天空闘技場編
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「試合受けてくれてありがとう、youちゃん。」
「…よろしくお願いします。」
リング上で笑みを浮かべるサダソにyouは丁寧に一礼した。
Passing mark
ゴウカクxノxライン
04:versus
実況のアナウンサーがサダソとyouの軽いプロフィールに触れる中、審判は「始め」の合図を出す。
ザッと間合いを取るyou…。
「そう警戒しないでよ…殺したりなんてしないから。」
「サダソさんはやっぱり念使いなんですよね?」
「そうだよ。でも君もだろう?そうじゃなきゃ200階には来れないし…それでなくても、よっぽど無謀なヤツじゃなきゃオレ達と試合をしてくれないハズだ。」
「わたしは念を知って、その修行のためにここに来ました。」
「そっか、じゃぁフロアマスターに興味は無いんだ?」
「あまり無いですね。」
「じゃぁ尚のコト、君には怪我をさせたくなくなったよ。」
サダソの目的がフロアマスターだと分かり、youは段々と彼と本気で戦える気がしてきた。
会話ばかりで試合がなかなか始まらないことに苛立ち、観覧席からは野太い野次ばかりが飛んでくる…。
しかしながら、こればかりはしょうがない…。
サダソ自身がyouと話したがっているからだ。
身構えているyouに攻撃を仕掛けることなく、サダソは会話を続けてくる…。
「君が念を知っているから、素直に戦えるのは嬉しいよ。」
「??」
「ホラ、だって…たまに来るんだよね…念を知らずに勝ち上がって…ココで手痛い洗礼を受けるヤツがさ。」
「・・・。」
「それって……オレの事だったりするんだけどね!!」
「!!」
その瞬間、サダソが思いっきり地を蹴り空へ跳んだ。
なるほど、中々に高い跳躍に対し、youもサダソの力量が中々に高いことを感じ取る。
そのまま下へ落下しつつ、サダソは重力を味方に付けた蹴りを繰り出した。
「(脚にオーラ纏わせてない…手加減…されてるんだろうなぁ…でもそれじゃ修行にならないし…)」
「ガードするより避けた方がいいんじゃないかい?」
「でも、重力だけの乗算なら「堅」で防げてしまいますよ?」
「「堅」…?」
「(あ、応用技知らないんだ…!)」
「く…っ!」
勢いのついた蹴りではあったものの、youが両腕をクロスさせて纏った「堅」の前では到底敵わず…。
弾かれて、元いた立ち位置に戻されてしまった。
「(この女…!)」
「次はわたしからです!」
「参った。」
「え・・・?」
それは突然の敗北宣言だった。
youだけでなく、審判までもがきょとんと目を丸くするほどの驚き。
2人の会話が聞こえていない観覧席や実況席は未だ「戦え、戦え」と大声を張り上げる。
「あの…さ、サダソさん?」
「参った。オレの負けだ。」
「え…っと…。」
戸惑うyouに対し、表情を変えずにサダソがチラリと審判に目を馳せると、
ハッと肩を揺らし、審判の男はyouの勝利を宣言した。
「サダソ選手の棄権につき、you選手の勝利!」
審判のピンと張った右腕を実況席のアナウンサーが確認し、叫ぶ…。
「な、な、なーんと!!サダソ選手は棄権!棄権につき、you選手の勝利ですーーッツ!」
大きな声がフロア中に響き渡り、会場がどよめく…。
2人の会話が長かったこともあるのか「八百長ではないのか」との声までが上がっている。
そんな周囲の状況を全く気にせず、サダソはyouに近づき声を掛けた。
「youちゃん…酷いなぁ、君…確実にオレより強いだろ?」
「えっ?!いえ、そんなことないです!」
「負け戦になるなら、怪我しないに限る……また腕を持ってかれちゃ困るんでね。」
「!!」
ポンポンと自身の右手で、左腕を叩くサダソ…。
長いローブのような服を着ていたため分からなかったが、
どうやら彼は念の洗礼を受けて左腕を失っていたらしい…服に沈む右手を見てyouは理解した。
それから2人してリングを降り、控え室へ向かう…。
「(己の力量を見極めて引くのも大事…ってことなのかな…でちょっと早すぎだよぉ~…。)」
「オレは判断が早い方でね。でも、ギドとリールベルトは戦(や)ると思うよ。」
「は、はぁ…。」
「ところで、youちゃん…今日はもう試合無いんだよね?」
「あ、はい!」
「よかったら一緒に食事でも……ッツ?!!」
唐突な話題の切替を試みてきたサダソに対し、
youは「へ?」と素っ頓狂な声を上げ、小首を傾げる。
しかし、笑顔で食事を誘うそのサダソの表情は一瞬で引き攣ったものへと変化した。
酷く悪質なオーラが彼に向けて発されていたためであろう。
バッと勢い良く威圧感を感じた方向を振り向くと、
恐らくyouに会いに来たのだろう、其処にはヒソカの姿があった。
「悪いケド…彼女、先約アリなんだ♥」
「あ…あぁ…わ、分かった……じゃぁ、ま、またねyouちゃん…!!」
表面上はまるで道化のようにニコニコしながら、
しかしオーラは不機嫌最高潮といった様子。
「あっ!サダソさん、今日はありがとうございました。」
「あ、ああ…。」
そそくさと立ち去っていこうとするサダソにyouは深々と一礼し、
ヒソカの方へと駆け寄った。
「ヒソカさん!」
「や♣」
「どうしてここに?」
「まぁ、ボクも選手だからね…ここに来れなくはないだろう?」
「そうですけど、ヒソカさん今日、試合は…。」
「無いよ♣ キミに会いに来ただけ♥」
「わたしに…?」
「ウン♥ 理由が無いと会いに来ちゃダメかい?」
「いいえ!全然!!うう、嬉しいですっ!」
「そう…よかった♥」
先程とは打って変わって、ピリピリしていたオーラは微塵も感じられない満面の笑み。
すぐにyouもヒソカに笑顔を返した。
「あ、そういえば…キミの名前聞いてなかったよね?」
「あああッツ!!そそそうでしたっ!あの、す、すみません!!」
「??」
「そういえば初めてお会いした時わたし、確か本名を言ってなくて…。」
「ああ、大丈夫。えーと……youちゃん…で、いいのかな?」
「はいっ!」
「youって呼んでもいいかい?」
「もちろんです!」
「ありがと♥ ボクはヒソカ……って、知ってるか。」
「ふふ…知ってます。」
一年越しで今更の自己紹介かと思うと面白く思えてきて、youはひたすらにクスクス笑う。
ヒソカはそんな彼女を微笑ましく眺め、暫く経った後に「ああ、そうだ」と自分が此処に遣って来た目的を話し始めた。
「忘れてた◆you、今から時間あるかい?」
「え?あ、はい。今日はもう試合無いのでフリーです…ケド…。」
「そう…♥じゃぁ、もう少ししたら一緒に夕飯でも行かないかい?」
「ええっ!!?」
「え?だめ…?」
「い、いいんですかっ?!」
「ウン…?」
「ひ、ヒソカさんとご一緒させていただいても?」
「モチロン♥ 言っただろ「2人で合格のお祝いしなきゃね」って♠」
「で、ですけど…!//」
「それじゃぁもう決まり★2時間後に昨日再会した場所で待ち合わせようか?」
「は…はいっ!」
「お店はこの近くでボクが予約しとくから……ドレスコードは特に無いけど、ちょっとだけお洒落したyouが見てみたいなぁ、ボク♥」
「わ、わかりました…。」
「ウン♥」
「よろしくね」と言いながらyouの髪をくしゃりと撫で、ヒソカはその場を去っていった…。
youはというと、別段ヒソカに憧れたりしているわけではないが
強い念使いなのは雰囲気で分かるし、誰に対しても臆せず自分のスタンスを貫き通すキャラを凄いと思っているようだ。
(要は典型的な天上天下唯我独尊男であるが…。)
ならなくてもいいのに「彼のように凄い念使いになるぞ!」と、一人控え室の前で意気込んできた…。
words from:yu-a
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