fkmt用
name setting
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「you、勝負しないか?」
「勝負…ですか?」
海岸に到着してすぐに、アカギから勝負を持ちかけられたyou。
怪訝な顔を向ければ、アカギはその疑いを晴らすように真っ当な勝負内容を明らかにする。
●どちらがどれだけ沖に行けるかの勝負。
●身長差と泳ぎの技術を考慮して、youは浮き輪を使用してもいい。
●相手が「参りました」の言葉を発するか、それ以上先へ進めなくなった時点で終了。
「浮き輪使ってもいいんですか??」
「ああ。」
「勝ち負けのメリット・デメリットは?」
「youは負けても日々の変化は無い。勝ったらメリット。」
「と、いうと?」
「youが勝ったら、勝手に布団に入ることを今後一切しない。」
「本当デスカッ!?」
「男に二言は無い。その代わり…。」
「私が……負けた場合は?」
「それを公認にしてもらう。」
「げぇええっ!?」
「いいだろう、別に……いつもと変わらないんだから。」
「アンタが言うな!諸悪の根源!」
「まぁ、でも……悪い話じゃないはずだ。」
そう、自信満々に言い切るアカギ。
youは暫し悩み、最終的に浮き輪に勝率を見出し勝負を受けることにした。
当然2人の日常生活が賭けの対象というサシバトルなので、他の参加者を受け付けることはなく…。
アカギとyouは一度顔を見合わせた後、綺麗な海の沖合いに向かって駆け出していった。
平泳ぎで余裕綽々で沖へ沖へと向かうアカギ。
そしてそれを追いかけるように浮き輪でバタ足で応戦するyou。
大分海岸から離れたところでyouは後ろを振り返った。
もう岸の仲間達は米粒サイズ並みに小さくなっており、このまま先へ行けば・・・。
「遭難したりして…。」
呟いてみたが、実際そんなことになれば洒落にならない。
youはちょっと慌てて、先を泳ぐアカギに声を掛けた。
「あ、アカギさんっ!」
「?」
youの呼びかけに泳ぐのを一端止め、彼女の元に泳いできた。
ゆらゆら漂う大き目の浮き輪に手を掛け、アカギがyouに「どうしたの?」と声を掛けた。
「どうしたのって…どこまで行くつもりですか?もう大分沖の方なんですけど!」
「オレはまだまだ先へ行くよ……限度いっぱいまで…そういう勝負だろ?」
「そ、そうですけど…でも、戻れなくなったらそれこそ本末転倒というか…大変じゃないですか!」
「戻れなくなった時は……ただ、死ねばいい。」
「嫌ですよ!!」
「それこそ博打の本質……狂気の沙汰ほど面白いじゃないか。」
「もう黙れギャンブル中毒者。」
と、そこまで言ってyouはハッと気付く。
○戻れなくなると困るのは自分だけ。
○自分と違い、アカギは死を恐れていない。
○遭難する前に「参りました」と言わなければ死ぬ。
○アカギは最初からこれを見越して勝負をかけてきた。
以降押し黙ってしまったyouを見て、
アカギは彼女が自分の持ちかけた勝負の本質を見抜いたことを悟った。
ニタリと笑いながら、浮き輪越しに顔を近づけて囁く。
「さぁ、どうする?」
負けて生き残るか…アカギをどこまでも追い詰めて彼より後に死ぬか。
しかし、ただ「参りました」と負けを認めるのは悔しいと感じ、
精一杯の抵抗とばかりにyouはアカギに物申す。
「だっ、だけど…私には浮き輪があるんですよ?!遭難したってしばらく無事なんですから!」
「そうだな。」
「浮き輪無いアカギさんの方が先に死ぬのは必然ですよ?勝負続けたらそうなっちゃうんですよ?いいんですか?」
「フフ…言葉は辛辣だが、諦めず抵抗するとこは可愛いな。」
「ほ、本当のことですからねっ!」
「確かにそうだな……じゃぁ、続けられなくするまでだ。」
「な、何す…ぎゃぁあああ!」
見事なる早業でアカギはyouから浮き輪を奪い取り、思いっきり遠くへ放り投げ、
それは少し海岸に近づいた辺りにパシャ…と小さな音を立てて着水した。
そして、水中で自分を支える「物」が無くなったyouは慌てて近くにあった支えになる「者」にしがみ付く。
「ぶはぁっ!!い、いきなり何するんですか!」
「離してくれる?泳ぎにくい。」
「やだ、だめ、無理!だって足着かないし!こんな沖の方来た事ないから浮くのも精一杯だもん!」
「どっちかがキブアップするまで続行なんだから、オレはまだ沖へ進むよ。」
「や…だ、だめ!だめ!」
「じゃぁ…どうするの?」
答えなど、聞かなくても分かっているだろうに、あくまでも相手の降参を確認するまでは勝負続行…と言わんばかりにアカギは問う。
今までアカギにはそこまで冷たくされてことは無く、寧ろ逆の場合が多かっただけに
勝負のクオリティに関して鬼のように貪欲な彼の態度に飲まれ、youは半ば半泣き状態。
「ゃ…ぃゃ…ごめんなさい、いかないで…。」
「・・・ッ…!」
「いかないで、アカギさん…!」
「…わかった。」
「ぅぅ~!」
ギャンブルの狂気が去ったアカギに安心したのか、一気にyouの瞳から涙が零れ落ちた。
浮かびにくくはあったが、首筋に顔を埋めてくるyouを離したくなくて、アカギはその肩を抱き寄せる。
*。゜.*。゜.*。゜.*
「you、大丈夫か?」
「っく…んぐ、だい…じょぶ。」
「鼻水付けんなよ?」
「はっ、鼻水はまら…でっ、出てらいもん!」
「ハハ…すげー顔。」
「あっ、アカギさんのせいだもん!//」
「ああ……だから…余計に可愛い。」
「ッ!ぃ…いじわる!//」
「you…。」
「ん…?」
ふいに呼びかけられ、抱きついたままアカギを見上げれば、いつになく真剣な眼差しで見つめられていることに気付く。
「あ…アカギさ…。」
「言うことあるだろ、オレに。」
「え・・・?」
「負けを認めるんだろ?」
「うう…。」
「ほら。」
「ま……参りました。」
「オレの勝ちだな。」
「ズルい。」
「何で…どこが。」
「アカギさんの存在自体が。」
「無茶苦茶言うな……オレにどうしろっていうんだ…。」
「私の困るトコ見て楽しむのやめてほしいよ。」
「好きだから虐めたくなる…。」
「小学生か!」
アカギへのツッコミ体質が仇となり、うっかり手を離して合いの手を入れてしまう。
言わずもがな足が着く状態ではないので危うく溺れ掛けるのをアカギが助けた…。
「…大丈夫?」
「はぁ…は…だ、大丈夫です…。」
「アンタはやっぱり危なっかしいね。」
「うう…。」
「本当にいろんな意味で。」
「すみません…。」
「だからオレも勘違いするし……皆、惹かれるのかもな。」
「え?」
「こっちの話。」
会話を誤魔化し、アカギはそれまでyouを見ていた視線をふいに空に向ける。
快晴で、海と同じくらいに青い空をyouも同じように見上げた。
「綺麗ですね。」
「ん?」
「海…と、空……天気もいいし。」
「ああ。」
「そろそろ戻りませんか?皆心配するかもしれないですし…。」
「オレはもっとこのままyouといたいんだけど。」
「また、そんなこと言う…//」
「本気。」
「だーかーらぁ………あ…アカギさん?」
「本気だよ。」
「っ…あの…!//」
ゆっくりとアカギの顔が近づき、youの顔面スレスレで言葉を放つ。
「勝負に勝ったんだから……オレにも何かメリットがあってもいいだろ?」
「で、でもさっきはそんなこと…何も!」
「今、戦利品が欲しくなったんだから仕方ない。」
「それは…あの…//」
「キスしたい。」
「ちょ…ま、マジですか。」
「何度も言わすな。」
それはつまりあくまでも「本気」という意味で。
戸惑うyouに無理矢理口付けないのは、アカギなりに彼女の返事を待っているから。
言わずもがな、youに逃げ場は無い。
「ほ…頬っぺたじゃ駄目ですか。」
「あ?」
「ぃぇ…ぁの…。」
ドスが効いている…とまではいかないが、思いっきり不機嫌そうな声と表情を浮かべるアカギ。
それ以上何も反論できなくなったyouは恐る恐るアカギに告げる…。
「あ…アカギさん…。」
「ん?」
「……こわい。」
「何が。」
「いっ…色々っ!//」
「怖くない。」
「なん…!」
「……オレは…アンタが好きだから。」
「ッ…!//」
「好きになればいい。」
「いつでも」と…微かに呟いて、アカギはyouに口付けた。
状況からその覚悟はしていたものの、やはり驚きでyouの目は大きく見開いた。
しかも一度離されたかと思いきや、映画のように何度も角度を変えて啄む様に口付けてくるのだから、
youの瞳はこれでもかというくらいに大きく広がる。
「んっ…は…ぁ…//」
「は…ぁ。」
ゆるりと唇を離し、もう一度深く口付ける。
とろける様な甘い感覚にyouの瞳は次第に虚ろになってゆき、
気付けば目をそっと閉じてしまっていた。
そんな彼女の状態を悟っているかのように、アカギは更に奥を目指した。
ぬるりと舌を口内に侵入させ、youの舌を絡め取る。
予想外の出来事に眠そうだったyouの意識が引き戻され、身を引こうとするが、
アカギはそれを許さず、がっちりと彼女の身体を引き寄せたままキスを続けた。
「ぁ…ぁかぎさ…//」
「はぁ……you…。」
もう一回…そう思ってアカギが唇を重ねようとした瞬間…。
ざぱぁ!と、大き目の波が2人に覆いかぶさり、キスはそこで途絶えた。
波が通り過ぎ、水面に顔を出した2人…。
思いっきり我に返ったyouが溺れまいと必死にアカギにしがみつく。
「ブ…ハッ!す…凄い波…。」
「チッ…いいとこだったのに…。」
「はは…何かた…助かったような…?」
「そうかもね。」
「え?」
「あれ以上続けてたら、ちょっと…ヤバかったかもね。」
「えっと…?」
「今も…結構ヤバいんだけど。」
「何が…?」
「分からないのか?」
「・・・?」
「本当に危なっかしいな。」
「????」
「襲いたくなるって言ってるの。」
「へっ?!あ…え……ッツ?!!///」
そこまで言われてやっと、youはアカギの言っている意味気付く。
正確には…アカギの身体的な変化に気付いた。
しがみ付いている脚に時折当たるアカギの雄。
youは顔を真っ赤にしてアカギを睨み付ける。
「…最ッ低です!//」
「仕方ないだろ…好きなんだから。」
「そんなの理由にならないです!//」
「なるね。好きな女とこんなに密着して今のキスだろ?おまけにさっきからずっと涙目。」
「全部アカギさんの所為じゃないですか!」
「そうだけど。」
「何か問題でも?」と言わんばかりの平然とした顔でyouを見て返すアカギ。
「そうだけどって…よくもそんな…いけしゃぁしゃぁと…。」
「アンタだって感じてるだろ?」
「はぁ?!」
「確かめていい?」
「ちょ、な、何言ってんですか!!」
「絶対youだって同じだ。オレだけ責められるなんて納得いかないね。」
「だからってそんな…って、ちょ!ど、何処触って!//」
「逃げたいなら離れてみなよ。その代わり溺れても助けてやんない。」
「ゃっ!ダメ!お願いやめ………やめてっ!」
最後に大きく叫んだことで、アカギの手が静止した。
ゆっくり顔を合わせれば、赤い顔はそのままに、
とても困ったような…悲しそうな表情を浮かべたyouが自分を見ている。
アカギは驚いた顔で言葉を噤んだ…。
「お願い…やめて?」
「・・・。」
「アカギさんのこと……嫌いにさせないで。」
「you…。」
「おねがい…。」
「……わかったよ…ごめん…。」
海水とは別の水がyouの頬を伝い、アカギは軽い溜息を吐いた後その身体を一度だけぎゅっと抱きしめた。
すぐに身体を浮かせるために身体を離したが、
できればずっと抱き寄せていたかったと本気で考えていたのはアカギのみぞ知るところ。
結局それから殆ど会話をせず、アカギはyouを連れて海岸へと向かい始める。
途中、放り投げた浮き輪を回収し、youはアカギの身体を離れてそちらへ。
浮き輪の中へ移動したところで、youがそっと口を開いた。
「アカギさん…。」
「ん?」
「あの……ありがとう。」
「何が?」
「浮き輪まで、連れてってくれて。泳ぎにくかったでしょ。」
「でも、投げたのはオレだから。」
「む…確かに。」
「それに……youと一緒にいたくて態と投げたんだし?」
「そっ…そんな。」
「フフ……楽しかったよ。」
「また!」
「また今度、他の勝負しようか。」
「もう結構ですー!」
「ハハッ。」
そう笑って、アカギはyouの浮き輪の紐を引きながら泳ぎ始める。
大体youの足がギリギリ着くくらいの海域で紐を離した。
「もう大丈夫だろ?」
「はい!ありがとうございます!」
「じゃぁ、オレは先に戻るかな。」
「はい。」
youが軽く手を振るのを見届け、アカギはそこから岸までクロールで泳いで戻っていく。
綺麗なフォームにしばし見惚れ、また沖に流されそうになり、ハッと我に返るyou。
慌てて浮き輪と共に自分も岸の方へと泳いで戻った。
数分後…
浮き輪を引きずって岸へ上がったyouの前にタオルを持ったアカギが現れ、
思わずきょとんとした顔を向ければ、彼は大き目のバスタオルを広げてyouの身体を包み込む。
「おかえり、you。」
「ただいま…アカギさん。」
ふわりと同じような笑みを浮かべる2人に、先ほどの憂いはもう無かった。
まだこの距離感で
いたいのかもしれない
アカギ
(さて…これで堂々とyouの布団に入っていけるわけだ。)
you
(へ、変な言い方しないでください!//)
アカギ
(でも「公認」だろ?)
you
(うううう!でも犯罪ですし!それに私は嫌がってるんです。)
アカギ
(嫌よ嫌よも好きのうちって、ね。)
you
(アカギさんだって嫌でしょう、勝手に自分の部屋に入られて、しかも恋人でもない異性が寝てる間に布団に入ってくるんですよ!?)
アカギ
(いや別に。寧ろyouがそうしてくれたら嬉しいね。)
you
(じゃぁそれが…んー…今で言うと、美心ちゃんでも問題ないってことですか…。)
アカギ
(ゴメン、嘘吐いた。やっぱアンタ以外はヤダ。)
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*