ヨークシン編
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「「「ゼパイルぅうう?!」」」
ヨークシンの街の一角…。
ありふれたファミリーレストランに3人分の大声が響いた。
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ゴウカクxノxライン
15:An incident at the auction area
「おう!」
「お、お前の所為でこっちは無駄金払うことになったんだぜ?!何で売り上げの2割も渡さなくちゃなんねーんだよ!」
「そう渋んなよ。単なるアドバイス料さ。当然の権利だろ。」
「うぅぅぅ~~ッツ!!」
買取店に現れた謎の乱入者が先程の野外競り市でこちらが狙いを定めていた品物に悉(ことごと)く張り付いて
競って来た相手だと分かり、敵意剥き出しで唸るキルアを、ゴンとyouが宥める…。
「別にいいんじゃない、ゼパイルさんのお陰で助かったワケだし…。」
「そうだよ、キルアくん…それに「いい品物」だからお互い競ったワケで…別にゼパイルさんの所為じゃないと思うよ…。」
結果的に、先ほどの店でそのまま買取を依頼していればもしかすると大損をしていたかもしれないという事実に向き合い、
平和的にいこうよ…と和やかなオーラを出す…否、明らかに危機感の無い様子のゴンとyouの2人に、
キルアは自分が何故こんなに厳しく彼に相対するのかを言い放つ…。
「お前等聞き分け良すぎ!!こっちは1ジェニーでも多く稼がなきゃなんねーんだぞ?!」
「・・・。」
「やるんならせいぜいこの飯代くらいだね!」
「…それでイイぜ。」
「「え?」」
ゼパイルは口に咥えていた楊枝を空の食器の上に放り、軽く返事をするように「それ(食事代のみ)でいい」と、言った。
3人が彼の返答に目を丸くしていると、ゼパイルは目をキラリと光らせながらゴン達の方へと身を乗り出す。
「その代わり、1個だけ教えてくれよ…お前らその品……どうやって目利きしたんだ?」
「めきき??」
「って何?」
「ぐがっ?!」
ゴンとキルアが澄んだ瞳で「何それ知らない」、「美味しいの?」くらいの様子で返事をすれば、
着席したままズッコケたようにテーブルにゴンっと勢い良く頭をぶつけたゼパイル。
「マジか?!目利きも知らねェでどうやって品定めしたんだよぉ?!テキトーか?!なら、あれだけの数の店の中からどうやってその3つに絞ったの?!」
立ち直って速攻で己が疑問を大声でぶつけられ、ゴンとキルアが顔を見合わせる。
「いい?本当のこと言って。」
「ま、金払うよかいいか。」
という結論に達し、3人は念能力に関して極力専門的な言葉を避けてざっくりとその仕組みを説明し始めた…。
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「うーーん、成程な…それが本当ならお前らがあの中身を知らなかったのも、他の値打ちモンに目が向かなかったのも頷ける。」
「え、他にもあったの?」
「流行の時計とか、ひと昔前のテレカ…まぁ、一言で言えば人の手で作ってないものだ。」
「そっかぁ…!」
「んでお前等、何でそんなにお金が欲しいのよ?ん?ん?」
先程より更に大きな目を輝かせて、興味津々という様子で身を乗り出して尋ねてくるゼパイルに、
キルアが「聞きたい事って1つじゃなかったのかよ」とツッコミを入れる。
「まぁ、いいじゃねェか、教えろよ!」
「じゃぁ交換ね、それに答えたら今度はオレ達の質問に答えてよ。」
「いいぜ?」
「…あるオークションである品物を競り落としたい。それで金が要る。」
「ヘェ、どんなモンだ?」
「今度はこっちの番だよ。あの木像の中身、売ったらどのくらいになるの?」
「入ってる物によるが…悪くとも1億はくだらねェだろうな……で、何を競り落としたいんだ?」
ゼパイルはサラリと流したが、かなりの金額にゴンとyouが目を丸くし、
キルアだけは表情を変えずに淡々と彼の質問に答えていく…。
「G.I(グリードアイランド)ってゲームソフト。」
「あぁ、あのバカ高いゲームか…。」
「オッサンの方の変な壺は?いくらくらいで売れるの?」
「んぁぁ?これはガラクタだ……タダ以下だな。で、何であんな高いゲームが欲しいんだい。何かワケありか?」
最終的に矢張りそこに行き着いたか…と、ゴンとキルアは顔を見合わせる。
この競り市での活動の根源…つい先ほど、youと再会した時にも話した「ゴンが彼の父親に会うため」という理由を、ゴン自身が丁寧にゼパイルに語った…。
その理由を聞き、ゼパイルが何かをゴンに尋ねようとした言葉を、すかさずキルアが遮る。
「今度はこっちの番、何で、そっちの壺を選んだの?売ったら1億するんでしょ、こっちの木像。オレ達と競り合っておきながら、一番高価な木像じゃなく、ガラクタの壺をアンタは選んだ。何かワケがあるハズだろ?」
「・・・。」
「なんで?」
「……うぅん…実はこの壺、オレが作ったんだ……とはいえ、オレのオリジナルなんかじゃあねェ…「贋作」…所謂「パチモン」さ。」
「…!」
「昔は貧乏しててな…小遣い稼ぎにちょくちょく作ってたのさ。目利きを初めて金がそこそこ入るようになって、スッパリ手を引いたが、これはそのやり初めの作品だ。今見ると不出来で恥ずかしい代物だが、こういうトコ来るとたまに見かけるのさ。それで何を於いても買い戻すことにしてるんだ。」
「なるほど……じゃぁ本物だったらいくらすんの?」
「オレの番。」
「ぐっ…。」
あっけらかんとしていながらも意外に抜け目が無いのは彼が有能な目利きだからなのか…。
先程自分がゼパイルにやったように、鋭い指摘を返され、キルアが小さく唸った。
「んで、お前の親父って何やってんの?」
「プロのハンターなんだ。」
「ほぅ、骨董の世界にも何人かいるぜ?」
そんな、ゴンとゼパイルの会話にキルアが「本物ならいくらなんだよ」と割って入る。
「本物でも4、5万そこそこだよ。しかしプロハンターかぁ…世界中飛び回ってナンボの仕事だし、子どもが探すのは無理なんじゃねェかぁ…?」
「だいじょうぶ!だってオレもプロハンターだもん!」
「ぇ…。」
「さ、今度はそっちの番!」
「ん、あぁ……んじゃ、最後の質問だ…オレに何か手伝えることはねェか?」
「え?」
「オークションで儲けようと思ったらどうしたって目利きが必要になる。お前等だけで行くよりかは稼げるチャンスが増えるぜ。ギャラは言い値で良い。どうだ?」
「じゃぁ…おれ達も最後の質問……どうして手伝おうって思ったの?」
「・・・・。」
ゴンの言葉と、その真っ直ぐに見つめる瞳を数秒見つめて、ふっとゼパイルは視線を落とした。
「そりゃ目利きがオレの仕事だからなぁ……ってのは建前で。正直嬉しかったんだよ、こんなガラクタでも値を付けてもらえるなんて…嬉しいもんよ。」
「ガラクタなんてことないよ!!」
「!!」
自分自身で買い戻したという壺をポン、と叩いて小さく笑ったゼパイルの言葉を聞き、
ガタっと椅子から立ち上がり大声を上げたゴン…。
まるでゼパイルが自分を卑下することを諫めるような声色で、彼は尚も言葉を続ける…。
「物体にオーラを留めるには凄い集中力と長い修業が必要なんだ、どれだけの想いを込めてこの壺を作ったか…そのことだけでも分かる!ゼパイルさんは念を知らずに出来たんだ、凄い才能だよ!だから絶対……ガラクタなんかじゃないっ!」
「……オレの目に狂いは無さそうだ…。この商売ってのは長くやってると人間を見るようになってくるモンさ……目利きとしてのオレが囁くんだ…「コイツらと仕事がしたい」ってな…それが、答えだ。そっちの答えは?」
「お願いします!」
お互いの言葉にお互いに感銘を受けた…といったところだろうか…。
ゴンはにこやかに、キルアは通常運転で「お手並み拝見ってトコかな」と口角をあげるのだった…。
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それからゼパイルの案内で3人は木造り蔵を開封…。
中から出てきた年代物の貴重な貴金属類をオークションに掛けることになったのだが、
ゼパイル曰く、今からオークションに持ち込んでも来年の分に回されてしまうため、3日後のオークションには間に合わない…とのこと。
そこで、目利きのみで値を決める、骨董の仲買人だけの「業者市」に持ち込めば
飛び込みで品物を競に出せるため、その策を取るべきだ…と言う。
早急に資金を手にしたい彼らには選べる手段も無いため、ゼパイルの言う通りそうすることにして、
当日出品しても品物の真偽が分からない限り値が付かない可能性が高いため、まずはこのまま今日のうちに、下見市に出すことになった…。
持ち込みの際、多くの目利きと仲買人が集う下見市では、安く買うために品物の値を下げようとする業者に
その価値を証明すべくゼパイルが奮闘したり、
ゴンがいつものペースで、木造り蔵の仕組みについてクセの強い業者を相手に尋ねに尋ねて
敵も味方も巻き込んで笑いを巻き起こしたり…。
紆余曲折ののち、翌日の業者市を待つことになったのだが…。
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下見市を出て、競り市の喧騒が届かない公園で明日の業者市について話し合う4人…。
「で、ちゃんと売れそうなの、アレ?」
「競売が始まってみないとな…だが、いい反応をしていた業者もいたからな……そいつが明日食いついてくれれば一気に盛り上がると思うが…。」
キルアの質問に、本日の下見市を終えての感想を伝えるゼパイル。
彼の当初の読み通り3億以上の価値を叩き出してくれるかどうかを懸念するキルアと相反し、
先程の下見市でもマイペース全開だったゴンがニコニコと「でも、勉強になったよ!」と笑う…。
「お前なぁ~!主旨忘れて楽しんでやがんだろぉ!」
そう言って、ビシッ!とゴンにデコピンをするキルア…。
わちゃわちゃとじゃれ合う少年たちにyouがほっこり笑顔になったのは必然と言えよう…。
「フフ……「ヤキヅケ」に「ヒラキ」か…実はもう1つ、必殺の手口があるんだぜ。」
先程の下見市での木造り蔵の開封に関する様々な「殺し技」という技法についての話を思い出したらしいゼパイル…。
どこに持っていたのだろうか、ポケットからオマケの入ったガチャガチャのカプセルを取り出した。
「どんな些細なヤキヅケでも見落とさない優秀な目利きが次々と騙された。どんな手口だと思う?」
「それは……閉じた状態だったの?」
「ああ、騙された目利きは皆ヤキヅケではなくこれは一度も開けられていないと確信してそれを買った。そして、彼等の確信通りヤキヅケはされていなかった。」
「「これは一度も開けられていない」って事だろ…?」
思考に耽るキルアの横から、元気よくゴンが「分かった!」と手を挙げる。
「中身が元からニセモノだった!」
「違う。」
一蹴…。
の、後、ハッとキルアが顔を上げてカプセルを指さした。
「そうか!別のところから宝を取り出した!!」
「正解だ。切り口とは別に新たな穴を開け、財宝を取り出し、ニセモノと入れ替え、穴を塞ぐ……「ヨコヌキ」と呼ばれる手口だ。こんな単純なトリックだが、熟練の目利き達が痛い目に遭った。長年の経験が逆に災いしたのさ。切合材が変色していなければ中身は本物という先入観……それが目を曇らせた。どんな手口で騙されるか分からない……目利きは常にそう考えてる。だから完璧な品でも逆に怪しいと思っちまうし、ちょっとした揺さぶりでも、さっきのように迷いが走る。人間の心理ってのは本当に面白い。今言った技は全てそこを巧みに突くようできているのさ。」
「わぁ……凄い世界だね……。」
たとえハンターの資格が無くとも、特別な力が無くとも、あらゆるジャンルに於いてプロフェッショナルな者は存在し、
かつその輪の中で奥深く物事を動かしているのだと、改めて考えさせられるゼパイルの語り…。
感嘆の言葉を吐いたゴンだけでなく、youも、勿論キルアでさえも彼の言葉には胸を打つものがあった…。
そんな時…。
ピピピピと、割と大き目の音で鳴り出した電子音。
それがゴンの購入した携帯電話で、その相手はレオリオだった。
「キルア!レオリオから連絡!見つかったって!!すぐ行かなきゃ!!」
「何だって?!」
電話を切ってポケットに仕舞うと、ゴンとキルアがyouに声を掛ける。
「ゴメン、you!オレ達緊急で大事な用事があって、今すぐ行かなきゃ!」
「わ、分かった。」
「今日は手伝ってくれてありがと、ゼパイルさんも!」
ゴンに次いで、キルアも言葉を交わす…。
「資金調達の件はまた競売後に話し合おうぜ。」
「うん、そうだね。まだまだ足りないだろうし……わたしも手伝いたいから。」
「サンキュな、また連絡する!じゃあ、また!!」
「行ってらっしゃい、ゴンくん、キルアくん!よく分からないけど気を付けて!!」
挨拶をするかしないかのところでもう既に走り出している2人…。
慌ててゼパイルが呼び掛けた。
「おい、お前ら!!競売はどうする気だよ!!」
「任せる!!」
と、ゴン…。
「なるべく高く売ってよ!」
と、キルア…。
一瞬呆けたゼパイルだったが、全幅の信頼を置かれていると気付き、無意識のうちに口角が上がっていた。
「よっしゃぁ!任せとけぇえ!!」
腕をぐっと伸ばして、朗々と彼らを見送ったゼパイル。
「何て面白い奴らだ…コイツらに付き合えば、何かとてつもないもんに出会えそうだ。」
「ふふ、本当に、わたしも知り合った時は同じ感想持ちました。」
「アンタもか……というか、一緒に行かなくて良かったのか?」
「あ、はい。わたしは2人とは別行動していて……競り市の途中で数か月ぶりにバッタリ再会したんです。」
「そりゃあまた奇遇な…。」
「何でしょうね、念使いは惹かれ合うんでしょうかね。」
「ハハ、そりゃオレには分からんが……。」
「あ、それはそうと……競売は…。」
「ん、ああ、お前さんも参加するか?どちらにしても連絡を取れるようにしておいた方がいいな。」
「そうですね!では連絡先を交換しておきましょう!ゴンくんたちから競売に関して連絡が入るかもしれませんしね。」
「だな。」
そうしてyouとゼパイルは連絡先を交換し、
ゴンたちの獲得した木造り蔵の競売を待つこととなった…。
words from:yu-a
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