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「youちゃんっ!アカギさん!一緒に遊ばない?」
アカギと2人で話していると、カイジを引き連れた(引き摺ったとも言う)美心がビーチボールを持って現れた。
「いいけど…もしかしてそのボールで?」
「うん!私とカイジくんVSyouちゃんとアカギさんでさ!」
「・・・。」
「あれ?どうしたの、ビーチバレーは嫌?!」
「えっ、いや…そういうわけではないんだけど……。」
美心の提案にたじろぐyouの後ろからその肩に手を置き、アカギが囁く…。
「ボソ…(苦手なんだろ…スポーツ。)」
「ぎゃぁ!何をいきなり!」
「クククッ、図星か……カッコ悪ィ。」
「カッチーン……。」
「ま、でも大丈夫だいじょうぶ…オレがフォローしてやるよ。」
「…だ…。」
「「え?」」
声を揃えたのはアカギと美心。
俯き加減でプルプル震えながらyouは今度はハッキリと「イヤ」と言った。
「私、アカギさんと一緒のチーム…いや!」
「・・・でも、オレとカイジさんが組んだら勝負にならないだろ。」
「じゃぁ私はカイジくんと組む。アカギさんとはイヤ!」
「…ふーーーーーん。」
一時の事だとはいえ、youに嫌悪感を抱かれるのが大変気に食わなかったらしい。
不機嫌そうな声と表情で彼女を見下ろし、言葉の撤回を視線で促したが効果は無く…。
怯むことなく、youはプイっとアカギに背を向けてカイジの腕を掴んだ。
「というわけでカイジくん、よろしく。」
「え…あ…え?オレ、youと組むのか?」
「そうよ、何か問題でも?」
「ねえっ!」
美心とペアだとばかり思っていたカイジにとっては僥倖以外の何物でもない状況。
みるみるうちに血色を取り戻した顔で力いっぱいの笑みを浮かべる。
そんなカイジと相反して不満そうなアカギ。
そんな彼を見上げ、恐る恐る美心が彼に声を掛けた。
「あの…アカギさん、ごめんなさい。この勝負止めておきましょうか…。」
「いや…いい……こうなったら徹底的に追い詰めてやるだけ……地獄の底が見えるまで…。」
ここでカイジとyouの死亡フラグが確立したのは言うまでもないだろう。
割と平坦な砂浜の部分を見つけ、そこを勝負の場所と定めた。
うきうき顔のカイジの横に並んで、不機嫌そうな顔でアカギを睨むyou。
そんな彼女の視線にうっとりとした目を向け、嬉しそうにアカギは言う…。
「ククク…そんな熱い目で見るなよ…。」
「どぅええ?!ぐぬぬ…そうきたか!!」
「はぁ…いいねぇ、そういうのも悪くない…。」
「いやーー!カイジくん!助けて!アカギさんが変態みたいなこと言う!」
youはそう小さく叫んでぴゃっと兎か何かのようにカイジの後ろに隠れる。
今まで彼女にここまで頼られることが無かった為、カイジの心は一層強く燃え上がった!
すかさずアカギの前に出て、メラメラと闘志を剥き出しにするカイジ…。
「アカギ…you嫌がってんだろ!」
「ククク…アンタがyouを守るって?」
「そっ、そうだ!」
「面白い……最初から逆境モードのカイジさんと戦れるってことか。」
バチバチと火花散る中、美心はyouのパーカーを掴んで「カイジくんに守ってもらうなんて羨ましい~!」と叫んでいる。
それは置いておいて…。
アカギが不気味に笑いながら提案した内容に一同は同時に反応を見せた。
「クク…ねぇ、賭けをしようよ。」
「え…。」
「ただ勝負するんじゃつまらないじゃない、だから互いに、賭ける。」
「な、何をだよっ!金なんか認めねぇぞ!」
「認める認めない以前にアンタ素寒貧だろ。」
「ええお恥ずかしくもその通りですけど、何か?!//」
ムキになってアカギに食って掛かるカイジ。
そんな彼の怒りを見事に受け流し、アカギは提案内容の説明を始めた。
「オレと坂崎さん、カイジさんとyouとで勝負する。」
「ああ。」
「2セット行って、同点ならもう1セット。」
「ああ。」
「負けたチームは勝ったチームの相手をもらう。」
「却下ァアアアッツ!!」
アカギの腹部にツッコミの手と同時に反対の手で拳を向けるカイジ。
無表情でそのパンチを己が掌でパシリと受けアカギは「なんで?」と返した。
「何でも何もあるか!(そもそもオレにはデメリットしかねぇ!!)」
「なら…何を賭けるっていうんだ。」
「それ以外思いつきませんみたいな顔するな!」
半泣きでカイジがそう訴えていると、傍らで話を半分ほど聞いていた美心が2人に「ねぇ」と声を掛けた。
「なに?」
「な…なんだよ。」
同時に美心に振り向けば、彼女は満面の笑みを浮かべて…言った。
「じゃぁさ、負けたチームが勝ったチームにキスっていうのはどう?」
「「「!!!」」」
その時、アカギに電流走る!
その時、カイジに電流走る!
その時、youに電流走る!
「それくらいが関の山か……まぁ、いいだろう。」
「ちょ、ちょっと待てよ!そんなの認めねぇぞ!」
「ムリムリムリ!絶対無理!するのもされるのも!」
上からアカギ、カイジ、you。
賛否がちょうど二手に分かれてしまったことにより、賭けの有無をジャンケンで決定することに…。
アカギvsyou
「じゃーーん、けーーーんんん!!!」
「ポン。」
チョキとグーでアカギの勝ち。
「うわぁあああ!!」
「you、you!落ち着け!顔が凄いコトになってる!」
「だってカイジくぅうううん!!」
「これはもう仕方無い、運否天賦じゃ誰もアカギに勝てねぇ!」
「でもぉおおお!!!」
「大丈夫!お前はオレが守るから!!」
「か…カイジくん…///」
「だから泣くな、なっ?」
「…ん。」
何だかいい感じの雰囲気を醸し出す2人を見て、アカギと美心の意思が疎通。
ブチ壊す…この雰囲気、絶対にブチ壊す!
かくして、色んな思いが交錯する色んな意味での泥死合いが開催されることとなった…。
*。゜.*。゜.*。゜.*
勝負が開始されて15分…。
もう既に1セット終了し、アカギと美心に白星が1つ付いていた。
後が無いカイジ、youチーム…。
「くそっ…こんなトコロで…ッツ!」
「ごめんねカイジくん……さっきから私ずっと足引っ張って…。」
「youの所為じゃねぇよ……守るって言ったんだ…オレがフォローしきれないのが悪い。」
「うう…ごめんん~!」
「泣くなよ…大丈夫、まだ勝負は終わってない、終わってない限り諦めるな!」
「う…うん!」
「きた!……やぁっ!」
アカギの方から飛んできたふわりと高く舞うボールを美心目掛けてジャンプアタックをかますカイジ。
ビニール製とはいえ、力のあるカイジのボールはかなり早く、捉えられない美心の足元を掠めた。
「っし!!」
「やった!カイジくんやった!」
嬉しそうに駆け寄ってきたyouと両手でハイタッチを決める。
その後もカイジが奮闘した結果、辛くも2人は1ゲーム制することができた。
残すはあと1ゲーム…。
その結果は…。
「やったぁ、アカギさん!」
「ああ、お疲れさん。」
「勝っちゃった!」
「ま、当然の結果だな。」
今にも懐から煙草を取り出して一服しそうなくらい余裕なアカギと、嬉しそうにはしゃぐ美心…。
相反するは…。
「うううっ…イヤだイヤだ!キスなんてしたくない~~!」
「you…(オレもなんですけど…)。」
砂浜に膝を付き、youは涙を堪えながら砂土を拳で打つ。
自分が守ってやると言った手前、申し訳ない気持ちでいっぱいだったため、
カイジはyouに掛ける言葉が見つからず、言葉を言い噤んでいた。
そして現れる勝者2名…。
「you、約束は約束だ…キスしてもらおうか。」
「うううう~~!!」
砂に潜り込む勢いのyouの腕を掴み、勢い良く引き上げる。
涙目で睨んでくる彼女の腰に手を当て、一度だけ優しく髪を撫でた。
「…you…。」
「ううー!」
「悪かった。」
「う…。」
「運動できないyouもそれはそれで可愛いと思ったんだよ。」
「べっ、別にできないわけじゃ…!//」
「悪かったな…からかって。」
「そんな……ずるい…//」
「…youのことはちゃんと分かってるからな。」
「アカギさんのばか。」
「どうとでも。」
アカギはyouの性格上、きちんと謝ったらそれ以上怒れないことを分かっている。
それを踏まえて、またそれでなくても彼なりにきちんと謝りは入れる予定だったのだ。
そっと流れそうに目尻でくすぶっている涙を指で拭ってやり、ふっと笑顔を向ける。
「そんないい顔しても…しませんから。」
「おいおい、約束を破る気か?」
「頬っぺたです!」
「・・・冗談。」
「取り決めのとき「何処に」って…示唆してなかったですから!」
「・・・…参ったな。」
この至近距離で強制的にyouの唇を奪うことは容易いが、
折角仲直りをした直後にまた喧嘩というのも後味が悪いな…と思い、アカギは「分かった、それでいい」と享受した。
少し背を低くすべく屈み、顔の位置をyouに合わせるアカギ。
youは恐る恐るその頬に口付けた。
「・・・お…おわりっ!//」
「…どうも。」
「…うー…(何でこんなことにー)//」
「(うーん…かわいい…。)」
ぱっと身体を離したところでアカギはyouの腕を掴む…。
「you。」
「はい?」
「…今度は口にしような。」
「しっ……しませんからっ!!」
真っ赤な顔でピシャリと言い切り、アカギの元を離れるyou。
ふと、その視界にもう1ペアの姿が映る…。
「さっ、カイジくん…遠慮しないで!」
「・・・いや…寧ろ遠慮させてほしいっつーか…。」
「美心は口でもいいんだ・ぞ。」
「ううっ…(何でこんなことに…ッツ!!)」
「(うふっ…かわいい///)」
youはドキドキしながら2人の遣り取りを見ているようだが、
アカギはというと…役者が違えばここまで違うのかと、深刻にカイジに哀れみの視線を向けた。
「さぁ!」
「ええええい!!」
意気込んだ割にはそれもう軽く…超軽く…それはもうソフトに美心の頬に口付けた。
「もう終わり?」
「終わりだッツ!」
「えー、分かんなかったよぉー!」
「したっ!したものはしたっ!したよな、youッツ!」
急に話題を振られて戸惑ったが、何故だかカイジが必死過ぎてyouは思わず「うん」と頷いた。
イマイチ不納得な美心だったが「youちゃんがそう言うなら」と渋々だが続く不満を飲み込んだ様子。
結局、それ以降の勝負は特に無く、時間いっぱいまで海で泳いだ一同。
帰りの車も席順は変わることなく、カイジは美心に生気を吸われ続けた一日となった…。
そして、福本荘の入り口で解散した後、それぞれの部屋に戻っていく。
youは201号にアカギが入るのを見届け、続いて203、205号にカイジと零が入っていくのを見送った。
ようやく自分の家に入ろうと、鍵を取り出したところで、203号からカイジが再び外に現れる…。
「カイジくん?」
「you…。」
「どうしたの、煙草でも買いに行くの?」
「いや…ちょっと…youと話したくて…。」
「・・・。」
たじたじと顔を少し赤らめてそう言ったカイジを見て、youはにこりと微笑んだ。
「私も。」
「え…?」
「私もちょっとカイジくんと話したいことがあった。」
「そ…なの?」
「うん……お礼が言いたくて。」
「お礼…?」
見に覚えが無いが、自分は何か彼女の喜ぶようなことをしたのだろうかと真剣に考えていると、
youが歩いてきて、カイジの正面で立ち止まった。
「守るって言ってくれて嬉しかった……ありがと、カイジくん。」
「you…。」
「要らないかもしれないけど、受け取って。」
「え…?」
youが近づいて背伸びをしたことで、ふんわりと海水を洗い流した時のシャンプーの香りがカイジの鼻孔を掠めた。
ぴたりと、頬に柔らかな感触が伝わり、カイジの目は大きく広がる…。
「…ッ?!//」
「・・・。」
「あ…え、と…you…。」
「お礼…デス//」
「あ…りがと…う…///」
「じゃね、おやすみなさい!」
youは照れているのか、すぐに真っ赤な顔を下に向けて、視線を合わさずに部屋に入っていった。
あれだけアカギとのキスを全力で嫌がっていたのを思い出すと、
少しばかり自分にも脈があるのではないかと…ついつい顔がにやけてしまうカイジなのであった…。
やっぱり
君以外考えられない!
カイジ
(清々しい…大変清々しい朝だ。)
アカギ
(絶好の就活日和だね。)
カイジ
(うん…ホント、早く職見つけたいんだよなー……って何事ォオ?!)
アカギ
(おはよ、カイジさん。)
カイジ
(ななななんで人ん家に勝手にはいっ…入れてんだっ!!?)
アカギ
(盗られる物が無いからって、鍵開けるの無用心過ぎない?)
カイジ
(まさかの玄関閉め忘れ?!)
アカギ
(抜けてるねぇ。)
カイジ
(っつー……やらかした。)
アカギ
(他にもやらかしたこと…あるよね?)
カイジ
(は?)
アカギ
(昨日、youに何かしなかった?)
カイジ
(……ナニモシテネェヨ?)
アカギ
(ふーん……嘘が下手過ぎ。)
カイジ
(ぐっ…!)
アカギ
(まぁいいよ……そっちがその気なら…オレも本気で獲りにいくまで…。)
カイジ
(のっ…望むところだッツ!!)
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*