徳川家康
name setting
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
これは、そう
仕方の無いことだったんだ!
狸の傘隠し
ワシの名前は徳川家康。
ワシには好きな女子がいる。
名前はyou。
彼女はワシと同じクラスで、誰にでも基本的に優しく接している。
見目は割と美しい方で…ううん、可愛い、と言った方がしっくりくるな。
そう目立つ性格ではないようで、話している限りでは大人しい部類に入ると思う。
真逆とまではいかないが、全てに於いて凡そワシとは反対の性質だろう。
何故、ワシが彼女を好きになったかと言えば、それは一目惚れと言っても過言ではない。
初めて見掛けた時に「可愛い」と思い
同じクラスになってテンションが上がったし
席替えで隣になって、初めて…これは恋だと確信した
それからyouとは沢山話をするようになって、その度に嬉しいと思うワシがいた。
席が離れてしまっても、持ち前の積極性をもってyouに話しかけて
その絆を絶やさぬように努力していたのだが…。
今、その絆が危ぶまれている。
春が来て、ワシは新しい学年になった。
新しい教室、新しい担任、新しいクラスメイト…。
その中に、youはいない。
後で廊下でばったり出会い、直接本人に聞く機会があったので、
即刻尋ねてみれば、彼女は隣のクラスになったのだという。
「早速友達ができた」と嬉しそうに笑う彼女を見て、
男か女かも分からない、彼女の新しい友人に柄にも無く嫉妬心を抱いた。
これは徳川家康、男の見せ所ではないのか。
「そこでワシは決心した!youに告白するのだと!!」
「・・・・!」
「そうか、応援してくれるか!忠勝!」
忠勝もこうやって応援してくれているのだから、これは何が何でも成功させねば!
ワシはそう意気込み、やがて来る放課後を待つことにした。
・
・
・
・
今日はボクシング部の練習があったが、ワシは忠勝に頼んで欠席を伝えてもらうことにした。
LHRの後、友人と話し込んでいたのか、youは暫くして教室から出てきた。
終わるのはワシのクラスの方が遅かったから、助かった!
このときばかりはyouの友人に感謝せねばいかんな!
距離を離して彼女の後から下駄箱まで付いて歩く。
そしてワシは彼女の困ったような声が聞こえるまで待った…。
案の定、人気の少なくなった下駄箱にyouの「どうしよう」という微かな声が響いた。
すかさず偶然を装ってyouの前に現れ、声を掛ける…。
「youじゃないか、今帰りなのか?」
「あ、徳川くん…。」
「どうした?何か困ってるのか?」
「うん……傘、取られちゃったみたいで…。」
「それは難儀だな……どんな傘なんだ?」
「よくあるビニール傘……でもシール貼って名前書いてたんだけどな。」
「そうか……名前のあるものを持っていくとは、大胆不敵にけしからんヤツだなぁ。」
「置き傘も無いし、このまま帰るしかないか。」
「それならワシが送ろう、狭いかもしれんが…ズブ濡れよりマシだろう?」
「い、いいよいいよ!そんな迷惑掛けられない!」
「ワシと帰るのは嫌か?」
「そういう意味じゃ…。」
「ワシはyouと一緒に帰りたいんだが…。」
「うう……ごめんなさい、お言葉に甘えていいかな?」
「勿論だ!」
間違いなく言える、今のワシの笑顔は太陽より輝いていると。
申し訳なさそうにワシの隣に立ち、広げた傘に入るyou。
小さな肩が当たる度に心拍数が上がっていく気がする…。
いつ告白すべきかと考えていると、youがワシに話しかけてきた。
「そういえば徳川くん、今日…部活は?」
「ん、ああ……今日は…サボリだ!」
「え、意外…徳川くんもサボるときがあるんだ…?」
「ワシだって、真面目に生きる以上に大事な事がある。」
「そっか、そだね。」
「そして今がその時なんだ。」
「え?」
傘にパタパタと雨粒が落ちる音がする。
それよりは大きな声で以ってワシはyouに言う。
「youとクラスが離れてしまって寂しい。」
「ほんと?わたしもだよ…明るい徳川くんがいなくて寂しいよ。」
「隣のクラスとは言っても、関わる機会も無くなるし……youとの、絆が解けていくようで…怖いんだ。」
「折角今まで同じクラスで沢山話せてたのにね。」
「ああ……だから、できれば…解けないように、結んだままでいたいんだ。」
「うん!クラスは違うけど、わたしはずっと徳川くんのこと友達だって思ってるよ!」
「それじゃぁダメなんだ、you!!」
「え?だめなの?」
「ダメだ!」
「ずっと友達」宣告されたが、それが何か?
ワシはそんなことでは諦めん!
立ち止まって、youを真剣に見下ろせば
きょとんと不思議そうな顔でワシを見上げてくるyou。
思わず抱きしめたい衝動に駆られたが、グッと拳を握って我慢する。
「あのな、you……ワシは、youの事が凄く好きなんだ。」
「っえぇ?!」
「そのままの意味で取ってほしい。」
「それって…。」
「youのことが好きだから、そう想っているから、クラスが離れてしまって寂しい。」
「・・・」
「絆が解けそうで怖いんだ、と。」
自分でも分かる、いつものワシからは想像できないほど情けない表情になっているのだと…。
できればそんな顔は見せたくなかったが、無意識にそうなってしまうのだからしょうがない。
そんなことを思っていると、youが徐にワシの制服の裾を引く。
見下ろせば、多分、ワシと同じような顔をしたyouが顔を真っ赤にして尋ねてきた。
「それ、ほんとう…?」
「勿論だ。」
「っ……あり、がとう…。」
「どういたしまし、て…??」
「あのね……わたしも好きだよ、徳川くんのこと。」
「なにっ?!」
「実は今日ね、思ったんだ……好きなんだって。」
今日でも明日でもいい、好きになってくれるのなら!
ワシの方が随分前から好きでいたが、そんなこと、もうどうでもいい。
「いつも話してた徳川くんが、わたしの中で一番大事な存在になってたこと、離れて初めて気付いたの。」
「うん、うん!」
「あんなにいつも傍にいたのに、心にぽっかり穴が開いたみたいで…。」
「・・・you。」
「新しいクラスに慣れたら、きっと穴は埋まるんだろうなって…思ってた。」
「ダメだ、それは困る!」
「だけど、こんな風に言われたら、もう穴は埋まらないじゃない……徳川くんと一緒にいないと。」
やっぱり困ったような表情で、頬を赤く染めて、youは笑う。
釣られてワシも笑うのは必然なことだ。
かくしてワシは見事、告白してyouとの絆を守ることができたのだった。
ただ、一つだけyouに謝らなければならないことがあるとすれば
「ああ、傘を隠してよかった。」
そう心の中で悪どくほくそ笑んでしまったことだろう。
秘儀!
徳川流 傘隠し!
you
(あ!徳川くん!見て、傘帰ってきたんだよ!)
家康
(そうか、よかったな!)
you
(純粋に借りてったって感じだね…わたしは迷惑したけど。)
家康
(だが、傘を隠したお陰でワシはyouと付き合うことができるようになったんだ。)
you
(そうだね……って今、何て?)
家康
(あ、しまった。)
you
(もしかしなくても、傘…隠した?)
家康
(・・・・・。)
you
(ちょっと、徳川くん?!)
家康
(ワシ、次は移動教室だから!!)
you
(ちょっと!!徳川くん、徳川くんってば!)
家康
(ハハハ!!youがワシのこと名前で呼んでくれたら真相を話してもいいぞー!)
you
(っ…家康ゥウウウウウッ!!!)
家康
(それ……やだ。)
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*
1/1ページ