天空闘技場編
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「ここがイルミの家だよ◆」
「え、ここ山…。」
眼前に広がる高い高い門を唖然とした顔で見上げるyou
ヒソカは笑顔で「ホラね、驚いた♠」と言った
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ゴウカクxノxライン
17:Don't run away!
数時間前…。
パドキア共和国、デントラ地区。
大陸の北西にあるその街に飛行船を停泊させ、ヒソカとyouはまずバス停を探した。
賑やかな街の風景に、早速観光気分に駆られたものの
まずはヒソカの用事を済ますこと、と心に言い聞かせ、youは意識を観光から遠のける…。
イルミの家に行くバスの路線を確認しようとする彼女に、ヒソカは「観光バスでいいの◆」と一言。
頭に疑問符を浮かべていると、ヒソカから「観光バスのルートで通るから◆」との補足があり、
なるほどそういうことかと納得したのも束の間…。
乗った観光バスの最終目的地が有名な暗殺一家「ゾルディック家」の門前であったことに驚き、
下車しようとヒソカに進言したのだが「いいからいいから◆」と宥められ(ていうかお尻にバンジーガムくっ付けられて座席から離れられなかった)
ついに、ここ…「ゾルディック家門前」まで遣って来てしまったのだ。
そして、冒頭の遣り取りへと至る。
・
・
・
「いやいやいや…ここ、ゾルディックさん家のお宅ですよ!」
「ウン…だから、イルミの家◆」
「いやいやいや…。」
「イルミの…」
「いやいやいや…。」
「名前…」
「いやいやいや…。」
「イルミ=ゾルディックって言うんだよ★」
「イヤイヤイヤーッツ!!」
最初は苦笑して流す意味合いだったのが、仕舞いには全力否定の意味となった「いや」であった…。
首をブンブンと横に振って、youは「死にたくない!」とヒソカに懇願する…。
「そんな冗談要らないですから!イルミくんがゾルディックだとか服のブランドだけにしてください!」
「やだなぁ、youってば……そんなブランド無いこと分かってるくせに★」
「そんなあっさり!」
「さ、行こう♥」
「わーん!イヤですーー!!」
「大丈夫、この門から入ればそこそこ安全だから…♠」
「そ…そこそこ?!」
「何かあっても、ボクが守ってあげるから…ね?」
「ヒソカさん…。」
「(イイよ、今のすっごくイイ!王子的!もしかしてyouもボクを好きになっちゃうんじゃない?)」
心の中で自画自賛するヒソカ…。
そんな彼の意に反して、youはといえば、逆に気合が入ったらしい…。
ぱん!と両頬を叩いて「よし!」と意気込む…。
「そっか…ヒソカさんにいつもご迷惑を掛けてばかりですもん、わたし……甘えてばっかりじゃダメですよね!」
「ぇ…。」
「それにどんなイルミくんでも、彼は彼です……友達、ですよね!」
「・・・ウン。」
「ちょっと怖いけど……勇気出します!」
「・・・。」
「ヒソカさんと一緒ですし……ね?」
「ウンっ♥」
とことんyouに甘いと分かっていながらも、
可愛い言動には、やはり嬉しくなってしまうヒソカであった…。
さて、門前でほくほく顔の男と緊張した顔の女が立ち往生している様子を見ている人間が一人。
大きな門の端っこに設置された小さな管理人室に居た。
2人の会話が落ち着いたところで、声を掛けてきた。
「誰かと思ったらアンタかい。」
「どうも♥ご無沙汰しています♣」
どうやらヒソカとは顔見知りらしいその男。
「イルミ様から聞いてるよ、屋敷でお待ちだそうだ。」
「そう…♣」
「そっちの娘さんは…?」
「カワイイでしょ、ボクの彼女♥」
ニコニコと笑顔でyouの肩を引き寄せるが、
慌てて「ヒソカさん!違うでしょ!」と大きな声で否定され、いじけてしまった。
「そんなに全力で否定しなくても……そんな…そんなに…。」
「え、えっと…す、すみませ…。」
すぐにオロオロとヒソカに謝るyou…。
そんな2人の遣り取りを見てハハ…と軽く笑い、
ふくよかな中年の男性はにっこりと優しい笑顔をyouへ向けた。
「ゾルディック家にようこそ、わたしはこの試しの門の番をしているゼブロです。」
「ゼブロさん…どうも!わたしはyouと言います!」
「youさんはイルミ坊ちゃんの…?」
「最近知り合って、お友達になりました!」
「ああ、そうか…貴女が…。」
「?」
「何でもありませんよ…さ、どうぞ門からお入り下さい。」
「え、えっと…も、門って…。」
「ええ、この『試しの門』からです。」
「や…やっぱりかーーッツ!!」
そんな予感はしていた!と嘆くyou。
クスクス笑うヒソカを尻目に、彼女は天まで届きそうなくらい大きく聳え立っている分厚い門を見上げた。
「この門、数字が書いてあるでしょう?1から7まであって、兎に角中へ入れれば良い。簡単でしょう。」
「あ…あの、この門…凄く分厚いみたいなんですけど?!」
「1の扉は片方2トンだよ。」
「・・・念、使わないと多分無理ですぅ…。」
「どんな方法でも正面から入れればいいんだよ。」
「それなら…うん、多分何とか…。」
念の応用技を使えば、そう難しくはないと分かりyouはホッと安堵する。
ヒソカは何度か経験があるのか、はたまた2トンくらいどうともないと思っているのか
鼻歌を歌いながら門をじっと見つめていた。
最初は自分から…と、youが門に近づいたところで
ギギギ…否、ズズズ…という重低音が響き、試しの門が開いた…。
驚いた顔をしたのはその場に居る全員で、
中から出てきたのは本日会いに行くべき相手だった。
「イルミくん!」
「やぁ、ちょっとぶり、you。」
「はい!ちょっとぶりですね!」
「ヒソカ…は、いいや、別に。」
サラリと存在を流すイルミに「ヒドイじゃないか◆」と泣き真似をするヒソカ。
それさえも全く無視をしてイルミはyouとの会話を続ける…。
「遅かったから迎えに来た。」
「そっ、そうなんですか?!それはすみませんでした!」
「いいよ、別に急ぎの用事でも無いし…。」
「ヒソカさんの欲しがってたものを渡すとか何とか…?」
「ウン、でもそっちはついで。」
「え?」
「逃げないようにするために来た。」
「どういうことですかね。」
理由を問おうとしたところで、youの言葉はイルミに遮られる。
「ヒソカ、you逃げないようにバンジーガムで拘束しといてくれる?」
「オッケー★」
ニコニコと笑顔のyouに向かって、ヒソカはさらりと念を発動した。
ガムのようなゴムのようなそれは「伸縮自在の愛(バンジーガム)」と命名されており、
大きさも形も、付けるも剥がすもヒソカ次第の非常に応用の利く能力である。
勿論youも技名や詳しい内容は分からないものの、2度程見ているので在る程度の特徴は知っていた。
しかし、このバンジーガムの厄介なところは念能力そのものの機能ではなく、それを扱う能力者なのだ。
つまるところ、ヒソカが厄介。
顔色を変えず、念を高等技術の「陰」でそれは見事に隠し、相手に術を施す。
常に「凝」をして構えているわけにもいかないので、余程の能力者出でない限りヒソカのバンジーガムから逃れることは難しい。
おまけにイルミが後ろから羽交い絞めしているということであれば、最早youに逃れる術は無い。ということ。
「これでyouの自由は奪われたわけだ♠」
「ひ、ヒソカさん…な、何で?」
「んーゴメンね…とりあえず逃げられると困るんだ◆」
「な、何なんですか2人して逃げる逃げるって……!」
「いや、逃げたくもなるんだよこれが…ボクもすっぴんで行った時は危うく玩具にされそうになったからねぇ…♠」
「玩具!!?」
驚くyouにイルミが追い討ちをかける…。
「オレも…小さい頃とか凄かった。今はカルト…末っ子がそれだもん。」
「なななに?!何なんですかゾルディック家?!」
「でもどっちかって言うとyouはミルキのジャンルかな…?」
「ミルキー?ママの味?」
「ああ、そう。」
コクリと頷いたのはイルミだけではない。
ヒソカも同じように首を縦に振り、声を揃えて言った。
「「ママ(さん)が凄い。」」
「え…。」
「オレの母さんね。ミルキは次男、オレの弟。」
「い、イルミくんの?」
「そう、オレの家族男ばっかだからさ。母さん、ずっと女の子と話したがっててね。」
「な、なんだ!そういうこと…。」
「それでこないだyouのこと話したら、連れてきてって煩くって。」
「話し相手ならいつでも呼んでくれればよかっ…」
「「じっくり丸一日かけて自分が選んだ可愛いお洋服を着せてあげようと思うの!ああでも、一日じゃ足りないかもしれないわね!」だって。」
「帰っていいですか?」
「だめ。」
「よ、洋服を着せられるのは全然構わないんだけど、流石に丸一日はちょっと…。」
「行こうか、ヒソカ。」
「聞いて?イルミくん聞いて?」
スタスタと歩き出すイルミの背にyouの悲しい声が跳ね返る…。
彼はそのまま試しの門を開いて一人で入っていってしまった。
ヒソカは其れを見て、くつくつと笑いながら、youに繋がるバンジーガムを引っ張る。
途端、引き寄せられるようにしてyouの身体はヒソカの腕の中へと移動した…。
「わ、も、あ、危ない!ヒソカさん!」
「拘束させちゃってる代わりに、家まではボクが連れてってあげるよ♣」
「連れてって…って、う、わぁああ!///」
「くっくっく……眺めは如何ですか、お姫様?」
「ひ、ヒソカさん恥ずかしい!お、下ろしてくださいっ…//」
「だーめ♥」
youの身体を軽々と抱え上げ、ヒソカは片手で試しの門に力を入れる。
片側だけではあったが、それでも第二の扉まで軽く開かれ、ヒソカとyouはゾルディック家の庭へと入った。
中で待っていたイルミと目が合えば、youは恥ずかしそうに俯き
ヒソカは嬉々とした顔で「行こうか♠」とイルミに声を掛けた。
words from:yu-a
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