天空闘技場編
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それはまるで
夢だったかのように
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ゴウカクxノxライン
26:sold out!
「道化を続ける」とヒソカがyouに宣言して去っていってから暫く…。
まったくその言葉通り、ヒソカは出会ってからと同じような…
友達以上恋人未満といった曖昧な接し方をするようになった。
あの時のように愛だの恋だの好きだのなんだのとyouに言うことは無い。
それを有難く、youは感謝して受け入れていたが、
好きだと言われた事実までがまるで嘘だったかのようで…。
寂しく思う自分がいることに気付いてもいた。
「(わがまま…だ、そんなの。)」
「you?」
「え?えっと……すみません、ぼーっとしてて…。」
闘技場の外へ買い物へ出て、休憩に入ったカフェで雑談をしている最中のヒソカとyou。
youの気持ちを知ってか知らずか(恐らくは前者)、
ヒソカは「酷いなぁ◆」と彼女の額を人差し指で軽く小突いた。
「久しぶりに試合をすることになった、って言ったんだ♠」
「えええ!!いつですか!?」
「んーと、来週かな?」
「申請したのは最近ですか?」
「ううん、結構前かな?」
「もーーーっ!!何で早く教えてくれなかったんですかぁ?!!」
「アレ?何で??」
「ヒソカさんの試合のチケットって試合日決定の時点でもう売り切れ必須なんですよ!?」
「あれ、そうなの?」
「お相手は…?」
「んー、カストロって男だよ、わりと…眉目秀麗な…♣」
「カストロさん?!ああああもう!……売り切れ確実。」
「あらら♥」
「あららじゃないですよぅ……ダメ元で検索…。」
結局、携帯経由でネットに接続して確認したところ…ヒソカ対カストロの試合チケットは完売で、もう既に高値で売買されている状態。
選手であっても安くは手に入らず、皆一様にTV視聴を余技なくされているようだ。
「そんな…一週間前だっていうのに……大スターのライブ並だわ…。」
「選手本人にもチケットを流してくれないなんてねぇ……ナカナカ悪どい商売してるよね、天空闘技場…くくく★」
「生で見たかったなぁ…2人とも凄くお強いですから…。」
そこで、本来であればアリーナ席のチケットをキミの為に…と渡したいところなのだが、本当に持っていないので何とも言えないヒソカ…。
しょんぼりするyouに「ごめんね」と軽く謝り、頭を撫でた。
「そういえば…カストロさんとの戦いで…あ、わたし負けちゃったんですけど。」
「ウン?」
「最後…何か凄く納得いかない負け方をしちゃって…違和感というか。」
「違和感…?」
「ほら、カストロ選手って「虎咬拳」が必殺技じゃないですか。」
「そういえばそうだったかな…◆」
「結局、最後まで紳士的だったので、カストロさん必殺技の「虎咬拳」をわたしには出さなかったんです。まぁ、わたしが弱いだけなのかもですけど…。」
「そんなことはない、キミは十分強い…♠」
「あ、ありがとうございます……でも、だからこそ、かな?よく分からないんですけど…。」
「?」
「もしかしたら、わたし…カストロさんが他に持ってる「虎咬拳」以外の技を見たんじゃないか…って。」
「ん…面白そうだね…♥」
「あの時…わたし…。」
「ストップ◆」
youが試合の様子を思い出し、話そうとしているのを遮るヒソカ。
顔を上げれば、至極楽しそうな顔でyouを見つめている。
それからそっと人差し指を自分の唇へと当てて「しーっ◆」と沈黙を促す動作。
「それは楽しみに取っておくよ♥」
「そっか……ふふっ、分かりました。」
「奇術師に見破れないタネは無いからね♥」
「はい!頑張ってくださいね!」
「モチロン♥」
ヒソカの余裕にyouも流石だと…尊敬の眼差しを送る…。
そしてそれはすぐに切な気なものへと変化した。
「傍で応援できないのは寂しいですけど……ヒソカさんは絶対勝つって、信じてますから。」
「ウン、任せといてよ♥」
「あ、でもカストロさんも応援しないとですけどね。」
「えー、何でー!?」
「カストロさんとは再戦のお約束をしているのです!」
「じゃぁ、尚のことボクが勝たなきゃね…彼、ボクに勝てたらフロアマスターになる可能性があるみたいだし♠」
「そっか……でも、やっぱり2人とも応援してます!」
「・・・◆」
以前ほど嫉妬心は抱かなくなったものの、それでもいい気分はしなかったようで…。
ヒソカはふっと笑みを途絶えさせて、youの頭から手を離した。
「ねぇ、you…♣」
「はい。」
「その試合なんだけど…。」
「はいっ!」
「やっぱりTVでも見ちゃダメ♥」
「ええっ?!」
何を言い出すのかと、youは勢いよく立ち上がってヒソカに詰め寄った。
「ななななんですかッツ?!!」
「んー…結果待ちでハラハラドキドキしてほしいから♥」
「イヤですよ!!見たいです!!」
「ていうのは冗談で★」
「っ…。」
「ボクの代わりにお使いに行ってほしいトコがあるんだ♠」
「お使い…ですか?」
「そう、ちょうど試合がある時間に用事があってね……ダメかな?」
「えぇー……そんな…。」
「その代わり、もっと凄い戦いを見せてあげるから…ね?」
「もっと…凄い戦い?」
「ウン、カストロとの試合の後はもう一回戦、ゴンとさ…戦う予定があるんだよね…◆」
「そういえば戦うって言ってた……ヒソカさんが気になってる子ですよね!」
「うん♥」
「見たいですっ!」
「それは絶対チケットを取っててあげる…だから今回は我慢してくれないかなぁ…♠」
「ううう~~!」
大変残念そうな声色で口をへの字に曲げながらも、
youは渋々ヒソカの依頼を受け入れる…。
「うう…仕方ないです…ヒソカさんにはお世話になっていますから……お役には立ちたいですし…お引き受けします…。」
「よかった~♥すっごく助かるよ!!」
にっこり笑顔でyouにお礼を述べるヒソカだが、
『お使い』なんていうのはたった今、考えた嘘の予定である。
聞けば自分の居ない間に試合をしたことで仲良くなっていたyouとカストロ…。
嬉々とした顔でカストロの良さを語り、応援するという彼女の言葉に対して憤りを抱いたヒソカは
カストロとの試合で彼を相当に痛めつけてしまう予感があった。
見られて印象値を下げたくない一心で、ヒソカはyouを自分とカストロから遠ざける…。
「詳しい時間や内容は後でメールで送るから♠」
「分かりました。」
「お詫びに今度美味しいケーキをご馳走してあげよう♥」
「わーい!」
よしよしとyouの頭を撫でて微笑むヒソカ。
それから2人は闘技場へと戻り、ヒソカはyouを部屋の前まで送りとどけた。
「それじゃぁね、you◆」
「はい……あ!」
「ん?」
「あの、ヒソカさん……その…。」
「どうかしたかい?」
「余計なお世話だと思うんですけど……試合…。」
「ウン?」
「怪我…とか……気を付けてください…。」
「ホーント、余計なお世話♥」
「う…。」
「ウソウソ♥凄く嬉しいよ……ありがとう♥」
また、ヒソカはyouの頭をわしわしと撫でて、にっこりと笑みを零した。
「必ず勝つから、ね♥」
「はい、頑張ってください!」
「・・・♥」
ひらひらと手を振りながらヒソカは廊下を歩き出す…。
youもブンブンと手を振り、それに応えた。
ヒソカが角を曲がったところでyouは部屋に入り、
ヒソカは響いたドアの音を聞き、口元を歪にゆがめる。
「必ず、ね…。」
くくく…と奇妙な笑い声が閑散とした廊下に不気味に響いた…。
words from:yu-a
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