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「私、ベイサイドスカイタワーの高級料理につられちゃっていいですか…アカギさんっ…!」
『第一印象から決めてました!』ばりに右手をアカギに差し出したyou。
勿論のことその手を掴み、更には彼女の身体を引き寄せる。
耳元で囁いて、卑猥な手つきでyouの太ももを撫でるアカギ…。
「いいぜ、最高の一日をエスコートしてやるよ……お前だけにな。」
「あ、やっぱ辞退し……」
「最高級ホテルディナー。」
「…しますん。」
「どっちだよ。」
というアカギのツッコミよろしく…
結局その方向で予定が組まれた12月24日、クリスマスイヴ。
その当日・・・
夜型人間のアカギに合わせて、出掛けたのは昼過ぎからであった…。
ピンポーンという呼び鈴の音が202号に響いて
「おい、迎えに来たぞ」とアカギの声が続いた。
「よぉ、待たせたな……そろそろ行くか。」
「あ、はい!……わぁ。」
ドアを開けて台詞と共に現れたアカギの姿に思わず目が見開く。
普段は着流しのカッターシャツにインナーというラフな格好のアカギなのだが、
今日はネクタイは締めずにいるものの、黒いスーツにコートをばっちり着こなしている。
「スーツとか、持ってるんですね。」
「惚れ直したか?」
「いや……何ていうかホストみた…」
「じゃぁ、今日はお前がドンペリ開けた料金払うか?」
「すっごく似合ってマス!カッコイイ!よっ、日本一男前!」
「上司を接待する平社員かお前は……それはそれで嬉しくなさ過ぎるだろ。」
「まぁ確かに……うん、でもホントかっこいいです。」
にっこり微笑んでアカギを見上げたyou。
この純粋に出ている言葉と表情を今日一日で
自分を想う事で焦らせ、困った表情で顔を赤くさせて言わせたいと目論むアカギであった…。
「じゃ、行くか。」
「はーい!」
元気良く挙手をして、先に出たアカギの背を追う。
すぐに追いつき横に並ぶと、スッとアカギの手が差し出された。
頭に疑問符を浮かべてアカギを見上げると、逆にまじまじと顔を見つめられた。
「アカギさん?」
「手。」
「はひ?」
「……どうやらお前は並みのお嬢さんじゃないようだな……さて、どうしたものか。」
「???」
やれやれと溜息を一つ吐き、アカギはその場で立ち悩んだ。
youが首を傾げると、アカギはその場から一歩下がって彼女の手を掬い取り…
手袋越しのその手の甲に口付けた。
「ああああ、あかぎさんん?!///」
「・・・こうでもしないと分からないんだろ?お手をどうぞ、お姫さま。」
「ぎゃぁああ!!恥ずかしい!!///」
「ククク……じゃぁもっと悟るんだな、オレがお前をどう想って扱っているのか。」
「うぅぅ~……///」
羞恥心で真っ赤になって睨んでくるyouを、
それはもう……大変満足そうに口角を上げて眺めるアカギ。
悔しそうにアカギを見ていたyouだったが、
気持ちを切り替え、両頬をペチペチと軽く叩いた。
そして、腕を組んで仁王立ちでアカギに物申す…。
「臨むところっ!何が起こっても意地悪なアカギさんになんて心傾かないから!」
「ふーん……。」
「な、何ですかその目は。」
「早速餌付けされてるけどね。」
「はーい、楽しいデートの始まりだよぉ~!」
パンパン、と手を叩いてアカギの決定的な台詞を掻き消したyou…。
子どものようなその反応にクスクスと笑いが零れる。
「ハイハイ」と頷いて、アカギはyouの手を取り歩き出した…。
*。゜.*。゜.*。゜.*
それから行動を始めて、目的地周辺に着いた頃にはもう陽が暮れかかっていた…。
湾岸沿いのホテル、その名の通り近くには海が広がっている…。
予約の時間にはまだ少し早い為、2人は時間を潰すために浜辺までやってきた。
「きーーーれーーぃ!!綺麗!凄い!陽が沈む!」
「本当だな。」
「きれい…。」
「………。」
「…最近の私、凄く元気。」
じっと海に溶けていく夕日を見つめて、youは誰にともなく言葉を紡ぐ…。
アカギはただ、黙ってそれを聞いていた。
「毎日が本当に…嬉しくて、楽しい。」
「・・・。」
「話の合うカイジくんがいて、可愛い零くん…と、カッコイイ零くんがいて、
失礼だけど同類の平山さんがいて、色々世話焼いてくれる一条くんがいて……。
大家さんも優しいし、近所にもいっぱい友達が出来た!」
「よかったな。」
「うん!でも……やっぱり部屋に一人で居る時なんかは…寂しい。」
「・・・・。」
「TVをつけても音楽を聞いても、ふとした瞬間に、音が途切れる。一人になる。孤独を感じる。時がある……あった。」
「……。」
「でも、今は……ちょっと平気。」
「……なんで。」
単刀直入なアカギの質問に軽くふふっと笑って、
youはポスっとアカギの胸に頭を預けた。
予想外の行動にアカギは少しだけ目を開いて眼下にいるyouを瞳に映す…。
「アカギさんのおかげ。」
そっと頭を離して、そのまま顔を上に向けた。
「気付いたらアカギさん、いるから。一緒にTV見たり、御飯食べたりしてるから。」
「迷惑じゃ、ないのか?」
「最初はビックリしたよ!だって明らかに不法侵入罪!」
「・・・。」
「でも、慣れちゃったから……今はアカギさんが来てくれるから、平気なの。」
「朝、隣に寝てるのは流石にビックリするけど」と、軽く笑って付け足した。
アカギの不法侵入を承諾するようなyouの言葉の数々に
動揺を隠すように煙草をポケットから取り出す…。
「おいおい……滅多なこと言うモンじゃねぇぞ……じゃないと襲…」
「ナチュラルに生活してる自分がおかしいって思っちゃうくらい。」
「おい、you…!」
「だからきっと、福本荘の皆って家族みたいなんだって、思ったの!」
「お前、マジでいつか犯す。」
最後の最後、youの見事に残念な結論が発されてから、
間髪入れずのアカギの言葉…。
アカギの真意を欠片も悟れていないyouは「何で!!?」と
吃驚した顔でアカギから素早く離れたyou。
「何でもクソもあるか、察しろ阿呆。」
「えぇぇえ……あ、えーっと、でも…。」
「オレはお前の寂しさを紛らわす為の人形になりたいわけじゃないんだよ。」
「かっ、かわいくないっ……切実にっ…こんな人形…っ!」
「何ならココでヤるか?」
「じゃぁアカギさんのなりたいものって何なのかな?かな?」
某ホラーアニメのヒロイン口調で迫り来るアカギに尋ねる。
話の路線が元に戻ったので、アカギも何とか思い止まった様子。
煙草に火を点けて、フーッと一息…。
白い煙がもう暗くなった空にふわりと広がった…。
「あかぎさん…?」
「お前って本当に…。」
「・・・?」
煙草の火を消し、チョイチョイと手招きしてyouを呼ぶ。
一歩離れていた距離をまた元通りに戻したyou。
瞬間、アカギの大きな手がyouの腰と頭に伸ばされた。
バランスを失った身体がアカギの胸に倒れこむ。
「欲しくなる、何もかも。」
「はぅっ…?!///」
「拙い思考の欠片でさえ……オレの色に染めたくなる。」
「なん///」
「まぁ、まだいいよ。まだ、オレのことでクルクル変わる顔が見たいし。」
「はぁ?!」
「お前の喜怒哀楽の表情は、見てて楽しい。」
「いじめですか。」
「愛ゆえだよ。それにどっちかっていうと、お前の態度の方がいじめだろ…。」
「えぇ~!?」
「寧ろ拷問だな」と、一人納得して頷くアカギ。
膨れっ面をして不納得そうなyouを余所に、
アカギは時計を見て時間を確認する…。
もうそろそろ頃合のようで、youの手を引きホテルへ向かいはじめる。
「さて、本日のメインイベントです、you姫……ってな。」
「うわぁ……想像だけでよだれ出そうかも。」
「お前どんだけ行きたかったの。」
そうツッコまずにはいれないアカギであった…。
*。゜.*。゜.*。゜.*
「アカギ様ですね?」
そう予約の名前を尋ねられて、頷いたアカギ。
あまりの絢爛豪華な内装に気後れしてしまいそうになるyou。
「お席までご案内いたします。」
そう恭しく一礼して、前を歩き出したフロア係。
自分には無縁だと思っていた場所にいるという…
その緊張感から、アカギの服の袖を咄嗟に掴んだ。
「どうした?」
「ぇ?!いやぁ……なんでもない、けど///」
言わんとしていることを悟ったアカギ。
youを守るように肩を抱いて席まで歩き出した。
ゆっくりと背を引かれた椅子にかけるyou。
その向かいにアカギが座った。
食事の準備として銀の食器たちを綺麗に並べ、係りの男性は下がっていく…。
やっと2人だけでの会話ができるようになり、
youは「はぁ~~!」っと盛大な溜息を吐き出した。
「うぅぅ……折角の味も緊張して分かんないかも…。」
「そうか?」
「だってテーブルマナーとか、殆ど知らないし…。」
「そんなもん適当、テキトー。」
「あのねぇ~…!」
「あ、そうそう。」
「??」
youの言葉を遮り、アカギはゴソゴソとポケットを漁り始めた。
そして、そこから取り出した小さな白い箱。
その時、youに電流走る。
一見、どう見たって指輪とか指輪とか指輪が入っていそうな、箱。
「アカギさん…。」
「ハイ、メリークリスマス。」
「これ…。」
「やる。」
「・・・。」
「開けてみろよ。」
「でも…あの!」
受け取る気配が無いことを察したアカギ。
手に持ったその箱のピンクのリボンを解いていく。
かぱ。
と、開いたその中にあったのは…。
「かっ、可愛い!」
「気に入ったか?」
youの好きな色のピアス。
アカギが選んだとは思えない程に可愛いデザインのものだった。
目をきらきらさせてピアスを見つめるyouにアカギは笑いかける。
「付き合ってもない男からの贈物で指輪じゃ絶対受け取らないと思ったから、これにした。」
「うっ……そんなことは…。」
「いいさ、指輪はいずれはめさせてやるんだから。」
「ななな…///」
困ったり照れたりとアカギの期待通りに表情をくるくる変えるyou。
アカギは満足そうに笑って、ピアスの入った箱をyouに渡した。
「アカギさん…あの…すごく嬉しい///」
「ん?」
「ありがとう…ございます///」
「どういたしまして。」
ぎゅっと両手で箱を握り締めて、アカギに笑みを向けた。
純粋に嬉しさを表現したその顔に少しだけ目を奪われたアカギ。
気付けば、珍しく自然な笑顔になった自分に逆に驚くのだった。
そっと鞄にそれをしまって、youが何かを言いかけたとき…。
丁度前菜の料理たちが運ばれてきた。
「まぁ、後でいっか!」
「ん?」
「何でもない!ていうか既に前菜から美味しそうなんですけど!!」
「ハハハッ……それはお前、飢え過ぎだろ!」
「むー!だって美味しそうなんでもん!」
野菜に掛かったドレッシングが天井の明かりに反射してキラキラと輝いている。
それと同じくらいの輝きを放つ銀のフォークを手に持ち、2人の晩餐が始まった…。
それから出される料理全ての盛り付けと味に感嘆するyou。
一口頬張っては幸せそうな顔で料理を制覇していき、今や最後のデザートに挑んでいる。
ツヤツヤのチョコレートでコーティングされた円形のケーキにフォークを入れる…。
断面から更にチョコレートが流れ出して、フォンダンショコラの類だと気付くyou。
「ぐあー!もうこれだけで幸せですぁああ!!」
「(さっきから)凄いリアクション。」
「ちょ、もう…いただきまふー!!」
口に運び、すぐに予想通りの溶ける様な笑顔を浮かべる。
アカギはクククと嬉しそうに笑って、自分のデザートプレートをyouの前に差し出した。
「むぅ??」
「やるよ。」
「えぇ!?いいいいんですかぁあ!?でも、だってアカギさんは?!」
「オレはいい……甘さの度合いが高そうだ。」
「えーっ!じゃぁ本当に遠慮なくいただきますよ?」
「ああ。」
「わーい!ありがとうございますー!」
お礼を告げて、プレートを受け取ったyou。
自分の分を食べ終え、アカギの分を食べている途中に一口分をアカギの前に差し出す。
「アカギさん、はい、あーん。」
「はぁ?」
「一口くらい食べないと…勿体無いですよ!」
「いいよ、全部食って。」
「あーーん。」
「・・・。」
喜びも照れも無く、渋々ではあるが無表情でyouの差し出したデザートを口にした。
「あまい。」
「うん、うまい?」
「いや、あまい。」
「…もぉ!」
「ハハッ……ありがとな。」
「……うん!」
アカギが素直にデザートを口にし、それからは大変満足そうな顔でデザートを食べ終えたyou。
洋風一色の風景には似合わないが「ごちそうさまでした」と呟いて、そっと両手を合わせた。
「まんぷくです。」
「美味かったな。」
「はい!!とっても!!」
「じゃ、そろそろ帰るか。」
「はーいっ!」
食後に出されたコーヒーをぐいっと一飲みして、アカギは立ち上がった。
youもそれに続いて、歩き出したアカギを追う。
入り口で預けたコートを返してもらい、アカギの横に立ったyouだが…。
「男の面子を保つマナーなの」と、レジから離されてしまう。
背中を押され、化粧直しも兼ねて手洗いへと追いやられる。
結局どのくらいの支払いになったのか、欠片も分からないままホテルを後にした…。
少し遠回りをして、市街を通ってイルミネーションを見ながらの帰り道を選び、
福本荘へと着いたのはもうすぐ12時…というくらいの時間だった。
*。゜.*。゜.*。゜.*
福本荘の階段を上がったところで、youが思い出したように声を上げた。
「あぁ!すっかり忘れてた!!」
「?」
アカギがピアスを出した時のように鞄をゴソゴソと漁って、小さな紙袋を取り出した。
それを階段一段分上にいるアカギへと差し出す…。
「全然大したものじゃないですけど、ハピメリクリスマス!プレゼントです。」
「……オレに?」
「はい!」
「……何で?」
「何で…って…ご飯美味しかったですし…一緒に過ごして、もてなしてくれましたし…クリスマスのプレゼントですし、何か他に理由が要るんですか??」
「…オレがもらっていいのか?」
「うん、だってアカギさんの為に買ったものだし。」
「オレのため…。」
「もしかして……要らない、ですか…?」
「いや、受け取るよ……ありがとう。」
「はい!あ、でも全然ホント凄くなくて……気に入らなかったらハッキリ言ってくださいね!」
受け取った中身を確認するアカギ…。
取り出したプレゼントとyouを交互に確認する。
「…ライター……なんですけど…。」
「youが選んだの?」
「え、まぁ……一応。」
「ふーん……。」
心配そうにアカギを見上げるyou。
その頭に手を伸ばし、わしゃわしゃと乱暴に撫でた。
「わー!も、何す…!」
「銀のZippoか……うん、いいセンス。」
「ほ、ほんと?///」
「気に入った。」
youがぱぁっと顔を上げると、本心から嬉しそうに笑っているアカギの姿が目に映る。
いつものように何か企む様な…少し意地悪そうな笑いではなく、柔らかくふっと微笑むような表情…。
いつもと違うアカギの雰囲気に、何だか調子が狂うような感覚を覚えるyou。
気付けばアカギから「何赤くなってんの?」と頬を撫でられていた。
「っわぁ!顔近いよ!///」
「何ボーッとしてんだよ……転げ落ちるぞ、階段から。」
「うぅ…///」
「コレ、ありがとな。」
「う、うん!気に入ってくれたのなら何よりです!」
「嬉しいよ、youがくれるモンは全部。」
「ま、またそんなコトさらっと言う…///」
「っはは!その顔見たくてやってんの、いい加減悟れよ。」
「っ~…!///」
拳を握り締めてワナワナ震えるyou。
クスクスと笑いながら見ていたアカギだったが、その時youの携帯が突然鳴り出した。
着信かと思ってディスプレイ画面を確認したyouが「あぁ!」と目を大きくさせ、アカギを見る…。
「メリークリスマス、アカギさん!」
「は?」
「今ちょうど12時のアラーム鳴ったの、だからメリクリです!」
「ああ、ナルホドね。」
「これからも仲良くしてくださいね。」
「何だそれ、新年の挨拶みたいだな。」
「……ですね。」
「じゃぁ、来年のクリスマスも予約な、お前の一日。」
「そっ、そんなの保障できませんよ!」
「あらら、そりゃ残念。」
「でも……。」
「ん?」
「そうですね、来年も一緒にいられるといいですね!」
そう言って満面の笑みでアカギに笑い掛けた刹那…。
階段の、一段上から落ちてきたキス。
パチパチと瞬かせた睫が上下に揺れ、近すぎるアカギの顔をyouの瞳が直視する…。
「「・・・・。」」
しばらく沈黙が続き、動かないyouを見てアカギが「あらら」と軽く笑う。
「なっ、にっ、す…!///」
「いや、可愛かったからつい。」
「「つい」で済ますなぁああ!!///」
「あぁ、じゃぁ今の……今日の飯代な。」
「うっ……!」
反論できないyouであった…。
そうやって、不敵に笑って階段をのぼりきったアカギ。
しかし、瞬時にその顔がイビツに歪んだ。
不思議に思ってyouが後を追って階段をのぼると…。
その先の廊下、202号のドアの前にダウンジャケットを羽織って
帽子と耳当て、手袋で完全防備を布いたカイジと零が無言で座っていた…。
2人の顔が自分達の方を向き「あぁあああ!」と大声を出す…。
「やっと帰ってきた!!」
「か、カイジくん…何して……。」
「youさん!アカギさんにヘンなコトされなかった!!?」
「(ちょっとあったけど)な、何もないよ…零くん…。」
一瞬ホッとした表情を浮かべたカイジと零。
すぐさま、アカギの方へ向き直りジロリと睨む…。
「アカギ!今何時だと思ってるんだ!お前youを連れまわし過ぎ!」
「(保護者か…?)だって、自分だってそうするだろ。」
「うっ…(確かに)」
「図星か…単純なヤツ。」
「うっさい!!」
「アカギさん……今度から夜道に気を付けて。」
「ふーん……夜道ねぇ…オレに夜道に気を付けてってことは自分も夜道に気を付けろってことだよな。」
「うんそうだね、でもオレはもっと上手く殺るよ?」
「他人の台詞パクんな、餓鬼…。」
「若さに僻まないでよね、オッサン。」
「「・・・・。」」
「喰えねぇガキ。」
「そっちこそ。」
バチバチと火花が散っているアカギと零…。
そして置いてけぼりのカイジとyou。
このままの牽制状態は厳しいと判断したyouが、アカギと零の間に割って入る。
パンパン…と手を叩いて「はいストーップ!」と乾いた笑いを浮かべて2人を交互に見やる…。
「寒いし、寒いし……えーっと、寒いから……。」
「寒いしか言ってないよ、youさん…。」
「えーと、うん、寒いから!」
「うん。」
「………家で暖かいもん何か飲もう!」
しーーん…
と、場の空気が沈んでいく。
そして、気まずい数秒間の沈黙を破ったのはアカギ。
「オレ、焼酎。」
「ゴメン、無いよアカギさん。」
「あぁ、ちょっと残ってるのがあるわ。ていうかオレはビールがあれば…!!」
「じゃぁ全部持参して、カイジくん。」
「酒もいいけど、オレはyouさんが淹れたあったかい紅茶がいいな。」
「うん!じゃぁ零くんの為に紅茶淹れるよ!」
そういうことで、youの家で宴会が決定。
カイジが自分の家に酒を取りに行き、youが家の鍵を開けて零を家の中に入れる。
それに続けてアカギも誘われるが、彼はその場に立ってyouに話しかけた。
「結局「こう」なるんだな。」
「福本荘の皆で一緒に…ってこと?」
「まぁね。」
「たまには皆で一緒にいてもいいんじゃないですか?」
「たまにかぁ?」
「だって……いつも私とアカギさん、2人きりじゃないですか。」
「・・・・。」
「ね?」と首を傾けてアカギに同意を求める。
アカギは「はぁ…」っと深い溜息を吐いて呟いた。
「あーもー………襲いてぇ。」
「え?何て…??」
「何でもない。」
「変なアカギさーん……いつもだけど。」
「あ?」
「えへへ、何でもなーいです。」
零に呼ばれてパタパタと家の中に入っていくyou。
やれやれと、足取り重くその方向と逆の自分の家に戻ろうとしたアカギ。
ふと、足元に目をやった時に映ったのは自分の手……が持つ紙袋。
『今はアカギさんが来てくれるから、平気なの。』
『アカギさん…あの…すごく嬉しい///』
『うん、だってアカギさんの為に買ったものだし。』
『来年も一緒にいられるといいですね!』
今日一日の彼女の色んな喜怒哀楽の表情を思い出し、自然と笑みが零れた。
紙袋の中に覗いている銀のZippoライターを見つめた後、
踵を返してyouの部屋に向かった…。
あぁどうして、こんなにも愛しい?
(あ!アカギさん、おはようございます!)
(はよ。)
(わぁ、使ってくれてるんですね…そのライター!)
(お前もな。)
(えへへ、似合ってますか?)
(オレが選んだんだぞ?当然だ。)
*。゜.*。゜.*。゜.*
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