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「you、ちょっと手伝ってくれないか?」
「手伝う…?」
「ああ!」
そう言って森田に誘われたyouは海岸の岩場へと連れて行かれた。
綺麗な海で零や美心たちがはしゃぐ中、森田は何をしようとしているのか…。
不思議に思ったyouが岩場に上ったところで声を掛ける。
「も、森田くん!」
「ん?」
「な、何するの、こんなトコで。」
「ふっふっふ…。」
「あ、怪しい笑いはやめてよー!」
「じゃーん!これ何だ!」
「…バケツ?」
「違う違う!その中身!!」
「中身…?」
自慢気に見せられたバケツの…その中を覗き込めば、youの鼻に強烈な磯の香り。
少しばかり顔を歪ませたものの、その表情はすぐに驚きのものへと変化した。
というのも、そのバケツの中に入っていたものは…。
「凄い!これもしかして海栗?!!」
「正解ー!凄いだろ?さっきこの辺りの岩場で見つけたんだ!」
「凄い凄い!!」
「これを大量にゲットして銀さんに献上するんだ!」
「え、自分で食べるんじゃないの?」
「・・・俺は…ちょっともらえればそれで…。」
「も…森田くん…。」
ちょっとばかり照れたような、嬉しそうな微笑を浮かべる森田の姿を見て、
銀二に褒められることが最たる目的だということを感じ取る。
森田の中でどれだけ銀二が大きな存在であるかを悟ったyouであった…。
森田と銀二の関係性はとりあえず「上司と部下」という風に銀二から聞かされていたので、
ここまで信頼されている銀二はとても人望が厚いのだとも思うに至る。
「森田くんは銀さんがとっても好きなんだね。」
「すっ、好きってそんな!そういう意味じゃ!//ただ銀さんはすげー人で…おれは尊敬してて…少しでも近づけたらなって…。」
「確かに…銀さんはミステリアスで…人を惹き付けるオーラがあるよね。」
「だろ?!」
ぱぁっと嬉しそうな顔をyouに向ける森田。
まるで従順な子犬か何かのようなその態度に思わずyouから笑みが零れる。
「あれ、you?」
「ごめんなさい、いや…森田くんって可愛いなって思って。」
「かわ…っ?!//」
「うん。」
「男に可愛いとか言うなよっ!」
「あ、ごめんなさい…。」
ちょっとだけ強めに反論した森田に驚き、咄嗟にしおらしく謝るyou。
その反応にハッとして、森田が慌てて逆に謝る…。
「わわ、ごめん!ちょっとキツい言い方になった!悪い!」
「ううん、大丈夫。」
「っていうか…可愛いっていうのは…それこそyouみたいなヤツのこと…言うんだよ…。」
「森田くん…ありがと。」
「うん。」
「あと、美心ちゃんとかね!」
「え、あ……ぁぁ…ぅん。」
笑顔で友人の名前を挙げるyou。
美心の内面はどんな女性なのか自分は知り得ないが、一般的な意見を通すのであれば
「それは友人としての欲目だ」と…言ってやりたい森田であった…。
すると、youの言う「美心の可愛さ」が内面なのだと示唆する話が始まった。
「美心ちゃんね、好きな人がいるんだって。」
「ふーんそうなんだ(カイジだろ)。」
「聞いても教えてくれないんだけど、カッコイイ人なんだって。」
「へー(カイジだろ)。」
「付き合うことができるようになったら、紹介してくれるって!楽しみだな!」
「そっかー(カイジだろ)。」
「だから、恋をしてる子って可愛いよねーって思って…相手は誰なんだろ。」
「さぁ…(カイジだよ)。」
ふふっと笑みを零すyouとあからさまに棒読みで言葉を返す森田。
絶妙なコントラストがそこにはあった…。
「youは?」
「ん?」
「youはいないの、好きなヤツ。」
「ええええ!//」
「何驚いてんだよ…。」
「えっと……いや、そんなこと聞かれるなんて思ってなくて…。」
「俺、口堅いし…もしいるなら教えてよ、協力するぞ~?なんつって。」
「うーん……誰かといてドキドキすることとかは沢山あるんだけど、それは皆それぞれにあるから、まだそれが恋だとは。」
「そっか。」
「うん…。」
いつの間にか、海栗を探して動いていたyouの視線は固まり、止まってしまっていた。
森田だけは会話を続けながらもずっと岩陰や石を持ち上げて目的のものを探している。
そんな中で、ふいに森田が言葉を漏らす…。
「俺はさ、youになら銀さんもアリじゃないかなーって…思うよ。」
「え。」
「youは知らないと思うけど…あの人、本当にすげー人なんだ。」
「うん…それはまぁ、何となく。」
「そっか……でさ、その仕事上、まだ特定の人っていないみたいなんだけど…お!見っけ!」
海栗ではないが、食べられそうな貝を見つけたらしい。
それをバケツにポイッと投げ入れながら、森田は言葉を続ける。
「youって何か不思議。」
「何その失礼発言。」
「あ、えっと!そういう悪い意味じゃないって!!」
「ふーん?」
「凄くいい意味!一緒にいると安心するっていうか……何か話しててホッとすんだよなー。」
「そ、そうなのかな…?!」
「うん。少なくとも俺はそう思ってる。」
「…ありがとう//」
「だから、銀さんが疲れてる時とか……youが一緒にいてくれるといいんじゃないかって思ったんだ。」
「ふーん…。」
「銀さんって、知らない間にストレス溜めてそうだから。」
銀二の安らいだ顔でも思い浮かべたのだろう、ふんわりと優しく微笑んで水平線を見つめる森田。
youはその横顔を覗き見て、少しだけ冷たい視線を浮かべる…。
そんな彼女の視線に気付き、はっと森田が横を向けば、
youが白けた視線を自分に送っていることに気付き、恐る恐る尋ねてみた…。
「あ、あの…you?」
「森田くんはさ、誰より銀さんが凄く大事なんだね。」
「えあ?!いやっ、その!あ……ごめ!」
今の話しぶりではまるでyouが「銀二の安らぎの為の恋人」になってくれればいいのに
という意味合いだと気付き、慌てて弁解をしようとした森田…。
しかしながら、彼女にとってはそれもまた見当違いのものだった様子。
「自分は二の次じゃない……銀さんもそれだけ思われて嬉しいかもしれないけど、少しは自分の幸せも考えてあげなよ。」
「え・・・っと?」
「銀さんの幸せも大事だけど、それは森田くんの幸せあってだよ。ずっと自己犠牲って、あんまりよくない。」
「う・・・。」
「それとも、森田くんの尊敬する銀さんは部下の幸せより自分の幸せを先に願って欲しいパワハラ上司なのかしら?」
「そ、そんなことは絶対ない!」
「でしょ?」
「・・・そ、か……そうだよなぁ。」
ストン…と、肩の荷が下りたように脱力し、森田はボーっとバケツの中の収穫物を眺める。
先程とは逆に、今度はyouが中腰で海栗たちを探し始めていた…。
「私や銀さんの幸せより森田くんの幸せ、私や銀さんの恋より森田くんの恋。だよ。」
「・・・・。」
「だって、人は森田くんが思うより割りと自分を一番に考えてるよ。」
「うーん…。」
「だから私は相変わらずドキドキしながら私の恋について悩むし、それはきっと銀さんも同じ。」
「確かに。」
「で……やっぱり一人じゃだめで、一緒に考えてほしくなったら、誰かを……森田くんを頼るよ、ね?」
そう言ってyouは森田を振り返り、にこりと柔らかく微笑んだ。
「要するに森田くんは優しすぎるんだよ。」
「…うわー…それ、銀さんにも遠回しに言われたことある。」
「ふふっ、それが森田くんのいいとこだよ、私は凄く好きだな。」
「っ……どうも//」
そう言って綺麗な海を背景に自分に笑いかけるyou。
森田は彼女の放つ言葉にほんの微かに銀二と同じ尊さを感じるのだった。
誰かに焦がれている想い。
でもそれは今までの憧れという類ではないと、何となく気付いている。
「なら……俺は…。」
「うん?」
「…同じだ。」
「え?」
「美心ちゃんと同じだ。」
「え?!森田くんは美心ちゃんの好きな人、誰か知ってるの?!でもそれって好きな人はやっぱり男…。」
「そういう意味じゃないよ!!ていうか「やっぱり」ってどういう意味ぃい?!」
あらぬ誤解に「ちゃんと女が好きだよ!」と森田が半泣きで訴えたのは言うまでもないだろう。
youはというと、少しばかり苦笑しつつ「そうだよね」と言葉を返した。
「俺が言ってるのは、もし好きな相手と付き合うことができたら……話すよ。ってこと。」
「なるほど。そういうことか。」
「そういうことです。」
「ふふっ、じゃぁ、楽しみに待つね!」
「ああ。」
岩場にしゃがみ込み、2人同じ笑みを浮かべた。
その下の岩陰に隠れていた獲物を見つけて、再び笑いあうまであと数秒…。
それなら僕は
君を好きになりたい
森田
(銀さーーーん!見てください、海栗ですよウニ!)
銀二
(へぇ…海栗とか取れんのか、ここ…スゲェな。)
森田
(はいっ!youにも手伝ってもらったから、他にも貝とか色々!)
銀二
(流石…巽の海だなぁ。)
森田
(え…ここって巽さんのプライベートビーチ…なんすか。)
銀二
(ああ、よくサーフィンしに来るらしい。)
森田
(や…やってそう!あの人やってそう!!)
銀二
(借りたくなったら言ってみたらどうだ?嬢ちゃんと2人でも…)
森田
(わぁああああ!何言ってんですか銀さんっ!!//)
銀二
(フフ…まぁ、とりあえず冗談だ…ってことにしとくか。)
森田
(っ…//)
銀二
(それとも森田よ……借りてもいいが…自分で作るか、ビーチとその金を…。)
森田
(え…やっぱりそういうハナシですか。)
words from:yu-a
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