ヒソカ
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「卵とお砂糖と…チョコレートに…。」
キッチンに立ち
テキストと睨めっこすること数時間
「できたー!」
youは満面の笑みを浮かべた
St. Valentine's Day
そう、本日は最早世界の風習と言っても過言ではない「バレンタインデー」のイブ。前日。
今回、自分がお菓子を作って食べてみたいと思ったこともあり、
youは普段あまり行ったことのないお菓子作りに挑んだのだ。
「イルミさんには家に郵送すればいいかな?危険物と思われて廃棄されちゃうかな?」
う~んと一人悩む。
結局、それ以外の手段は思いつかず、彼に関しては最寄のポストステーションに持って行く事を決めた。
そして、彼女の中で最たる重要な渡すべき相手を思い浮かべたところで、
ピンポーンとチャイムが部屋に響き渡った。
「あ、はーい!」
「や♥」
「!!」
なんというバッドタイミングだろう…。
玄関を開ければ、チョコレートを一番渡したかった相手が立っていた。
驚き、慌てるyouの姿に、どうしたのかと首を傾げるヒソカ。
部屋から漂う甘い匂いに気付き、興味本位で「何か作ってたの?」と尋ねれば
彼女の口から更に焦った声色で「オマーリ!」と珍妙な単語が飛び出した。
それは何かと尋ねれば、アイジエン大陸にある有名な国の有名な甘味だと言う(勿論嘘)。
「へぇ♣面白そうだね、ボクも食べてみたいな♥」
「ダメ!絶対!」
「えぇ~!」
「あ、あした!明日なら!」
「何で…?」
「な…何でって…それは、その…!」
「何で言えないの?」
「だって…!」
完全拒否をされたことに、ちょっとばかり不機嫌そうなヒソカ…。
「兎に角今日はダメなの」と言って後ろ手にドアを閉めそうになったyouの手をパシッと掴む。
驚いた顔で見上げてくるyouに、にっこりと悪意の込んだ笑みを浮かべ、
ヒソカはyouの肩を抱いたまま移動させ、玄関のドアを開け放った。
途端に強烈に香ったチョコレートの匂いで、彼女が何を隠そうとしていたのかを理解する。
「ヒ、ヒソカさん、ダメ!」
「くっく……料理は何でもできたてを食べなきゃ♥」
「だからそれじゃ……!」
「ダメなんです!」という言葉が出る頃には、ヒソカはもう既に台所の完成品をじっくり眺めている最中だった。
「これ、チョコレート?」
「うううー!!」
「凄いね、一人でケーキ作ったんだ?」
「・・・。」
「それともこれが某国の甘味なのかな…えーっと、オマーリ…だっけ?」
「違います…。」
「クックック……だよね?これ、どうした……の…って、ぇええええ?!!!」
「…っ…く…。」
くるりと振り向けば、台所の入り口で立ったままグスグスと泣き出しているyouがおり、
ヒソカは柄にも無く慌てて「ど、どうしたの?!」と彼女に駆け寄った。
そんなに自分にこのケーキを見せたくなかったのかと思うと複雑な心境だが、
理由云々は後で聞けばいい、兎にも角にも今は彼女を泣き止ませる事が先決だと、そう決めたヒソカ。
「ごめんよ」と何度も繰り返し、それはそれは珍しく眉を下げた表情でyouの髪を撫でたり、背中を擦ったり…。
ようやく泣き止んだ頃には、らしくない自分に嫌気が差したような
そこはかとなくげんなりした表情でヒソカは気落ちしていた。
「す、みません…ひそ、かさん。」
「もう大丈夫?何か…色々ゴメン……そんなにボクを家に上げたくなかったんだね…(自分で言ってて結構ショックなんだけど…)」
「ちが、います…。」
「違うの?」
ふるふると首を横に振り、涙目で「ごめんなさい」とヒソカを見上げたyou。
ヒソカの股間がズギュゥウンと鳴ったのは言うまでもないだろう。
ぐっと自分を制し、ヒソカは引き攣った笑顔を浮かべた。
「何で…ごめん?」
「だって、今日じゃなくて……これは明日のだもの…。」
「明日のって……何の?」
「だって、明日が……バレンタインなのに……今日じゃない。」
「ああー……そういえばそんなイベントがあったような…もうそんな時期なんだね♠」
「うん…だから、作ってたんだけど…。」
「えーと…もしかしなくても……ボクの?」
「はい……あと、イルミさんの。」
「あ、そう…(イルミのもか…)♣」
「イルミくんのは郵送だけど……ヒソカさんは直接渡そうと……思って…た、のに…。」
「わーーー!!!」
再びじわりとyouの目尻に浮かんだ涙をヒソカが慌てて傍に在ったティッシュで拭い取る。
「思いっきりネタバレしちゃったよぉおお!!」
「あらら……そういうことか…◆」
「ささやかなサプライズが…。」
「ささやかなんだ…。」
「もういいよー!YOUできたて食べちゃいなYOーー!!ヒソカさんのばかー!」
「youが拗ねた♥」
「包装してあるのはイルミさんのだからダメ、ヒソカさんのは手前の。」
「要らない♠」
「え・・。」
「今日はケーキの気分じゃないから、要らない♣」
「え…と…。」
今までとは打って変わって冷たい声色にビクリと肩を揺らし、
怯えたようにも見える瞳で…youはヒソカを見つめた。
言葉のあやとはいえ、馬鹿呼ばわりしたことが気に障ったのだろうか?
そんな不安がどんどん彼女の心を支配していったのだが、実際はそうではなかったらしい。
ヒソカはすぐにニコリと笑うと「勘違いするなよ♥」とyouの髪をそっと撫でた。
「ボクは「今日は」気分じゃないって言ったんだ…◆」
「ひそ…」
「明日は確実にチョコレートケーキの気分だよ♥」
「えーと……?」
「うん、今日は……そうだなぁ……♠」
「??」
「あ、あったあった♥」
キョロキョロと辺りを見回した後、ヒソカは目当てのもの……ボウルに湯せんしてあったチョコレートに指を突っ込んだ。
既にケーキは完成し、もう使うことは無いので別に構わないのだが
ヒソカの行動が分からずyouは頭に疑問符を浮かべ、呆けていた。
「まだ暖かい♥」
「湯せんしてあったから…。」
「ハイ、you♥」
「え?」
「舐めて?」
「もう…チョコの気分じゃないなら何で指突っ込んだんですか…。」
「・・♥」
ヒソカが差し出した人差し指をぱく、と口に含んだyou…。
すぐに口を離したが、少し残っていた部分が気になったらしい。
一度、猫のようにぺろっと下を這わせ、チョコレートを拭い取った。
「you……♥」
「ん?」
「ボクもチョコレート食べたくなっちゃった…◆」
「ケーキ、切りましょうか?」
「ううん、それは明日★」
「でも…ケーキ以外は作ってないです…。」
「ここにあるよ、ホラ♣」
「湯せんのチョコでいいなら……もう使わないし、全部どうぞ?」
「じゃぁ、遠慮なく…◆」
「?!」
ハッと気付いた今ではもう時既に遅し…。
撫でたり肩を抱かれたりしている間にヒソカはyouにバンジーガムをくっ付けていたらしい。
動かなくなった両腕はキッチンと冷蔵庫にピッタリ張り付けられていて、最早身動きが取れない。
「腕…動かない…。」
「じっとしててね♥」
「凄く嫌な予感…。」
「どんな予感?」
「うーんと……ばしゃっと、湯せんしたチョコレートかけられたり?」
「ブッブー、ハズレ♠」
「え、違うの…?」
「正解は、服が汚れないように脱がした後、湯せんしたチョコレートかけられるでしたー★」
「だいたいあってるやん!」
「クックック…♥」
じりじりと近づき、ヒソカは終にyouの上着に手を掛ける…。
「何でこんなことに…。」
「それはyouがボクを煽るからさ…♥」
「ヒソカさん……あのね…。」
「ウン?」
「フライングでごめんね…。」
「ウン……ボクこそゴメン…◆」
「ハッピーバレンタイン…イブ!」
「くくっ、ありがとう♥」
「あのね、えっと……今年も大好き、です!」
「それは…卑怯だよ…♥」
ひとまずは…と、チョコレートをかけてしまう前にヒソカはyouから甘い口付けをもらう事にするのだった…。
words from:yu-a
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