(合ってる…。)」
「(合ってるな…。)」
2人して顔を見合わせ、すぐにふっと目を逸らして思考を巡らせる。
存外間違っていなかったシチュエーションに反論の言葉が出てこない様子のyou。
次に紡ぐ言葉が見つからない状態のようだったので、承太郎の方がため息交じりに切り出した。
「まぁ、そういうことだ。」
「わ…わたし…狩られるんだ…。」
「ああ、全力で。」
「全力で…。」
「全力なら5…いや、3…か?」
「え、な、何が?」
「ん?youが俺を好きになるのに掛かる時間。」
「3年…?あ、いや、もしかして3ヶ月?!」
「いや3日。」
「3日ッ!?!」
そんなにコロリと落ちるかい!とツッコミを入れるべく動かしたyouの手が承太郎に軽々と掴まれる。
掴んだ彼女の手を自分の唇の近くに持ち上げ、噛み付くように言い放った。
「俺のこと怖がってるけど、youが俺のこと好きになりたいと思ってるの知ってる。」
「!?!?!///」
「合ってるだろ?」
「あ………合ってる、かも…//」
「3日だろ?」
「せ、せめて、み…いや、……さ……さんかげ…。」
「あぁ"?」
「さ……3週間……ください…。」
「・・・分かった。3週間だな。」
そう、満足そうに言い切ると、パッと掴んでいたyouの手を放す。
放された手を胸に当てると微かに小刻みな鼓動を感じる。
それはまるで小動物の心音のように早いのではないかと思うyouなのであった。
この3週間後
兎は獅子に狩られました。
words from:yu-a
title by:Fortune Fate様
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