天空闘技場編
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目覚めれば、朝
泣き腫らした瞼を開けば
奇術師がベッドに腰掛けて
そっと髪を撫でていた
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ゴウカクxノxライン
29:incoherently
「!!!」
「おはよう、you♥」
「ヒソカさ…っ…!?」
ガバリと布団から飛び起き、youはヒソカから勢い良く身体を離した…。
するりと離れていった柔らかな髪の感触がなくなり、ヒソカは残念そうな表情を浮かべる…。
「あ、朝から不法侵入…しないでください…。」
「ゴメンごめん……youに会いたくなっちゃって◆」
「・・・。」
「ホラ、昨日お使いを頼んでいただろう?どうなったかなって……試合のことも話したかったし…★」
「封筒はイルミさんに…ちゃんとお渡ししました。」
「ありがとう♥」
「いえ。報告…しなくてすみませんでした……。」
「ウン、いいよ、ちょっと心配しただけ♥」
「・・すみません…。」
「それと…試合のことだけど…。」
「どうして、カストロさんを……カストロ…さん、を…っ…!」
「・・・。」
「殺したんですか?」と、言葉は出なかった。
口に出したくなかったし、何よりしゃくりあげる声で言葉にならなかった…。
ヒソカは暫し無表情でその姿を眺めていたが、次第に、ゆっくりと目を細め、冷えた視線を注いでいく…。
ひとえにyouの目が腫れていたのはカストロを想って泣いていたからだと推測してのことだ。
俯いて涙を流すyouがその視線に気付かないのをいいことに、
ヒソカは再び身体を彼女の隣へ移動させ、そっと肩を抱いた。
「・・・彼、ちょっと強くてね…全力でぶつかってきたものだから、ボクも全力で向かっていったんだ◆」
「・・・っ…それでも…。」
「泣かないでyou…♣」
「っ…く…。」
「それに…自分を弁護したいワケじゃないけど…ココはそういう場所だと、キミも知ってるハズだ…そうだろう?」
「そう…です…けど…っ。」
「キミがそんなに悲しむなんて……思ってなくて…。」
「…っ、ち、が…。」
ぽんぽんと子どもをあやすようにyouの肩を優しく叩くヒソカ…。
しかしながら、心境は凄まじいもの。
勿論、ヒソカが全力でカストロを倒しにかかった、なんていうのは事実無根。
寧ろカストロの技を見破ってからは両腕を切り取られても余裕綽々で試合を運んだくらいだ。
ただし、全力で痛めつけて倒そうと思ったのも間違いではない。
そう考えると強(あなが)ち事実無根というわけではないのだろうが…。
なにせ彼、カストロはヒソカにかつて生かされた存在。
つまりは彼もまた「青い果実」だったわけで…。
今回の試合でも次に期待し、生かす事も吝(やぶさ)かではなかったのだ。
そう…試合の途中…カストロがyouに関しての会話をヒソカに持ちかけなければ、命までは奪っていなかったのかもしれない。
「(彼が悪いんだよ…だって、youを自由にしてやれ、だなんて…♠)」
「わたし…。」
「(ボクはyouに本気で恋をしているっていうのに…◆)」
「分かってます…でも…。」
「you、本当に…ごめ…」
「それでも…それでもカストロさんに生きててほしかった…だって…わたし…。」
「…★」
大きく深呼吸をし、ゆっくり息を吐く…。
そして、youは言った。
「もう、ここにいたくない…。」
「え?」
「わたし……本当に…。」
「自分のことが嫌いになってしまう」と、youは告げようとした。
それはつまり、カストロを想って泣きたいのに、ヒソカとマチの関係性に思い悩む方が上回っており、
きちんと彼だけに思いを向けられない罪悪感を振り払いたい…その為にカストロに生きていてほしかったと思ってしまう…。
「(その考えさえも醜く思えて…。)」
だが、それがヒソカの耳に届くことはなかった。
「そんなの、ダメだよ…◆」
「ひそ…っ…!」
「彼はそんなにキミの心に入り込んでいたの?」
「ぅ…。」
「たった一度戦っただけで?」
「ふ…。」
「夜通し泣いて、こんなに目を赤く腫らすほどに…?」
「ひ、そ…。」
「そんなの…ダメだ……youの心はボクのモノじゃなきゃ…ダメだ♠」
「…っ…!」
youの目から堰を切ったように涙があふれ出し、
それと同時にヒソカに抱き込まれ、身体はベッドへ倒れこんだ。
強い力で抱きしめられ、耳元でまるで呪詛のように「好きだ」と連呼される。
それさえ本当か信じられず、辛くて、痛くて、逃げようと身体を捩るものの、ヒソカは腕を離してはくれなかった。
「ひそ、かさ…ん…はなし、て。」
「いやだ。」
「離し、て…っ。」
「いやだ。」
「おねがいだから…。」
「イヤだ……離したらキミ、今すぐここを出て行くつもりだろう?」
「・・っ…!」
考えをそのまま言い当てられ、口を噤んだyou。
ヒソカはそれを諌めるように、冷たい言葉を投げ掛ける…。
「逃げるなんてダメだよ…ちゃんと最後まで向き合って、答えを出して◆」
「・・・っ。」
「ね、そうだろう?」
「……せ、ん…。」
「え…?」
嗚咽交じりだったyouの声が、ゆっくりと元に戻っていく…。
ヒソカがじっと言葉を待ち、沈黙をもたらした後…それは言い放たれた。
「わたしはヒソカさんを好きになんてなれません…っ!」
「!!」
「ヒソカさんだって……向き合ってくれてますか?答えを出してくれてますか?」
「…どうして?」
「その答えがあれで…ひとりじゃないなら…わたしには無理なんです…。」
「アレ?…一人じゃない…?」
「やっぱり、わたしは弱いから…。」
「ちょっと…you…キミ、何を言って…。」
「離れてください!帰って!」
「you!?」
どんどんとヒソカの胸を力いっぱい叩く。
念が込められていて少し痛い…と同時に本気で拒否をされていると感じ取れた。
「硬」で耐久しようかとも考えたが、敢えて何もせずにそのまま彼女の思いを受け止めることにしたヒソカ…。
尋ねたいことや反論したいことがいくつもあったが、それをせずにただ黙して動かないことにする…。
そうすることで彼女の想いを聞き出そうとしていた。
「帰って…離れて……出ていって…ください!」
「・・・。」
「一人にして、わたしにカストロさんの死だけを悼ませてください…!」
「・・・・。」
「ここにいないで…わたしにヒソカさんのことを想わせないで…!」
「・・・。」
「強いあの子を考えさせないで…!」
「・・・?」
「おねがいします…おねがい…。」
「・・・you…。」
何となく…というよりはもう、寧ろ確信に近い形でヒソカはyouの言いたい事…
「カストロの死<ヒソカへの想い」の方程式と、それを答えとして導き出す自分が醜く思えて憤っているのだと悟った。
それと同時に歓喜に見舞われる…。
「(ああ!!何てなんて……愛おしいんだろうね♥)」
「ふ…っく…。」
「(今すぐ言葉巧みに丸め込んで、身も心もボクのモノにしてやりたいよ♥)」
「・・・っ…。」
「(ただ、一つ…気になることがあるから……止めておくケド…◆)」
それはyouが口走った「強いあの子」という単語。
一体誰のことを言っているのか、ヒソカには分からない。
思い当たる人物といえば、この間話題に上がったゴンのことくらいのもの。
しかし、今更ゴンに対して嫉妬を抱くとは考えがたく、
それが誰かが分からなければ、説得に移れないわけで…ヒソカは早急に尋ねてみることにした…。
「you……まだ信じてないようだから言わせてもらうけど…♠」
「・・?」
「できれば何度も同じ事を言わせないでくれるかい…?」
「!」
「ボクはキミが好きだ…。」
「・・・。」
「ボクがキミに抱く感情は、他の誰に抱く感情とも違うんだ◆」
「ヒ、ソカさ…ん。」
「キミがこれ以上ボクを疑うようなら、道化なんて続けても意味が無いじゃないか…♠」
「・・・。」
「ボクを見て、you……ちゃんと目を…♣」
「・・・っ…。」
「ゆっくり呼吸をして……◆」
「・・・は、ぁ…。」
「……落ち着いたら、ひとつずつ、話していこう…ね?」
傾れていた身体を起こし、ヒソカはyouの両肩にそっと手を置く。
youは大きく深呼吸を続け、 最後にゆっくりと頷いた。
words from:yu-a
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