ヨークシン編
name setting
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「お待たせしてすみません!」
「大丈夫、オレも今来たトコ。」
と、お決まりの言葉を交わして2人は図書館の正面玄関で再会した。
Passing mark
ゴウカクxノxライン
03:the eloquent man
「実際中に入ってみると、やっぱり一層凄い…。」
「ああ、流石は大都市の図書館だ。」
「さて…本を探そうかな。」
「あ、そういえば……あのさ、聞いてもいいか?」
朝の、まだ人も少ない図書館のエントランスホールにクロロの低い声が響いた。
彼の少し先を歩いていたyouは「なぁに?」と後ろを振り返る…。
「目的。聞いてなかったと思って。」
「目的…?」
「図書館に来た目的。オレはホラ……暇だったから、時間潰しに古書でも…と思ってたんだけど、youは何か目的があるんだろ?」
「あぁ…そういえば言ってなかった。」
「言い辛い事なら無理には聞かないけど。」
「ううん、別にいいよ。もう別に隠す必要もないし…。」
「それって…仕事(ハンター)に関係あるってこと?」
「そうなの。じつは、かくかくしかじかで…。」
そう言ってyouは、クロロに自分がヨークシンへ来た目的…。
ここ、ヨークシンの大図書館で何をしたかったのかを告げた。
「…つまり…遺跡ハンターの仕事の一環として…?」
「うん。」
「ヨークシンで開催されるオークションに出品される歴史的遺物を競り落とすために来たって事?」
「それは、いえ…あの……わたし、そんなにお金持ってなくて…。だから、今回は体験学習?研修みたいなものなの。可能であればそりゃ…落札したいけど…。」
「それで遺物の経歴を調べるためにココに…?」
「うん、いつ頃のもので、どんな経緯で誰の手に渡ったのか、それによっても価値が変化するでしょう?ネットで調べてもある部分で行き詰るから…。」
「ハンター専用サイト使えば……あー…無駄遣いできないのか。」
「え、ええ…まぁ。あとは……世界的に有名なヨークシンの大図書館…来たかったし…。」
「成程ね。」
「……一応、そういう理由かな。」
youの答えに「よく分かったよ」と大きく頷くクロロ…。
しかし、笑みを浮かべていたのはそこまでで、次いで見せたのは意外なほどに真剣な顔だった…。
「・・・。」
「…クロロ…?」
急に押し黙った彼を不思議に思い、youは視線の合わさらないクロロをじっと見つめる…。
「you……もう一つ聞きたい。」
「うん?」
「・・・ヨークシンで開催されるオークションは数多くあるが……youが参加する予定のオークションはどこ?」
「えっと……色々迷ったんだけど、やっぱり一番有名なトコが出品物の信頼がおけるかなと思って…サ…」
「……サザンピース…?」
「え……うん、そう。」
「・・・。」
「く、クロロ?」
口元に手を当てて、微かに悩むような仕草を見せるクロロに、
youは少し不安そうな顔を浮かべた…。
暫しの沈黙ののち、再び彼が口を開く。
「・・・確か出品物の日程とか決まってるんだよね?」
「うん、決まってるよ。」
「全日程参加予定なの?」
「ううん…もう出品物で日にち絞ってる。」
「教えてくれる?」
「いいけど……どうして?」
「あー…興味本位?っていうか、どれ狙ってるのかオレにも教えてよ。気になる。」
「いいよー、じゃぁ中で説明するね。」
「ああ。」
今までの真剣な表情とは打って変わって、何でもない、至って普通だ…といわんばかりの態度へと戻ったクロロ。
おかしいとは思いながらも、先程の不安を煽るようなものよりずっとマシだと思うyou。
クロロの質問の意図には深くツッコまずに、図書館の中へ向かって歩き出した。
その途中…ふと、思い出したようにクロロに問われた。
「youはさ、地下競売とかには興味無いの?」
「地下競売…?」
「知らないの?」
「噂でしか…。」
「表の競売では出回らない貴重な品物がわんさか出品される場所さ。」
「ヨークシンでは意外とメジャーなの?」
「まぁ…でも、関わってるのが明らかに堅気じゃない…まぁ、ぶっちゃけ世界中のマフィアだから…youみたいな人種は絶対首突っ込まない方がいいよ。」
「そう、なんだ…?」
「だから……絶対地下競売に興味持ったりしないで、いいね?」
「クロロ…?」
じっと、黒曜の瞳が自分へと向けられている…。
それには、逸らすな、享受しろ、命令だ…そんな一方的に盟約を迫るような威圧感さえ覚えた。
「you、約束して。」
上手く空気が入らず、コクン…と軽く呼吸の代わりに唾を飲み、押し黙るしかないyou。
恐怖…というものではないが、何か、絶対的支配者に守りきれる些細な命令を下されているような気分…。
実際にはほんの数秒のことが、まるで数時間の出来事のよう。
そうして、youはゆっくりと頷き、小さく口を開いた…。
「・・・うん、わかった。」
「…よかった……youには死んでほしくないからさ。」
絶対的支配者のオーラが消えるや否や、今度は超が付く程爽やかな笑顔で「安心した」と笑うクロロ。
そして、そんな彼の言葉と態度の変化に色んな意味で驚きを隠せず、動揺するyou。
「え…と、そ、そんなに危ないの?参加しただけで死んじゃうレベルなの?」
「え、あー……う、うん…そんくらい危ない……かな?」
「き、肝に銘じます!!!!」
「あはは、そこまで固くならなくても……。」
「だって……クロロが脅かすから…。」
「半分弱冗談、半分以上本気ってトコかなー…?」
「ほ、ほらまた!」
「くくっ、情けない顔!」
「くっ、クロロ!?//」
くつくつと笑いながら、クロロはyouの頭をくしゃくしゃと撫でる…。
大きな手を離された後、youが軽く髪を整えて少し膨れた顔でクロロを見上げれば、
意外にも困ったような笑みで言葉を零された。
「あー……もう、癒されるわー……youと話してると。」
「うー…?」
「大丈夫、何か危ない事巻き込まれたらオレに連絡しなよ。」
「だから…地下競売は出ないって…!」
「ううん、そうじゃなくて……それ以外でもってコト。」
「??」
「鈍いな…。」
「競売以外でって…?」
「地下競売以外でも、youがピンチになったら呼んでいいよ、助けに行く。」
「は?」
「オレ、結構慈善活動とか好きなんだよねー……その一環?」
「???」
「ほら、オレそこそこ強いから。いい仕事するよ?」
「いや…だから…。」
「折角知り合いになれたんだし、出張先のメール友達ってだけじゃ勿体無いと思ってさ。そう思わない?」
「そう……なの?」
「少なくともオレはね。youは、オレみたいなともっと仲良くなるのは迷惑?」
「ううん!全然、楽しいよ、クロロといるの。」
「よかった。」
「まぁ、そういうことだから……これからも一層、よろしく。」
再び爽やかな笑みを浮かべて、クロロは手を差し伸べた。
少しきょとん…と目を丸くし、手とクロロの顔を交互に見た後、
youも同じように笑みを浮かべてその手を握り返す…。
「うん、よろしく!」
「さぁて……そろそろ本を読み漁りに行くか!」
「はいっ!」
そう顔を見合わせて、2人は図書館の受付へと向かった。
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*