天空闘技場編
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まだあたたかな手を
握り締めて
わたしは泣いた
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ゴウカクxノxライン
28:the shooting pain
イルミとの再会の最中に、ヒソカとカストロの試合結果を耳にしたyou。
大急ぎで天空闘技場へと戻り、エントランスで受付嬢に試合結果を尋ねた。
「すみませんっ!あ、のっ!」
「は、はい?」
ハァハァと息荒く、汗だくのyouに迫られて
受付嬢はオロオロした様子で「大丈夫ですか?」と気遣う…。
コクコクと頷いて大きく息を吸い、youは真剣な顔を受付嬢へと向けた。
「結果を知ってるなら…ヒソカ対カストロの試合を、詳しく教えていただけますか?」
「え、ええ、はい…そのモニタで先ほどまで行われてましたから…。」
「勝ったのはヒソカさ…ヒソカって…!」
「はい、ヒソカ選手の勝ちです。最初はカストロ選手の優勢だったんですが…。」
「逆転…?」
「武術の心得が無いので、戦いの細かなところは分かりませんが…ヒソカ選手がカストロ選手の技を見破った…と、実況は言っていましたね。」
「見破った…。」
やはりカストロには隠していた技があったのだという事が頭を過ったのも束の間。
先ほど知ったカストロの状態を遥かに優先して問いかけた。
「それで…カストロさんが…重態だって聞いたんですけど…!!」
「はい……闘技場内の医療施設に運ばれたようです。」
「ヒソカさんは?!」
「ええと…試合の最中にカストロ選手に腕を切られたみたいですけど…。」
「腕を切られた?!……「虎咬拳」なんて威力なの…。」
「でも、不思議なことに、切られたはずの腕は元通りになったんです!」
「はいっ?!?」
「彼は「奇術」と言ってましたが…本当に…ちゃんとくっついていて…。」
「じゃぁヒソカさんは無事なんですね?!」
「そ、そのようですが…。」
「分かりました!ありがとうございますっ!!」
受付嬢に礼を述べ、youは猛スピードでカストロのいる医療施設へと向かう…。
施設のエントランスではカストロのファンの女性らが詰め掛けていたが、
殆どが一般客ということで入館を拒否されていた。
youは選手ということで中に入ることができたので、
施設に入るや否や、受付でカストロの安否を確認する。
一人の看護師が戸惑いの瞳をyouに向けた後、後ろにいる同僚へ目配せをした…。
言ってもいいものかと…皆一様にそんな表情を浮かべるので、youに嫌な予感が走る…。
そして・・・
「あの…カストロ選手は……先ほど…お亡くなりになられました。」
「・・・うそ…。」
「先程のヒソカ選手との試合で…。」
「そんな…。」
一瞬にして放心するyouを見て、看護師達が集まり「大丈夫ですか?」と声を掛ける…。
その中の、恐らくは管理職と思われる女性がカウンターから外へ出て、
項垂れるyouの肩を支えるようににして言った…。
「カストロ選手に…お会いになられますか?」
「いいん…です、か?」
「先程から何人か、ご友人の選手の方がいらっしゃいましたので。」
「・・っ…!」
「you選手、ですよね?以前カストロ選手と戦われていた。」
「はい…。」
「行きましょう。」
「お願いします…。」
看護師に連れられて入った部屋に、カストロはいた…。
顔はさほど傷が無く、まるで眠っているようだった。
故人を惜しむ場では席を外すことにしているのだろう…。
看護師は無言で軽く会釈をし、部屋を出て行った…。
一人になったyouはゆっくりとカストロに近づき、その手に触れる…。
まだ温かさを残した身体だが、心の臓は動いてはいないし、呼吸も脈も無い。
youは手を握り締めたまま、その場に崩れ落ちた。
「カストロ…さん…ッ…!どうして?!
また…強くなったら戦ってくれるって言ったのに!
わたしと、約束してくれたじゃないですか…っ!」
泣きながら言葉を投げ掛けても、返事は無く…。
隠された必殺技も、本気の虎咬拳も、何一つクリアできないまま…。
youはカストロと別れることとなってしまった…。
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カストロに最期の別れを告げ、youは医療施設を後にする…。
親切にしてくれた看護師たちに深々と頭を下げ、礼を入れた。
向かうはヒソカの元…。
未だ頭の中は混乱しており、カストロを死に至らしめたことを喚いて怒ればいいのか、
冷静にその経緯を問い質せばいいのか…何一つ考えが纏まらないまま、youは廊下を歩いた…。
角を曲がり、ヒソカの部屋のドアを視界に捕らえる。
インターホンに指を伸ばしたところで、突然、ドアが開いて中から可愛らしい女の子が顔を出して、
それと同時に部屋の中から「今夜食事でも…」と、ヒソカの声…。
ドアはバタンと清々しい音を立てて閉まり、女の子はインターホンに指を伸ばして静止しているyouをじっと見つめ、
youは部屋から出てきた女の子をじっと見つめた。
「アンタ……コイツの知り合い?」
「え…あ…あの……。」
「ま、どうでもいいけど…。」
「あの…あなたは…。」
「ただの知り合い。アンタは?」
「わたしは……youっていいます…ヒソカさんの……。」
「?」
「ただの…お友達です…。」
「マジ?コイツ友達とかいたんだ……悪い事は言わないから、早めに友達辞めた方がいいよ。」
「・・・(相変わらず酷い言われようだなぁ…)」
「まぁ…私には関係ないけどね……じゃ。」
「あ…あの…。」
「なに?」
「お名前…は…。」
「・・・マチ。」
それだけ告げて、彼女はyouに背を向けて颯爽と去っていった…。
一人残されたyouは暫くじっとヒソカの部屋のドアを見つめたあと、
ゆっくり、ふるふると首を横に振って、その場を離れる…。
混乱に混乱が重なっていた。
カストロのこと、ヒソカのこと…そしてマチのこと。
2人で何を話していたのか分からないが、
少なくとも2人きりで会える女性は自分だけではないのだと思い知った気がした。
カストロのことを何としても問いただしたいと思って遣って来たのに、もう扉を開くことができない。
「ごめんなさい、カストロさん……わたし、知らなかった…。」
カストロがいなくなってしまった悲しみと同じくらい…。
もしかしたら、それ以上……撃ち抜かれるように胸が痛んだ。
「わたし……こんなにヒソカさんが……好きなんですね」
気付けば涙が頬を伝っていて、カーペットの床色を濃く変えていた…。
words from:yu-a
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