石田三成
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嘘など吐かなければよかったと!
ウソ2つ。
今日はエイプリルフールなるものだと刑部が言うので、
どういう日かと問えばいつものような引き笑いの後に簡単な説明をしてくれた。
「ヒヒ…エイプリルフールとは嘘を吐いて人を騙し、貶めることが許された日よ。」
「何…そんなふざけた日があったのか?」
「あったのだ。」
「だからと言って、嘘で陥れたとしても所詮は嘘…何も誰も、得する事はない。私には無意味だ。」
「果たしてそうと言い切れるか、三成よ…。」
「なに…?」
怪訝な顔を刑部に向ければ、奴はまた笑いながら私に言った…。
「主はかの娘の困った顔を見るのは好きであろ?」
「・・・否定はせん…。」
「ヒヒッ、正直正直。」
「それで…それがどうした、刑部。」
刑部の言う『かの娘』というのは、私の同級生で結構な時間私の傍にいるyouという女で…
ええい、まどろっこしい!
詰まるところ私の女だ。
先に付き合ってほしいと言ったのは向こうからで…。
私は奴がかねてから気になっていたこともありその告白を受けて…。
というか私は誰に説明をしているというのだ!
そういうわけで、youは私の恋人というものなのだが、
私は刑部と少し似ているところがあるらしい。
とどのつまり、冒頭で刑部が言ったように私はyouの困惑した顔を見るのが好きなようだ。
勿論、私にだけ見せる笑みも同じくらい好きなのだが…
…何というか…私が少し苛立ちを見せたりすることで垣間見れる
youの潤んだ瞳や伏せた睫、ぎゅっと結ぶ唇を見ていると、どうしようもなく私の加虐心が煽られるわけだ。
それが何故そのエイプリルフールと結びつくのかと思い、
頭に疑問符を浮かべたまま、それをそのまま刑部に尋ねる。
「youのそれがエイプリルフールとやらと何の関係があるのだ?」
「彼奴は大層ぬしの事を好いておる故、どんな嘘でも信じるであろ?」
「・・だろうな。」
「そんなyouに主から『他に好きな者ができた』と告げれば、どのような反応をするのか、見たくは無いか?」
「・・・なるほど、それがエイプリルフールの醍醐味という事か。」
「左様。」
「性質の悪い嘘だな。」
「否定はせなんだ。ただ、人の不幸を見るのが我の楽しみ故、嘘でもその反応が見れれば我は楽しい。」
「・・・あまり気はすすまんが…。」
「主も大層彼奴を好いているのだな。」
「そっ、そういうわけではない!ただ…虚言は良くないと…。」
「だから普段できぬ嘘を吐いても良い日に嘘を吐くのだ。」
「・・・成程。」
たとえ吐いた嘘で人を困らせたり怒らせたりしても
全て「エイプリルフールだから」で済ませるというわけか。
そういう保険があるのであれば、大きな嘘を吐いてみるのも楽しいかもしれない。
「・・・言ってみるか。」
「ヒヒヒッ!!三成、我は放課後が楽しみになったぞ。」
「…言っておくが、私がyouの反応を見たくてやるんだぞ、刑部…。」
「無論。」
至極楽しそうに笑う刑部を見て、何となく嫌な予感がしたのだ。
その時、嘘を吐くことを止めていればよかったと…。
今、切実にそう思う。
「それ…本当なの?」
「・・・ああ。」
「…その人は、わたしの知ってる人?」
「それは言えん。だが、お前より…その者を好きになってしまったことは確かだ。」
「・・・そ、っか…。」
「…ッ・・・!?」
潤んだ瞳で「嘘…」や「どうして?」と…。
いつものように加虐心を煽るような表情を浮かべるかと思いきや…。
youは少し複雑そうな顔を浮かべた後、苦笑して言った。
「それならしょうがないよね…。」
「え・・・。」
「わたしも、新しい恋、するから。」
「な…え?」
「な、泣かないから、大丈夫……わ…わたしもね!いいなって思っちゃった人がいるの。」
「はっ?!」
「その人のこと、好きになるようにがんばる。」
「お、おい…!」
「三成くんも……が…がんば…っ……も、無理…ッツ!!」
まさかの「自分にも気になる人ができました」発言に目を丸くしていると、
何故か苦笑を歪ませて、youは私に背を向け走り出した。
一瞬何が起こったのか、色々な意味で理解が追いつかなかったが、
兎に角、真相を知る為にも、誤解を解くためにも引止めなければと思い、私も後を追う。
youはナカナカ全力で走っているようで、軽く追いかけたくらいでは捕まらないようだ。
何故こんなことになってしまったのかという苛立ちで無意識にスピードが上がっていく。
ハッとして気付けば、捕まえようとしたyouは既に目の前におり、
場所は先ほどまでいた廊下ではなく、校舎屋上の扉の前にいた。
階段を上りきった場所で、youを押し倒した状態。
眼下の彼女は「三成くん恐皇怖いぃいい!」と本気の顔で泣き叫んでいた。
「す、すまん!つい、怒りで…。」
「王蟲?!」
「鸚鵡がどうした……っ、いや、そうじゃない…違う。」
「・・・み、三成く…?」
「すまん。」
「ぇ…?」
未だ頬を伝う涙を軽く指で拭って、誤解を解くべく口を開く…。
「今日はエイプリルフールだと…今朝方、刑部に聞いたのだ。」
「・・・う、そ?」
「そうだ、嘘、なんだ……先程の、言葉全て。」
「ほんと、う?」
「本当…いや、嘘……ええい、紛らわしい!「好きな者ができた」など、嘘だ。」
「・・・っ…!//」
「貴様の……困った顔が見たくて……だが、こんなことになるとは…。」
「・・・ぁ…。」
「・・・傷付けるような嘘を吐いた報いだな…まさか、お前に「気になる者がいる」と言われるとは…。」
「そ、それは…。」
俯いて、小刻みに暫く震えた後、ゆっくりとyouが顔を上げた。
潤んだ瞳…どころの話ではない。
目にいっぱい涙を浮かべて、それは何度も溢れて頬を伝う。
息を何度も飲み込んだ震える声で、私に言った言葉は…。
「そん……そんなの…居るわけ、ないですっ…。」
意味が、分からない。
言葉通りの顔を浮かべていたようで、私の表情を読み取ってその理由を話してくれた…。
「どういう意味だ?お前の心を奪った奴は……誰なんだ?」
「三成くんのばかぁ……本当に、ホントに駄目になっちゃったかと思ったんだ、からっ!」
「・・・。」
「今日はエイプリルフールでしょう?だから、三成くんが気兼ね無く…わたしから離れていけるように…嘘でも強がっていようって、思ったの。」
『でも、涙が溢れて無理だった』
youはそう言った…。
「それは、つまり…。」
「気になる人なんて、いないよ…っ?」
「・・・ぁ、ぇ…?」
「わたしが好きな人は、三成くんだけだもん。」
「ずっと」と、言葉を付け加えて、youは私を見上げる。
何とも切な気で、憂いを帯びた表情が私に大きな罪悪感を抱かせて心を抉った。
冷たくする時や困らせる時の悲しそうな顔とはどうにも質の違うそれに
私は軽々しく嘘を吐いたことを酷く後悔し、謝罪の意を込めて強く抱きしめる。
「悪かった。もう、あんな嘘は二度と吐かないと約束する。」
「…もっ、元々わたしの方が沢山…たくさん三成くんを好きだったか、ら…。」
「初めはな……だが、今は違う。私はちゃんと…youを好いている。」
「…っ…っく…。」
「誰の元へも行かないでほしいと。」
「みつ…。」
「と言うよりは…誰かの元へ行こうものなら、相手を斬滅するくらいの勢いだ。それほどに…離れ難い。」
「わ…わたしも……やっぱり、三成くんが…好き、すきです…っ!」
「・・・当然だ。」
そう言って微かに笑ってやると、泣きながら笑顔を返してきた。
youの困り顔や泣き顔が好きなことは変わらないだろう。
しかしながら、今回の件で分かったことがある。
結局、最後に笑ってくれる顔が、私は一番好きだ。
エイプリルフールなど
もう懲り懲りだ!!
三成
(刑部!わたしはエイプリルフールを憎むぞ!!)
刑部
(徳川ではなくか?)
三成
(家康もだ!)
刑部
(嘘を吐くところまでは壁に隠れて見ておったが、その様子だと大丈夫だったようだな?)
三成
(何が大丈夫なものか!散々だ!危うく破局するところだったぞ!!)
刑部
(しかし、最終的に主は彼奴を欺けなんだ。)
三成
(あのような嘘で泣かせる顔は胸糞が悪かっただけだ。)
刑部
(ふむ…して、どうやって彼奴を宥めたのだ?)
三成
(それは…。)
刑部
(愛でも告げたか?)
三成
(ぎょっ、刑部、何を言う!//)
刑部
(ヒヒッ、主の楽しい顔が見れたからまぁ、良しとするか。)
三成
(刑部……もしかしなくても、私をからかったのではな…)
刑部
(無い。そんなつもりは毛頭無い。無いが、いつも主には手を焼かされる故、たまには主にも踊ってもらおうと思っただけよ、ヒヒッ…。)
三成
(ぎょ~う~ぶ~~~~ッツ!!!)
刑部
(やれ、我よ、逃げろ逃げろ。)
words from:yu-a
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